2017年01月03日 (火)
こんにちは。
田舎の小児科医のブログ
http://blog.goo.ne.jp/okada_kids_clinic/e/b60a40fbbdf46b89389dba2314389d88
で、おかだ先生が、2017/1/2,子どもの糖質制限についての疑問に答える(1)という記事を更新されました。
子供の糖質制限、まさに集合知が高まる様相を呈してきました。
おかだ先生の記事、とても興味深いので許可を得て、本ブログに転載します。
おかだ先生、ありがとうございます。
現役バリバリの小児科医のご意見ですので、とても参考になります。
私も「糖質制限」が子供を救う を監修して、おかだ先生と同様に、糖質過剰摂取こそが、子供の心身の健康な成長を妨げているのではないかと思います。
小児肥満、小児糖尿病、多動、ADHD、癇癪、眠気・・・
給食は、現時点でバトルをしても仕方ないのですが、家にいるときは、先におかずをしっかり食べさせて、まだ食べたいなら最後に少々のご飯というあたりから始めるのもいいかと思います。
江部康二
☆☆☆
以下、田舎の小児科医のブログから転載です。
子どもの糖質制限についての疑問に答える(1)
2017年01月02日 | 糖質制限
チャイルドヘルス2016年 Vol.19 No.11 2016-10-28子どもの栄養の最新情報 に
10 子どもでも糖質制限は意味があるの?
~生活習慣病予防健診と栄養指導~…橋本友美先生著という記事が載っています。
それに対して、私の意見を述べます。
最近「糖質制限が子どもを救う」三島学という本まで出版され、子どもにも糖質制限を勧める者が増えてきました。
このチャイルドヘルスの記事はそのことに対する懸念であると思われます。
私は5年前に江部康二先生の著書を読んで、糖質制限を開始し、腹囲92cmから82cmとメタボから脱し、さらに父が40歳代で発症した2型糖尿病の発症の恐怖から逃れることが出来ました。
このように糖質制限実践者の一小児科開業医が子どもたちの食についいて関心をもち、考えていることをのべます。
●糖質制限とは
>糖質制限とは、食事中の糖質の摂量を制限して
まず、この定義は不十分なだけでなく、誤解を招く可能性が高いです。
橋本先生も誤解されています。
糖質制限とは、食事中の糖質の摂取量を制限して、必須栄養素である蛋白質、脂質の摂取割合を増やす食事です。
いわば高蛋白、高脂質、低炭水化物食であります。
MEC食(ミート、エッグ、チーズ)、断糖肉食、とも言います。
体重減少や血糖値の低下を目指す方法です
肥満の方が、正しい糖質制限食(高蛋白、高脂質、低炭水化物食)をするとやせることが多いですし、食後高血糖、食後高インスリン血症が改善されます。
それ以外に糖質過剰摂取がなくなったことにより、私たちは、食後の眠気がなくなったり、朝の目覚めが良くなったり、さらにはメンタルが安定したり、集中力が増した子どもたちを多く見ています。
さらに、難治性てんかんの治療食として認められている、ケトン食や修正アトキンス食は、全く糖質制限食(高蛋白、高脂質、低炭水化物食)であります。
緩やかなケトン食でさえ、橋本先生のおっしゃる”極端な”糖質制限食です。
●成人における糖質制限
おおむね現況をまとめてあり、ここでは反論を控えます。
ただ、糖質制限食にエビデンスがまだ無いと書かれていますが、現行のカロリー制限食もエビデンスレベルはコンセンサスであり、全く科学的エビデンスと呼べません。
●子どもに糖質制限が勧められない理由
(1) エビデンスが少ないため
お示しになられたsystematic reviewを読みましたがおっしゃる通り、良いとも悪いとも書いていません。
ただ、
Meta-analysis indicated a greater reduction in BMI in the low-carbohydrate group immediately after dietary intervention
とあり肥満が短期に改善することは裏付けられていると私には読めました。
エビデンスが少ないということであれば、現在のカロリーコントロール食にもエビデンスはありません。
ましてや脂質(1g9Kcal)を減らして、糖質(1g4Kcal)に置き換え、糖質量を総カロリーの60%にする食事法にエビデンスはありません。
(2) QOLの低下を招く可能性があるため
たしかに現代社会では、甘いものや糖質が溢れかえっており、その誘惑や友人付き合いもあり、糖質制限を続けることは、困難であり、最悪いじめの種になる恐れはあります。
しかし、私達が関わっている糖質制限食を行っている子どもたちは、想像しているより遥かにクレバーです。
糖質制限食(ケトン食)をしている事情はそれぞれですが、母親などの話を聞くと、友人たちとの軋轢もなく楽しくやっているようです。
(3) 食費がかさみやすくなる
たしかに糖質は安価です。
しかし、肥満が解消し、小児が生活習慣病になりにくいとしたら、劇的に医療費がかかりません。
さらには、きちっと栄養が取れていると、間食も少なくなり、ジュースやケーキやスィーツを欲しがらなくなります。
もちろんスナック菓子には目もくれません。
安ければいいのでしょうか。
(4) 糖質を多く含む食品である穀物や果物には多くのビタミン、ミネラルや食物繊維が含まれているため
穀物にどのようなビタミン、ミネラルがどれくらい含まれているか、ご教授ください。
糖質制限食の先駆者である江部康二は「季節の果物は適量食べる。海藻やキノコ、葉野菜はしっかり摂ること」と述べています。
なお、現在の日本の果物は、あまりにも糖度が高く、本来の果物の良さが失われているというのは筆者の個人的感想です。
(5) 結果的に摂取エネルギーが減少する傾向があり、健康な成長を妨げる可能性があるため
最初に述べたように糖質制限食を十分理解しない人が、従来のカロリー制限食(脂肪悪玉説)の考えを捨てきれず、間違った糖質制限食(低脂肪、中蛋白、低糖質)を行った結果健康を害しているのです。
健康な成長のためには十分な脂質と蛋白質が必要です。
糖質にはカロリーはあっても、体を作る原料にはなりません。
過剰摂取された糖質は、インスリンにより脂肪細胞で脂肪に合成されますので体重増加に寄与しているとはいえますが、骨格、筋肉などの原料にはなりません。
糖質過剰摂取こそが、健康な成長を妨げているのではないでしょうか。
田舎の小児科医のブログ
http://blog.goo.ne.jp/okada_kids_clinic/e/b60a40fbbdf46b89389dba2314389d88
で、おかだ先生が、2017/1/2,子どもの糖質制限についての疑問に答える(1)という記事を更新されました。
子供の糖質制限、まさに集合知が高まる様相を呈してきました。
おかだ先生の記事、とても興味深いので許可を得て、本ブログに転載します。
おかだ先生、ありがとうございます。
現役バリバリの小児科医のご意見ですので、とても参考になります。
私も「糖質制限」が子供を救う を監修して、おかだ先生と同様に、糖質過剰摂取こそが、子供の心身の健康な成長を妨げているのではないかと思います。
小児肥満、小児糖尿病、多動、ADHD、癇癪、眠気・・・
給食は、現時点でバトルをしても仕方ないのですが、家にいるときは、先におかずをしっかり食べさせて、まだ食べたいなら最後に少々のご飯というあたりから始めるのもいいかと思います。
江部康二
☆☆☆
以下、田舎の小児科医のブログから転載です。
子どもの糖質制限についての疑問に答える(1)
2017年01月02日 | 糖質制限
チャイルドヘルス2016年 Vol.19 No.11 2016-10-28子どもの栄養の最新情報 に
10 子どもでも糖質制限は意味があるの?
~生活習慣病予防健診と栄養指導~…橋本友美先生著という記事が載っています。
それに対して、私の意見を述べます。
最近「糖質制限が子どもを救う」三島学という本まで出版され、子どもにも糖質制限を勧める者が増えてきました。
このチャイルドヘルスの記事はそのことに対する懸念であると思われます。
私は5年前に江部康二先生の著書を読んで、糖質制限を開始し、腹囲92cmから82cmとメタボから脱し、さらに父が40歳代で発症した2型糖尿病の発症の恐怖から逃れることが出来ました。
このように糖質制限実践者の一小児科開業医が子どもたちの食についいて関心をもち、考えていることをのべます。
●糖質制限とは
>糖質制限とは、食事中の糖質の摂量を制限して
まず、この定義は不十分なだけでなく、誤解を招く可能性が高いです。
橋本先生も誤解されています。
糖質制限とは、食事中の糖質の摂取量を制限して、必須栄養素である蛋白質、脂質の摂取割合を増やす食事です。
いわば高蛋白、高脂質、低炭水化物食であります。
MEC食(ミート、エッグ、チーズ)、断糖肉食、とも言います。
体重減少や血糖値の低下を目指す方法です
肥満の方が、正しい糖質制限食(高蛋白、高脂質、低炭水化物食)をするとやせることが多いですし、食後高血糖、食後高インスリン血症が改善されます。
それ以外に糖質過剰摂取がなくなったことにより、私たちは、食後の眠気がなくなったり、朝の目覚めが良くなったり、さらにはメンタルが安定したり、集中力が増した子どもたちを多く見ています。
さらに、難治性てんかんの治療食として認められている、ケトン食や修正アトキンス食は、全く糖質制限食(高蛋白、高脂質、低炭水化物食)であります。
緩やかなケトン食でさえ、橋本先生のおっしゃる”極端な”糖質制限食です。
●成人における糖質制限
おおむね現況をまとめてあり、ここでは反論を控えます。
ただ、糖質制限食にエビデンスがまだ無いと書かれていますが、現行のカロリー制限食もエビデンスレベルはコンセンサスであり、全く科学的エビデンスと呼べません。
●子どもに糖質制限が勧められない理由
(1) エビデンスが少ないため
お示しになられたsystematic reviewを読みましたがおっしゃる通り、良いとも悪いとも書いていません。
ただ、
Meta-analysis indicated a greater reduction in BMI in the low-carbohydrate group immediately after dietary intervention
とあり肥満が短期に改善することは裏付けられていると私には読めました。
エビデンスが少ないということであれば、現在のカロリーコントロール食にもエビデンスはありません。
ましてや脂質(1g9Kcal)を減らして、糖質(1g4Kcal)に置き換え、糖質量を総カロリーの60%にする食事法にエビデンスはありません。
(2) QOLの低下を招く可能性があるため
たしかに現代社会では、甘いものや糖質が溢れかえっており、その誘惑や友人付き合いもあり、糖質制限を続けることは、困難であり、最悪いじめの種になる恐れはあります。
しかし、私達が関わっている糖質制限食を行っている子どもたちは、想像しているより遥かにクレバーです。
糖質制限食(ケトン食)をしている事情はそれぞれですが、母親などの話を聞くと、友人たちとの軋轢もなく楽しくやっているようです。
(3) 食費がかさみやすくなる
たしかに糖質は安価です。
しかし、肥満が解消し、小児が生活習慣病になりにくいとしたら、劇的に医療費がかかりません。
さらには、きちっと栄養が取れていると、間食も少なくなり、ジュースやケーキやスィーツを欲しがらなくなります。
もちろんスナック菓子には目もくれません。
安ければいいのでしょうか。
(4) 糖質を多く含む食品である穀物や果物には多くのビタミン、ミネラルや食物繊維が含まれているため
穀物にどのようなビタミン、ミネラルがどれくらい含まれているか、ご教授ください。
糖質制限食の先駆者である江部康二は「季節の果物は適量食べる。海藻やキノコ、葉野菜はしっかり摂ること」と述べています。
なお、現在の日本の果物は、あまりにも糖度が高く、本来の果物の良さが失われているというのは筆者の個人的感想です。
(5) 結果的に摂取エネルギーが減少する傾向があり、健康な成長を妨げる可能性があるため
最初に述べたように糖質制限食を十分理解しない人が、従来のカロリー制限食(脂肪悪玉説)の考えを捨てきれず、間違った糖質制限食(低脂肪、中蛋白、低糖質)を行った結果健康を害しているのです。
健康な成長のためには十分な脂質と蛋白質が必要です。
糖質にはカロリーはあっても、体を作る原料にはなりません。
過剰摂取された糖質は、インスリンにより脂肪細胞で脂肪に合成されますので体重増加に寄与しているとはいえますが、骨格、筋肉などの原料にはなりません。
糖質過剰摂取こそが、健康な成長を妨げているのではないでしょうか。
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