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日本栄養・食糧学会大会の現状。糖質制限食、米国と日本。
【16/05/16 ある大学人

日本栄養・食糧学会大会に参加して

初めまして。いつも楽しく拝見しております。

私は大学で栄養関連の教育をしている者ですが、13~15日にかけて開催された日本栄養・食糧学会大会でのことを少々。

この学会は歴史もあり日本では栄養学の学会として最大規模だと思います。しかし、糖質制限が話題になることはほとんどありません。今回も糖質制限に関する演題は、動物実験を扱った一つのみ。代わりに医学系学会との合同シンポジウムでは、「糖尿病治療法での炭水化物の意義」として杏林大医の石田均氏が糖質制限を批判しておりました。糖質制限賛成派の演題はなし。

学会の大口賛助会員には日清製粉やら山崎製パンなどが含まれているので、糖質制限を学会として認めるわけにはいかないのかも知れません。なんだか暗澹たる気持ちになった3日間でした。

ちなみに栄養士教育では、糖質制限を取り上げることはありません。管理栄養士試験に落ちてしまいますから(笑)】



こんにちは。

ある大学人 さんから、第70回日本栄養・食糧学会大会に関するコメントを頂きました。
興味深い情報をありがとうございます。

2016年5月13日(金)~15日(日)
神戸ポートピアホテル ポートピアホールと武庫川女子大学 中央キャンパス
で開催された第70回日本栄養・食糧学会大会に
参加されたのですね。


医学系学会との合同シンポジウム 【MSY】

MSY1 「糖尿病における食事療法の意義と課題」
  日時:2016年5月14日(土) 14:40~16:40
  会場:武庫川女子大学中央キャンパス K会場(S-24)
  座長:宇都宮一典(東京慈恵会医科大学)
     石田  均(杏林大学医学部)
14:40 MSY101 糖尿病食事療法での炭水化物の意義
 石田  均(杏林大学医学部第三内科/糖尿病・内分泌・代謝内科)
15:03 MSY102 脂質栄養と脂質異常症
 吉田  博(東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座)
15:26 MSY103 食塩と高血圧
 下澤 達雄(東京大学医学部附属病院検査部)
15:49 MSY104 たんぱく質と糖尿病腎症
 古家 大祐(金沢医科大学糖尿病内分泌内科学)
16:12 総合討論



医学系学会との合同シンポジウムMSY1において、石田均氏が糖質制限食批判ですか。

座長の宇都宮一典氏も、石田均氏も、強硬な糖質制限食批判派です。

このような方々しか呼ばない時点で、日本栄養・食糧学会が、糖質制限食に対して好意的でないことがわかります。


海外の例として、まずは米国糖尿病学会の糖質制限食に対する立場の変遷を確認しましょう。

1)2007年までは、糖質制限食を否定です。
2)2008年に、肥満を伴う糖尿病患者に1年間の期限つきで有効性を認めました。
3)2011年に、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限つきで有効性を認めました。
4)2013年10月、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明を2008年以来5年ぶりに改訂し、
  適切な三大栄養素比率は確立されていないことを明言しました。
  そして「糖質130g/日が平均的な最小必要量」という文言を削除し、
  肥満の有無は関係なく、期限なしで、正式に糖質制限食を容認しました。

つまり、米国糖尿病学会は2008年以降、数々のエビデンスに基づいて糖質制限を容認の方向に踏み出しました。

その後、5年間のエビデンスの蓄積(糖質制限食肯定も否定も含めて)を経て糖質制限食を正式容認です。

2型糖尿病に対する食事療法として、米国では今や糖質制限食は重要な位置を占めるようなってきています。

例えば、米国のデューク大学(米ノースカロライナ州ダーラム)は、糖質制限食に関する臨床研究を積極的に行っています。

デューク大学のWilliam S. Yancy Jr.准教授は2013年10月のADA声明改訂委員の1人でもあります。

一般内科のEric C. Westman准教授は同大学生活習慣医学クリニック所長です。

Westman准教授は、炭水化物20g/日未満をクリニックで実践しています。

このようにデューク大学では、高雄病院のスーパー糖質制限食よりさらに厳格なケトジェニックダイエットを糖尿病治療食の標準として実践しています。

一方、日本の関連学会は米国に比べると、糖質制限食に関してほぼ無理解です。

それにしても 米国糖尿病学会が2013年の「栄養療法に関する声明」において、地中海食やベジタリアン食などと共に 糖質制限食を正式に容認していることを、日本栄養・食糧学会が完全に無視するのはあまりにも変です。

単なる勉強不足なのか、意図的なのか、日本糖尿病学会も日本栄養・食糧学会も、米国の糖質制限食容認を日本国民に広報しないのは、アンフェアです。


なお、スウェーデンでは、2008年1月、LCHF食事療法(糖質制限食)を、保健福祉庁が容認しました。

そしてイギリスでも、2011年、英国糖尿病学会が食事療法に関するガイドラインを改訂するに当たって、糖質制限食を選択肢の一つとして認めました。



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
眼科・深作秀春先生のコメント。糖尿病専門医の治療で網膜症が悪化。
【糖尿病性網膜症を悪化させるもの

いま国際眼科学会講演のためにニューオーリンズに来ています。
当地でも、あらためて江部先生のブログを読んでいます。

江部康二先生の著書を読み、私の患者にも糖質制限食を勧めております。

眼科に糖尿病の自覚が無くて、目がおかしいから来院する方が多いのです。

眼底を見ると糖尿病性網膜症が始まっており、かなり前から糖尿病があったに違いないとわかります。

のどが渇いてやたらと水を飲むとか、よくお小水を出すとか、疲れやすかったとか、いくつも自覚症状があっても、目が悪くなって初めてわかる人が多いのです。

そして、あなたは糖尿病ですねと診断すると、決まって糖尿病なんて言われたことが無いと怪訝そうに言い返します。
血糖が500ぐらいある重症の方でもです。

まだ、糖尿病性網膜症が軽いので、糖尿病内科の専門医に糖尿病治療を委ねましょうと紹介します。

そして、内服薬やインシュリンなどを使って、内科医は急速に血糖を下げようとするのです。

食事療法でカロリー制限もしていますが、糖質のご飯は同様に食べさせています。

つまり、ご飯を食べて高血糖になり、それをインシュリンで無理やり下げると言う「血糖のジェットコースター」状態となります。

その結果1か月もすると、糖尿病性網膜症は良くなるどころか、どんどん悪化しているのです。

私はかなり前から、血糖値の激しい上下の変化やインシュリンが何らかの悪さをして網膜の血管を障害すると思っていました。

その為に、血糖はやや高めで良いから急に下げたり低血糖になったりしないようにと、何回も多くの内科医に依頼しても、彼らは血糖を下げることしか興味がないかの如く急速に下げようとします。

糖尿病性網膜症は増殖膜変化で網膜剥離を起こし失明に繋がる病気ですが、この増殖膜変化はどうも内科医の糖尿病治療の後に増加しているのです。

血糖値の激しい上下やインシュリンの何らかの作用で血管壁が破けて出血し、それが新生血管や増殖膜変化になっているのはまず間違いないと思います。

つまり、内科医の治療によって糖尿病性網膜症は悪化させられているとしか思えないのです。 

さらに、日本には優秀な眼科外科医がほとんどいないために、増殖性網膜症による網膜剥離は、大学病院や総合病院のような研修施設で手術すると、ほとんどが手術がうまくいかずに失明させられています。

増殖性網膜症での網膜剥離は、研修病院での手に負える代物ではないのです。

これは研修対処から外し、我々のような海外でも研鑽したり競争して勝ち抜いたような専門家の手術に任せるべきだと思います。
 
内科的な糖尿病コントロールは糖質制限でやり、運悪くすでに増殖性変化が進んで網膜剥離になった患者は、我々のような専門家に任せて小切開での硝子体手術で必ず治すのが、現代での理想のような気がします。

それにしても、毎日毎日、糖尿病により網膜症を起こし、硝子体出血、網膜剥離になった患者さんが全国より来ます。

これ以上増やさないためにも、糖質制限、ケトン体栄養生活を広めて頂きたいと思います。

深作 秀春】


こんばんは。

世界的眼科外科医の深作秀春先生から、2016/5/7、あらてつさんのブログにコメントを頂きました。

大変、興味深い重要な内容なので、本ブログで取り上げて記事にさせて頂きました。

深作秀春先生、事後承諾で誠に申し訳ありませんが、何卒ご容赦のほどお願い申し上げます。

深作先生、拙著やブログをお読みいただきありがとうございます。

また、糖尿病患者さんへ糖質制限食を勧めて頂いて、嬉しい限りであり強い味方を得た思いです。


『まだ、糖尿病性網膜症が軽いので、糖尿病内科の専門医に糖尿病治療を委ねましょうと紹介します。

そして、内服薬やインシュリンなどを使って、内科医は急速に血糖を下げようとするのです。

食事療法でカロリー制限もしていますが、糖質のご飯は同様に食べさせています。

つまり、ご飯を食べて高血糖になり、それをインシュリンで無理やり下げると言う「血糖のジェットコースター」状態となります。

その結果1か月もすると、糖尿病性網膜症は良くなるどころか、どんどん悪化しているのです。』


歯に衣を着せぬ貴重なご意見です。
患者さんサイドに立つ眼科医からも同様の意見を聞きます。

内科の糖尿病専門医に通院しているのに、一旦糖尿病網膜症になったら、基本的に一方通行で、合併症は進行していくそうです。

それが、糖質制限食を実践した糖尿病網膜症患者さんにおいて、進行がぴったり止まり、改善傾向も見られたということで、最初はびっくりしたそうです。

「血糖のジェットコースター」状態(平均血糖変動幅増大)と「食後高血糖」を防ぐことができるのは糖質制限食だけです。

<カロリー制限・高糖質食(従来の糖尿病食)+薬物療法(インスリンや内服薬)>では、深作先生の仰るように「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」は決して防げず、酸化ストレスのリスクとなり、網膜症の進行を止めることはできません。血糖値に直接影響を与えるのは、糖質だけなのです。

『私はかなり前から、血糖値の激しい上下の変化やインシュリンが何らかの悪さをして網膜の血管を障害すると思っていました。

その為に、血糖はやや高めで良いから急に下げたり低血糖になったりしないようにと、何回も多くの内科医に依頼しても、彼らは血糖を下げることしか興味がないかの如く急速に下げようとします。』


糖尿病専門医は、臨床現場では「空腹時血糖値とHbA1c」を血糖コントロール評価の基準にしているので「食後高血糖」や「平均血糖変動幅増大」という最大のリスクを本気でチェックしていないのが現状なのです。

糖尿病専門医がせめてグリコアルブミン(GA)を検査してくれれば、質の悪いHbA1cを見つけ出すことができるのですが、現実には行われていません。

『糖尿病性網膜症は増殖膜変化で網膜剥離を起こし失明に繋がる病気ですが、この増殖膜変化はどうも内科医の糖尿病治療の後に増加しているのです。

血糖値の激しい上下やインシュリンの何らかの作用で血管壁が破けて出血し、それが新生血管や増殖膜変化になっているのはまず間違いないと思います。

つまり、内科医の治療によって糖尿病性網膜症は悪化させられているとしか思えないのです。』


<高糖質食+薬物治療(インスリンや内服薬)>という糖尿専門医のワンパターンの治療では、「食後高血糖」や「平均血糖変動幅増大」は必ず生じ、酸化ストレスリスクがどんどん増大します。

酸化ストレスが増大すると細小血管の病変に悪影響を及ぼし出血もありえると思います。

また細小血管すなわち毛細血管は一層の内皮細胞とそれをとり巻く周皮細胞から構成されていますが、高血糖によるAGEsの形成は、細小血管の周皮細胞も内皮細胞も共に障害します。

これらの理由で、糖尿病専門医の治療によって、糖尿病網膜症がかえって悪化するのだと考えられます。

『日本には優秀な眼科外科医がほとんどいないために、増殖性網膜症による網膜剥離は、大学病院や総合病院のような研修施設で手術すると、ほとんどが手術がうまくいかずに失明させられています。

増殖性網膜症での網膜剥離は、研修病院での手に負える代物ではないのです。

これは研修対象から外し、我々のような海外でも研鑽したり競争して勝ち抜いたような専門家の手術に任せるべきだと思います。』


仰る通りと思います。

そうでないと、糖尿病による増殖性網膜症の患者さんに被害者が続出してしまいます。


『内科的な糖尿病コントロールは糖質制限でやり、運悪くすでに増殖性変化が進んで網膜剥離になった患者は、我々のような専門家に任せて小切開での硝子体手術で必ず治すのが、現代での理想のような気がします。』

こちらも、仰る通りと思います。

『それにしても、毎日毎日、糖尿病により網膜症を起こし、硝子体出血、網膜剥離になった患者さんが全国より来ます。

これ以上増やさないためにも、糖質制限、ケトン体栄養生活を広めて頂きたいと思います。』


この事実は現実に、日本糖尿病学会主導による従来の糖尿病治療(高糖質食+薬物療法)が、まったく上手くいっていない動かぬ証拠と言えます。

少しでも早く糖質制限食の有効性と安全性を医学界に啓蒙していき、従来の糖尿病食(合併症製造食)からの脱却を目指さないと日本の糖尿人が可哀想過ぎます。


2016年01月19日 (火)の本ブログ記事
「眼科外科医の糖質制限食。世界的眼科外科医の深作秀春先生からコメント頂きました。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3662.html
もご参照頂けば幸いです。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
HbA1cと早朝空腹時血糖値では短時間の食後高血糖を見逃し危険。
おはようございます。

現在、日本のほとんどの病院で早朝空腹時血糖値とHbA1cだけで、糖尿病のコントロールの評価をしています。

しかしながら、食後の短時間の高血糖は、 HbA1C値へ敏感には反映されません。

従って、HbA1cと早朝空腹時血糖値だけで血糖コントロールを評価すると、短時間の食後高血糖を見逃すので、隠れている合併症のリスクも見逃すこととなります。

「HbA1Cがそれほど悪くないのに合併症が発症・進行してしまう」ケースが後を絶たないのは、見逃されている食後高血糖の影響があると考えられます。

とくに、糖尿病のさまざまな合併症の中でも大血管に生じる「動脈硬化」には、食後高血糖が大きく関与していることが明らかになっています。

大血管の合併症である動脈硬化は、糖尿病予備群の段階でも発症・進行することがわかってきましたが、その元凶はやはり「食後高血糖」だったのです。

HbA1Cが同じなのに合併症が進んでしまう患者さんとそうでない患者さんがいます。
食後高血糖のない質のいいHbA1c
食後高血糖のある質の悪いHbA1cの差と言えます。

空腹時血糖値だけでなく、食後血糖値をしっかりコントロールすれば、合併症をより確実に抑えられるという研究結果も明らかとなっています。

食後血糖値に関して信頼度の高い以下のガイドラインがあります。

国際糖尿病連合・2011年発表 「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
http://www.idf.org/sites/default/files/postmeal%20glucose%20guidelines.pdf

2007年の国際糖尿病連合「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
http://www.idf.org/webdata/docs/Guideline_PMG_final.pdf

いずれのガイドラインにも、

「食後および負荷後高血糖は大血管疾患の独立した危険因子である。」

ということが、欧米の無作為試験とメタ解析論文によるエビデンスに基づき記載してあります。

食後高血糖を調べるのに一番わかりやすいのは、血糖自己測定器で自分で調べることです。

血糖自己測定器を持ってない糖尿人は、グリコアルブミン(GA)を調べるといいでしょう。

グリコアルブミンは、HbA1cが見逃してしまう食後1~2時間だけの高血糖も反映してくれる検査です。

HbA1cは7.0未満が、合併症予防のための目標で、コントロール良好ということになっています。
GAは20.0未満が、コントロール良好の目標です。

従来の糖尿病食(高糖質食)を食べて、インスリンやSU剤などでHbA1cが6.5%だからといって安心はできません。

食後高血糖が隠れている質の悪いHbA1cの可能性があるからです。

こういうとき、グリコアルブミンを調べたら食後高血糖の存在がチェックできます。

もし、HbA1cが6.5%でも、GAが22~23%とかあれば、食後高血糖の存在は明らかであり、質の悪いHbA1cであり、これでは合併症は防げません。

一方、糖質制限食を実践している糖尿人においてHbA1c6.5%なら、これは質のいいHbA1cであり合併症の心配はありません。

なぜなら、糖質制限食実践者なら、GAを調べるまでもなく食後高血糖は無いからです。

血糖に直接影響を与えるのは糖質だけで、たんぱく質・脂質は与えませんので、糖質制限食を実践していれば、基本的に食後高血糖は生じないのです。

従来の糖尿病食(高糖質食)を食べていて、一見HbA1cがコントロール良好な糖尿人の皆さん、

是非一度グリコアルブミン(GA)を調べて、身を守ってくださいね。

2015年07月07日 (火)の本ブログ記事
「グリコアルブミン(GA)とHbA1cを比較することの意味」
もご参照いただけば幸いです。


江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限批判記事への反論。既に勝負はついている!米国糖尿病学会。
【16/04/06 藤井

こんな記事がありました。

江部先生、いつもお世話になります。

私は、糖尿病予備軍から、 糖質制限を初めて、 血糖値は正常になり、 体重は、10キロ落ち、 現在も糖質制限を続けています。

尚、先生の『人類最強の「糖質制限」論』は、 復習と確認で読ませて頂いています。

先ほど、下記サイトを見て読んでいました。

また、間違った記事だと思いますが、 安心して糖質制限が出来るように、 先生のご意見をお聞かせ下さい。

よろしくお願いします。

(ここより)
健康・医療情報サイト「日経Gooday(グッデイ)」

http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100031/032400299/?ST=food&P=1

糖質制限ダイエットは本当に安全か?
総カロリーの3~4割に抑えると、死亡やがんのリスクが上昇
2016/3/29 大西淳子=医学ジャーナリスト


低糖質群では死亡リスクが約30%上昇
1本目は、国立国際医療研究センターの能登洋氏ら(所属は論文掲載時)が「PLOS ONE」誌に2013年1月25日に報告した論文
糖質割合が低下するにつれて死亡リスクが上昇

2本目は米ハーバード公衆衛生大学院のTeresa Fung氏らが「Annanls of Internal Medicine」誌2010年9月7日号に報告した、米国の男女の医療従事者を対象とする大規模かつ長期的な研究に関する論文】



こんばんは。

藤井さんから、糖質制限食に批判的な記事に関して、コメント・質問を頂きました。

藤井 さん
拙著の御購入ありがとうございます。

A)能登洋氏の論文に関しては
2015年02月03日 (火)
「能登氏が2013年に発表した糖質制限食批判論文は信頼度が低い」  
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3271.html

B)米ハーバードの論文に関しては
2011年12月30日 (金)
「スーパー糖質制限食に発ガンのリスク」というエビデンスはない
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1929.html

をご参照いただけば幸いです。

A)は2013年1月に掲載された能登氏の論文が根拠になっています。
B)は2010年9月に掲載された米ハーバード公衆衛生大学院のTeresa Fung氏の論文が根拠になっています。

まず確認しなくてはいけないのは、A)B)共に、実は糖質制限食に関する論文ではないということです。

近年、糖質制限食の定義は、欧米でも日本でも「130g/日以下の糖質摂取量の食事を糖質制限食と呼ぶ」ですから、そもそもA)B)共に糖質制限ダイエットとは言えないのです。

A)は低糖質群(総摂取熱量の30~40%)と高糖質群(60~70%)の比較、
B)は高糖質食(総摂取熱量の60%程度)の人々と、低糖質食(35~37%)の比較

です。

A)B)共に一日の糖質摂取量は、低糖質群でも130g/日を超えています。

この記事を書いた大西氏も糖質制限食の定義は当然ご存知のはずなのに、糖質制限ダイエットという言葉を使うこと自体がアンフェアです。

A)B)それぞれへの詳しい反論は上記の私のブログを参考にして頂けば幸いです。

次に米国糖尿病学会の糖質制限食に対する立場の変遷を確認しましょう。

1)2007年までは、糖質制限食を否定です。
2)2008年に、肥満を伴う糖尿病患者に1年間の期限つきで有効性を認めました。
3)2011年に、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限つきで有効性を認めました。
4)2013年10月には、肥満の有無は関係なく、期限なしで、正式に糖質制限食を容認しました。


2013年10月の、米国糖尿病学会の糖質制限食正式容認は、A)B)の両論文も検証した上での正式容認です。

このことの意味は大変大きいと思います。

つまり、米国糖尿病学会は2008年以降、数々のエビデンスに基づいて糖質制限を容認の方向に踏み出しました。

その後、5年間のエビデンスの蓄積(糖質制限食肯定も否定も含めて)を経て糖質制限食を正式容認ですから、日本糖尿病学会が反対しようと大西氏がアンフェアな記事を書こうと既に勝負は付いているのです。

私も糖質セイゲニストの一人として、2013年10月の、米国糖尿病学会の糖質制限食正式容認に対して快哉を叫びたいと思います。 (^-^)v(^-^)v  


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
カロリー制限高糖質食では「慢性進行性膵β細胞不全」は防げない。
【16/04/04 サワ

お願いします

いつも貴重な情報ありがとうございます。主食をやめて一年以上経ちました。
ヘモグロビンa1cは5.6から5.8で安定しています。
32才女性の平均からすれば、まだ少し高いですが、発症時10を超えていた糖尿人としては優良かと思います。
もちろん服薬も無くなりました。

ただ厳密な糖質制限を行っていたわけではなく、主食の米やパン、麺をやめ、調理は人工甘味料に変えたくらいで、副菜の糖質はそこまで気にせず過ごしてきました。そして、たまに甘いものを食べてしまったりすることもありました。
意外に糖質量が20グラムを超えていた時も度々ありました。

そこで、先日より食品の重量を測ったり、糖質量を調べたりしながら、厳密に20グラム以下になるようにしています。
厳しく制限すれば、もう少し改善出来るでしょうか?
それとも正常値内で、これ以上の改善は望めませんか?

主治医に聞こうにも、糖尿病専門医の主治医は柔軟に対応はして下さりますが、どちらかといえばカロリー制限による減量を指導して下さいました先生で、現在も体重さえ維持していれば、まずまずとおっしゃいます。


今後、太らない食生活で気をつけていても、いつかヘモグロビンa1cは悪化する日がくるでしょう。でもその時は合併症が出ないように、見極めてお薬を出してあげるし、ナーバスにならずに。極端に炭水化物を減らす必要はない。身体壊すよ』
とおっしゃるのです。

もちろん糖質制限は安全だということはこちらで勉強して取り組んでいるわけですが、主治医には糖質制限の事は伺えないのです。

出来れば、長期間食事制限のみで正常値をキープしたいので、今のうちに改善出来るだけ改善したいです。 贅沢な考えかもしれませんが。

それから、例えばですが、
朝食べない、昼糖質5、夜糖質20という食事は問題ないでしょうか?
それとも、空腹が長い。糖質が入ってこない時間が長いと、夜20グラム以下でもインスリン分泌や、血糖値に影響はありますでしょうか?
朝、昼、夜と同程度、20グラム以下の糖質をとる方が良いでしょうか?

以上ご多忙の折申し訳ありませんが、ご回答頂ければ幸いです。 】



サワさん。

発症時10%を超えていたHbA1cが1年以上の糖質制限食実践で、服薬もなしで5.6~5.8%をキープとは素晴らしいです。

糖質制限食は、美味しく楽しく末永く続けることが優先順位の一番なので、サワさんは、今のやりかたで充分と思います。

現在すでに5.6~5.8%と基準値(4.6~6.2%)内ですので、1回の糖質量10gとかで厳格にしても、これ以上の改善はそんなにないと思います。

糖質制限食による糖尿病治療の目的は『合併症を予防する』ことです。

これ以上HbA1cを低下させることに拘る必要はありません。

HbA1c5.6~5.8%であり、糖質制限食実践なので食後高血糖もなくグリコアルブミン(GA)もコントロール良好と思われます。

あと、空腹時血糖値が126mg/dl未満、さらには110mg/dl未満なら、糖尿病の合併症は細小血管・大血管ともに予防できますので心配ないです。

今後、太らない食生活で気をつけていても、いつかヘモグロビンa1cは悪化する日がくるでしょう。でもその時は合併症が出ないように、見極めてお薬を出してあげるし、ナーバスにならずに。極端に炭水化物を減らす必要はない。身体壊すよ』

この主治医のご発言は、実はかなり恐ろしい事実を示唆しています。

即ち、どのような治療をしようとも、2型糖尿病はじり貧で進行していくというのが医学界の共通理解なのです。

糖尿病専門医でよく勉強しておられるのでしょうが、「糖質制限食ならそれが防げる」という肝腎なことを見逃しておられるのが残念です。

多くの糖尿人が、薬と注射と食事制限で頑張っていても結局合併症になっていきます。
糖尿病腎症から人工透析が毎年新たに16000人
糖尿病網膜症からの失明が毎年新たに3000人
糖尿病足病変からの足切断が毎年新たに3000人

これが紛れもない日本の糖尿病治療の実態です。
何故このような悲劇が繰り返されているのでしょう?

実はインスリン注射や経口血糖降下剤を内服して、カロリー制限食で一生懸命頑張っていても、残念ながらほとんどの糖尿病患者さんが、じり貧で悪化していきます。

このことは、UKPDS(United  Kingdom  Prospective  Diabetes  Study )で証明されました。

UKPDSは、25-65才の4209例の新規の2型糖尿病患者について、英国で実施された平均10年間にわたる過去最大規模の疫学調査です。
UKPDSは、1970年代から準備され1977年に開始、1998年に結果が報告されました。

4209例の10年間の統計をとると、どんな薬物治療、食事指導をしても、HbA1cは経年的に徐々に悪化し続けていきました。

また空腹時血糖値も経年的に徐々に悪化し続けていきました。

これはおそらくは、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が、食後高血糖のために障害され、経年的に徐々に減少していくためと考えられます。

つまり、糖尿病患者が医師や栄養士の現行の指導をきっちり守って最善の努力をしても、現行の治療法に頼る限り結果は、「慢性進行性膵β細胞不全」とも言うべき病態が2型糖尿病なのです。 (*_*)

糖質を摂取する限りは、カロリー制限食や薬物治療をしていても、食後高血糖が生じる可能性が極めて高く、β細胞は障害され、慢性進行性膵β細胞不全は防げないのです。

サワさんの主治医は、このことを仰っていたのだと思います。

180mg/dlを超える食後高血糖がβ細胞を傷つけます。

高血糖により傷つき死滅し、β細胞は徐々に減少していくわけです。

それでは「2型糖尿病は不治の病でもうどうしようもないのか!?」というと、そんなことはありません。

180mg/dlを超える食後高血糖さえ起こさなければ、β細胞が障害されることもなく、今現在生き残っている数を保つことができるのです。そこでいよいよ糖質制限食の出番です。

糖質制限食なら、薬に頼ることなく食後高血糖を防ぐことができます。

食後高血糖がなければ、β細胞も障害されることなく元気に生き続けてくれます。

従って理論的には、糖質制限食の実践によりUKPDSの恐るべき結論(慢性進行性膵β細胞不全)を覆すことができると思います。 (^_^)

そして慢性進行性膵β細胞不全を予防出来るのは、唯一糖質制限食のみです。

つまり、サワさんは大丈夫ということです。

「朝食べない、昼糖質5、夜糖質20という食事は問題ないでしょうか? 」

「朝、昼、夜と同程度、20グラム以下の糖質をとる方が良いでしょうか?」


これは、どちらでもいいです。

どちらでも食後高血糖は生じません。

ちなみに私は、朝食は「コーヒー+生クリーム」のみですので昼夕の一日2食のようなものです。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット