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糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について、2016
こんにちは。

過去、糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について、以下の(1)(2)(3)(4)(5)と記事にしてきました。
(6)(7)も本日、再掲載です。

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(1)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2715.html
2013年10月22日 (火)
「全身倦怠、筋力低下、無気力、体重減りすぎなど」→摂取エネルギー不足が主たる要因

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(2)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2716.html
2013年10月23日 (火)
「腓返り」

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(3)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2733.html
2013年11月1日 (金)
「高尿酸血症」→摂取エネルギー不足が主たる要因

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(4)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2734.html
2013年11月2日 (土)
「高LDL血症」

2016年8月27日 (土)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3918.html
糖質制限食実践中生じることがある好ましくない症状・変化(5)
「摂取エネルギー不足によって生じうる症状」


2013年11月12日 (火)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2748.html
糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化(6)
「便秘について」


2013年11月16日 (土)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2753.html?sp
糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(7)
「高血糖の記憶」(☆)


(☆)「高血糖の記憶」に関しては
2016年02月14日 (日)の本ブログ記事
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3691.html
過去の高血糖期間の消えない借金(高血糖の記憶)と心筋梗塞
もご参照頂けば幸いです。


2016年8月29日(月)
糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(8)
「低血糖」


SU剤(アマリール、グリミクロン、オイグルコンなど)を内服している場合は、糖質制限食を実践するとリアルタイムに食後高血糖が改善するので、そのままの量を内服すると低血糖のリスクが高まりますから、必ず医師と相談することが必要です。

即効型インスリン分泌促進剤(グルファスト、スターシス、ファスティック、シュアポスト)を内服している場合も、SU剤ほど危険ではありませんが、同様の理由で、やはり低血糖のリスクになりますので、必ず医師と相談することが必要です。

食前の即効型インスリン注射をしている場合も、勿論、同様の理由で低血糖注意であり、医師と相談することが必要です。

高雄病院入院時は、まず糖質ありの従来の糖尿病食と入院前の今まで通りの薬物治療で開始です。

最初の1、2日目は「従来の糖尿病食+SU剤など」にて血糖値の日内変動検査を行い、糖質を摂取しながら薬で血糖コントロールすることは、極めて困難であることを体験して貰います。

入院3日目からは、スーパー糖質制限食となるので、SU剤、即効型インスリン分泌促進剤などは中止します。

そして第4日目に日内変動検査を実施して、内服薬なしでもスーパー糖質制限食なら血糖コントロールが良好になることを体験して貰います。

インスリン注射をしておられる糖尿人は、最初の1、2日間は、「従来の糖尿病食+インスリン同量~3/4量」にて第2日目に血糖値の日内変動検査を行い、糖質を摂取しながらインスリン注射で血糖コントロールすることが、かなり困難であることを体験して貰います。

入院3日目からはスーパー糖質制限食となるので、即効型インスリンの量は、1/3~1/4以下に減量(または中止)し、持続型インスリンの量は、同量~2/3に減量して、入院4日目に、日内変動検査を行います。

そして、インスリンを1/3に減量しても、スーパー糖質制限食なら血糖コントロール良好を保てることを体験してもらいます。

その後はさらにインスリンの減量を目指しますが、症例によっては、離脱できることもあります。



江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について
おはようございます。

過去、糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について、以下の(1)(2)(3)(4)と記事にしてきました。

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(1)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2715.html
2013年10月22日 (火)
全身倦怠、筋力低下、無気力、体重減りすぎなど→摂取エネルギー不足が主たる要因

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(2)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2716.html
2013年10月23日 (火)
腓返り

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(3)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2733.html
2013年11月1日 (金)
高尿酸血症→摂取エネルギー不足が主たる要因

糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(4)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2734.html
2013年11月2日 (土)
高LDL血症


結局、こむら返りと高LDL血症以外は、好ましくない症状・変化のほとんどにおいて、摂取エネルギー不足が、主たる要因と考えられます。

糖質制限食開始時に、おそらく長年の習慣で脂質まで制限してしまう方々がおられます。

この場合「糖質制限+脂質制限」となりますので、食べるものは、白身魚、ササミ、豆腐などのたんぱく質と葉野菜や海藻・茸の類いです。

こうなると、本人は気がつかないまま、摂取エネルギーはかなり少なくなり、厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を大幅に下回り、様々な症状と検査データの変化が生じます。

摂取エネルギー不足により生じる様々な症状を以下にまとめてみました。


<摂取エネルギー不足によって生じうる症状>
 
全身倦怠、筋力低下、ふらつき、めまい、ふるえ、無気力、髪がぬける、生理不順、生理が止まる、体重減りすぎ、低体温、冷え、肌がカサカサ、色素性痒疹・・・、

これらの症状のいくつかは、甲状腺機能低下症でも見られるので、区別がつきにくいかもしれませんね。

ただ甲状腺機能低下症では、体重が増加することが多い(約6割)ので参考になると思います。

また、甲状腺機能低下症は橋本病(慢性甲状腺炎)など原疾患が無い限り、そんなに簡単に発症することはありません。

気になれば、甲状腺機能検査をすれば明白になります。

遊離T3(FT3)基準値:2.1 - 3.8 pg/mL
遊離T4(FT4)基準値:0.82 - 1.63 ng/dL
甲状腺刺激ホルモン(TSH)基準値:0.38 - 4.31 μU/mL
FT4、TSHが正常なら、甲状腺機能は正常と考えていいです。

FT3が低値で、FT4、TSHとも正常な病態を「Low T3 syndrome」といい、摂取エネルギー不足や低栄養のとき見られます。



<摂取エネルギー不足によって生じうる検査データの変化。>

1)低T3症候群
FT3が低値で、FT4、TSHとも正常な病態を「Low T3 syndrome」と言います。
コントロール不良の糖尿病など慢性消耗性の疾患で低栄養のとき、時々見かけます。
例えば神経性食思不振症などでの摂取エネルギー不足でも見られます。
これらは、見かけ上T3が低値なだけで、本当の甲状腺機能低下症では、ありません。
しっかりエネルギー摂取すれば、低T3は改善します。

2)高尿酸血症

3)低ChE(コリンエステラーゼ)血症
肝機能検査の一つですが、摂取エネルギー不足で低下します。

4)血清アルブミン値の低下
人体の大事なたんぱく質です。
摂取エネルギー不足で血清アルブミン値が低下します。
基準値は「3.8~5.3g/dL」ですが、4.3g/dl以上は確保しないと健康度が維持できません。

しっかりエネルギー摂取すれば、1)2)3)4)のデータは改善します。


結論です。

糖質制限食開始後にみられる好ましくない症状(全身倦怠、筋力低下、無気力・・・)のほとんどが、摂取エネルギー不足からきています。

甲状腺機能低下症といきなり飛躍したりせずに、普通に摂取エネルギー不足を考慮してみてくださいね。


江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
糖質制限で生理が止まる?それはカロリー制限のし過ぎです。
こんにちは。

糖質制限食実践中に生じる好ましくない症状・変化についてですが、実際にはカロリー制限のし過ぎからくるものが、多いと思います。

つまり、本質は摂取エネルギー不足が原因で起こった症状を、糖質制限食で起こったと誤解するというパターンです。

生理が止まるとか不順になるのも、典型的なカロリー不足の症状です。

例えば、国立スポーツ科学センター(JISS)において、国内トップレベルの女性アスリート683名を対象に実施したアンケート調査結果(2014年)では、無月経を含む月経周期異常のあるアスリートは約40%であり、その主たる要因は、相対的な摂取エネルギー不足、体重・体脂肪の減少、ストレスなどでした。

糖質制限食を実践して標準必要エネルギーが確保されていれば、生理が止まるということはありません。

しかし、現実に、一念発起して、糖尿病治療やダイエット目的で糖質制限食を開始したときに、長年の習慣で脂質まで制限してしまう方が、時々おられます。

この場合「糖質制限+脂質制限となりますので、実際に食べているものは、鶏のササミや白身魚などの脂肪の少ない動物性たんぱく質と大豆製品(豆腐、納豆・・・)など植物たんぱく質、そして葉野菜や海藻・茸の類いなど、低カロリー食材ばかりです。

こうなると、本人は気がつかないまま、摂取エネルギーはかなり少なくなり、厚生労働省のいう「標準必要エネルギー」を大幅に下回り、様々な症状と検査データの変化が生じます。


摂取エネルギー不足により生じる様々な症状を以下にまとめてみました。

<摂取エネルギー不足によって生じうる症状>
 
全身倦怠、筋力低下、無気力、髪がぬける、生理が止まる、生理不順、体重減りすぎ、低体温、冷え、色素性痒疹・・・、

これらの症状は、甲状腺機能低下症でも見られるので、区別がつきにくいかもしれませんね。

ただ甲状腺機能低下症では、体重が増加することが多い(約6割)ので参考になると思います。

また、甲状腺機能低下症は橋本病(慢性甲状腺炎)など原疾患が無い限り、そんなに簡単に発症することはありません。

気になれば、甲状腺機能検査をすれば明白になります。

遊離T3(FT3)基準値:2.1 - 3.8 pg/mL
遊離T4(FT4)基準値:0.82 - 1.63 ng/dL
甲状腺刺激ホルモン(TSH)基準値:0.38 - 4.31 μU/mL

この中で、FT4、TSHが正常なら、甲状腺機能は正常と考えていいです。

FT3だけが低値で、FT4、TSHとも正常な病態を「Low T3 syndrome」といい、摂取エネルギー不足や低栄養のとき見られます。

低T3症候群(Low T3 syndrome)は、甲状腺機能低下症ではないので甲状腺ホルモンを内服しても意味がありません。

摂取エネルギー不足や低栄養を改善することが本質的治療となります。

ネットで「糖質制限をしたら、甲状腺機能低下症になった。」というような書き込みをたまに見ますが、全て摂取カロリー不足による低T3症候群(Low T3 syndrome)と思われます。

本物の甲状腺機能低下症が、何らかの食事療法を開始して、3ヶ月や半年で発症するようなことは、まずありえません。


<摂取エネルギー不足によって生じうる検査データの変化>

1)低T3症候群
FT3が低値で、FT4、TSHとも正常な病態を「Low T3 syndrome」と言います。
コントロール不良の糖尿病など慢性消耗性の疾患で低栄養のとき、時々見かけます。
例えば神経性食思不振症などでの摂取エネルギー不足でも見られます。
これらは、見かけ上T3が低値なだけで、本当の甲状腺機能低下症では、ありません。

2)高尿酸血症

3)低ChE(コリンエステラーゼ)血症
肝機能検査の一つですが、摂取エネルギー不足で低下します。

4)血清アルブミン値の低下
人体の大事なたんぱく質です。摂取エネルギー不足で血清アルブミン値が低下します。
基準値は「3.8~5.3g/dL」ですが、4.3g/dl以上は確保しないと健康度が維持できません。


<結論>

糖質制限食開始後にみられる好ましくない症状(全身倦怠、筋力低下、無気力、無月経、生理不順・・・)のほとんどが摂取エネルギー不足からきています。

甲状腺機能低下症といきなり飛躍したりせずに、普通に摂取エネルギー不足を考慮してみてくださいね。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット