2013年01月02日 (水)
こんばんは。
精神科医師Aさんから、興味深いコメントをいただきました。
【13/01/02 精神科医師A
今年の仕事始め
新年明けましておめでとうございます。今年もnetで最新の医学研究を学ぶことと、図書館の地下の書庫で埃まみれの図書を調べることの両方を進めてまいります。
では、今年の仕事始めから…
日本臨床1954年10月号pp923-927「糖尿病食餌療法の実際」
東京女子医科大学 中山光重
pp925
こゝで注意しなければならないのは、食餌分析表の含水炭素含有量のみで律してはならない。これは消化、吸収、調理、その他の諸条件で一様にいかないことである。例えば、米飯とふかし馬鈴薯との含水炭素量を同一として糖尿病者に投与すると、過血糖の最高値はほゞ同値であるが、馬鈴薯の方が消化吸収が速いためか、最高血糖値に達する時間が早く、従って旧値にもどる時間も速い。
また、大豆・蚕豆等と米飯とを含水炭素量を同一として行った結果では、豆類の時は血糖上昇が非帯に少ない。すなわち、 同一含水炭素量を投与しても大豆等では糖尿が起ってこない。これは糖尿病食として大豆が重要視され、戦時中インシュリンの欠乏時には、糖尿病の食餌療法として大豆食が愛用せられた所以である。】
精神科医師Aさん
早くも仕事始めですか。
ご苦労様です。
1954年の日本臨床、私が生まれたのが1950年ですから、いやはや歴史の重みを感じますね。
東京女子医科大学 中山光重 先生のお話、これはどうやらグリセミック・インデックスのことのようです。
「米飯とふかし馬鈴薯との含水炭素量を同一として糖尿病者に投与すると、過血糖の最高値はほゞ同値であるが、馬鈴薯の方が消化吸収が速いためか、最高血糖値に達する時間が早く、従って旧値にもどる時間も速い。」
ジャガイモのGIが78で、白米のGIが73です。
GIは微妙な差ですが、食後血糖値のピークは同一含水炭素量なので一緒です。
ジャガイモも白米も食物繊維は少ないので、含水炭素(炭水化物)≒糖質と考えていいです。
「同一含水炭素量を投与しても大豆等では糖尿が起ってこない。」
これは、少し不思議な見解です。
大豆はGIが15で圧倒的に低GI食品です。
茹でた大豆100g中に糖質2.7gで低糖質食品です。
ご飯1膳150gに含まれる糖質は55gくらいです。
大豆で55gの糖質を摂ろうと思ったら約2kgの茹でた大豆を食べる必要があり、とてもあり得ません。
茹でた大豆に含まれる炭水化物は9.7gで、食物繊維が7gです。
中山先生が糖質ではなくて炭水化物を同一量とされたのなら、茹でた大豆560gくらい食べることになりますが、結構多いけど頑張れば食べられる量でしょうか。
茹でた大豆を560g食べても糖質は15gくらなので、確かに食後高血糖は生じないですね。
*<血糖指数:グリセミック・インデックス:Glycemic Index: GI>
GIは血糖上昇反応度とも言われる。糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇を基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇と比較し、パーセントで表した数字である。
GIが高い食品ほど食後の血糖が急激に上昇し、インスリンを急激に分泌する必要がある。
GIの算出方法
「糖質50gを含有する食品摂取後2時間までの血糖曲線下面積」÷
「糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖50g)摂取後2時間までの血糖曲線下面積」×100=GI
**
http://www.mendosa.com/gilists.htm
このサイトは、David Mendosaという、「ミスターGI」とも呼べるマニアックなおじさんが運営していて、およそGIのことならなんでも載っています。
英文ですが、GIに興味がある方はお暇なときに覗いてみてください。
以下はメンドーサおじさんのサイト、いろんなGI研究の平均値です。
White wheat bread* 75±2 白いパン
Whole wheat/whole meal bread 74±2 全粒粉のパン
Speciality grain bread 53±2 ?
White rice, boiled* 73±4 炊いた白米
Brown rice, boiled 68±4 炊いた玄米
Udon noodles 55±7 うどん
Spaghetti, white 49±2 スパゲッティ
Potato, boiled 78±4 ゆでたジャガイモ
Potato, instant mashed 87±3 マッシュポテト
Soya beans 15±5茹でた大豆
Sugars
Fructose 15±4 果糖
Sucrose 65±4 ショ糖
Glucose 103±3 ブドウ糖
Honey 61±3 蜂蜜
ともあれ、
「1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を3mg上げ、1型糖尿人なら5mg上げる」
という、糖質量の公式が優先順位の一番で、大事です。
GIは正常人にはあるていど役立つ概念ですが、糖尿人にあまり役に立たないのは 知っておきましょう。
江部康二
精神科医師Aさんから、興味深いコメントをいただきました。
【13/01/02 精神科医師A
今年の仕事始め
新年明けましておめでとうございます。今年もnetで最新の医学研究を学ぶことと、図書館の地下の書庫で埃まみれの図書を調べることの両方を進めてまいります。
では、今年の仕事始めから…
日本臨床1954年10月号pp923-927「糖尿病食餌療法の実際」
東京女子医科大学 中山光重
pp925
こゝで注意しなければならないのは、食餌分析表の含水炭素含有量のみで律してはならない。これは消化、吸収、調理、その他の諸条件で一様にいかないことである。例えば、米飯とふかし馬鈴薯との含水炭素量を同一として糖尿病者に投与すると、過血糖の最高値はほゞ同値であるが、馬鈴薯の方が消化吸収が速いためか、最高血糖値に達する時間が早く、従って旧値にもどる時間も速い。
また、大豆・蚕豆等と米飯とを含水炭素量を同一として行った結果では、豆類の時は血糖上昇が非帯に少ない。すなわち、 同一含水炭素量を投与しても大豆等では糖尿が起ってこない。これは糖尿病食として大豆が重要視され、戦時中インシュリンの欠乏時には、糖尿病の食餌療法として大豆食が愛用せられた所以である。】
精神科医師Aさん
早くも仕事始めですか。
ご苦労様です。
1954年の日本臨床、私が生まれたのが1950年ですから、いやはや歴史の重みを感じますね。
東京女子医科大学 中山光重 先生のお話、これはどうやらグリセミック・インデックスのことのようです。
「米飯とふかし馬鈴薯との含水炭素量を同一として糖尿病者に投与すると、過血糖の最高値はほゞ同値であるが、馬鈴薯の方が消化吸収が速いためか、最高血糖値に達する時間が早く、従って旧値にもどる時間も速い。」
ジャガイモのGIが78で、白米のGIが73です。
GIは微妙な差ですが、食後血糖値のピークは同一含水炭素量なので一緒です。
ジャガイモも白米も食物繊維は少ないので、含水炭素(炭水化物)≒糖質と考えていいです。
「同一含水炭素量を投与しても大豆等では糖尿が起ってこない。」
これは、少し不思議な見解です。
大豆はGIが15で圧倒的に低GI食品です。
茹でた大豆100g中に糖質2.7gで低糖質食品です。
ご飯1膳150gに含まれる糖質は55gくらいです。
大豆で55gの糖質を摂ろうと思ったら約2kgの茹でた大豆を食べる必要があり、とてもあり得ません。
茹でた大豆に含まれる炭水化物は9.7gで、食物繊維が7gです。
中山先生が糖質ではなくて炭水化物を同一量とされたのなら、茹でた大豆560gくらい食べることになりますが、結構多いけど頑張れば食べられる量でしょうか。
茹でた大豆を560g食べても糖質は15gくらなので、確かに食後高血糖は生じないですね。
*<血糖指数:グリセミック・インデックス:Glycemic Index: GI>
GIは血糖上昇反応度とも言われる。糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇を基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇と比較し、パーセントで表した数字である。
GIが高い食品ほど食後の血糖が急激に上昇し、インスリンを急激に分泌する必要がある。
GIの算出方法
「糖質50gを含有する食品摂取後2時間までの血糖曲線下面積」÷
「糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖50g)摂取後2時間までの血糖曲線下面積」×100=GI
**
http://www.mendosa.com/gilists.htm
このサイトは、David Mendosaという、「ミスターGI」とも呼べるマニアックなおじさんが運営していて、およそGIのことならなんでも載っています。
英文ですが、GIに興味がある方はお暇なときに覗いてみてください。
以下はメンドーサおじさんのサイト、いろんなGI研究の平均値です。
White wheat bread* 75±2 白いパン
Whole wheat/whole meal bread 74±2 全粒粉のパン
Speciality grain bread 53±2 ?
White rice, boiled* 73±4 炊いた白米
Brown rice, boiled 68±4 炊いた玄米
Udon noodles 55±7 うどん
Spaghetti, white 49±2 スパゲッティ
Potato, boiled 78±4 ゆでたジャガイモ
Potato, instant mashed 87±3 マッシュポテト
Soya beans 15±5茹でた大豆
Sugars
Fructose 15±4 果糖
Sucrose 65±4 ショ糖
Glucose 103±3 ブドウ糖
Honey 61±3 蜂蜜
ともあれ、
「1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を3mg上げ、1型糖尿人なら5mg上げる」
という、糖質量の公式が優先順位の一番で、大事です。
GIは正常人にはあるていど役立つ概念ですが、糖尿人にあまり役に立たないのは 知っておきましょう。
江部康二
2012年10月16日 (火)
こんにちは。
北九州糖質セイゲニスト三島さんから、GI値と糖質制限食について、コメントを頂きました。
三島さん、ありがとうございます。
三島さんは、糖尿人でコントロールいまいちの段階で”スーパー糖質制限食”を開始されて、速やかに血糖値が改善。
そのまま17ヶ月続けられ、今や完全に正常人です。
HbA1c:5.1% は、私(5.6%、NGSP値)をはるかに凌駕しておられ素晴らしいデータですね。
糖質セイゲニストの良き先達、三島さんの食生活、とても参考になりますので、記事にさせて貰いました。
洋泉社「食品別糖質量ハンドブック」 江部康二 監修 2012年10月25日刊行
のご予約、ありがとうございます。
http://www.amazon.co.jp/%E9%A3%9F%E5%93%81%E5%88%A5%E7%B3%96%E8%B3%AA%E9%87%8F%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF-%E6%B1%9F%E9%83%A8-%E5%BA%B7%E4%BA%8C/dp/4800300223/ref=pd_sim_b_3
この本、¥840- と手軽な価格でよくまとまっています。
じっくり時間をかけて作っていただいたので、とても使いやすい完成度の高いハンドブックとなりました。
洋泉社さん、ありがとうございます。 m(_ _)m
ブログ読者の皆さん、是非、お手元に一冊どうぞ。
江部康二
【12/10/16 北九州 三島
GI値
自分の糖尿病を、カロリー制限派の糖尿病専門医に任せて1年、これはマズイと直感し、いろいろ調べて、江部先生にたどり着き、<糖質を取らなければ健康人>として、”スーパー糖質制限食”を17カ月続け、備忘録がわりに、ブログにアップしたレシピも、昨日、<365+α>になりました。
その間、類書を片っぱしから読み漁りました。最近、たくさん増えたので読むのも一仕事ですが(汗;)。それにしても、江部先生の糖質制限食が、最もわかりやすく、簡単で、<美味しく、楽しく>なので、とても助かっています。
GIも、当然、研究しましたが、先生がおっしゃる通り、糖質制限食にとって、あまり意味のない情報で、日常、まったく意識することなく、ひたすら、
蒸留酒、糖質オフビール、
お肉1:お魚1、
大豆製品、乳製品、海藻類、ナッツ類を一日のうちに必ず摂るようにして、
野菜も、一週間のうちに、牛蒡、玉ねぎ、人参、トマト、カボチャなどの△食材は、
食物繊維、微量元素、ビタミンを摂るために適量、
果物も、ちょっぴり。
サプリは無しで、
HbA1c5.1、食後2時間血糖値120前後で、推移しています。
体重、身長、仕事量から、各人のカロリー目標を決め、 朝、昼、晩、間食、お酒のおつまみ…、を、考え、 一回の食事の糖質(炭水化物-食物繊維)を「グリコの栄養成分」でチェック☑、
1週間もすれば、<摂りすぎ・摂り足りていない>など、 好みと生活スタイルで、自分の食事パターンが見えてくるはずです。
お買い物も、あらかじめ決めておいた買い物票を持って行くので、 買い忘れや、衝動買いもないし、スピーディーに済ますことができます。
もちろん、旬の食材も考慮しますが、 缶詰や冷凍食品そのものが旬のものが多いので、活用しています。
桐山秀樹氏の話によると、 ジャンクフードの沖縄は26位に陥落、 タケノコ、サバの水煮、卵入り味噌汁とデザートのりんご、ウオーキングはだらだら坂の 長野県が、いまや長寿のスポットだそうです。
ちなみに、私は、61歳男子、自分で食事を作ります。
とはいっても、ほぼ毎日、15分レンジクッキングですが・・・。
PS 洋泉社「食品別糖質量ハンドブック」(2012.10.25)発刊おめでとうございます。
アマゾンで予約したので、到着が楽しみです。】
北九州糖質セイゲニスト三島さんから、GI値と糖質制限食について、コメントを頂きました。
三島さん、ありがとうございます。
三島さんは、糖尿人でコントロールいまいちの段階で”スーパー糖質制限食”を開始されて、速やかに血糖値が改善。
そのまま17ヶ月続けられ、今や完全に正常人です。
HbA1c:5.1% は、私(5.6%、NGSP値)をはるかに凌駕しておられ素晴らしいデータですね。
糖質セイゲニストの良き先達、三島さんの食生活、とても参考になりますので、記事にさせて貰いました。
洋泉社「食品別糖質量ハンドブック」 江部康二 監修 2012年10月25日刊行
のご予約、ありがとうございます。
http://www.amazon.co.jp/%E9%A3%9F%E5%93%81%E5%88%A5%E7%B3%96%E8%B3%AA%E9%87%8F%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF-%E6%B1%9F%E9%83%A8-%E5%BA%B7%E4%BA%8C/dp/4800300223/ref=pd_sim_b_3
この本、¥840- と手軽な価格でよくまとまっています。
じっくり時間をかけて作っていただいたので、とても使いやすい完成度の高いハンドブックとなりました。
洋泉社さん、ありがとうございます。 m(_ _)m
ブログ読者の皆さん、是非、お手元に一冊どうぞ。
江部康二
【12/10/16 北九州 三島
GI値
自分の糖尿病を、カロリー制限派の糖尿病専門医に任せて1年、これはマズイと直感し、いろいろ調べて、江部先生にたどり着き、<糖質を取らなければ健康人>として、”スーパー糖質制限食”を17カ月続け、備忘録がわりに、ブログにアップしたレシピも、昨日、<365+α>になりました。
その間、類書を片っぱしから読み漁りました。最近、たくさん増えたので読むのも一仕事ですが(汗;)。それにしても、江部先生の糖質制限食が、最もわかりやすく、簡単で、<美味しく、楽しく>なので、とても助かっています。
GIも、当然、研究しましたが、先生がおっしゃる通り、糖質制限食にとって、あまり意味のない情報で、日常、まったく意識することなく、ひたすら、
蒸留酒、糖質オフビール、
お肉1:お魚1、
大豆製品、乳製品、海藻類、ナッツ類を一日のうちに必ず摂るようにして、
野菜も、一週間のうちに、牛蒡、玉ねぎ、人参、トマト、カボチャなどの△食材は、
食物繊維、微量元素、ビタミンを摂るために適量、
果物も、ちょっぴり。
サプリは無しで、
HbA1c5.1、食後2時間血糖値120前後で、推移しています。
体重、身長、仕事量から、各人のカロリー目標を決め、 朝、昼、晩、間食、お酒のおつまみ…、を、考え、 一回の食事の糖質(炭水化物-食物繊維)を「グリコの栄養成分」でチェック☑、
1週間もすれば、<摂りすぎ・摂り足りていない>など、 好みと生活スタイルで、自分の食事パターンが見えてくるはずです。
お買い物も、あらかじめ決めておいた買い物票を持って行くので、 買い忘れや、衝動買いもないし、スピーディーに済ますことができます。
もちろん、旬の食材も考慮しますが、 缶詰や冷凍食品そのものが旬のものが多いので、活用しています。
桐山秀樹氏の話によると、 ジャンクフードの沖縄は26位に陥落、 タケノコ、サバの水煮、卵入り味噌汁とデザートのりんご、ウオーキングはだらだら坂の 長野県が、いまや長寿のスポットだそうです。
ちなみに、私は、61歳男子、自分で食事を作ります。
とはいっても、ほぼ毎日、15分レンジクッキングですが・・・。
PS 洋泉社「食品別糖質量ハンドブック」(2012.10.25)発刊おめでとうございます。
アマゾンで予約したので、到着が楽しみです。】
2012年10月15日 (月)
こんばんは。
違いさんから、糖質制限食と低GI食の違いについて、コメント・質問をいただきました。
【12/10/15 違い
江部先生、教えていただけないでしょうか。
①糖質制限食と低GI食は、食後血糖を上げないという点は同じですか②?この2つの大きな違いはなにでしょうか?③糖質を制限した食事を食べるとなると自然に野菜の量が増えますか?】
まず、GIは正常人ではあるていど参考になりますが、糖尿人では、あまり参考になりません。
糖尿人では、GIよりも食品に含まれる糖質のグラム数が大事です。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させ、1型糖尿人の血糖値を5mg上昇させます。
従いまして、たとえ低GIの食品でも、糖質が主成分の食品(穀物など)を普通に一人前摂取すれば、糖質は50g~60gは含まれているので、糖尿人では食後血糖値は200mgを超えてきます。
糖質制限食では、1回の食事の糖質摂取量を、10~20g以下にするので、食後血糖値の上昇は、かなり少なくなります。
糖質制限食では、肉・魚・大豆製品などがメインですが、糖質含有量の少ない葉野菜や海藻(昆布はNG)はOKなので、野菜摂取量はある程度増えると思います。
それから、GI値は研究者により、データにばらつきがありますが、豚肉や牛肉や魚のGI値は存在しません。
GI値は、糖質50gを含む食品を摂取して、基準となる食品(50gのブドウ糖)と食後の血糖値を比較して決定します。
例えば糖質50gを含む豚肉というと、5kg以上はあります。ヾ(゜▽゜)
これは摂取不可能です。
つまり、GI値というものは、あくまでも糖質が主成分の食物を対象にしたものであり、脂質やタンパク質が主成分の食品は、対象外で計算不能です。
従って、牛肉や豚肉や魚などのGI値は、ないと思っていただいて結構です。
http://www.mendosa.com/gi.htm
このサイトは、David Mendosaという、「ミスターGI」とも呼べるマニアックなおじさんが運営していて、およそGIのことならなんでも載っています。
英文ですが、お暇なときに覗いてみてください。
このサイトの、四角で囲んである Advanced Glycemic Load Data の箇所の最後の行の
http://www.mendosa.com/GI_GL_Carb_data.xls.
をクリックすると、グリセミック インデックスの 場所に飛びます。
江部康二
☆☆☆
<グリセミック・インデックス:glycemic index:GI:血糖指数>
GIは血糖上昇反応度とも言われています。
一時流行した低インスリンダイエットの本などにGIのことも載っていたので、聞いたことのある方、またご存知の方もおられるでしょう。
GIというのは、糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇カーブを2時間追って、 基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇カーブの面積と比較し、パーセントで表した数値のことです。
*
GIの算出方法
糖質50gを含有する食品摂取後
2時間までの血糖曲線下面積
GI=─────────────────────── ×100
糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖)
摂取後2時間までの血糖曲線下面積
何やよくわかりませんよね。
グラフにするともう少しわかりやすいのですが、実は私パソコン苦手なもので、写真や絵を貼り付ける技が・・・
すいません。 (*- -)(*_ _)
拒否反応を起こしかけている皆さんのために簡潔に言うと、GIの数値が高ければ血糖値を急激に上昇させやすい食品であり、GIの数値が低ければ血糖値を急激には上昇させにくい食品であるということです。
GIが高い食品ほど血糖が急激に上昇し、ブドウ糖スパイクを生じます。
実際、50gの糖質を含む玄米と、50gの糖質を含む白米を摂取しても、血糖値の上がり方はそれぞれ異なります。
GIの数値は、70以上は高い、56~69が中等度、GI55以下は低い、と評価されています。
ちなみに玄米のGIは50~60くらいで、白米は70です。
その他、ブドウ糖や白パンのGIは100、豆類は30、乳製品は35くらいです。
糖尿病でない人は、玄米などGIの低いものを主食としていれば、ブドウ糖スパイクは小さく、代謝が安定するというわけです。
しかし、GIに関して一般に言われてる数値は正常人のもので、糖尿人にはあてはまりません。
糖尿病の人は玄米などGIの低いものを食べたとしても、普通に一人前摂取すれば、200mg/dl以上のブドウ糖スパイクを起こしてしまうことを、私達は高雄病院の300人以上のデータで確認しています。
一方糖尿人おいても、GIの高い白米の方が、玄米より血糖値をさらに上昇させやすいということはあります。
しかし、白米一人前で食後血糖値260mgが、玄米一人前なら240mgくらいの差なので臨床的には意味は少ないのです。
また、現在のGIの数値は主に欧米人のデータで、日本人のものではありませんので、日本人のGIを調べようという動きもあります。
もともとジェンキンスが62品目の数字を出し、現在International table of GIというアメリカ栄養学会の出したリストで、600種類の食品に関するデータが出ています。
50gのブドウ糖を基準にしたものと、白パン50gを基準にしたものでは、おなじ食品でもGIが異なります。
それからライスとバターライスを比べたら、バターライスのほうがGIが低いというように、食品の組み合わせでも違いが生じます。
GIというのは、糖質を含む食品、例えばニンジンならニンジンだけを単品で食べてみて計測した数値です。
実際の食事では何種類か一緒に食品を食べますから、GIはあくまでも実験室的なデータですね。
このように見てくるとGIは正常人ではある程度参考にはなりますが、確定的なものではありません。
まして、糖尿人においてはGIはあてにならず、糖質のグラム数の計算のほうが重要です。
そこで糖質制限食の出番となるわけです。
糖質制限食ならば、糖尿人においても血糖値の上下動は極めて少なくなり、薬に頼ることなく良好なコントロールが期待できます。
違いさんから、糖質制限食と低GI食の違いについて、コメント・質問をいただきました。
【12/10/15 違い
江部先生、教えていただけないでしょうか。
①糖質制限食と低GI食は、食後血糖を上げないという点は同じですか②?この2つの大きな違いはなにでしょうか?③糖質を制限した食事を食べるとなると自然に野菜の量が増えますか?】
まず、GIは正常人ではあるていど参考になりますが、糖尿人では、あまり参考になりません。
糖尿人では、GIよりも食品に含まれる糖質のグラム数が大事です。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させ、1型糖尿人の血糖値を5mg上昇させます。
従いまして、たとえ低GIの食品でも、糖質が主成分の食品(穀物など)を普通に一人前摂取すれば、糖質は50g~60gは含まれているので、糖尿人では食後血糖値は200mgを超えてきます。
糖質制限食では、1回の食事の糖質摂取量を、10~20g以下にするので、食後血糖値の上昇は、かなり少なくなります。
糖質制限食では、肉・魚・大豆製品などがメインですが、糖質含有量の少ない葉野菜や海藻(昆布はNG)はOKなので、野菜摂取量はある程度増えると思います。
それから、GI値は研究者により、データにばらつきがありますが、豚肉や牛肉や魚のGI値は存在しません。
GI値は、糖質50gを含む食品を摂取して、基準となる食品(50gのブドウ糖)と食後の血糖値を比較して決定します。
例えば糖質50gを含む豚肉というと、5kg以上はあります。ヾ(゜▽゜)
これは摂取不可能です。
つまり、GI値というものは、あくまでも糖質が主成分の食物を対象にしたものであり、脂質やタンパク質が主成分の食品は、対象外で計算不能です。
従って、牛肉や豚肉や魚などのGI値は、ないと思っていただいて結構です。
http://www.mendosa.com/gi.htm
このサイトは、David Mendosaという、「ミスターGI」とも呼べるマニアックなおじさんが運営していて、およそGIのことならなんでも載っています。
英文ですが、お暇なときに覗いてみてください。
このサイトの、四角で囲んである Advanced Glycemic Load Data の箇所の最後の行の
http://www.mendosa.com/GI_GL_Carb_data.xls.
をクリックすると、グリセミック インデックスの 場所に飛びます。
江部康二
☆☆☆
<グリセミック・インデックス:glycemic index:GI:血糖指数>
GIは血糖上昇反応度とも言われています。
一時流行した低インスリンダイエットの本などにGIのことも載っていたので、聞いたことのある方、またご存知の方もおられるでしょう。
GIというのは、糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇カーブを2時間追って、 基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇カーブの面積と比較し、パーセントで表した数値のことです。
*
GIの算出方法
糖質50gを含有する食品摂取後
2時間までの血糖曲線下面積
GI=─────────────────────── ×100
糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖)
摂取後2時間までの血糖曲線下面積
何やよくわかりませんよね。
グラフにするともう少しわかりやすいのですが、実は私パソコン苦手なもので、写真や絵を貼り付ける技が・・・
すいません。 (*- -)(*_ _)
拒否反応を起こしかけている皆さんのために簡潔に言うと、GIの数値が高ければ血糖値を急激に上昇させやすい食品であり、GIの数値が低ければ血糖値を急激には上昇させにくい食品であるということです。
GIが高い食品ほど血糖が急激に上昇し、ブドウ糖スパイクを生じます。
実際、50gの糖質を含む玄米と、50gの糖質を含む白米を摂取しても、血糖値の上がり方はそれぞれ異なります。
GIの数値は、70以上は高い、56~69が中等度、GI55以下は低い、と評価されています。
ちなみに玄米のGIは50~60くらいで、白米は70です。
その他、ブドウ糖や白パンのGIは100、豆類は30、乳製品は35くらいです。
糖尿病でない人は、玄米などGIの低いものを主食としていれば、ブドウ糖スパイクは小さく、代謝が安定するというわけです。
しかし、GIに関して一般に言われてる数値は正常人のもので、糖尿人にはあてはまりません。
糖尿病の人は玄米などGIの低いものを食べたとしても、普通に一人前摂取すれば、200mg/dl以上のブドウ糖スパイクを起こしてしまうことを、私達は高雄病院の300人以上のデータで確認しています。
一方糖尿人おいても、GIの高い白米の方が、玄米より血糖値をさらに上昇させやすいということはあります。
しかし、白米一人前で食後血糖値260mgが、玄米一人前なら240mgくらいの差なので臨床的には意味は少ないのです。
また、現在のGIの数値は主に欧米人のデータで、日本人のものではありませんので、日本人のGIを調べようという動きもあります。
もともとジェンキンスが62品目の数字を出し、現在International table of GIというアメリカ栄養学会の出したリストで、600種類の食品に関するデータが出ています。
50gのブドウ糖を基準にしたものと、白パン50gを基準にしたものでは、おなじ食品でもGIが異なります。
それからライスとバターライスを比べたら、バターライスのほうがGIが低いというように、食品の組み合わせでも違いが生じます。
GIというのは、糖質を含む食品、例えばニンジンならニンジンだけを単品で食べてみて計測した数値です。
実際の食事では何種類か一緒に食品を食べますから、GIはあくまでも実験室的なデータですね。
このように見てくるとGIは正常人ではある程度参考にはなりますが、確定的なものではありません。
まして、糖尿人においてはGIはあてにならず、糖質のグラム数の計算のほうが重要です。
そこで糖質制限食の出番となるわけです。
糖質制限食ならば、糖尿人においても血糖値の上下動は極めて少なくなり、薬に頼ることなく良好なコントロールが期待できます。
2010年12月10日 (金)
こんばんは。
今回は、ふいさんから、糖尿病とGIについて、コメント・質問をいただきました。
「10/12/09 ふい
やはりGI値のほうが大事?
<糖尿病と間食(おやつ)2 ~カロリーメイトと低GIソイジョイ 血糖値は?>
http://tounyou-com.seesaa.net/article/103791818.html
↑たまたま見つけたブログですが、やはりGI値のほうが大事なのでは、と思わされた記事(実験)です。私も、カロリーメイトのほうが、糖質が少ないはずなのに、食後に血糖値がいかにも上がってそうな動悸を感じることが多いです。
先生は、まず糖質量、次にGI値、という見識のようですが、どう思われますでしょうか。」
ふいさん。
確かに、正常人やごく軽い糖尿人においては、GIは一定の意味があると思います。
しかし軽くない糖尿人においては、通常はあまり役に立ちません。
http://tounyou-com.seesaa.net/article/103791818.html のサイトの実験は
①糖尿病の患者がカロリーメイト:2本 200kal/糖質20g 食べる
②ソイジョイ :2本 266kal/糖質24g 食べる
食後血糖値のピークが、
カロリーメイトは98mg→170mgと72mg上昇したが、
ソイジョイは102mg→158mgと56mg上昇ですんだ。
ということです。
この方においては、間食でソイジョイ24gくらいの糖質なら、GIに一定の意味があると言えます。
ソイジョイにおいては、1gの糖質が2.33mg、血糖値を上げています。
一方、カロリーメイトは、1gの糖質が3.6mg、血糖値を上げています。
しかし、ソイジョイを4本主食並み(532kcal)に摂取すれば、糖質は48gであり、血糖値は
48g×2.33mg=111.84mg
上昇します。
当然、食後血糖値は180mg/dlを超えて上昇し、動脈硬化のリスクとなります。
また、中等度以上の糖尿人がソイジョイを食べた時に、1gの糖質が2.33mgの血糖値上昇ですむかどうかは、個人差があるのでわかりません。これは自分で確かめるしかないですね。
結論です。
GIが低いからといって、糖尿人が糖質量50~60gとかの食品を、普通の一人前摂取すれば180mg/dlを超える食後高血糖は必発ですので、危険です。
牛サーロインステーキ200g(約1000kcal)を食べても血糖値は3mgも上昇しないことをお忘れなく・・・。
やはり糖尿人は糖質のg数を意識することが大切ですね。
江部康二
今回は、ふいさんから、糖尿病とGIについて、コメント・質問をいただきました。
「10/12/09 ふい
やはりGI値のほうが大事?
<糖尿病と間食(おやつ)2 ~カロリーメイトと低GIソイジョイ 血糖値は?>
http://tounyou-com.seesaa.net/article/103791818.html
↑たまたま見つけたブログですが、やはりGI値のほうが大事なのでは、と思わされた記事(実験)です。私も、カロリーメイトのほうが、糖質が少ないはずなのに、食後に血糖値がいかにも上がってそうな動悸を感じることが多いです。
先生は、まず糖質量、次にGI値、という見識のようですが、どう思われますでしょうか。」
ふいさん。
確かに、正常人やごく軽い糖尿人においては、GIは一定の意味があると思います。
しかし軽くない糖尿人においては、通常はあまり役に立ちません。
http://tounyou-com.seesaa.net/article/103791818.html のサイトの実験は
①糖尿病の患者がカロリーメイト:2本 200kal/糖質20g 食べる
②ソイジョイ :2本 266kal/糖質24g 食べる
食後血糖値のピークが、
カロリーメイトは98mg→170mgと72mg上昇したが、
ソイジョイは102mg→158mgと56mg上昇ですんだ。
ということです。
この方においては、間食でソイジョイ24gくらいの糖質なら、GIに一定の意味があると言えます。
ソイジョイにおいては、1gの糖質が2.33mg、血糖値を上げています。
一方、カロリーメイトは、1gの糖質が3.6mg、血糖値を上げています。
しかし、ソイジョイを4本主食並み(532kcal)に摂取すれば、糖質は48gであり、血糖値は
48g×2.33mg=111.84mg
上昇します。
当然、食後血糖値は180mg/dlを超えて上昇し、動脈硬化のリスクとなります。
また、中等度以上の糖尿人がソイジョイを食べた時に、1gの糖質が2.33mgの血糖値上昇ですむかどうかは、個人差があるのでわかりません。これは自分で確かめるしかないですね。
結論です。
GIが低いからといって、糖尿人が糖質量50~60gとかの食品を、普通の一人前摂取すれば180mg/dlを超える食後高血糖は必発ですので、危険です。
牛サーロインステーキ200g(約1000kcal)を食べても血糖値は3mgも上昇しないことをお忘れなく・・・。
やはり糖尿人は糖質のg数を意識することが大切ですね。
江部康二
2010年10月28日 (木)
おはようございます。
ヨッシーさんから、十割そばについて、コメント・質問をいただきました。
「10/10/27 ヨッシー
十割そばについて
始めまして。
先日2回の糖負荷試験で糖尿病とわかってしまった33歳の独身女性です…
江部先生の本とブログを参考にさせて頂き、糖質制限しています。
そこで紹介があった十割そばにはまってよく食べています。
そばを湯がいた後の、そば湯はどのくらい飲んでもよいかがわからなかったのでもしよければ教えて下さい。
ごちそうレシピ83Pには、「ただし、だし汁の糖分に注意して」と記載がありますが、だし汁は、そばを食べるときのそばつゆの事ですよね…
お時間ある時に、どうぞよろしくお願いします。」
ヨッシーさん。
糖尿人においては、十割そばでも1人前摂取すれば、血糖値は200mg/dl以上となります。
従いまして、糖尿人には基本的には、糖質含有量が多い食品は、GI値が低くてもNG食品です。
正常人なら、小麦粉をつなぎに使ったそばに比較すれば、十割そばなら血糖値の上昇は低くてすむと思いますのでGIは意味がありますが、糖尿人においてはGIはあまり意味がありません。
例えばスタンダード糖質制限食で、昼食に主食をとるというのは、やむを得ないときの選択肢です。
本来3食とも主食なしの、スーパー糖質制限食がよいに決まっていますが、サラリーマンの昼食は、弁当とか定食などしか、なかなか食べるものがありません。それで仕方なく昼食に少量の主食を摂取するパターンとなっています。
この場合、食前30秒にグルコバイかグルファストを内服すると食後高血糖があるていど防げます。
人によっては「グルコバイ+グルファスト」もあります。
高雄病院では入院中に実験して、どの程度の分量の主食(ご飯やパンやそばなど)なら、上記のパターンで、食後2時間血糖値が180mg/dl未満を達成できるかを検討します。この分量には個人差があります。
そば湯にも、少し糖質は含まれていると思いますので、それなりの配慮がいりますね。
だし汁の糖分は、そばつゆのことです。
江部康二
☆☆☆
GI <グリセミック・インデックス:glycemic index:GI:血糖指数>
GIについて、記載してあるサイトはたくさんありますが、怪しいものも多いです。例えば、肉や魚のGIが記載してあるなら、そのサイトはインチキです。
それから、GIは正常人では参考になりますが、糖尿人では、あまり参考になりません。糖尿人では、GIよりも食品に含まれる糖質のグラム数が大事です。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させ、1型糖尿人の血糖値を5mg上昇させます。
例えば、玄米や十割蕎麦など低GIの食品でも、糖質が主成分の食品を普通量摂取すれば、糖尿人では血糖値は200mgを超えてきます。
そして、GIは研究者によりばらつきますが、例えば豚肉のGIが30とか40などということはありえません。
GI値は、糖質50gを含む食品を摂取して基準となる食品と比較して決定します。
糖質50gを含む豚肉というと、5~10kg以上はあります。ヾ(゜▽゜)
つまり、GI値というものは、あくまでも糖質が主成分の食物を対象にしたものであり、脂質やタンパク質が主成分の食品は、対象外で計算不能です。
従って、牛肉や豚肉や魚などのGI値は、ないと思っていただいて結構です。
ヨッシーさんから、十割そばについて、コメント・質問をいただきました。
「10/10/27 ヨッシー
十割そばについて
始めまして。
先日2回の糖負荷試験で糖尿病とわかってしまった33歳の独身女性です…
江部先生の本とブログを参考にさせて頂き、糖質制限しています。
そこで紹介があった十割そばにはまってよく食べています。
そばを湯がいた後の、そば湯はどのくらい飲んでもよいかがわからなかったのでもしよければ教えて下さい。
ごちそうレシピ83Pには、「ただし、だし汁の糖分に注意して」と記載がありますが、だし汁は、そばを食べるときのそばつゆの事ですよね…
お時間ある時に、どうぞよろしくお願いします。」
ヨッシーさん。
糖尿人においては、十割そばでも1人前摂取すれば、血糖値は200mg/dl以上となります。
従いまして、糖尿人には基本的には、糖質含有量が多い食品は、GI値が低くてもNG食品です。
正常人なら、小麦粉をつなぎに使ったそばに比較すれば、十割そばなら血糖値の上昇は低くてすむと思いますのでGIは意味がありますが、糖尿人においてはGIはあまり意味がありません。
例えばスタンダード糖質制限食で、昼食に主食をとるというのは、やむを得ないときの選択肢です。
本来3食とも主食なしの、スーパー糖質制限食がよいに決まっていますが、サラリーマンの昼食は、弁当とか定食などしか、なかなか食べるものがありません。それで仕方なく昼食に少量の主食を摂取するパターンとなっています。
この場合、食前30秒にグルコバイかグルファストを内服すると食後高血糖があるていど防げます。
人によっては「グルコバイ+グルファスト」もあります。
高雄病院では入院中に実験して、どの程度の分量の主食(ご飯やパンやそばなど)なら、上記のパターンで、食後2時間血糖値が180mg/dl未満を達成できるかを検討します。この分量には個人差があります。
そば湯にも、少し糖質は含まれていると思いますので、それなりの配慮がいりますね。
だし汁の糖分は、そばつゆのことです。
江部康二
☆☆☆
GI <グリセミック・インデックス:glycemic index:GI:血糖指数>
GIについて、記載してあるサイトはたくさんありますが、怪しいものも多いです。例えば、肉や魚のGIが記載してあるなら、そのサイトはインチキです。
それから、GIは正常人では参考になりますが、糖尿人では、あまり参考になりません。糖尿人では、GIよりも食品に含まれる糖質のグラム数が大事です。
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させ、1型糖尿人の血糖値を5mg上昇させます。
例えば、玄米や十割蕎麦など低GIの食品でも、糖質が主成分の食品を普通量摂取すれば、糖尿人では血糖値は200mgを超えてきます。
そして、GIは研究者によりばらつきますが、例えば豚肉のGIが30とか40などということはありえません。
GI値は、糖質50gを含む食品を摂取して基準となる食品と比較して決定します。
糖質50gを含む豚肉というと、5~10kg以上はあります。ヾ(゜▽゜)
つまり、GI値というものは、あくまでも糖質が主成分の食物を対象にしたものであり、脂質やタンパク質が主成分の食品は、対象外で計算不能です。
従って、牛肉や豚肉や魚などのGI値は、ないと思っていただいて結構です。