NASH(こわい脂肪性肝炎)に糖質制限食が有効。肝臓学会の発表。
【14/11/29 中年サムライ

肝臓学会にて

11/27の肝臓学会東部会に出ていました。NASHの新展開というシンポで、東北大学の諸沢DRが「非アルコール性脂肪性肝炎患者における低糖質食事療法介入と免疫能解析」という演題で発表されました。

NASH患者11症例に、糖質40%、蛋白20-25%、脂質35-40%、1600カロリーで指導。

3か月後の検査で、体重、体脂肪量の減少。肝機能の改善、肝線維化マーカーの改善、IRIの減少などが得られ、同時に末梢血分画で異常であった免疫パラメーターも正常者に近づいたとの発表でした。

某教授からは素晴らしい臨床結果とのコメントが。

全体にも好意的な反応で、今後、カロリー制限と糖質制限のコントロールstudyをやってほしいなどの意見が出ていました。
皆の印象でも、NASHの患者さんは糖質摂取が多い印象はあるようです。

糖尿・代謝学の一部では、異所性脂肪化(肝や筋肉)がメタボ~2型DMの源流であるという研究の流れが出来ているようです。】


中年サムライ さん
肝臓学会ご参加、お疲れ様です。

興味深い情報をありがとうございます。
私も、NASHそのものが、糖質摂取過剰病と考えています。
東北大学の諸沢DR、すばらしいです。

『NASH患者11症例に、糖質40%、蛋白20-25%、脂質35-40%、1600カロリーで指導』

『3か月後の検査で、体重、体脂肪量の減少。肝機能の改善、肝線維化マーカーの改善、IRIの減少などが得られ、同時に末梢血分画で異常であった免疫パラメーターも正常者に近づいた』


肝臓学会で、糖質制限食肯定の発表とは嬉しいですね。

欲を言えば、糖質40%の緩い糖質制限食でこれだけの効果がでたのですから、糖質12%の高雄病院式スーパー糖質制限食ならもっと顕著な効果が得られたと思うのですが・・・。

まあ、贅沢は言えませんね。

『糖尿・代謝学の一部では、異所性脂肪化(肝や筋肉)がメタボ~2型DMの源流であるという研究の流れが出来ているようです。』

異所性脂肪化(肝や筋肉)も、スーパー糖質制限食なら、速やかな改善が得られると思います。


江部康二


☆☆☆

参考までに
以下は2014/04/30の本ブログ記事です。

ドクター江部の糖尿病徒然日記 

脂肪肝と糖質制限食。2014年4月。

こんばんは

今日は、脂肪肝のお話です。

脂肪肝(しぼうかん)とは、文字通り肝臓に脂肪が蓄積した状態です。
近年、30代~40代を中心に増加傾向にあります。

脂肪肝は

1)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease)
  a)単純脂肪肝 肥満などによるもの
  b)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:Non-Alcoholic SteatoHepatitis)
2)アルコール性脂肪肝 飲酒によるもの

3)妊娠に伴うもの  急性妊娠性脂肪肝(AFLP)
  AFLP:Acute Fatty Liver of Pregnancy

などにわけられます。

NAFLD(nonalcoholic fatty liver disease、非アルコール性脂肪肝疾患)は、アルコールを原因としない脂肪肝です。

NAFLDの8割から9割は炎症や線維化を伴わない「単純性脂肪肝」です。

多くは肥満が関係します。単純脂肪肝の予後は良好です。

非アルコール性の脂肪肝はかつては、放置してもさしたることはないと言われていましたが、近年、上述の「NASH」が認識されるようになり、様相が一変しました。

非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis)を略してNASHです。

NASHは、肝炎から肝硬変や肝臓癌に進展することもあり、結構こわいのです。NAFLDの1割くらいが、NASHです。

単純性脂肪肝からNASHへ進行することもあります。

肝臓に脂肪が蓄積→脂肪肝→非アルコール性脂肪性肝炎→肝硬変→肝癌

B型ウィルスやC型ウィルスや飲酒以外に、NASHからも肝癌になり得るので、ゆめゆめ油断は禁物なのです。

脂肪肝の根本要因は、脂質ではなく糖質です。

①糖質を摂取すると血糖値が上昇します。
②血糖値が上昇すると追加分泌のインスリンが大量に分泌されます。
③追加分泌インスリンにより、筋肉細胞の糖輸送体が内部から細胞表面に移動します。
④筋肉細胞の糖輸送体(Glut4)により血液中のブドウ糖は細胞内に取り込まれます。
⑤まずエネルギー源として利用し、次いでグリコーゲンとして筋肉中に蓄えます。
⑥筋肉細胞に取り込まれずに、血液中で余ったブドウ糖は全て中性脂肪に変わり、
 脂肪細胞や肝臓に蓄えられます。

このように、追加分泌のインスリンが大量・頻回に出ることが、脂肪肝や肥満の根本要因であり、インスリンが肥満ホルモンと言われる所以です。

3大栄養素「糖質・脂質・タンパク質」のうち、血糖値に直接影響を与えるのは、糖質だけです。

脂質・タンパク質は血糖値に直接影響を与えることはありません。

追加分泌インスリンが大量に必要となるのは、糖質摂取時だけです。
タンパク質は、ごく少量の追加分泌インスリンを分泌させます。
脂質は、追加分泌インスリンを分泌させません。

脂肪肝も内臓脂肪肥満もメタボリック・シンドロームも、糖質の頻回・過剰摂取によるインスリンの頻回・過剰分泌が根本要因と思います。

内臓脂肪肥満やメタボになれば、インスリン抵抗性も出現してきて、血糖値を正常に保つために基礎分泌インスリンの量も増加します。

このようにして、インスリン追加分泌も基礎分泌も過剰になり、ますます、脂肪肝や内臓脂肪肥満やメタボリック・シンドロームは進行して悪循環に陥ります。

上述の如く人体の生理・栄養・代謝面から理論的に考えてみると、

<糖質→食後血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→中性脂肪合成→脂肪肝・肥満>

ということが明確に理解できます。

つまり、糖質を普通に食べていたら、少々のカロリー制限をしても、脂肪肝が改善することは極めて困難なのです。

一方、糖質制限食実践で、例えば肉・魚・豆腐などを摂取すれば、当然高脂質・高タンパク食となりますが、この間常に脂肪が分解されエネルギー源として使われています。

つまり、糖質制限食を食べている最中にも同時に中性脂肪が分解されて脂肪酸やケトン体になり、骨格筋・心筋・内臓でエネルギー源として利用されているのです。

この「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」が日常的に利用されているのが、人類本来の姿であり、農耕前の700万年間はずっとそうでした。

糖質制限食で脂肪が分解されていた人が、糖質を摂取して血糖値が上昇すると、

「糖質制限食→中性脂肪分解→脂肪酸・ケトン体→骨格筋・心筋・内臓のエネルギー源」

というパターンが

「糖質摂取→血糖値上昇→追加分泌インスリン大量分泌→中性脂肪合成」

というパターンに変化し、脂肪肝・肥満につながるわけです。

私自身、2002年の糖尿病発覚の時点で、メタボリックシンドロームの基準を満たしていました。

<身長167cm 体重66kg 高血圧140~180/90~110 腹囲86cm>

スーパー糖質制限食実践半年で10kg減量して56kg。

血圧は140~180/90~110 → 120~130/70~80。

メタボリックシンドロームの基準が全て正常になりました。

内臓脂肪CT126cm2 → 70cm2 (正常は100未満)

となりました。

腹部エコーでも脂肪肝は改善しました。

私だけでなく多くの脂肪肝の患者さんがスーパー糖質制限食で速やかに改善しています。

ブログ読者の脂肪肝の皆さん、安心して魚も肉も卵も野菜もしっかり食べて、美味しく楽しくスーパー糖質制限食で、脂肪肝改善を目指して下さいね。

なお、急性妊娠性脂肪肝(AFLP)はまれな疾患(6000~7000妊娠に1例ていど)ですが、重篤となることもあり注意が必要です。

AFLPは理論的には糖質制限食で予防できると思います。


江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット