2015年11月02日 (月)
【15/11/02 田中鈴木佐藤
薬局視点
空腹時低血糖と食後高血糖のマスクされた一見良好の質の悪いHbA1cの患者は多いと思います。
アマリール3mgを処方されて薬局でブドウ糖もらってくださいと指導された患者、頻繁に軽症の低血糖を起こし毎月タケダのブドウ糖タブレットを1~2箱持って帰ります。
本人も処方医もブドウ糖で治れば大丈夫といった認識です。
検査後のご褒美としてケーキバイキングに行ったり、意識の低い人がとても多いです。
困った事に内科の処方医も空腹時血糖値とHbA1cだけを見てまあまあと評価するものだからお咎め無し、こうした習慣を注意すると数値が良いから大丈夫だと主治医からお叱りを受けるのが薬局の辛い立ち位置です。
最終的に眼科クリニックにかかり、網膜症治療の為病院に紹介されて食事指導を受けるハメになる人だって居ました。
CGMを使う患者でもこの検査中だけ食事を気を付けるような人が多いとも聞き、意識の高い患者以外は難しいんだろうなと思います。
インスリン使用がなければ自費で毎月の負担は大きくなりますが、それでも予後を考えれば毎食前後の自己血糖測定はして欲しいです。】
薬局の田中鈴木佐藤さんからコメントをいただきました。
ありがとうございます。
「空腹時低血糖と食後高血糖のマスクされた一見良好の質の悪いHbA1cの患者は多いと思います。
アマリール3mgを処方されて薬局でブドウ糖もらってくださいと指導された患者、頻繁に軽症の低血糖を起こし毎月タケダのブドウ糖タブレットを1~2箱持って帰ります。
本人も処方医もブドウ糖で治れば大丈夫といった認識です。」
SU剤(アマリール)は、食後高血糖は防がず、空腹時の低血糖を生じやすい危険な薬です。
特殊な例を除いて使用禁止にしてもいいくらいの薬と思います。
それをアマリール3mgとは、困ったものです。
糖尿病学会もさすがに最近は、0.5mgとか1mgの錠剤を推奨しています。
つまり低血糖になりやすいので少量投与にとどめよということです。
高血糖より低血糖のほうが危険であり、心筋梗塞のリスクが高まります。
低血糖を頻回に生じているような人は、見かけ上のHbA1cはコントロール良好になりますが、これはあくまでも「空腹時低血糖+食後高血糖」が背後にある極めて質の悪いHbA1cで、合併症は防げません。
「困った事に内科の処方医も空腹時血糖値とHbA1cだけを見てまあまあと評価するものだからお咎め無し、こうした習慣を注意すると数値が良いから大丈夫だと主治医からお叱りを受けるのが薬局の辛い立ち位置です。」
この医師は、質の悪いHbA1cという概念をご存じないのだと思います。
空腹時血糖値とHbA1cだけで、評価してしまうと
『食後高血糖、空腹時低血糖、平均血糖変動幅増大』
という合併症リスクを、見逃しているわけで危険です。
勉強不足の医師というほかありませんね。
「最終的に眼科クリニックにかかり、網膜症治療の為病院に紹介されて食事指導を受けるハメになる人だって居ました。」
結局、一見HbA1cコントロール良好でも、質の悪いHbA1cであれば、合併症は防げなかったという一症例ですね。
「インスリン使用がなければ自費で毎月の負担は大きくなりますが、それでも予後を考えれば毎食前後の自己血糖測定はして欲しいです。」
そうですね。
血糖自己測定器が安価になったので、糖尿人は是非購入して食後血糖値を測定してみて欲しいですね。
ステーキ200g食べても血糖値は3mgも上昇しないのに、ご飯軽く1杯150g食べたら血糖値は165mgも上昇することが自分の目で見て確認できれば、否が応でも糖質制限食へのモチベーションが高まると思います。
☆☆☆
ニプロTRUEpico 自己検査用グルコース測定器 ¥3500ー
ニプロTRUEセンサー 自己検査用グルコースキット 1箱30枚で、¥2940ー
使い捨ての穿刺針は、1本10円くらいで安いです。
以下はニプロのサイトです。
http://sales.nipro.co.jp/freestyle/product/true_pico/
血糖自己測定器「ニプロTRUEpico®(ニプロトゥルーピコ®)」
《特長》
必要採血量:0.5μL、測定時間:4秒
測定範囲:20~600mg/dL
小型・軽量(17g)
初期設定不要(時刻あわせや環境設定がありません)
江部康二
薬局視点
空腹時低血糖と食後高血糖のマスクされた一見良好の質の悪いHbA1cの患者は多いと思います。
アマリール3mgを処方されて薬局でブドウ糖もらってくださいと指導された患者、頻繁に軽症の低血糖を起こし毎月タケダのブドウ糖タブレットを1~2箱持って帰ります。
本人も処方医もブドウ糖で治れば大丈夫といった認識です。
検査後のご褒美としてケーキバイキングに行ったり、意識の低い人がとても多いです。
困った事に内科の処方医も空腹時血糖値とHbA1cだけを見てまあまあと評価するものだからお咎め無し、こうした習慣を注意すると数値が良いから大丈夫だと主治医からお叱りを受けるのが薬局の辛い立ち位置です。
最終的に眼科クリニックにかかり、網膜症治療の為病院に紹介されて食事指導を受けるハメになる人だって居ました。
CGMを使う患者でもこの検査中だけ食事を気を付けるような人が多いとも聞き、意識の高い患者以外は難しいんだろうなと思います。
インスリン使用がなければ自費で毎月の負担は大きくなりますが、それでも予後を考えれば毎食前後の自己血糖測定はして欲しいです。】
薬局の田中鈴木佐藤さんからコメントをいただきました。
ありがとうございます。
「空腹時低血糖と食後高血糖のマスクされた一見良好の質の悪いHbA1cの患者は多いと思います。
アマリール3mgを処方されて薬局でブドウ糖もらってくださいと指導された患者、頻繁に軽症の低血糖を起こし毎月タケダのブドウ糖タブレットを1~2箱持って帰ります。
本人も処方医もブドウ糖で治れば大丈夫といった認識です。」
SU剤(アマリール)は、食後高血糖は防がず、空腹時の低血糖を生じやすい危険な薬です。
特殊な例を除いて使用禁止にしてもいいくらいの薬と思います。
それをアマリール3mgとは、困ったものです。
糖尿病学会もさすがに最近は、0.5mgとか1mgの錠剤を推奨しています。
つまり低血糖になりやすいので少量投与にとどめよということです。
高血糖より低血糖のほうが危険であり、心筋梗塞のリスクが高まります。
低血糖を頻回に生じているような人は、見かけ上のHbA1cはコントロール良好になりますが、これはあくまでも「空腹時低血糖+食後高血糖」が背後にある極めて質の悪いHbA1cで、合併症は防げません。
「困った事に内科の処方医も空腹時血糖値とHbA1cだけを見てまあまあと評価するものだからお咎め無し、こうした習慣を注意すると数値が良いから大丈夫だと主治医からお叱りを受けるのが薬局の辛い立ち位置です。」
この医師は、質の悪いHbA1cという概念をご存じないのだと思います。
空腹時血糖値とHbA1cだけで、評価してしまうと
『食後高血糖、空腹時低血糖、平均血糖変動幅増大』
という合併症リスクを、見逃しているわけで危険です。
勉強不足の医師というほかありませんね。
「最終的に眼科クリニックにかかり、網膜症治療の為病院に紹介されて食事指導を受けるハメになる人だって居ました。」
結局、一見HbA1cコントロール良好でも、質の悪いHbA1cであれば、合併症は防げなかったという一症例ですね。
「インスリン使用がなければ自費で毎月の負担は大きくなりますが、それでも予後を考えれば毎食前後の自己血糖測定はして欲しいです。」
そうですね。
血糖自己測定器が安価になったので、糖尿人は是非購入して食後血糖値を測定してみて欲しいですね。
ステーキ200g食べても血糖値は3mgも上昇しないのに、ご飯軽く1杯150g食べたら血糖値は165mgも上昇することが自分の目で見て確認できれば、否が応でも糖質制限食へのモチベーションが高まると思います。
☆☆☆
ニプロTRUEpico 自己検査用グルコース測定器 ¥3500ー
ニプロTRUEセンサー 自己検査用グルコースキット 1箱30枚で、¥2940ー
使い捨ての穿刺針は、1本10円くらいで安いです。
以下はニプロのサイトです。
http://sales.nipro.co.jp/freestyle/product/true_pico/
血糖自己測定器「ニプロTRUEpico®(ニプロトゥルーピコ®)」
《特長》
必要採血量:0.5μL、測定時間:4秒
測定範囲:20~600mg/dL
小型・軽量(17g)
初期設定不要(時刻あわせや環境設定がありません)
江部康二
2015年11月01日 (日)
こんにちは。
日本糖尿病学会は血糖コントロールの指標としてHbA1cを選択しています。
2013年の熊本宣言後血糖コントロール目標として
合併症予防のために、血糖管理目標値をHbA1c7%未満とし、対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/dl未満、食後2時間血糖値180mg/dl未満をおおよその目安としました。
現在、ほとんどの病院で血糖コントロールの評価に用いられているのは、「HbA1c」と「早朝空腹時血糖値」の2つです。
しかし、「HbA1c」と「早朝空腹時血糖値」の2つを検査しても、食後高血糖があるかどうかは、全くわかりません。
HbA1cが6.8~6.9%であれば、一応目標達成です。
しかし、従来の糖尿病食(高糖質食)を摂取しながら、SU剤(アマリールなど)やインスリン注射で、HbA1c6.8~6.9%を達成していても、食後高血糖と空腹時低血糖を生じている可能性が高いのです。
食後血糖値が250mg/dl前後あり、一方で夜間空腹時血糖値が薬物のせいで50mg/dl前後とかになっていると、平均血糖値を反映するHbA1cは6.8~6.9%くらいになり、糖尿病学会の目標では、見かけ上はコントロール良好となります。
HbA1cは短時間の食後高血糖は、反映しないのです。
この場合、HbA1c6.8~6.9%といっても、食後高血糖と平均血糖変動幅増大のある酸化ストレスリスクの高い、極めて質の悪いHbA1cであり、合併症の予防は困難です。
現実に、HbA1cがコントロール良好にも関わらず、合併症を起こす糖尿人が後を絶たないのは、従来の糖尿病食(高糖質食)と薬物療法のコンビによる「質の悪いHbA1c」であるからに他なりません。
CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システムで、24時間ブドウ糖を測定すれば、質の悪いHbA1cのもとである「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」の存在は一目瞭然です。
しかし、CGMはなかなか、面倒くさいです。
そこで、グリコアルブミン(GA)の登場です。
GAは食後高血糖があると短時間でもそれを反映する優れた指標なのです。
グリコアルブミンの基準値は、11.8~16.0%で、コントロール良好は、20.0%未満です。
私は最近の採血で
HbA1c(NGSP):5.8%(基準値4.6~6.2%)
グリコアルブミン(GA):13.4%(基準値11.8~16.0%)
というデータでした。
GAは基準値内の低めですので食後高血糖がほとんどないことを示しています。
従ってHbA1cも極めて質のいいHbA1cです。
ある50代男性糖尿人Aさんの検査では
HbA1c:5.8%
グリコアルブミン:18.0%
でした。
江部康二とAさんと、HbA1cは全く同じです。
一方AさんのGAもコントロール良好ではあるのですが、私のデータと比べるとかなり高値です。
つまりAさんは、私に比べると食後高血糖が一定あることとなります。
よくよくAさんに聞いてみると
「麺類が好きで時々食べていました」
ということでした。
麺類を止めて貰ったら、GAも16.0%をきるようになりました。
このように考えて見ると本当は、月1回の健康保険の検査は、HbA1cよりもグリコアルブミン(GA)のほうが好ましいと言えます。
GAと空腹時血糖値あるいは随時血糖値の検査をしておけば、短時間の食後高血糖も見落とすことがなくなり、一日を通して、HbA1cより正確な血糖値の変化を反映していることとなります。
HbA1cとGAに関して、糖尿病専門医の先生方、そして日本糖尿病学会の見解を聞きたいところですね。
現在、日本の病院のほとんどがHbA1cなので、高雄病院でも転院の患者さんとか紹介の患者さんとかは、HbA1cの検査をします。
その後は、HbA1cとGAを1ヶ月交代とか、患者さんの希望があれば、片方は保険外で同一月に測定とか、いろいろ工夫しています。
江部康二
日本糖尿病学会は血糖コントロールの指標としてHbA1cを選択しています。
2013年の熊本宣言後血糖コントロール目標として
合併症予防のために、血糖管理目標値をHbA1c7%未満とし、対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/dl未満、食後2時間血糖値180mg/dl未満をおおよその目安としました。
現在、ほとんどの病院で血糖コントロールの評価に用いられているのは、「HbA1c」と「早朝空腹時血糖値」の2つです。
しかし、「HbA1c」と「早朝空腹時血糖値」の2つを検査しても、食後高血糖があるかどうかは、全くわかりません。
HbA1cが6.8~6.9%であれば、一応目標達成です。
しかし、従来の糖尿病食(高糖質食)を摂取しながら、SU剤(アマリールなど)やインスリン注射で、HbA1c6.8~6.9%を達成していても、食後高血糖と空腹時低血糖を生じている可能性が高いのです。
食後血糖値が250mg/dl前後あり、一方で夜間空腹時血糖値が薬物のせいで50mg/dl前後とかになっていると、平均血糖値を反映するHbA1cは6.8~6.9%くらいになり、糖尿病学会の目標では、見かけ上はコントロール良好となります。
HbA1cは短時間の食後高血糖は、反映しないのです。
この場合、HbA1c6.8~6.9%といっても、食後高血糖と平均血糖変動幅増大のある酸化ストレスリスクの高い、極めて質の悪いHbA1cであり、合併症の予防は困難です。
現実に、HbA1cがコントロール良好にも関わらず、合併症を起こす糖尿人が後を絶たないのは、従来の糖尿病食(高糖質食)と薬物療法のコンビによる「質の悪いHbA1c」であるからに他なりません。
CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システムで、24時間ブドウ糖を測定すれば、質の悪いHbA1cのもとである「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」の存在は一目瞭然です。
しかし、CGMはなかなか、面倒くさいです。
そこで、グリコアルブミン(GA)の登場です。
GAは食後高血糖があると短時間でもそれを反映する優れた指標なのです。
グリコアルブミンの基準値は、11.8~16.0%で、コントロール良好は、20.0%未満です。
私は最近の採血で
HbA1c(NGSP):5.8%(基準値4.6~6.2%)
グリコアルブミン(GA):13.4%(基準値11.8~16.0%)
というデータでした。
GAは基準値内の低めですので食後高血糖がほとんどないことを示しています。
従ってHbA1cも極めて質のいいHbA1cです。
ある50代男性糖尿人Aさんの検査では
HbA1c:5.8%
グリコアルブミン:18.0%
でした。
江部康二とAさんと、HbA1cは全く同じです。
一方AさんのGAもコントロール良好ではあるのですが、私のデータと比べるとかなり高値です。
つまりAさんは、私に比べると食後高血糖が一定あることとなります。
よくよくAさんに聞いてみると
「麺類が好きで時々食べていました」
ということでした。
麺類を止めて貰ったら、GAも16.0%をきるようになりました。
このように考えて見ると本当は、月1回の健康保険の検査は、HbA1cよりもグリコアルブミン(GA)のほうが好ましいと言えます。
GAと空腹時血糖値あるいは随時血糖値の検査をしておけば、短時間の食後高血糖も見落とすことがなくなり、一日を通して、HbA1cより正確な血糖値の変化を反映していることとなります。
HbA1cとGAに関して、糖尿病専門医の先生方、そして日本糖尿病学会の見解を聞きたいところですね。
現在、日本の病院のほとんどがHbA1cなので、高雄病院でも転院の患者さんとか紹介の患者さんとかは、HbA1cの検査をします。
その後は、HbA1cとGAを1ヶ月交代とか、患者さんの希望があれば、片方は保険外で同一月に測定とか、いろいろ工夫しています。
江部康二
2015年08月23日 (日)
【15/08/22 魚田フラント
SU剤しかない…?
魚田フラントと申します。海辺に住む10年ほど前からの2型糖尿人。今年3月からの糖質セイゲニストです。
先生のブログや書籍を頼りに血糖値を下げようと「S糖質制限食」で頑張ってきています。いつもありがとう存じます。
さて、本日6週間ぶりにHbA1c検査&受診をしてまいりましたが、結果は7.2と前回6.7から0.5も上がってしまいました。
毎食時糖質は30g摂取程度に制限して5か月が経過しましたが、今回は良くなりませんでした。
主治医の話では、小生のような肥満型でない(当初身長166cm体重65kg→現在は体重55kg)糖尿人は「インスリン抵抗性」ではなく、「インスリン不足」のタイプが多く、糖質制限しても限界があるとの由。
SU剤で膵臓を刺激して血糖値を下げるしかない…と。
アマリール、セイブルそしてリバロの服用を2か月前に止め、メトグルコとジャヌビアは服用を続けてきています。
アマリールを止めた結果が出てきたのだろうということでした。食事、運動、特にストレスも無く、ここ6週間同じように暮らしてきたのに、やはりダメか…と少し落胆しています。
この後、朝の空腹時血糖を週3くらい測っていって血糖値が漸次上がってくるか様子見して、5週間後にSU剤を服用するか考えましょうとのことでした。
糖質制限食で良くなる投稿者さんのコメントをたくさん拝見致しますが、小生のような糖尿人もいますことをお伝え致します。
お読みいただき、ありがとう存じました。】
おはようございます。
魚田フラント さんから、「スーパー糖質制限食をしているが血糖値、HbA1cが改善しない」とのコメントをいただきましたので検討してみました。
魚田フラント さん
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。
30gの糖質ですと、90mg上昇させます。
<30gの糖質>×3回/日。
そうすると食後血糖値は、一日三回、軽く180mgを超えているので、HbA1cが7.2%になったのだと思います。
推定平均血糖値は、159.9mg/dlです。
*推定平均血糖値(mg/dl)=HbA1c(NGSP)×28.7-46.7
少し勘違いされているようですが、魚田フラント さんが実践しておられるのは一回の食事で約30gの糖質ですので、<緩やかな糖質制限食>であり、<スーパー糖質制限食>ではありません。
また、アマリールを中止されて、30g×3回/日、糖質を摂取して、HbA1c7.2%なら、まあまあと思います。
つまり<緩やかな糖質制限食>でも、それなりの成果はでています。
アマリールを内服してのHbA1c6.7%は、「食後高血糖」「空腹時低血糖」「平均血糖変動幅増大」を伴う質の悪いHbA1cです。
「食後高血糖」「空腹時低血糖」「平均血糖変動幅増大」は酸化ストレスリスクとなります。
つまりアマリールを内服してHbA1c6.7%で一見良くても、合併症は防げない可能性が高いのです。
質の悪いHbA1cに関しては
2015年08月22日 (土)の本ブログ記事
「インスリン治療+カロリー制限食」。HbA1c6.2%なのに足指切断。
をご参照いただけば幸いです。
一方、アマリールを中止しての今回のHbA1c7.2%は、緩やかな糖質制限食ですので「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」が、カロリー制限食(高糖質食)に比べれば少し少なくて「空腹時低血糖」のない少しだけ質のいいHbA1cなのです。
アマリールは本人が気がつかずに、夜中などに低血糖を起こしやすい藥で危険なのですが、中止すれば低血糖のリスクはなくなります。
まあ、それでも一回30gの糖質ですので、ある程度の食後高血糖は起こりますし、ある程度の平均血糖変動幅増大もあります。
高雄病院の推奨するスーパー糖質制限食は、1回の食事の糖質摂取量を、<10~20g以下>とします。
スーパー糖質制限食なら、食後血糖値の上昇は、30~60mg以下で済みます。
これなら食後血糖値は180mgを超えないので、魚田フラント さんの場合、アマリールを中止してもHbA1cは6.7%以下を回復すると思います。
そしてスーパー糖質制限食なら「食後高血糖」「低血糖」「平均血糖変動幅増大」は皆無であり、酸化ストレスリスクのない極めて質のいいHbA1cです。
このように<緩やかな糖質制限食>は<従来の糖尿病食(高糖質食)>に比べると「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」に関してはある一定改善します。
しかしその改善効果は、魚田フラント さんが経験されたように、<スーパー糖質制限食>比べると、かなり弱いです。
やはり、糖尿人には、スーパー糖質制限食がお奨めです。
江部康二
【15/08/22 魚田フラント
30gから20gへの壁は高い!「スーパーではなかった?糖質制限食」(恥)
江部先生、早速のご教授恐縮です。
「Sではなかった?糖質制限食」に取り組んだ3月からは、おっしゃるとおり体重もHbA1cもぐんぐんと減って下がって、現在では体重10kg減(学生時代とほぼ同じ)HbA1cも7.8から6.6(前々回検査)に改善してきた次第です。しかし…。
ただいまの先生のコメントを拝見してすぐに先生のご著書「食品別糖質量ハンドブック」を横に、改めて毎日の朝食(定番)の糖質量をチェックし直しました。小生は20g程度とふんでいたのですが、やはり30g台でした。…
パンは手作りフスマパン(糖質量4g)で糖質0gのチョコクリームだし…、フルーツも2切れにしたし…とスーパー糖質制限内に収まっているものとばかり思っておりましたが、糖質量は、今日のフルーツの梨で7g、ヨーグルトは5gもあり、砂糖無しのクリープ入り(シュウ酸予防の為)コーヒー一杯すらも3.8gもありました。これに野菜やらマヨネーズやらを加えていくと30gを少し超えていました。
小生の連れ合いは分かっていたようですが、「メトグルコとジャヌビアを服用しているからそんなに血糖値は上がらないのでは…と思っていた次第です。そのための薬の服用だと…。実際、日々の自己血糖測定によりますと、朝食前後の血糖値の差が20から50はあります。空腹時の血糖値が日によって110台から130台とばらついています。110台の時は食後は160以内ですが130台ですと180まではいきませんが近くまでは上がっていました。
早速、今日の夕食から、しっかりと糖質摂取20g内の「スーパー糖質制限食」に挑戦して、5週間後の6.5%以下を目指し、「SU剤はいらないね」と、小生の主治医に言っていただけるように頑張りたいと思います。
先生、ご指摘ご指導を感謝申し上げます。
63歳 魚田フラント拝】
SU剤しかない…?
魚田フラントと申します。海辺に住む10年ほど前からの2型糖尿人。今年3月からの糖質セイゲニストです。
先生のブログや書籍を頼りに血糖値を下げようと「S糖質制限食」で頑張ってきています。いつもありがとう存じます。
さて、本日6週間ぶりにHbA1c検査&受診をしてまいりましたが、結果は7.2と前回6.7から0.5も上がってしまいました。
毎食時糖質は30g摂取程度に制限して5か月が経過しましたが、今回は良くなりませんでした。
主治医の話では、小生のような肥満型でない(当初身長166cm体重65kg→現在は体重55kg)糖尿人は「インスリン抵抗性」ではなく、「インスリン不足」のタイプが多く、糖質制限しても限界があるとの由。
SU剤で膵臓を刺激して血糖値を下げるしかない…と。
アマリール、セイブルそしてリバロの服用を2か月前に止め、メトグルコとジャヌビアは服用を続けてきています。
アマリールを止めた結果が出てきたのだろうということでした。食事、運動、特にストレスも無く、ここ6週間同じように暮らしてきたのに、やはりダメか…と少し落胆しています。
この後、朝の空腹時血糖を週3くらい測っていって血糖値が漸次上がってくるか様子見して、5週間後にSU剤を服用するか考えましょうとのことでした。
糖質制限食で良くなる投稿者さんのコメントをたくさん拝見致しますが、小生のような糖尿人もいますことをお伝え致します。
お読みいただき、ありがとう存じました。】
おはようございます。
魚田フラント さんから、「スーパー糖質制限食をしているが血糖値、HbA1cが改善しない」とのコメントをいただきましたので検討してみました。
魚田フラント さん
1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿人の血糖値を約3mg上昇させます。
30gの糖質ですと、90mg上昇させます。
<30gの糖質>×3回/日。
そうすると食後血糖値は、一日三回、軽く180mgを超えているので、HbA1cが7.2%になったのだと思います。
推定平均血糖値は、159.9mg/dlです。
*推定平均血糖値(mg/dl)=HbA1c(NGSP)×28.7-46.7
少し勘違いされているようですが、魚田フラント さんが実践しておられるのは一回の食事で約30gの糖質ですので、<緩やかな糖質制限食>であり、<スーパー糖質制限食>ではありません。
また、アマリールを中止されて、30g×3回/日、糖質を摂取して、HbA1c7.2%なら、まあまあと思います。
つまり<緩やかな糖質制限食>でも、それなりの成果はでています。
アマリールを内服してのHbA1c6.7%は、「食後高血糖」「空腹時低血糖」「平均血糖変動幅増大」を伴う質の悪いHbA1cです。
「食後高血糖」「空腹時低血糖」「平均血糖変動幅増大」は酸化ストレスリスクとなります。
つまりアマリールを内服してHbA1c6.7%で一見良くても、合併症は防げない可能性が高いのです。
質の悪いHbA1cに関しては
2015年08月22日 (土)の本ブログ記事
「インスリン治療+カロリー制限食」。HbA1c6.2%なのに足指切断。
をご参照いただけば幸いです。
一方、アマリールを中止しての今回のHbA1c7.2%は、緩やかな糖質制限食ですので「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」が、カロリー制限食(高糖質食)に比べれば少し少なくて「空腹時低血糖」のない少しだけ質のいいHbA1cなのです。
アマリールは本人が気がつかずに、夜中などに低血糖を起こしやすい藥で危険なのですが、中止すれば低血糖のリスクはなくなります。
まあ、それでも一回30gの糖質ですので、ある程度の食後高血糖は起こりますし、ある程度の平均血糖変動幅増大もあります。
高雄病院の推奨するスーパー糖質制限食は、1回の食事の糖質摂取量を、<10~20g以下>とします。
スーパー糖質制限食なら、食後血糖値の上昇は、30~60mg以下で済みます。
これなら食後血糖値は180mgを超えないので、魚田フラント さんの場合、アマリールを中止してもHbA1cは6.7%以下を回復すると思います。
そしてスーパー糖質制限食なら「食後高血糖」「低血糖」「平均血糖変動幅増大」は皆無であり、酸化ストレスリスクのない極めて質のいいHbA1cです。
このように<緩やかな糖質制限食>は<従来の糖尿病食(高糖質食)>に比べると「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」に関してはある一定改善します。
しかしその改善効果は、魚田フラント さんが経験されたように、<スーパー糖質制限食>比べると、かなり弱いです。
やはり、糖尿人には、スーパー糖質制限食がお奨めです。
江部康二
【15/08/22 魚田フラント
30gから20gへの壁は高い!「スーパーではなかった?糖質制限食」(恥)
江部先生、早速のご教授恐縮です。
「Sではなかった?糖質制限食」に取り組んだ3月からは、おっしゃるとおり体重もHbA1cもぐんぐんと減って下がって、現在では体重10kg減(学生時代とほぼ同じ)HbA1cも7.8から6.6(前々回検査)に改善してきた次第です。しかし…。
ただいまの先生のコメントを拝見してすぐに先生のご著書「食品別糖質量ハンドブック」を横に、改めて毎日の朝食(定番)の糖質量をチェックし直しました。小生は20g程度とふんでいたのですが、やはり30g台でした。…
パンは手作りフスマパン(糖質量4g)で糖質0gのチョコクリームだし…、フルーツも2切れにしたし…とスーパー糖質制限内に収まっているものとばかり思っておりましたが、糖質量は、今日のフルーツの梨で7g、ヨーグルトは5gもあり、砂糖無しのクリープ入り(シュウ酸予防の為)コーヒー一杯すらも3.8gもありました。これに野菜やらマヨネーズやらを加えていくと30gを少し超えていました。
小生の連れ合いは分かっていたようですが、「メトグルコとジャヌビアを服用しているからそんなに血糖値は上がらないのでは…と思っていた次第です。そのための薬の服用だと…。実際、日々の自己血糖測定によりますと、朝食前後の血糖値の差が20から50はあります。空腹時の血糖値が日によって110台から130台とばらついています。110台の時は食後は160以内ですが130台ですと180まではいきませんが近くまでは上がっていました。
早速、今日の夕食から、しっかりと糖質摂取20g内の「スーパー糖質制限食」に挑戦して、5週間後の6.5%以下を目指し、「SU剤はいらないね」と、小生の主治医に言っていただけるように頑張りたいと思います。
先生、ご指摘ご指導を感謝申し上げます。
63歳 魚田フラント拝】
2015年08月21日 (金)
【15/08/19 a.m
こんなことって…
皆様のご質問、先生のご回答で勉強させていただいています。糖尿病予備軍とのことで、糖質制限食で救われ4年になります。何度かご教示いただいております。ありがとうございます。
きょうは、Hba1cの、検査機関による誤差についてお尋ねいたしたく存じます。
市立病院で糖質制限には懐疑的だが、そこは自己責任でということで、他にも脂質異常や高尿酸血症等で1ヵ月に1度採血していただいています。
そのa1c値が今年からじりじり上がり出し、昨年までは5.4~5.6ぐらいだった値が今年から5.7~5.9になり下がらなくなりました。5.9といえば平均血糖値が122.63ということになります。
自己測定器で測りますと、食後のピークで120前後、空腹時は89~100未満です。暁現象とやらかと明け方測りましても110未満です。
今年から始めたもので思い当たるもの、ココナッツオイルやコーヒーも止めてみましたがa1c値は5.9でした。
毎食8~10gの糖質摂取で5.9とはいつ高くなっているのだろうと恐ろしくなって、5.9と出た同じ日に別の医療機関で自費でHba1cとグリコアルブミンの検査していただきました。すると5.3でした(グリコアルブミンは14.4)。もちろんNGSPです。
自己測定器から見ましても5.3の平均105.41の方が近いと思います。ここまでの誤差が市立病院であり得るのでしょうか。検査方法の違いでこのようなことが発生するのでしょうか。
何卒、ご教示くださいますれば幸いです。】
おはようございます。
a.m さんから、 HbA1cの検査機関による誤差についてコメント・質問をいただきました。
血中クレアチニンの基準値とか、尿中アルブミンの基準値とか、様々な尿・血液の検査で、各施設間で基準値が少し違うことが多いです。
これは、使用する検査機器や検査キット、標準試薬などが異なるため、ある程度仕方のないことです。
HbA1cに関しては、各施設のデータがばらついている状況はまずいということで、日本糖尿病学会(JDS)により1993年から、国内での標準化が目指されました。
まずは、検査方法の統一化が進められました。
ついで、2001年に実試料標準物質「JDS Lot2」が認証されました。
その後、2006年に「JDS Lot3」が認証され切り替えられました。
JDS(Japan Diabetes Society)は、日本糖尿病学会のことです。
日本国内では、これで以前ほどは、施設間の差は無くなってきているはずなのですが・・・。
その後2012年4月1日から、HbA1cの表記が、国際基準のNGSP値となることに合わせて
JDS値で4.9%以下: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.3%
JDS値で5.0~9.9%: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.4%
JDS値で10.0~14.9%: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.5%
と変更されて現在に到ります。
しかしながら、検査機関による誤差は現在でも相変わらずあります。
HbA1cで0.2とか0.3%くらいは、日常的にあります。
統一を目指して日本糖尿病学会も努力はしてきたのですが、現実的にはそう上手くいっていないということです。
それでも、a.m さん の場合、同一日に別の検査機関で調べて5.9%が5.3%と、0.6%もの違いは、さすがに珍しいです。
ともあれ、どっちが正しいとか、二つの検査機関の誤差の原因を追及しても、得ることはほとんどないので、現実的な対応をするのが賢明と思います。
ということで、血糖自己測定器の血糖値データと一致する方のHbA1cの数値が信用できると思います。
従って、a.m さんのHbA1cは、5.3%とみなして良いと思います。
HbA1cの値に納得いかないとき、血糖自己測定器があると、便利です。
今回のa.m さんのように、別の検査機関で調べて確認することもできますね。
血糖自己測定器は、随分安価となったので、糖尿人の皆さんは是非購入されることをお奨めします。
得るものは多いと思いますよ。
現行の糖尿病外来での検査「空腹時血糖値+HbA1c」では、食後高血糖が見逃されてる可能性が極めて高いのです。
食後高血糖は糖尿病合併症の元凶の一つです。
糖尿人の皆さんにおいては、食後血糖値の測定が肝要なのです。
江部康二
☆☆☆
血糖自己測定器に関しては
2013年07月04日 (木)の本ブログ記事
「¥3500-の自己検査用グルコース(血糖)測定器 ニプロ 新発売」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2592.html
をご参照いただけば幸いです。
こんなことって…
皆様のご質問、先生のご回答で勉強させていただいています。糖尿病予備軍とのことで、糖質制限食で救われ4年になります。何度かご教示いただいております。ありがとうございます。
きょうは、Hba1cの、検査機関による誤差についてお尋ねいたしたく存じます。
市立病院で糖質制限には懐疑的だが、そこは自己責任でということで、他にも脂質異常や高尿酸血症等で1ヵ月に1度採血していただいています。
そのa1c値が今年からじりじり上がり出し、昨年までは5.4~5.6ぐらいだった値が今年から5.7~5.9になり下がらなくなりました。5.9といえば平均血糖値が122.63ということになります。
自己測定器で測りますと、食後のピークで120前後、空腹時は89~100未満です。暁現象とやらかと明け方測りましても110未満です。
今年から始めたもので思い当たるもの、ココナッツオイルやコーヒーも止めてみましたがa1c値は5.9でした。
毎食8~10gの糖質摂取で5.9とはいつ高くなっているのだろうと恐ろしくなって、5.9と出た同じ日に別の医療機関で自費でHba1cとグリコアルブミンの検査していただきました。すると5.3でした(グリコアルブミンは14.4)。もちろんNGSPです。
自己測定器から見ましても5.3の平均105.41の方が近いと思います。ここまでの誤差が市立病院であり得るのでしょうか。検査方法の違いでこのようなことが発生するのでしょうか。
何卒、ご教示くださいますれば幸いです。】
おはようございます。
a.m さんから、 HbA1cの検査機関による誤差についてコメント・質問をいただきました。
血中クレアチニンの基準値とか、尿中アルブミンの基準値とか、様々な尿・血液の検査で、各施設間で基準値が少し違うことが多いです。
これは、使用する検査機器や検査キット、標準試薬などが異なるため、ある程度仕方のないことです。
HbA1cに関しては、各施設のデータがばらついている状況はまずいということで、日本糖尿病学会(JDS)により1993年から、国内での標準化が目指されました。
まずは、検査方法の統一化が進められました。
ついで、2001年に実試料標準物質「JDS Lot2」が認証されました。
その後、2006年に「JDS Lot3」が認証され切り替えられました。
JDS(Japan Diabetes Society)は、日本糖尿病学会のことです。
日本国内では、これで以前ほどは、施設間の差は無くなってきているはずなのですが・・・。
その後2012年4月1日から、HbA1cの表記が、国際基準のNGSP値となることに合わせて
JDS値で4.9%以下: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.3%
JDS値で5.0~9.9%: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.4%
JDS値で10.0~14.9%: NGSP値(%)=JDS値(%)+0.5%
と変更されて現在に到ります。
しかしながら、検査機関による誤差は現在でも相変わらずあります。
HbA1cで0.2とか0.3%くらいは、日常的にあります。
統一を目指して日本糖尿病学会も努力はしてきたのですが、現実的にはそう上手くいっていないということです。
それでも、a.m さん の場合、同一日に別の検査機関で調べて5.9%が5.3%と、0.6%もの違いは、さすがに珍しいです。
ともあれ、どっちが正しいとか、二つの検査機関の誤差の原因を追及しても、得ることはほとんどないので、現実的な対応をするのが賢明と思います。
ということで、血糖自己測定器の血糖値データと一致する方のHbA1cの数値が信用できると思います。
従って、a.m さんのHbA1cは、5.3%とみなして良いと思います。
HbA1cの値に納得いかないとき、血糖自己測定器があると、便利です。
今回のa.m さんのように、別の検査機関で調べて確認することもできますね。
血糖自己測定器は、随分安価となったので、糖尿人の皆さんは是非購入されることをお奨めします。
得るものは多いと思いますよ。
現行の糖尿病外来での検査「空腹時血糖値+HbA1c」では、食後高血糖が見逃されてる可能性が極めて高いのです。
食後高血糖は糖尿病合併症の元凶の一つです。
糖尿人の皆さんにおいては、食後血糖値の測定が肝要なのです。
江部康二
☆☆☆
血糖自己測定器に関しては
2013年07月04日 (木)の本ブログ記事
「¥3500-の自己検査用グルコース(血糖)測定器 ニプロ 新発売」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2592.html
をご参照いただけば幸いです。
2015年07月20日 (月)
【15/07/19 プーカプカ
自分の場合はGA値がモチベーションになりました
初めて投稿させて頂きます。
HbA1c13.3のところ、(1)ゆるい糖質制限73日間(2)スーパー糖質制限15日間で、初発から88日目のGA値が18.5となりました。
HbA1cが正常化したのは142日目の検査まで待たなくてはならかったので(6.0%になりました)、今思えばあの時点でGA値を知った事は、糖質制限を続けるうえでの強い動機づけとなりました。
患者の性格によっては、GA値の検査を主とするほうが励みになって治療態度が良くなるように思います。
末筆ですが、自分の人生を変えてくれた糖質制限治療に感謝しています。
ありがとうございます。】
プーカプカ さん。
良かったですね。
「HbA1cは赤血球の寿命が120日であるため3ヵ月前から採血時まで」
「GAはアルブミンの半減期が17日であるため3週間前から採血時まで」
の平均血糖値を反映します。
従って、プーカプカ さんの、短期間で速やかな血糖値の改善はGAでより早く評価できたと考えられます。
A)HbA1c
1)過去、1~3ヶ月の平均血糖値の評価となるので、動きはゆっくりである。
2)食後高血糖を鋭敏にキャッチすることができない欠点がある。
B)GA(グリコアルブミン)
1)過去、3週間の平均血糖値の評価になるので、改善速度が速い。
2)比較的短期の血糖管理状態を評価できる。
3)食後血糖値を鋭敏に反映するので、HbA1cの欠点を補える。
C)1,5-AG
1)糖質制限食実践者においては、検査することの意味がない。
2)糖質制限食実践者では、食材からの1,5-AGが少ないので、食後血糖正常者においても基準値より低値となるが、これは正常である。
3)糖質を摂取している糖尿人においては、尿糖が多い場合は1,5-AGが低値となり、
食後高血糖を反映している。3~7日の血糖応答を評価している。
短期の血糖管理状態を評価できる。
4)SGLT2阻害薬も尿糖が多くでるので、1,5-AGが低値となるが、意味はない。
5)血中1,5-AGは妊娠、慢性腎不全、重症肝硬変でも低下。また、アカルボース(グルコバイ)内服中の人も低値を示す。
*
<2008年4月23日の江部康二の血液検査、スーパー糖質制限食6年目>
1,5-AG:5.8μg/ml(基準値は12~43)
と立派に低値でしたが、勿論生理的なもので何の問題もありません。
通常は、HbA1cを保険で測定したら、GAと1,5-AGは保険が適用されません。
1型糖尿病と妊娠糖尿病の場合は、月に2項目まで保険で算定可能ですので
私も、これからは、HbA1cとGAを測定しようと思います。
江部康二
☆☆☆
以下
[2015年5月13日]
Mt Pro 記事 から抜粋
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1505/1505027.html
保険制約ありで
“GA,1,5-AGどちらも測定”は2割弱
3大血糖管理指標・読者アンケート
血糖管理指標として,現在日常診療で用いられているHbA1cの他に,より短期の平均血糖を反映するグリコアルブミン(GA),食後血糖を推測する値とされる1,5アンヒドログルシトール(1,5-AG)がある。編集室では,これら3大血糖管理指標の認知度や測定実施率について,糖尿病診療を行っている病院,診療所の医師217人を対象にアンケートを実施。保険診療の制約があるGA,1,5-AGのどちらも測定している医師は全体で2割弱にとどまっていることが分かった。糖尿病患者の血糖管理の指標は空腹時血糖値からHbA1cにとって代わり,HbA1cが低下していれば血糖管理は良好であると考えられてきた。しかし,持続血糖モニター(CGM)の登場によってHbA1cだけで血糖を評価するのは不十分であることが明らかになった。
食後高血糖の指標は1,5-AG,2週間の血糖管理指標はGA
1,5-AGは,主に野菜,穀類などの食物由来のグルコースに類似した糖類である。体内に取り込まれてもほとんど代謝変換されず,全身の組織に広く分布するが,栄養素としての利用がないため健康人では一定の値を示す。尿糖が多いと尿中への1,5-AG排泄量が増え,血中の1,5-AG濃度が低下する。1,5-AGは3~7日の血糖応答を反映するとされ,食後高血糖の評価に用いられる。
GAは,グルコースがアルブミンと非酵素的に結合する糖化反応によって形成されるケトアミンである。GAは2週間の血糖応答を反映する指標であり,1,5-AGとともにHbA1cでは捉えられない比較的短期の血糖管理状態を評価できる。高血糖だと1,5-AGは低下,GAは上昇する。
1990年代後半に3指標の同時測定が保険診療で算定できなくなったが, 2012年に1型糖尿病患者と妊娠糖尿病患者は月2項目まで,内服治療あるいはインスリン治療開始後は半年間に限り月2項目までの測定が保険診療で認められた。
保険診療の制約が測定の足かせに
調査対象は,メール告知で募集した糖尿病診療を行っているMT Pro会員医師217人(病院勤務医116人,診療所開業または勤務101人,調査期間=2015年3月17~19日)。
糖尿病専門医資格を有する病院勤務医(18.9%)と診療所医師(9.7%),非専門の病院勤務医(34.6%)と診療所医師(36.9%)の4つのカテゴリーに分けた。
GA,1,5-AGの測定状況(図1)について,どちらも測定していると回答したのは全体で18.0%であった。その割合を4つのカテゴリーで比較すると,糖尿病専門医資格を有する病院勤務医(41.5%)と診療所医師(28.6%)で多かったが,非専門医でもそれぞれ12.0%,8.8%存在した。
GA,1,5-AGを測定している医師の場合(図2),いずれも「可能な場合のみ測定」「月ごとに項目を変えて測定」する医師が多かった。中には病院負担で同月に測定している施設もあった。
「測定意義を感じない」の回答も
GA,1,5-AGのどちらも測定しない理由を聞いたところ(図3),いずれも「保険診療の制約があるから」が最も多かった。「GA,1,5-AGは迅速検査ができないから」という理由も比較的多く見られた。
「測定意義を感じないから」とする回答は,診療所の専門医以外の3つのカテゴリーで見られたが,病院勤務医では30歳代以下の専門医(33.3%)に限定されていた。
食後高血糖の評価,「食事時間と血糖値で推測」が最多
糖尿病診療において(図4),食後高血糖はどのように評価しているのか。いずれのカテゴリーで最も多かったのは「食事時間と血糖値で推測」,次いで「自己血糖測定(SMBG)で判断」であり,「1,5-AGで判断」「経口糖負荷試験(OGTT)の結果で判断」と続いた。
HbA1c改善のはずが悪化したという経験は?
「患者の食事・運動療法の自己申告では血糖改善が予想されたのにHbA1cが悪化している,逆に自己申告ではHbA1cが悪化しているはずだが,実際には改善していたという経験はないだろうか。また,患者が食事・運動療法を頑張ったと言っても,HbA1cが悪化しているのだから嘘をついているか頑張りが足りなかったのではないかと患者に確認した経験はないだろうか」
こう問いかけるのは,2005年の開院以来,全ての糖尿病患者に3大指標を同時測定し,診療を行っている糖正会飯田橋メディカルクリニック(東京都)理事長の丹羽正孝氏である。GA,1,5-AGを測定すると,患者の直近の生活状況を把握できるため,患者自身の生活習慣是正への取り組みを適正に評価することが可能になる。同氏も「当院の患者は“生活の変化がGA,1,5-AGに如実にあらわれる”と口をそろえて言う」と話している。
冒頭の読者アンケートの集計結果や同氏によるGA,1,5-AGの解説の詳細は,Medical Tribune 5月14日発行「糖尿病特集」で紹介する。
(編集室)
自分の場合はGA値がモチベーションになりました
初めて投稿させて頂きます。
HbA1c13.3のところ、(1)ゆるい糖質制限73日間(2)スーパー糖質制限15日間で、初発から88日目のGA値が18.5となりました。
HbA1cが正常化したのは142日目の検査まで待たなくてはならかったので(6.0%になりました)、今思えばあの時点でGA値を知った事は、糖質制限を続けるうえでの強い動機づけとなりました。
患者の性格によっては、GA値の検査を主とするほうが励みになって治療態度が良くなるように思います。
末筆ですが、自分の人生を変えてくれた糖質制限治療に感謝しています。
ありがとうございます。】
プーカプカ さん。
良かったですね。
「HbA1cは赤血球の寿命が120日であるため3ヵ月前から採血時まで」
「GAはアルブミンの半減期が17日であるため3週間前から採血時まで」
の平均血糖値を反映します。
従って、プーカプカ さんの、短期間で速やかな血糖値の改善はGAでより早く評価できたと考えられます。
A)HbA1c
1)過去、1~3ヶ月の平均血糖値の評価となるので、動きはゆっくりである。
2)食後高血糖を鋭敏にキャッチすることができない欠点がある。
B)GA(グリコアルブミン)
1)過去、3週間の平均血糖値の評価になるので、改善速度が速い。
2)比較的短期の血糖管理状態を評価できる。
3)食後血糖値を鋭敏に反映するので、HbA1cの欠点を補える。
C)1,5-AG
1)糖質制限食実践者においては、検査することの意味がない。
2)糖質制限食実践者では、食材からの1,5-AGが少ないので、食後血糖正常者においても基準値より低値となるが、これは正常である。
3)糖質を摂取している糖尿人においては、尿糖が多い場合は1,5-AGが低値となり、
食後高血糖を反映している。3~7日の血糖応答を評価している。
短期の血糖管理状態を評価できる。
4)SGLT2阻害薬も尿糖が多くでるので、1,5-AGが低値となるが、意味はない。
5)血中1,5-AGは妊娠、慢性腎不全、重症肝硬変でも低下。また、アカルボース(グルコバイ)内服中の人も低値を示す。
*
<2008年4月23日の江部康二の血液検査、スーパー糖質制限食6年目>
1,5-AG:5.8μg/ml(基準値は12~43)
と立派に低値でしたが、勿論生理的なもので何の問題もありません。
通常は、HbA1cを保険で測定したら、GAと1,5-AGは保険が適用されません。
1型糖尿病と妊娠糖尿病の場合は、月に2項目まで保険で算定可能ですので
私も、これからは、HbA1cとGAを測定しようと思います。
江部康二
☆☆☆
以下
[2015年5月13日]
Mt Pro 記事 から抜粋
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1505/1505027.html
保険制約ありで
“GA,1,5-AGどちらも測定”は2割弱
3大血糖管理指標・読者アンケート
血糖管理指標として,現在日常診療で用いられているHbA1cの他に,より短期の平均血糖を反映するグリコアルブミン(GA),食後血糖を推測する値とされる1,5アンヒドログルシトール(1,5-AG)がある。編集室では,これら3大血糖管理指標の認知度や測定実施率について,糖尿病診療を行っている病院,診療所の医師217人を対象にアンケートを実施。保険診療の制約があるGA,1,5-AGのどちらも測定している医師は全体で2割弱にとどまっていることが分かった。糖尿病患者の血糖管理の指標は空腹時血糖値からHbA1cにとって代わり,HbA1cが低下していれば血糖管理は良好であると考えられてきた。しかし,持続血糖モニター(CGM)の登場によってHbA1cだけで血糖を評価するのは不十分であることが明らかになった。
食後高血糖の指標は1,5-AG,2週間の血糖管理指標はGA
1,5-AGは,主に野菜,穀類などの食物由来のグルコースに類似した糖類である。体内に取り込まれてもほとんど代謝変換されず,全身の組織に広く分布するが,栄養素としての利用がないため健康人では一定の値を示す。尿糖が多いと尿中への1,5-AG排泄量が増え,血中の1,5-AG濃度が低下する。1,5-AGは3~7日の血糖応答を反映するとされ,食後高血糖の評価に用いられる。
GAは,グルコースがアルブミンと非酵素的に結合する糖化反応によって形成されるケトアミンである。GAは2週間の血糖応答を反映する指標であり,1,5-AGとともにHbA1cでは捉えられない比較的短期の血糖管理状態を評価できる。高血糖だと1,5-AGは低下,GAは上昇する。
1990年代後半に3指標の同時測定が保険診療で算定できなくなったが, 2012年に1型糖尿病患者と妊娠糖尿病患者は月2項目まで,内服治療あるいはインスリン治療開始後は半年間に限り月2項目までの測定が保険診療で認められた。
保険診療の制約が測定の足かせに
調査対象は,メール告知で募集した糖尿病診療を行っているMT Pro会員医師217人(病院勤務医116人,診療所開業または勤務101人,調査期間=2015年3月17~19日)。
糖尿病専門医資格を有する病院勤務医(18.9%)と診療所医師(9.7%),非専門の病院勤務医(34.6%)と診療所医師(36.9%)の4つのカテゴリーに分けた。
GA,1,5-AGの測定状況(図1)について,どちらも測定していると回答したのは全体で18.0%であった。その割合を4つのカテゴリーで比較すると,糖尿病専門医資格を有する病院勤務医(41.5%)と診療所医師(28.6%)で多かったが,非専門医でもそれぞれ12.0%,8.8%存在した。
GA,1,5-AGを測定している医師の場合(図2),いずれも「可能な場合のみ測定」「月ごとに項目を変えて測定」する医師が多かった。中には病院負担で同月に測定している施設もあった。
「測定意義を感じない」の回答も
GA,1,5-AGのどちらも測定しない理由を聞いたところ(図3),いずれも「保険診療の制約があるから」が最も多かった。「GA,1,5-AGは迅速検査ができないから」という理由も比較的多く見られた。
「測定意義を感じないから」とする回答は,診療所の専門医以外の3つのカテゴリーで見られたが,病院勤務医では30歳代以下の専門医(33.3%)に限定されていた。
食後高血糖の評価,「食事時間と血糖値で推測」が最多
糖尿病診療において(図4),食後高血糖はどのように評価しているのか。いずれのカテゴリーで最も多かったのは「食事時間と血糖値で推測」,次いで「自己血糖測定(SMBG)で判断」であり,「1,5-AGで判断」「経口糖負荷試験(OGTT)の結果で判断」と続いた。
HbA1c改善のはずが悪化したという経験は?
「患者の食事・運動療法の自己申告では血糖改善が予想されたのにHbA1cが悪化している,逆に自己申告ではHbA1cが悪化しているはずだが,実際には改善していたという経験はないだろうか。また,患者が食事・運動療法を頑張ったと言っても,HbA1cが悪化しているのだから嘘をついているか頑張りが足りなかったのではないかと患者に確認した経験はないだろうか」
こう問いかけるのは,2005年の開院以来,全ての糖尿病患者に3大指標を同時測定し,診療を行っている糖正会飯田橋メディカルクリニック(東京都)理事長の丹羽正孝氏である。GA,1,5-AGを測定すると,患者の直近の生活状況を把握できるため,患者自身の生活習慣是正への取り組みを適正に評価することが可能になる。同氏も「当院の患者は“生活の変化がGA,1,5-AGに如実にあらわれる”と口をそろえて言う」と話している。
冒頭の読者アンケートの集計結果や同氏によるGA,1,5-AGの解説の詳細は,Medical Tribune 5月14日発行「糖尿病特集」で紹介する。
(編集室)