2013年07月12日 (金)
こんにちは。
mg5 さんから、糖質制限食による体重減少効果についてコメント・質問をいただきました。
◆<摂取エネルギーと消費エネルギー>
1)単純には摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太り、下回ればやせる。
2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
消費エネルギー=「基礎代謝+運動エネルギー+特異動的作用(SDA)」
3)糖質制限食なら
a)「常に体脂肪が燃えている」→基礎代謝の増加(仮説)
b)「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
c「高蛋白食による特異動的作用(SDA)の亢進」
d)「尿・呼気中ケトン体でエネルギーを消失」→これは極少ない
a)b)c)の3つが、2)に追加されるので高糖質食に比べて、消費エネルギーが増えるわけです。
1)2)3)は、a)の仮説以外は、全て生理学的事実です。
つまり、スーパー糖質制限食実践でも、3000kcal/日を摂取して、消費したカロリーが2500kcal/日なら、差し引き500kcal分は、余るので、その分は体脂肪として蓄積されます。
スーパー糖質制限食実践で、基礎代謝が増加し、SDAが亢進します。
そして脂肪は燃えて、肥満ホルモン(インスリン)の分泌は少量ですみます。
従って、糖質を摂取したときに比べると、とても体重が減少しやすいのです。
しかし、大食漢の場合は、スーパー糖質制限食でもやせません。
例えば食べた脂肪(中性脂肪)は、分解されて吸収されて、小腸上皮内で再び合成されて、血中を中性脂肪(キロミクロン)として流れています。
この中性脂肪が利用・消費されたあと余れば、リポタンパクリパーゼ(LPL)により分解されて脂肪酸になり、脂肪細胞の中に入って中性脂肪となり蓄積されます。
糖尿病学会推奨のように
男性:1400~1800kcal/日
女性:1200~1600kcal/日
といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
一方、国立健康・栄養研究所の「日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説
推定エネルギー必要量は18才以上の成人で、年齢により差がありますが、
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー/日
女性:1450~1700キロカロリー/日
身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー/日
女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合
男性:2500~3050キロカロリー/日
女性:2000~2300キロカロリー/日
です。
スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、適正体重になると思います。
なお糖質制限食による体重減少効果ですが、5つの利点があります。
◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食より特異動的作用(SDA)が亢進する。
⑤ケトン体がエネルギーを持ったまま尿中や呼気中に排泄される。→ごく少量
高蛋白食は、摂食時の特異動的作用(SDA)が通常食に比べて増加します。
SDAによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。
特異動的作用(SDA)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質を摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質を摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質を摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。
◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した特異動的作用(SDA)はなくなる。
E)ケトン体は尿中や呼気中に排泄されなくなる。
①②③④⑤とA)B)C)D)E)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。
たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。
江部康二
【13/07/12 mg5
カロリー 脂質
はじめまして、mg5です。
先生の糖質制限に深い感銘を受け実践しております。
小生の場合は、やせの体型維持のために勉強させていただいており、試行錯誤しております。
糖質制限による、グルコーススパイクが起こらないため、脂肪沈着、体重減少が得られる理論は理解できました。
ブログでは摂取カロリー>消費カロリーなら、体重増加、脂肪沈着が起きるとのことです。
糖質を0に近い食材で、摂取カロリーが消費カロリーをうわまわった場合、なぜ、体重増加や脂肪沈着が起きるのでしょうか?
糖質0に近ければ、理論的に体重や脂肪は増えないはずです。
カロリー、脂質もやはり制限すべきでしょうか?
周囲でも疑問となっており、カロリー制限におけるメニューの選択が、糖質制限になるのではとの意見があります。
なにとぞ、御教授お願いいたします。】
mg5 さんから、糖質制限食による体重減少効果についてコメント・質問をいただきました。
◆<摂取エネルギーと消費エネルギー>
1)単純には摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太り、下回ればやせる。
2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
消費エネルギー=「基礎代謝+運動エネルギー+特異動的作用(SDA)」
3)糖質制限食なら
a)「常に体脂肪が燃えている」→基礎代謝の増加(仮説)
b)「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
c「高蛋白食による特異動的作用(SDA)の亢進」
d)「尿・呼気中ケトン体でエネルギーを消失」→これは極少ない
a)b)c)の3つが、2)に追加されるので高糖質食に比べて、消費エネルギーが増えるわけです。
1)2)3)は、a)の仮説以外は、全て生理学的事実です。
つまり、スーパー糖質制限食実践でも、3000kcal/日を摂取して、消費したカロリーが2500kcal/日なら、差し引き500kcal分は、余るので、その分は体脂肪として蓄積されます。
スーパー糖質制限食実践で、基礎代謝が増加し、SDAが亢進します。
そして脂肪は燃えて、肥満ホルモン(インスリン)の分泌は少量ですみます。
従って、糖質を摂取したときに比べると、とても体重が減少しやすいのです。
しかし、大食漢の場合は、スーパー糖質制限食でもやせません。
例えば食べた脂肪(中性脂肪)は、分解されて吸収されて、小腸上皮内で再び合成されて、血中を中性脂肪(キロミクロン)として流れています。
この中性脂肪が利用・消費されたあと余れば、リポタンパクリパーゼ(LPL)により分解されて脂肪酸になり、脂肪細胞の中に入って中性脂肪となり蓄積されます。
糖尿病学会推奨のように
男性:1400~1800kcal/日
女性:1200~1600kcal/日
といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。
一方、国立健康・栄養研究所の「日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説
推定エネルギー必要量は18才以上の成人で、年齢により差がありますが、
身体活動レベルが低い人は
男性:1850~2250キロカロリー/日
女性:1450~1700キロカロリー/日
身体活動レベルが普通なら
男性:2200~2650キロカロリー/日
女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合
男性:2500~3050キロカロリー/日
女性:2000~2300キロカロリー/日
です。
スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、適正体重になると思います。
なお糖質制限食による体重減少効果ですが、5つの利点があります。
◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食より特異動的作用(SDA)が亢進する。
⑤ケトン体がエネルギーを持ったまま尿中や呼気中に排泄される。→ごく少量
高蛋白食は、摂食時の特異動的作用(SDA)が通常食に比べて増加します。
SDAによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。
特異動的作用(SDA)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質を摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質を摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質を摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。
◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した特異動的作用(SDA)はなくなる。
E)ケトン体は尿中や呼気中に排泄されなくなる。
①②③④⑤とA)B)C)D)E)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。
たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。
これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。
江部康二
【13/07/12 mg5
カロリー 脂質
はじめまして、mg5です。
先生の糖質制限に深い感銘を受け実践しております。
小生の場合は、やせの体型維持のために勉強させていただいており、試行錯誤しております。
糖質制限による、グルコーススパイクが起こらないため、脂肪沈着、体重減少が得られる理論は理解できました。
ブログでは摂取カロリー>消費カロリーなら、体重増加、脂肪沈着が起きるとのことです。
糖質を0に近い食材で、摂取カロリーが消費カロリーをうわまわった場合、なぜ、体重増加や脂肪沈着が起きるのでしょうか?
糖質0に近ければ、理論的に体重や脂肪は増えないはずです。
カロリー、脂質もやはり制限すべきでしょうか?
周囲でも疑問となっており、カロリー制限におけるメニューの選択が、糖質制限になるのではとの意見があります。
なにとぞ、御教授お願いいたします。】
2012年02月29日 (水)
こんにちは。
2012年2月27日(月)から、三大栄養素(タンパク質・脂質・糖質)の消化・吸収・代謝と血糖の関係について記事にしてきました。
今日は脂質について考えてみます。
食物中の脂質(ほとんどが中性脂肪)は、
グリセロールと脂肪酸に分解されて
脂肪酸とモノグリセリドに分解されて
小腸柔毛に吸収され
そのなかで中性脂肪に再合成され集合します。
この集合体は、キロミクロンと呼ばれ、リンパ液に瞬時に入り、リンパ管に拡散します。
キロミクロン(中性脂肪が積み荷)は、胸管を上行し鎖骨下静脈内に移行します。
鎖骨下静脈に入ったキロミクロンのほとんどは、肝臓、あるいは脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管を通る間に、
毛細血管壁にあるリポ蛋白リパーゼにより、その積み荷の中性脂肪は、脂肪酸とグリセロールに分解されます。その分、中性脂肪は血液中から取り除かれます。
脂肪酸は、筋肉細胞などでエネルギー源として利用されます。
脂肪細胞の脂肪酸は、血中に入り循環し筋肉細胞などで利用されます。
血中に残った脂肪酸は、肝臓と脂肪組織の中に拡散します。
そして、筋肉でエネルギー源として利用されずに肝臓や脂肪組織に取り込まれた脂肪酸は、再び中性脂肪に合成され脂肪細胞内に蓄えられます。
中性脂肪は、1つのグリセロール(グリセリン)に3分子の脂肪酸が結合して構成されています。
このように、食事で脂肪を摂取した場合、血中に入った中性脂肪は、脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管のリポ蛋白リパーゼにより分解されて、脂肪酸とグリセロールになりますが、血糖には変わりません。
また、脂肪酸はケトン体と共に心臓が優先的に使用するエネルギー源であり、長時間の運動の際には骨格筋の重要なエネルギー源ともなります。
空腹時には、身体のエネルギー源の大半が脂質代謝から供給されています。
脂質をエネルギー源として利用するには、中性脂肪を異化し遊離脂肪酸やグリセロールにする必要があります。
遊離脂肪酸は、肝臓および筋肉など末梢組織において、β酸化により代謝されアセチルCoAとなり、細胞のエネルギー源となります。
グリセロールは、肝臓において中性脂肪合成または糖新生に利用されます。
結論です。
上述の如く、脂肪を摂取して、それが直接血糖に変わるということはあり得ません。
一方、脂肪の分解物のグリセロールは、糖新生に利用されます。
江部康二
2012年2月27日(月)から、三大栄養素(タンパク質・脂質・糖質)の消化・吸収・代謝と血糖の関係について記事にしてきました。
今日は脂質について考えてみます。
食物中の脂質(ほとんどが中性脂肪)は、
脂肪酸とモノグリセリドに分解されて
小腸柔毛に吸収され
そのなかで中性脂肪に再合成され集合します。
この集合体は、キロミクロンと呼ばれ、リンパ液に瞬時に入り、リンパ管に拡散します。
キロミクロン(中性脂肪が積み荷)は、胸管を上行し鎖骨下静脈内に移行します。
鎖骨下静脈に入ったキロミクロンのほとんどは、肝臓、あるいは脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管を通る間に、
毛細血管壁にあるリポ蛋白リパーゼにより、その積み荷の中性脂肪は、脂肪酸とグリセロールに分解されます。その分、中性脂肪は血液中から取り除かれます。
脂肪酸は、筋肉細胞などでエネルギー源として利用されます。
脂肪細胞の脂肪酸は、血中に入り循環し筋肉細胞などで利用されます。
血中に残った脂肪酸は、肝臓と脂肪組織の中に拡散します。
そして、筋肉でエネルギー源として利用されずに肝臓や脂肪組織に取り込まれた脂肪酸は、再び中性脂肪に合成され脂肪細胞内に蓄えられます。
中性脂肪は、1つのグリセロール(グリセリン)に3分子の脂肪酸が結合して構成されています。
このように、食事で脂肪を摂取した場合、血中に入った中性脂肪は、脂肪組織・筋肉組織などの毛細血管のリポ蛋白リパーゼにより分解されて、脂肪酸とグリセロールになりますが、血糖には変わりません。
また、脂肪酸はケトン体と共に心臓が優先的に使用するエネルギー源であり、長時間の運動の際には骨格筋の重要なエネルギー源ともなります。
空腹時には、身体のエネルギー源の大半が脂質代謝から供給されています。
脂質をエネルギー源として利用するには、中性脂肪を異化し遊離脂肪酸やグリセロールにする必要があります。
遊離脂肪酸は、肝臓および筋肉など末梢組織において、β酸化により代謝されアセチルCoAとなり、細胞のエネルギー源となります。
グリセロールは、肝臓において中性脂肪合成または糖新生に利用されます。
結論です。
上述の如く、脂肪を摂取して、それが直接血糖に変わるということはあり得ません。
一方、脂肪の分解物のグリセロールは、糖新生に利用されます。
江部康二
2011年06月08日 (水)
食事誘発性熱産生(DIT)
すいません。
数字を一桁計算間違いしてました。
糖質12% 120kcal→食事誘発熱産生は0.72→正しくは7.2kcal
以下の数字に訂正です。
江部康二
<1000キロカロリーの食事で試算>
スーパー糖質制限食
糖質12% 120kcal→食事誘発熱産生は7.2kcal
脂質56% 560kcal→食事誘発熱産生は22.4kcal
蛋白質32% 320kcal→食事誘発熱産生は96kcal
合計125.6kcal→摂取エネルギーの12.6%
糖尿病食
糖質60% 600kcal→食事誘発熱産生は36kcal
脂質20% 200kcal→食事誘発熱産生は8kcal
蛋白質20% 200kcal→食事誘発熱産生は60kcal
合計104kcal→摂取エネルギーの10.4%
スーパー糖質制限食は糖尿病食より、約2.2%ほど食事誘発熱産生(DIT)が多いことになります。
すいません。
数字を一桁計算間違いしてました。
糖質12% 120kcal→食事誘発熱産生は0.72→正しくは7.2kcal
以下の数字に訂正です。
江部康二
<1000キロカロリーの食事で試算>
スーパー糖質制限食
糖質12% 120kcal→食事誘発熱産生は7.2kcal
脂質56% 560kcal→食事誘発熱産生は22.4kcal
蛋白質32% 320kcal→食事誘発熱産生は96kcal
合計125.6kcal→摂取エネルギーの12.6%
糖尿病食
糖質60% 600kcal→食事誘発熱産生は36kcal
脂質20% 200kcal→食事誘発熱産生は8kcal
蛋白質20% 200kcal→食事誘発熱産生は60kcal
合計104kcal→摂取エネルギーの10.4%
スーパー糖質制限食は糖尿病食より、約2.2%ほど食事誘発熱産生(DIT)が多いことになります。
2011年06月08日 (水)
こんにちは。
今回は、Toshi さんから食事誘発性熱産生(DIT)についてコメントいただきました。
私もうろ覚えだったので調べてみました。
Tarzan「体脂肪の燃やし方」、いいですね。私も買おうと思います。
【11/06/06 Toshi
Tarzan 579号
江部先生こんばんは
先日本屋さんにて「体脂肪の燃やし方」のタイトルになんとなくひらめきを感じ、タイトル名の雑誌を購入しました。
内容は「体脂肪を溜めない」「体脂肪を燃やす」という方面から糖質制限を勧めていて、良い意味で復習できました。
特に「DIT」という聞き慣れない単語の解説もあり、とても参考になる内容でした。やはり糖質制限は正しいんだと再認識いたしました。
これからも糖質制限が広まる事に期待しております。】
Toshiさん。
コメントありがとうございます。
食事誘発性熱産生(しょくじゆうはつせいねつさんせい)
Diet Induced Thermogenesis(DIT)
厚生労働省のページにわかりやすい解説があったので引用します。
【厚生労働省 メタボリック症候群が気になる方のための健康情報サイト e-ヘルスネット】
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-030.html
「食事誘発性熱産生
食事をした後、安静にしていても代謝量が増大すること。
食事を摂ると体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されます。このため、食事をした後は安静にしていても代謝量が増えます。
この代謝の増加を食事誘発性熱産生または特異動的作用といいます。
食事誘発性熱産生でどれくらいエネルギーを消費するかは、栄養素の種類によって異なります。
たんぱく質のみを摂取したときは摂取エネルギーの約30%、
糖質のみの場合は約6%、
脂質のみの場合は約4%で、
通常の食事はこれらの混合なので約10%程度になります。
食事をした後、身体が暖かくなるのはこの食事誘発性熱産生によるものです。
加齢や運動不足で筋肉が衰えると、基礎代謝が低下するだけでなく食事誘発性熱産生も低下します。
逆にトレーニングで筋肉を増やすと食事誘発性熱産生は高くなるとされています。
また、食事の摂り方としてよく噛まずに飲み込んだり、流動食だけを摂る場合に比べると、よく噛んで食べる方が食事誘発性熱産生は高くなるといわれています。」
恥ずかしながら、私はタンパク質・糖質・脂質で、それぞれ食事誘発性熱産生(DIT) が異なることを知りませんでした。
タンパク質を摂取したときのDITが30%と突出しています。
肉や魚や豆腐を中心に食べると身体が温かくなるということですね。
さて、スーパー糖質制限食と糖尿病食で、DITを試算してみました。
わかりやすくするため、1食1000キロカロリーとして計算してみました。
<1000キロカロリーの食事で試算>
スーパー糖質制限食
糖質12% 120kcal→食事誘発熱産生は7.2kcal
脂質56% 560kcal→食事誘発熱産生は22.4kcal
蛋白質32% 320kcal→食事誘発熱産生は96kcal
合計125.6kcal→摂取エネルギーの12.6%
糖尿病食
糖質60% 600kcal→食事誘発熱産生は36kcal
脂質20% 200kcal→食事誘発熱産生は8kcal
蛋白質20% 200kcal→食事誘発熱産生は60kcal
合計104kcal→摂取エネルギーの10.4%
スーパー糖質制限食は糖尿病食より、約2.2%ほど食事誘発熱産生(DIT)が多いことになります。
同一摂取カロリーなら、何を食べても食事誘発熱産生(DIT)は一緒と思い込んでましたが、実際は違うんですね。勉強になりました。
ということで、同一摂取カロリーなら、スーパー糖質制限食の方が糖尿病食よりは食事誘発熱産生(DIT)が少し多くて、ささやかだけどダイエットに有利です。
江部康二
今回は、Toshi さんから食事誘発性熱産生(DIT)についてコメントいただきました。
私もうろ覚えだったので調べてみました。
Tarzan「体脂肪の燃やし方」、いいですね。私も買おうと思います。
【11/06/06 Toshi
Tarzan 579号
江部先生こんばんは
先日本屋さんにて「体脂肪の燃やし方」のタイトルになんとなくひらめきを感じ、タイトル名の雑誌を購入しました。
内容は「体脂肪を溜めない」「体脂肪を燃やす」という方面から糖質制限を勧めていて、良い意味で復習できました。
特に「DIT」という聞き慣れない単語の解説もあり、とても参考になる内容でした。やはり糖質制限は正しいんだと再認識いたしました。
これからも糖質制限が広まる事に期待しております。】
Toshiさん。
コメントありがとうございます。
食事誘発性熱産生(しょくじゆうはつせいねつさんせい)
Diet Induced Thermogenesis(DIT)
厚生労働省のページにわかりやすい解説があったので引用します。
【厚生労働省 メタボリック症候群が気になる方のための健康情報サイト e-ヘルスネット】
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-030.html
「食事誘発性熱産生
食事をした後、安静にしていても代謝量が増大すること。
食事を摂ると体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されます。このため、食事をした後は安静にしていても代謝量が増えます。
この代謝の増加を食事誘発性熱産生または特異動的作用といいます。
食事誘発性熱産生でどれくらいエネルギーを消費するかは、栄養素の種類によって異なります。
たんぱく質のみを摂取したときは摂取エネルギーの約30%、
糖質のみの場合は約6%、
脂質のみの場合は約4%で、
通常の食事はこれらの混合なので約10%程度になります。
食事をした後、身体が暖かくなるのはこの食事誘発性熱産生によるものです。
加齢や運動不足で筋肉が衰えると、基礎代謝が低下するだけでなく食事誘発性熱産生も低下します。
逆にトレーニングで筋肉を増やすと食事誘発性熱産生は高くなるとされています。
また、食事の摂り方としてよく噛まずに飲み込んだり、流動食だけを摂る場合に比べると、よく噛んで食べる方が食事誘発性熱産生は高くなるといわれています。」
恥ずかしながら、私はタンパク質・糖質・脂質で、それぞれ食事誘発性熱産生(DIT) が異なることを知りませんでした。
タンパク質を摂取したときのDITが30%と突出しています。
肉や魚や豆腐を中心に食べると身体が温かくなるということですね。
さて、スーパー糖質制限食と糖尿病食で、DITを試算してみました。
わかりやすくするため、1食1000キロカロリーとして計算してみました。
<1000キロカロリーの食事で試算>
スーパー糖質制限食
糖質12% 120kcal→食事誘発熱産生は7.2kcal
脂質56% 560kcal→食事誘発熱産生は22.4kcal
蛋白質32% 320kcal→食事誘発熱産生は96kcal
合計125.6kcal→摂取エネルギーの12.6%
糖尿病食
糖質60% 600kcal→食事誘発熱産生は36kcal
脂質20% 200kcal→食事誘発熱産生は8kcal
蛋白質20% 200kcal→食事誘発熱産生は60kcal
合計104kcal→摂取エネルギーの10.4%
スーパー糖質制限食は糖尿病食より、約2.2%ほど食事誘発熱産生(DIT)が多いことになります。
同一摂取カロリーなら、何を食べても食事誘発熱産生(DIT)は一緒と思い込んでましたが、実際は違うんですね。勉強になりました。
ということで、同一摂取カロリーなら、スーパー糖質制限食の方が糖尿病食よりは食事誘発熱産生(DIT)が少し多くて、ささやかだけどダイエットに有利です。
江部康二
2011年05月28日 (土)
おはようございます。
今回はポコロコさんから、「脂肪分解と糖新生と糖質制限食」について、コメント・質問をいただきました。
【11/05/26 ポコロコ
代謝は難しい
江部 先生
今日は、初めまして。
最近このHPを知り、楽しく感心しながら読ませて頂いています。
さて、糖質制限ダイエット、というか糖質制限療法というか、
とにかく「糖質制限をする事は、人間(人類)の本来の食事生活に近い食生活をすることであるので、健康に良いのでは無いか?」
という事ですよね。
素晴らしい。そしてエビデンスも揃っている。
そもそも簡単に「糖質」が手に入らなかった時代に、その貴重な栄養を秋の収穫時に身体に漏らさず蓄え、それを冬の厳しさに対抗する「足し」にしていたという事か・・・
その貴重さとおいしさの為に次の秋が待ちどうしかったでしょうね。
そして普段は動物や魚、保存の利く木の実をなるべく丸ごと食べ、経験によって身体に良いと思われる草や樹皮等を、「薬(そう思っていたかどうか分かりませんが)」として摂取して長い長い時代を生き抜いてきた。
農業を始めて、糖質を手に入れやすくした為に、まるで貴重品を持った人がさらに欲しがるように糖質の「甘さ」の質を高め、それが人々にさらに求められ、中世のフランスのようにケーキの無駄食いによる、虫歯がステイタスにまでなったのでしょう。
そして、糖質の発展(ケーキなど更に甘くて美味しいもの)が、本来主食ではない、エクストラとして摂取していた穀物、特に精製された炭水化物が砂糖そのものと同等のカロリーを持ち、本来身体にとって余分なもの、たまに貰えるお年玉ではなく、毎月当たり前のように貰えるお小遣いと錯覚してしまったのでしょう。糖尿病は、そのバチが当たった、というところでしょうか。
すいません、前置きが長くなりすぎました(^^;
一つだけ教えて欲しいのですが、糖質(炭水化物)を制限すると、脂肪をブドウ糖に変えてエネルギーとする事は以前から承知していましたが、極端な(程度の定義が曖昧ですが)それを実行すると「筋肉を構成するたんぱく質を分解して、ブドウ糖を作るので、ダイエット中も炭水化物は適量摂るべきだ」という事を聞いたことがあります。
個人的には「ちょっと極端な感じがするな~」とも思ったことを覚えていますが、「折角ある筋肉を、少しでもダイエットをする為に消耗してしまうのは何だか大変もったいないぞ」とも思い、低インシュリンダイエットやその他炭水化物ダイエットに踏み切れませんでした。
(言い訳がましいのですが・・・^^;)
その辺をお手すきの時に教えて頂けると迷い無く、家内にも堂々とダイエット生活に入れるのですが・・・・。
よろしくご回答お願い致します。
ちなみに私、176センチ、83キロ、46歳。時々受ける健康診断では何故か血液検査は閾値ど真ん中で、家内(看護師)を不思議がらせています。ついでながらとても先生にお話できるような食生活ではないのですが、どうして異常が出ないのでしょうか??あわせて教えて頂けると長年の疑問が晴れるのですが(^^) 】
ポコロコさん。
コメントありがとうございます。
前置き?・・・仰有る通りだと思います。
【一つだけ教えて欲しいのですが、糖質(炭水化物)を制限すると、脂肪をブドウ糖に変えてエネルギーとする事は以前から承知していましたが、極端な(程度の定義が曖昧ですが)それを実行すると「筋肉を構成するたんぱく質を分解して、ブドウ糖を作るので、ダイエット中も炭水化物は適量摂るべきだ」という事を聞いたことがあります。】
糖質を制限すると、脂肪は常に分解されていて、肝臓では常に糖新生(新たにブドウ糖をつくること)をしています。
つまり、ビーフステーキを食べている最中にも、脂肪が分解されてますし、糖新生も行われています。
中性脂肪が分解すると脂肪酸とグリセロールになります。脂肪酸はそのまま、心筋や骨格筋など体細胞のエネルギー源となります。
また脂肪酸は肝細胞内で日常的に代謝されてアセチルCoAになり、アセチルCoAからケトン体が生じます。
ケトン体は脳細胞をはじめ、肝細胞と赤血球以外の全ての細胞のエネルギー源となります。
糖質制限食実践中や絶食中は、肝臓でのケトン体産生が高まります。
肝臓の糖新生は、空腹時には誰でも日常的に行われています。糖質制限食なら、食事中にも糖新生が行われています。
糖新生の原材料は、アミノ酸、乳酸、グリセロールなどです。これらから新たにブドウ糖をつくることを糖新生といいます。
それから各組織の細胞では、筋肉や爪などになる新しいタンパク質が、アミノ酸からつくられ、一方で古いタンパク質が分解されて、アミノ酸として静脈血中に放出され、大静脈から心臓を経て肝動脈から肝臓に入ります。
筋肉の分解などで血中に供給されたアミノ酸は、肝臓でアミノ酸プールに入り、糖新生やタンパク合成などに利用されます。
『体内のアミノ酸は、消化吸収によるものと、体タンパク質の分解によるものがあります。
体タンパク質の分解で生じたアミノ酸のうち、約70%はそこでそのまま再利用され、残り30%は血液中に排泄されます。
再利用分以外にタンパク合成に必要なアミノ酸は、あらたに血液中から取込まれます。
組織では、常に日常的に、このような体タンパク質の代謝回転が行われています。
代謝回転の結果生じたアミノ酸は、消化吸収によるアミノ酸同様、肝臓で代謝されます。
生体内では肝臓及び血液を中心に、アミノ酸がプールされています。』
(医学映像教育センターのサイトのサンプルから引用
http://www.igakueizou.co.jp/rights/page/biochemistry/1-3/detail/1-3-4/1-3-4-2.html)
いずれにせよ、体のタンパク質は、24時間分解と合成を繰り返して代謝回転しているわけです。
糖質制限したときだけ、筋肉が分解されるというのは、完全な誤解です。
【ちなみに私、176センチ、83キロ、46歳。
時々受ける健康診断では何故か血液検査は閾値ど真ん中で、家内(看護師)を不思議がらせています。
ついでながらとても先生にお話できるような食生活ではないのですが、どうして異常が出ないのでしょうか??
あわせて教えて頂けると長年の疑問が晴れるのですが 】
176センチ、83キロ、BMI26.8
2011-05-25のブログの如く、20才の時の体重から10kg以上増加したことがある人は、糖尿病発症のリスクが跳ね上がります。
精製炭水化物を摂取してグルコースミニスパイクを繰り返していれば、その内、内臓脂肪肥満が生じてインスリン抵抗性が増大し、インスリンがさらに過剰分泌され、高血圧やメタボとなっていきます。
悪い意味でも「ローマは一日にしてならず・・・」
20才のころからの積み重ねが、中年になって生活習慣病を生み出します。
ポコロコさん、空腹時血糖値と空腹時インスリンとを調べて見ましょう。
HOMA-RとHOMA-βを計算して、インスリン抵抗性やインスリン過剰分泌があれば、もう充分危ないですよ。
私は52才、糖尿病発覚時
167cm、66kg、BMI23.7 20才時より10kg以上増加。
20才
167cm、54kg、BMI19.4
ポコロコさんと同様、健康診断の血液・尿検査ではずっと正常でしたが、52才時にたまたま食後血糖値を測定して、200mg以上あり糖尿病が確定しました。
私も急に太り始めた40才過ぎに、空腹時インスリンを測定していれば、HOMA-RとHOMA-βを計算して、インスリン抵抗性とインスリン過剰分泌が診断できたと思いますが、後の祭りです。
ポコロコさん、ゆめゆめ油断めされませんように。
江部康二
今回はポコロコさんから、「脂肪分解と糖新生と糖質制限食」について、コメント・質問をいただきました。
【11/05/26 ポコロコ
代謝は難しい
江部 先生
今日は、初めまして。
最近このHPを知り、楽しく感心しながら読ませて頂いています。
さて、糖質制限ダイエット、というか糖質制限療法というか、
とにかく「糖質制限をする事は、人間(人類)の本来の食事生活に近い食生活をすることであるので、健康に良いのでは無いか?」
という事ですよね。
素晴らしい。そしてエビデンスも揃っている。
そもそも簡単に「糖質」が手に入らなかった時代に、その貴重な栄養を秋の収穫時に身体に漏らさず蓄え、それを冬の厳しさに対抗する「足し」にしていたという事か・・・
その貴重さとおいしさの為に次の秋が待ちどうしかったでしょうね。
そして普段は動物や魚、保存の利く木の実をなるべく丸ごと食べ、経験によって身体に良いと思われる草や樹皮等を、「薬(そう思っていたかどうか分かりませんが)」として摂取して長い長い時代を生き抜いてきた。
農業を始めて、糖質を手に入れやすくした為に、まるで貴重品を持った人がさらに欲しがるように糖質の「甘さ」の質を高め、それが人々にさらに求められ、中世のフランスのようにケーキの無駄食いによる、虫歯がステイタスにまでなったのでしょう。
そして、糖質の発展(ケーキなど更に甘くて美味しいもの)が、本来主食ではない、エクストラとして摂取していた穀物、特に精製された炭水化物が砂糖そのものと同等のカロリーを持ち、本来身体にとって余分なもの、たまに貰えるお年玉ではなく、毎月当たり前のように貰えるお小遣いと錯覚してしまったのでしょう。糖尿病は、そのバチが当たった、というところでしょうか。
すいません、前置きが長くなりすぎました(^^;
一つだけ教えて欲しいのですが、糖質(炭水化物)を制限すると、脂肪をブドウ糖に変えてエネルギーとする事は以前から承知していましたが、極端な(程度の定義が曖昧ですが)それを実行すると「筋肉を構成するたんぱく質を分解して、ブドウ糖を作るので、ダイエット中も炭水化物は適量摂るべきだ」という事を聞いたことがあります。
個人的には「ちょっと極端な感じがするな~」とも思ったことを覚えていますが、「折角ある筋肉を、少しでもダイエットをする為に消耗してしまうのは何だか大変もったいないぞ」とも思い、低インシュリンダイエットやその他炭水化物ダイエットに踏み切れませんでした。
(言い訳がましいのですが・・・^^;)
その辺をお手すきの時に教えて頂けると迷い無く、家内にも堂々とダイエット生活に入れるのですが・・・・。
よろしくご回答お願い致します。
ちなみに私、176センチ、83キロ、46歳。時々受ける健康診断では何故か血液検査は閾値ど真ん中で、家内(看護師)を不思議がらせています。ついでながらとても先生にお話できるような食生活ではないのですが、どうして異常が出ないのでしょうか??あわせて教えて頂けると長年の疑問が晴れるのですが(^^) 】
ポコロコさん。
コメントありがとうございます。
前置き?・・・仰有る通りだと思います。
【一つだけ教えて欲しいのですが、糖質(炭水化物)を制限すると、脂肪をブドウ糖に変えてエネルギーとする事は以前から承知していましたが、極端な(程度の定義が曖昧ですが)それを実行すると「筋肉を構成するたんぱく質を分解して、ブドウ糖を作るので、ダイエット中も炭水化物は適量摂るべきだ」という事を聞いたことがあります。】
糖質を制限すると、脂肪は常に分解されていて、肝臓では常に糖新生(新たにブドウ糖をつくること)をしています。
つまり、ビーフステーキを食べている最中にも、脂肪が分解されてますし、糖新生も行われています。
中性脂肪が分解すると脂肪酸とグリセロールになります。脂肪酸はそのまま、心筋や骨格筋など体細胞のエネルギー源となります。
また脂肪酸は肝細胞内で日常的に代謝されてアセチルCoAになり、アセチルCoAからケトン体が生じます。
ケトン体は脳細胞をはじめ、肝細胞と赤血球以外の全ての細胞のエネルギー源となります。
糖質制限食実践中や絶食中は、肝臓でのケトン体産生が高まります。
肝臓の糖新生は、空腹時には誰でも日常的に行われています。糖質制限食なら、食事中にも糖新生が行われています。
糖新生の原材料は、アミノ酸、乳酸、グリセロールなどです。これらから新たにブドウ糖をつくることを糖新生といいます。
それから各組織の細胞では、筋肉や爪などになる新しいタンパク質が、アミノ酸からつくられ、一方で古いタンパク質が分解されて、アミノ酸として静脈血中に放出され、大静脈から心臓を経て肝動脈から肝臓に入ります。
筋肉の分解などで血中に供給されたアミノ酸は、肝臓でアミノ酸プールに入り、糖新生やタンパク合成などに利用されます。
『体内のアミノ酸は、消化吸収によるものと、体タンパク質の分解によるものがあります。
体タンパク質の分解で生じたアミノ酸のうち、約70%はそこでそのまま再利用され、残り30%は血液中に排泄されます。
再利用分以外にタンパク合成に必要なアミノ酸は、あらたに血液中から取込まれます。
組織では、常に日常的に、このような体タンパク質の代謝回転が行われています。
代謝回転の結果生じたアミノ酸は、消化吸収によるアミノ酸同様、肝臓で代謝されます。
生体内では肝臓及び血液を中心に、アミノ酸がプールされています。』
(医学映像教育センターのサイトのサンプルから引用
http://www.igakueizou.co.jp/rights/page/biochemistry/1-3/detail/1-3-4/1-3-4-2.html)
いずれにせよ、体のタンパク質は、24時間分解と合成を繰り返して代謝回転しているわけです。
糖質制限したときだけ、筋肉が分解されるというのは、完全な誤解です。
【ちなみに私、176センチ、83キロ、46歳。
時々受ける健康診断では何故か血液検査は閾値ど真ん中で、家内(看護師)を不思議がらせています。
ついでながらとても先生にお話できるような食生活ではないのですが、どうして異常が出ないのでしょうか??
あわせて教えて頂けると長年の疑問が晴れるのですが 】
176センチ、83キロ、BMI26.8
2011-05-25のブログの如く、20才の時の体重から10kg以上増加したことがある人は、糖尿病発症のリスクが跳ね上がります。
精製炭水化物を摂取してグルコースミニスパイクを繰り返していれば、その内、内臓脂肪肥満が生じてインスリン抵抗性が増大し、インスリンがさらに過剰分泌され、高血圧やメタボとなっていきます。
悪い意味でも「ローマは一日にしてならず・・・」
20才のころからの積み重ねが、中年になって生活習慣病を生み出します。
ポコロコさん、空腹時血糖値と空腹時インスリンとを調べて見ましょう。
HOMA-RとHOMA-βを計算して、インスリン抵抗性やインスリン過剰分泌があれば、もう充分危ないですよ。
私は52才、糖尿病発覚時
167cm、66kg、BMI23.7 20才時より10kg以上増加。
20才
167cm、54kg、BMI19.4
ポコロコさんと同様、健康診断の血液・尿検査ではずっと正常でしたが、52才時にたまたま食後血糖値を測定して、200mg以上あり糖尿病が確定しました。
私も急に太り始めた40才過ぎに、空腹時インスリンを測定していれば、HOMA-RとHOMA-βを計算して、インスリン抵抗性とインスリン過剰分泌が診断できたと思いますが、後の祭りです。
ポコロコさん、ゆめゆめ油断めされませんように。
江部康二