2015年04月10日 (金)
【15/04/09 dabo_gc
日本と海外と表記基準が違う件
初めまして。もう何年もブログを読ませて頂いていますが、書き込みは初めてです。
アトキンス式を含む「ローカーボダイエット」ですが、日本ではあれは「食物繊維」を摂らないから駄目だという方がいらっしゃるのに気が付きました。
先生が書かれているように日本では「炭水化物=糖質+食物繊維」ですが、(私の在住している)オーストラリアでは「炭水化物=糖類(糖質ではない)+澱粉」という考え方で、食物繊維(Dietary Fibre)は炭水化物(Carbohydrate)とは別項目で成分表も表示されています。
つまり、日本で言う「糖質制限」は少なくともオーストラリアにおいては「炭水化物制限」と全く同じであることを意味します。
すでにご存知だとは思いますし、こんな古いエントリーに今頃コメントを入れて申し訳ありません。
ただ、この表記基準の違いを知らずに海外の「炭水化物制限」を議論する方がネットの中には多いようですので、是非、先生のお時間があります時にでも、周知徹底していただけたらいらぬ議論も減るのではないかと思い、書かせて頂きました。】
こんにちは。
オーストラリア在住の、dabo_gc さんから、日本の炭水化物とオーストラリアの炭水化物は、意味が違うというコメントをいただきました。
ありがとうございます。
日本では、「炭水化物=糖質+食物繊維」
オーストラリアでは、「炭水化物=糖類(糖質ではない)+澱粉」
なるほど、大きく異なっていますね。
オーストラリアでは、炭水化物表示の中に食物繊維が含まれていないので、
『日本の糖質表示』=『オーストラリアの炭水化物表示』
となるわけですか。
糖類なのですが、日本では、
「糖類=単糖類(ブドウ糖、果糖など)+2糖類(ショ糖、乳糖など)」
「糖質=糖類+オリゴ糖+澱粉+糖アルコール+合成甘味料」
です。
オーストラリアの糖類表示は
「糖類=単糖類+2糖類+オリゴ糖など多糖類」
ということになるのでしょうか?
さて、米国の炭水化物表示はどのようになっているのでしょうか?
どなたか、米国本土やハワイ在住の方、ご教示いただけば幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
【carbohydrate(英語)=炭水化物(日本語)】
ということで、英語と日本語で炭水化物に関しては、ピッタリの訳語があります。
しかし、carbohydrateの定義に関しては、国により差があるのが現状です。
さらに、日本語の糖質にピッタリ一致する英単語がないのです。
このことが、いろいろ混乱を生んできた要因と思われます。
医学論文などでは
【available carbohydrate(英語)=糖質(日本語)】
とされていますので、英単語はないけれど、
available carbohydrate という複合語でいいのかと思います。
江部康二
☆☆☆
<健康増進法における栄養表示基準>
日本では、健康増進法における栄養表示基準というのがあって、各メーカーさんはこれに従っています。
栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は
<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
①栄養表示基準上は、たんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=でんぷん、オリゴ糖、デキストリン
*二糖類=砂糖、麦芽糖、乳糖
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトース
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、ネオテームなど
**食物繊維(ヒトで消化・吸収されないので基本的にはゼロカロリー)
一、水溶性食物繊維
a)ポリデキストロース
海藻、こんにゃくの他、野菜、果汁類にも含まれる水溶性の食物繊維
です。ぶどう糖などから作られます。
b)難消化性デキストリン
とうもろこしなどに含まれる水溶性の食物繊維です。とうもろこしでんぷん
などを分解して作られます。糖質の吸収を穏やかにする作用があり、
血糖値が高めの方向けの特定保健用食品の機能素材となっています。
二、不溶性食物繊維 セルロース
植物の細胞壁の構成成分です。不溶性の食物繊維です。食品には粘性を
与えたりするために利用されています。
食品100g中の炭水化物を表示するとき、基準に則れば、
炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分>
となります。
つまり、栄養表示上は、たんぱく質、脂質、灰分のいずれにも分類されないものは、☆炭水化物に計算されます。
合成甘味料が糖質に分類されるのは、何だか変ですが、炭水化物・糖質の栄養表示基準の定義に従えばそうなります。
日本と海外と表記基準が違う件
初めまして。もう何年もブログを読ませて頂いていますが、書き込みは初めてです。
アトキンス式を含む「ローカーボダイエット」ですが、日本ではあれは「食物繊維」を摂らないから駄目だという方がいらっしゃるのに気が付きました。
先生が書かれているように日本では「炭水化物=糖質+食物繊維」ですが、(私の在住している)オーストラリアでは「炭水化物=糖類(糖質ではない)+澱粉」という考え方で、食物繊維(Dietary Fibre)は炭水化物(Carbohydrate)とは別項目で成分表も表示されています。
つまり、日本で言う「糖質制限」は少なくともオーストラリアにおいては「炭水化物制限」と全く同じであることを意味します。
すでにご存知だとは思いますし、こんな古いエントリーに今頃コメントを入れて申し訳ありません。
ただ、この表記基準の違いを知らずに海外の「炭水化物制限」を議論する方がネットの中には多いようですので、是非、先生のお時間があります時にでも、周知徹底していただけたらいらぬ議論も減るのではないかと思い、書かせて頂きました。】
こんにちは。
オーストラリア在住の、dabo_gc さんから、日本の炭水化物とオーストラリアの炭水化物は、意味が違うというコメントをいただきました。
ありがとうございます。
日本では、「炭水化物=糖質+食物繊維」
オーストラリアでは、「炭水化物=糖類(糖質ではない)+澱粉」
なるほど、大きく異なっていますね。
オーストラリアでは、炭水化物表示の中に食物繊維が含まれていないので、
『日本の糖質表示』=『オーストラリアの炭水化物表示』
となるわけですか。
糖類なのですが、日本では、
「糖類=単糖類(ブドウ糖、果糖など)+2糖類(ショ糖、乳糖など)」
「糖質=糖類+オリゴ糖+澱粉+糖アルコール+合成甘味料」
です。
オーストラリアの糖類表示は
「糖類=単糖類+2糖類+オリゴ糖など多糖類」
ということになるのでしょうか?
さて、米国の炭水化物表示はどのようになっているのでしょうか?
どなたか、米国本土やハワイ在住の方、ご教示いただけば幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
【carbohydrate(英語)=炭水化物(日本語)】
ということで、英語と日本語で炭水化物に関しては、ピッタリの訳語があります。
しかし、carbohydrateの定義に関しては、国により差があるのが現状です。
さらに、日本語の糖質にピッタリ一致する英単語がないのです。
このことが、いろいろ混乱を生んできた要因と思われます。
医学論文などでは
【available carbohydrate(英語)=糖質(日本語)】
とされていますので、英単語はないけれど、
available carbohydrate という複合語でいいのかと思います。
江部康二
☆☆☆
<健康増進法における栄養表示基準>
日本では、健康増進法における栄養表示基準というのがあって、各メーカーさんはこれに従っています。
栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は
<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
①栄養表示基準上は、たんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=でんぷん、オリゴ糖、デキストリン
*二糖類=砂糖、麦芽糖、乳糖
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトース
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、ネオテームなど
**食物繊維(ヒトで消化・吸収されないので基本的にはゼロカロリー)
一、水溶性食物繊維
a)ポリデキストロース
海藻、こんにゃくの他、野菜、果汁類にも含まれる水溶性の食物繊維
です。ぶどう糖などから作られます。
b)難消化性デキストリン
とうもろこしなどに含まれる水溶性の食物繊維です。とうもろこしでんぷん
などを分解して作られます。糖質の吸収を穏やかにする作用があり、
血糖値が高めの方向けの特定保健用食品の機能素材となっています。
二、不溶性食物繊維 セルロース
植物の細胞壁の構成成分です。不溶性の食物繊維です。食品には粘性を
与えたりするために利用されています。
食品100g中の炭水化物を表示するとき、基準に則れば、
炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分>
となります。
つまり、栄養表示上は、たんぱく質、脂質、灰分のいずれにも分類されないものは、☆炭水化物に計算されます。
合成甘味料が糖質に分類されるのは、何だか変ですが、炭水化物・糖質の栄養表示基準の定義に従えばそうなります。
2011年04月25日 (月)
こんばんは。
「炭水化物(糖質)の存在意義および価値は?ひらたく言うと、糖質は何のためにあるのでしょうか?」
こんな質問を、新聞記者さんからいただきましたので考えてみました。
必須アミノ酸、必須脂肪酸は、厳然と存在します。
人体で生産することができないアミノ酸と脂肪酸は、必ず食物から摂取する必要があります。
また、ビタミンも体内で合成できないものがほとんどで、食物から摂取する必要があります。
これに対して、必須糖質は存在しません。
体内で必要なブドウ糖は、肝臓で糖新生してまかなうので、食物から摂取する必要はないのです。
人体内で絶対に必要なブドウ糖は、赤血球のためです。
赤血球は、ミトコンドリアというエネルギー生産装置を持っていないので、ブドウ糖しか利用できません。
脳は、脂肪酸の分解物のケトン体をいくらでもエネルギー源としますし、ブドウ糖も利用します。
他の心筋、骨格筋、体細胞は日常的には脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源として、時々ブドウ糖も利用します。
人類の進化の歴史において、農耕が始まる前の狩猟・採集時代における糖質の役割は、中性脂肪蓄積が第一義であったと考えられます。
初期の人類において、中性脂肪を体脂肪として蓄えておくことは、日常的に襲ってくる飢餓への、唯一のセーフティーネットであったと考えられます。
狩猟・採集時代に時々手に入った糖質は、野生の果物、ナッツ類、山芋などです。
運良くこれらを得たとき、少量のインスリンが追加分泌されて、脂肪細胞のGLUT4が細胞表面に上がりブドウ糖を取り込んで中性脂肪に変えていたのです。
また果物の果糖は、ブドウ糖にはほとんど変わりませんが吸収されて肝臓にいたり、ブドウ糖より速やかに中性脂肪になり蓄積されます。果物の糖質には、ブドウ糖、ショ糖、果糖などがあります。
このように、人類の進化の過程では、糖質は時々しか手に入らない貴重な中性脂肪蓄積のもとだったと考えられます。
本来、中性脂肪蓄積が第一義であった糖質を、農耕が定着して以降は、日常的に摂取するようになりました。
さらにこの200年は、精製炭水化物を常食するようになったので、大量の追加分泌インスリンがでて、大変中性脂肪が蓄積されやすい状況となり、肥満が発症しやすくなったのです。
江部康二
「炭水化物(糖質)の存在意義および価値は?ひらたく言うと、糖質は何のためにあるのでしょうか?」
こんな質問を、新聞記者さんからいただきましたので考えてみました。
必須アミノ酸、必須脂肪酸は、厳然と存在します。
人体で生産することができないアミノ酸と脂肪酸は、必ず食物から摂取する必要があります。
また、ビタミンも体内で合成できないものがほとんどで、食物から摂取する必要があります。
これに対して、必須糖質は存在しません。
体内で必要なブドウ糖は、肝臓で糖新生してまかなうので、食物から摂取する必要はないのです。
人体内で絶対に必要なブドウ糖は、赤血球のためです。
赤血球は、ミトコンドリアというエネルギー生産装置を持っていないので、ブドウ糖しか利用できません。
脳は、脂肪酸の分解物のケトン体をいくらでもエネルギー源としますし、ブドウ糖も利用します。
他の心筋、骨格筋、体細胞は日常的には脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源として、時々ブドウ糖も利用します。
人類の進化の歴史において、農耕が始まる前の狩猟・採集時代における糖質の役割は、中性脂肪蓄積が第一義であったと考えられます。
初期の人類において、中性脂肪を体脂肪として蓄えておくことは、日常的に襲ってくる飢餓への、唯一のセーフティーネットであったと考えられます。
狩猟・採集時代に時々手に入った糖質は、野生の果物、ナッツ類、山芋などです。
運良くこれらを得たとき、少量のインスリンが追加分泌されて、脂肪細胞のGLUT4が細胞表面に上がりブドウ糖を取り込んで中性脂肪に変えていたのです。
また果物の果糖は、ブドウ糖にはほとんど変わりませんが吸収されて肝臓にいたり、ブドウ糖より速やかに中性脂肪になり蓄積されます。果物の糖質には、ブドウ糖、ショ糖、果糖などがあります。
このように、人類の進化の過程では、糖質は時々しか手に入らない貴重な中性脂肪蓄積のもとだったと考えられます。
本来、中性脂肪蓄積が第一義であった糖質を、農耕が定着して以降は、日常的に摂取するようになりました。
さらにこの200年は、精製炭水化物を常食するようになったので、大量の追加分泌インスリンがでて、大変中性脂肪が蓄積されやすい状況となり、肥満が発症しやすくなったのです。
江部康二
2010年11月17日 (水)
こんにちは。
たつのおとしごさんから、「日本語の糖質に当たる英語はavailable carbohydrate」というコメントをいただきました。たつのおとしごさんは、糖質に関わる仕事をしておられます。
「10/11/16 たつのおとしご
こんにちは。
糖質に関わる仕事をしています。かつ母が糖尿病で、自分も予備軍です。先生のブログと書籍はいつも参考にさせていただいております。
日本語の糖質に当たる英語はavailable carbohydrateです。
一部でglycaemic carbohydrateを推すむきもありますが、glycaemic index (GI)と混乱するおそれがあることから、現在のところavailable carbohydrateの方が推奨されています。
carbohydrateの定義、難しいです。国によっても違います。
分析法から規定すると、
差分法では、
炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分+アルコール>
直接分析法では、
炭水化物=単糖+二糖+オリゴ糖+多糖(繊維を含む)
とするのが一般的です。
sugarは一般的な用語ですが、定義が曖昧ですので、私たちは使いません。
ところで、食物繊維も曲者です。分析法としては食品成分表ではProsky変法が使われますが、難消化性澱粉(Resistant starch)の一部が入ってきます。消化されないという定義の下では問題ないのですが、では難消化性澱粉は糖質か繊維か?
GIは有用な指標だと私は思っているのですが、間違って解釈されることが多く、それ故医療関係者に使ってもらえないのではないかと思っています。糖質50g摂取したとき、という定義でありながら、実は炭水化物50gになっている場合が非常に多いとみています。世界的には、available carbohydrate 50g摂取したとき、という定義にしようという動きですが、肝心のavailable carbohydrateの分析法は曖昧なままです。
気になりましたので、コメントさせていただきました。糖質の仕事をしながら、皮肉にも予備軍となってしまい、糖尿病に移行しないためにも、公私ともに勉強中です。今後ともよろしくお願いします。」
たつのおとしごさん。
本のご購入、糖質に関する詳しいコメント、ありがとうございます。とても参考になります。
「carbohydrateの定義、難しいです。国によっても違います。
分析法から規定すると、
差分法では、
炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分+アルコール>
直接分析法では、
炭水化物=単糖+二糖+オリゴ糖+多糖(繊維を含む)
とするのが一般的です。」
日本の五訂食品標準成分表は、差分法で規定しています。国によっては、直接分析法の場合もあるのですね。
ちなみに単糖類が3個~9個くらいまでの結合を、一般にオリゴ糖と呼び、10個以上の結合があるときは一般に多糖類と呼ぶようですね。
日本のような差分法では、合成甘味料や糖アルコールは炭水化物に分類されますが、直接法だと炭水化物には分類されないことになるのですね。
国際的には定義・分類はまだまだ混乱が続きそうです。
「GI・・・世界的には、available carbohydrate 50g摂取したとき、という定義にしようという動きですが、肝心のavailable carbohydrateの分析法は曖昧なままです。」
日本のGIは、糖質(すなわちavailable carbohydrate)50gを含む食材で計算するよう、日本GI研究会が提唱しています。
しかし、GIの提唱者であるジェンキンス博士(トロント大学)が、1982年に発表した論文では、carbohydrateと記載されているので、当時は食物繊維を含めた50gで計算していたようです。
世界的に、まずは「available carbohydrate 50g摂取したとき」という定義に統一して欲しいですね。
食物繊維にしても、五訂食品標準成分表において、食物繊維を0キロカロリーで計算しているときと、2キロカロリーで計算しているときがあり???の状態です。 (∵)?
食品に関して基本的なことが、案外、きっちり定義されていないのですね。 (*_*)
江部康二
ここからは、2010年11月28日(日)京都ロイヤルホテルで開催する
「糖質制限食フルコースディナー&ライブ+ちょっぴり講演」
のお知らせです。
☆☆☆☆☆
ドクター江部ブログの読者の皆様へ
この度、私ども(株)恵比寿屋西陣では、糖質制限食のフルコースディナー&ドクター江部ライブショーを開催致します。
厳選された糖質制限食材に腕をふるい、華麗な料理を生み出すのは、シドニーやロンドンの有名店で総料理長を歴任してきた京都ロイヤルホテル&スパの長峯総料理長。一流ホテルによる糖質制限フルコースは日本初の試みです。
糖質制限食をさらにおいしくするドクター江部の軽妙洒脱な講演に続き、ドクター率いるバンド、「ターニングポイント」の生演奏を聴きながら、豪華なディナーをお楽しみ下さい。
ドクター江部ファンの皆様のみならず、糖質制限ダイエットに興味がある方、本当に健康によい新たな料理の可能性に関心を持つ皆様など、多くの方々にご参加いただけますと幸いです。
■会場 京都ロイヤルホテル&スパ 京都市中京区河原町三条上ル
http://www.ishinhotels.com/kyoto-royal/jp/index.html
■日時 2010年11月28日(日) 18:30-21:00(開場18時)
■定員 100名
■参加費用 \12,000(税・サービス料込)
■プログラム
18:00 開場
18:30-19:00 講演 江部康二
19:00-21:00 ディナー(糖質制限フルコース)
19:40-20:10 バンド ターニングポイント 演奏 (Vo. 江部康二)
■主催 (株)恵比寿屋西陣 京都市上京区伊佐町196
■ご予約・お問い合わせ
下記リンク先のフォームよりお願い致します。
折り返し、こちらからメールにてご連絡致します。
なお、電話によるお問い合わせには対応致しかねます。
京都ロイヤルホテル&スパへのお問い合わせはご遠慮下さい。
お申し込みフォーム
http://carbo-free.jp/
たつのおとしごさんから、「日本語の糖質に当たる英語はavailable carbohydrate」というコメントをいただきました。たつのおとしごさんは、糖質に関わる仕事をしておられます。
「10/11/16 たつのおとしご
こんにちは。
糖質に関わる仕事をしています。かつ母が糖尿病で、自分も予備軍です。先生のブログと書籍はいつも参考にさせていただいております。
日本語の糖質に当たる英語はavailable carbohydrateです。
一部でglycaemic carbohydrateを推すむきもありますが、glycaemic index (GI)と混乱するおそれがあることから、現在のところavailable carbohydrateの方が推奨されています。
carbohydrateの定義、難しいです。国によっても違います。
分析法から規定すると、
差分法では、
炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分+アルコール>
直接分析法では、
炭水化物=単糖+二糖+オリゴ糖+多糖(繊維を含む)
とするのが一般的です。
sugarは一般的な用語ですが、定義が曖昧ですので、私たちは使いません。
ところで、食物繊維も曲者です。分析法としては食品成分表ではProsky変法が使われますが、難消化性澱粉(Resistant starch)の一部が入ってきます。消化されないという定義の下では問題ないのですが、では難消化性澱粉は糖質か繊維か?
GIは有用な指標だと私は思っているのですが、間違って解釈されることが多く、それ故医療関係者に使ってもらえないのではないかと思っています。糖質50g摂取したとき、という定義でありながら、実は炭水化物50gになっている場合が非常に多いとみています。世界的には、available carbohydrate 50g摂取したとき、という定義にしようという動きですが、肝心のavailable carbohydrateの分析法は曖昧なままです。
気になりましたので、コメントさせていただきました。糖質の仕事をしながら、皮肉にも予備軍となってしまい、糖尿病に移行しないためにも、公私ともに勉強中です。今後ともよろしくお願いします。」
たつのおとしごさん。
本のご購入、糖質に関する詳しいコメント、ありがとうございます。とても参考になります。
「carbohydrateの定義、難しいです。国によっても違います。
分析法から規定すると、
差分法では、
炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分+アルコール>
直接分析法では、
炭水化物=単糖+二糖+オリゴ糖+多糖(繊維を含む)
とするのが一般的です。」
日本の五訂食品標準成分表は、差分法で規定しています。国によっては、直接分析法の場合もあるのですね。
ちなみに単糖類が3個~9個くらいまでの結合を、一般にオリゴ糖と呼び、10個以上の結合があるときは一般に多糖類と呼ぶようですね。
日本のような差分法では、合成甘味料や糖アルコールは炭水化物に分類されますが、直接法だと炭水化物には分類されないことになるのですね。
国際的には定義・分類はまだまだ混乱が続きそうです。
「GI・・・世界的には、available carbohydrate 50g摂取したとき、という定義にしようという動きですが、肝心のavailable carbohydrateの分析法は曖昧なままです。」
日本のGIは、糖質(すなわちavailable carbohydrate)50gを含む食材で計算するよう、日本GI研究会が提唱しています。
しかし、GIの提唱者であるジェンキンス博士(トロント大学)が、1982年に発表した論文では、carbohydrateと記載されているので、当時は食物繊維を含めた50gで計算していたようです。
世界的に、まずは「available carbohydrate 50g摂取したとき」という定義に統一して欲しいですね。
食物繊維にしても、五訂食品標準成分表において、食物繊維を0キロカロリーで計算しているときと、2キロカロリーで計算しているときがあり???の状態です。 (∵)?
食品に関して基本的なことが、案外、きっちり定義されていないのですね。 (*_*)
江部康二
ここからは、2010年11月28日(日)京都ロイヤルホテルで開催する
「糖質制限食フルコースディナー&ライブ+ちょっぴり講演」
のお知らせです。
☆☆☆☆☆
ドクター江部ブログの読者の皆様へ
この度、私ども(株)恵比寿屋西陣では、糖質制限食のフルコースディナー&ドクター江部ライブショーを開催致します。
厳選された糖質制限食材に腕をふるい、華麗な料理を生み出すのは、シドニーやロンドンの有名店で総料理長を歴任してきた京都ロイヤルホテル&スパの長峯総料理長。一流ホテルによる糖質制限フルコースは日本初の試みです。
糖質制限食をさらにおいしくするドクター江部の軽妙洒脱な講演に続き、ドクター率いるバンド、「ターニングポイント」の生演奏を聴きながら、豪華なディナーをお楽しみ下さい。
ドクター江部ファンの皆様のみならず、糖質制限ダイエットに興味がある方、本当に健康によい新たな料理の可能性に関心を持つ皆様など、多くの方々にご参加いただけますと幸いです。
■会場 京都ロイヤルホテル&スパ 京都市中京区河原町三条上ル
http://www.ishinhotels.com/kyoto-royal/jp/index.html
■日時 2010年11月28日(日) 18:30-21:00(開場18時)
■定員 100名
■参加費用 \12,000(税・サービス料込)
■プログラム
18:00 開場
18:30-19:00 講演 江部康二
19:00-21:00 ディナー(糖質制限フルコース)
19:40-20:10 バンド ターニングポイント 演奏 (Vo. 江部康二)
■主催 (株)恵比寿屋西陣 京都市上京区伊佐町196
■ご予約・お問い合わせ
下記リンク先のフォームよりお願い致します。
折り返し、こちらからメールにてご連絡致します。
なお、電話によるお問い合わせには対応致しかねます。
京都ロイヤルホテル&スパへのお問い合わせはご遠慮下さい。
お申し込みフォーム
http://carbo-free.jp/
2010年11月16日 (火)
こんにちは。
【carbohydrate(英語)=炭水化物(日本語)】
【炭水化物=糖質+食物繊維】
英語と日本語で炭水化物に関しては、ピッタリの訳語があって何の問題もないのです。
ところが、日本語の糖質にピッタリ一致する英語がないのです。
このことが、日本の論文を読むときと英語の論文を読むときに、一定の混乱を生んできました。 (∵)?
例えばGI(glycemic index 血糖上昇指数)にしても、英語の論文はcarbohydrate(炭水化物)50gを含む食品のデータをみている可能性が高いのに対して、日本語の論文では、糖質50gを含む食品のデータをみています。
これでは、日本のGIと欧米のGIで、食物繊維(fiber)分のずれが生じてしまいます。
【carbohydrate=starch+sugar+fiber】
と定義してある英語論文がありました。
そうすると、
【starch+sugar=糖質】
ということになるのですが、
【starch=デンプン】
として、sugarの意味が含む範囲が、いまいちよくわかりません(∵)?
どなたか、このあたりのことご存じでしたら是非ご教示ください。 m(_ _)m
さて。
日頃何気なく使っている言葉、「炭水化物、糖質、糖類」これらの違いはどうなっているのでしょう。復習と追補を兼ねて考えてみましょう。
日本では、健康増進法における栄養表示基準というのがあって、各メーカーさんはこれに従っています。
栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は
<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
①栄養表示基準上は、たんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=でんぷん、オリゴ糖、デキストリン
*二糖類=砂糖、麦芽糖、乳糖
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトース
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、ネオテームなど
**食物繊維(ヒトで消化・吸収されないので基本的にはゼロカロリー)
一、水溶性食物繊維
a)ポリデキストロース
海藻、こんにゃくの他、野菜、果汁類にも含まれる水溶性の食物繊維
です。ぶどう糖などから作られます。
b)難消化性デキストリン
とうもろこしなどに含まれる水溶性の食物繊維です。とうもろこしでんぷん
などを分解して作られます。糖質の吸収を穏やかにする作用があり、
血糖値が高めの方向けの特定保健用食品の機能素材となっています。
二、不溶性食物繊維 セルロース
植物の細胞壁の構成成分です。不溶性の食物繊維です。食品には粘性を
与えたりするために利用されています。
食品100g中の炭水化物を表示するとき、基準に則れば、
炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分>
となります。
つまり、栄養表示上は、たんぱく質、脂質、灰分のいずれにも分類されないものは、炭水化物に計算されます。
合成甘味料が糖質に分類されるのは、何だか変ですが、炭水化物・糖質の栄養表示基準の定義に従えばそうなるようです。(∵)?
このあたりのことは、
アサヒ飲料のホームページ
http://www.asahiinryo.co.jp/customer/dictionary/ing_carbohydrates.html
にわかりやすく図解してあるので、是非覗いてみて下さいね。
アサヒ飲料さん、お世話になります。今日の記事は、貴社のホームページをおおいに参考にさせていただきました。ほぼ毎日アサヒスタイルフリー飲んでますのでご容赦のほど・・・m(_ _)mV
なお、栄養表示基準に則り、糖類ゼロなら、無糖と表示できます。
つまり砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類がなければ、合成甘味料や糖アルコールが含まれていても無糖と表示できるのです。
従って、無糖表示でマルチトールやキシリトールが含まれていても法律上はOKだけど、血糖値は砂糖の半分くらい上昇することになりますので、糖尿人の皆さんはご用心ご用心。(=_=;)
最後に追加ですが、「糖分」という単語は、かなり曖昧に使用されています。
糖質あるいは糖類と同じ意味で、一般用語として使用されていて、ますます混乱の元となっています。栄養表示基準には「糖分」という言葉は記載無しです。
☆☆☆
血糖値を上昇させるのは、糖質だけでタンパク質・脂質は上昇させません。
糖質に分類される中で、糖アルコールのエリスリトール、合成甘味料のアスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、ネオテームなどは、血糖値を上昇させません。
ワインに含まれる有機酸(リンゴ酸、クエン酸、コハク酸・・・)やポリフェノールも、栄養表示基準上は糖質に分類されることになりますが、血糖値は上昇させません。
◎◎◎
五訂日本食品標準成分表では、炭水化物からの除外物質として欄外に下記が記載されています。
アルコール、硝酸イオン、酢酸、タンニン、カフェイン、テオブロミンを比較的多く含む食品では、
(水分、たんぱく質、脂質及び灰分の合計g数)に加えて、これらも差し引いた残りを炭水化物とする。
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アサヒビールのホームページには、食物繊維の中で、難消化性デキストリンは1gあたり1kcalと計算されています。ポリデキストロース、 セルロース は、ゼロカロリーとされています。
このあたり検討課題ですね。
江部康二
【carbohydrate(英語)=炭水化物(日本語)】
【炭水化物=糖質+食物繊維】
英語と日本語で炭水化物に関しては、ピッタリの訳語があって何の問題もないのです。
ところが、日本語の糖質にピッタリ一致する英語がないのです。
このことが、日本の論文を読むときと英語の論文を読むときに、一定の混乱を生んできました。 (∵)?
例えばGI(glycemic index 血糖上昇指数)にしても、英語の論文はcarbohydrate(炭水化物)50gを含む食品のデータをみている可能性が高いのに対して、日本語の論文では、糖質50gを含む食品のデータをみています。
これでは、日本のGIと欧米のGIで、食物繊維(fiber)分のずれが生じてしまいます。
【carbohydrate=starch+sugar+fiber】
と定義してある英語論文がありました。
そうすると、
【starch+sugar=糖質】
ということになるのですが、
【starch=デンプン】
として、sugarの意味が含む範囲が、いまいちよくわかりません(∵)?
どなたか、このあたりのことご存じでしたら是非ご教示ください。 m(_ _)m
さて。
日頃何気なく使っている言葉、「炭水化物、糖質、糖類」これらの違いはどうなっているのでしょう。復習と追補を兼ねて考えてみましょう。
日本では、健康増進法における栄養表示基準というのがあって、各メーカーさんはこれに従っています。
栄養表示基準では栄養成分表示を行う場合、基本表示は
<エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム>
の5成分表示とされています。
「炭水化物、糖質、糖類」を整理すると下記の如くにまとめることができます。
①栄養表示基準上は、たんぱく質や脂質、灰分(ミネラル分)のいずれにも分類されないものは炭水化物に計算。
②炭水化物=糖質+食物繊維
③糖質=糖類+糖アルコール+三糖類以上+合成甘味料
④糖類=単糖類+二糖類
*三糖類以上=でんぷん、オリゴ糖、デキストリン
*二糖類=砂糖、麦芽糖、乳糖
*単糖類=ブドウ糖、果糖、ガラクトース
*糖アルコール=エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなど
*合成甘味料=アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、ネオテームなど
**食物繊維(ヒトで消化・吸収されないので基本的にはゼロカロリー)
一、水溶性食物繊維
a)ポリデキストロース
海藻、こんにゃくの他、野菜、果汁類にも含まれる水溶性の食物繊維
です。ぶどう糖などから作られます。
b)難消化性デキストリン
とうもろこしなどに含まれる水溶性の食物繊維です。とうもろこしでんぷん
などを分解して作られます。糖質の吸収を穏やかにする作用があり、
血糖値が高めの方向けの特定保健用食品の機能素材となっています。
二、不溶性食物繊維 セルロース
植物の細胞壁の構成成分です。不溶性の食物繊維です。食品には粘性を
与えたりするために利用されています。
食品100g中の炭水化物を表示するとき、基準に則れば、
炭水化物=100g-<水分+タンパク質+脂質+灰分>
となります。
つまり、栄養表示上は、たんぱく質、脂質、灰分のいずれにも分類されないものは、炭水化物に計算されます。
合成甘味料が糖質に分類されるのは、何だか変ですが、炭水化物・糖質の栄養表示基準の定義に従えばそうなるようです。(∵)?
このあたりのことは、
アサヒ飲料のホームページ
http://www.asahiinryo.co.jp/customer/dictionary/ing_carbohydrates.html
にわかりやすく図解してあるので、是非覗いてみて下さいね。
アサヒ飲料さん、お世話になります。今日の記事は、貴社のホームページをおおいに参考にさせていただきました。ほぼ毎日アサヒスタイルフリー飲んでますのでご容赦のほど・・・m(_ _)mV
なお、栄養表示基準に則り、糖類ゼロなら、無糖と表示できます。
つまり砂糖やブドウ糖などの二糖類、単糖類がなければ、合成甘味料や糖アルコールが含まれていても無糖と表示できるのです。
従って、無糖表示でマルチトールやキシリトールが含まれていても法律上はOKだけど、血糖値は砂糖の半分くらい上昇することになりますので、糖尿人の皆さんはご用心ご用心。(=_=;)
最後に追加ですが、「糖分」という単語は、かなり曖昧に使用されています。
糖質あるいは糖類と同じ意味で、一般用語として使用されていて、ますます混乱の元となっています。栄養表示基準には「糖分」という言葉は記載無しです。
☆☆☆
血糖値を上昇させるのは、糖質だけでタンパク質・脂質は上昇させません。
糖質に分類される中で、糖アルコールのエリスリトール、合成甘味料のアスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、ネオテームなどは、血糖値を上昇させません。
ワインに含まれる有機酸(リンゴ酸、クエン酸、コハク酸・・・)やポリフェノールも、栄養表示基準上は糖質に分類されることになりますが、血糖値は上昇させません。
◎◎◎
五訂日本食品標準成分表では、炭水化物からの除外物質として欄外に下記が記載されています。
アルコール、硝酸イオン、酢酸、タンニン、カフェイン、テオブロミンを比較的多く含む食品では、
(水分、たんぱく質、脂質及び灰分の合計g数)に加えて、これらも差し引いた残りを炭水化物とする。
◇◇◇
アサヒビールのホームページには、食物繊維の中で、難消化性デキストリンは1gあたり1kcalと計算されています。ポリデキストロース、 セルロース は、ゼロカロリーとされています。
このあたり検討課題ですね。
江部康二
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