糖質制限食と動脈血液ガスの検査データ・酸塩基平衡
こんにちは。

以前ブログに、糖質制限食と血液pHのことを書いたような記憶があるのですが、自分で検索してもでてきません。(=_=;) 

現在執筆中の論文に必要なので、検査技師さんに頼んで高雄病院検査部のパソコンのデータをプリントアウトしてもらいました。

糖質制限食を長期間続けた場合の安全性の一環として、動脈血液ガスのpH と血中ケトン体値などを検討してみました。

2009年3月3日

7年間スーパー糖質制限食実践中の江部康二(検査時59才)



4年間スーパー糖質制限食実践中のS・T・氏(検査時61才男性)

の動脈血液ガスのデータをとってみました。

二人とも2型糖尿病です。


       江部康二      S・T・氏           基準値
pH        7.450      7.450           (7.36~7.45)
PaCO2       43.0        40.9            (35~45 Torr)
PaO2        92.0      84.0            (80~100 Torr)
HCO3-       28.8       27.2           (22~26 mEq/L)
血糖値      123(食後3時間) 86mg/dl(空腹時)
血中ケトン体     712        603          (26~122μM/L)
尿中ケトン体    陰性       陰性


2人とも血中ケトン体値は、基準値の5~6倍です。

しかし、pH は7.450と、正常値の中ではアルカリ性寄りのデータです。

HCO3-は2人とも、正常上限からほんの少し高値です。

HCO3-などの血液緩衝作用や酸塩基平衡作用で、pH をコントロールしていると考えられます。(*)(**)

血中ケトン体値は、基準値よりは高値ですが、尿中ケトン体値は陰性です。

心筋や骨格筋のケトン体利用効率が高まり、腎の再吸収も良くなった結果と考えられます。インスリン作用も確保されていて、このケトン体値は生理的な状態です。

おそらく我々2人のような検査データが、農耕が始まる前の人類の基準値だったと考えられます。


江部康二


(*)緩衝作用
血液の緩衝機構として、重炭酸緩衝系、ヘモグロビン系、血漿蛋白系、リン酸系がある。
そのうち約65%を重炭酸緩衝系が、約30%をヘモグロビン系が担っている。
重炭酸緩衝系は、炭酸(H2CO3)と、重炭酸(HCO3-)との混合系である。

(**)酸塩基平衡
生体内では、代謝に伴ない酸が産生されるが、細胞の活動が正常に営まれるには酸塩基平衡を維持する必要がある。
体内のpHを一定に保つため、血液や体液の緩衝作用(緩衝機構)、呼吸による調節作用、腎臓による調節機構がある。
腎臓が主な産生部位であるHCO3-濃度と呼吸機能で調節されCO2の分圧によってpHは調整される。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット