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アミノ酸が細胞の材料、ブドウ糖とグルタミンはエネルギー源。MITニュース。
こんにちは。

GIGAZINE(ギガジン)
というサイトの
2016年03月15日版に
http://gigazine.net/news/20160315-how-cancer-cell-growth/

MITニュース
がん細胞はブドウ糖ではなくアミノ酸で増殖していくことが判明
という記事が載りました。

その中で
MITニュースの原文
http://news.mit.edu/2016/how-cancer-cells-fuel-their-growth-0307

『Scientists had believed that most of the cell mass that makes up new cells, including cancer cells, comes from that glucose. However, MIT biologists have now found, to their surprise, that the largest source for new cell material is amino acids, which cells consume in much smaller quantities.』

に対して、以下のGIGAZINE(ギガジン)の訳は誤訳です。

『がん細胞を含む細胞分裂では、糖の一種であるグルコース(ブドウ糖)がそのエネルギー源になると考えられてきたのですが、MITの生物学者が行った研究により、がん細胞の分裂で最も大きなエネルギー源となるのはブドウ糖ではなくアミノ酸であることが判明しました。』

赤字部分が、誤訳です。

MITニュースなので、信頼度が高い情報と考えられますが、誤訳してしまっては,話になりません。

MITニュース(マサチューセッツ工科大学ニュース)の英文を読んで、その部分を訳してみました。

『科学者達は、「ガン細胞を含む新生細胞を構成する細胞マスのほとんどがグルコースから作られる」と信じていました。
しかし、MITの生物学者は、「新生細胞構成要素の最大の材料は、はるかに少ない量を消費されるアミノ酸であることを発見しました。』


すなわち、細胞分裂して新しい細胞を作るときに、その細胞の構成要素となる物質はアミノ酸であるということであり、アミノ酸が細胞分裂のもっとも大きなエネルギー源になるとは、ひと言も書いてありません。


<MITニュース(マサチューセッツ工科大学ニュース)の趣旨>
「細胞はブドウ糖とグルタミンを大量に消費しているが細胞の構成物質としては、ブドウ糖で10~15%、グルタミンは10%の量であり、
グルタミン以外のアミノ酸は細胞の構成物質として新しい細胞の20~40%である」

これは、シャーレ内に入れた様々な細胞(がん細胞を含む)に、ブドウ糖、グルタミン、グルタミン以外のアミノ酸を与えて、新しい細胞マス増殖のプロセスをみた研究に基づくものです。

従って生体における反応ではありません。例えば正常細胞は脂肪酸やケトン体をエネルギー源として大量に消費します。


A)正常細胞やがん細胞が分裂して新しい細胞を作るときの材料は、
  主としてグルタミン以外のアミノ酸である。
B)ブドウ糖とグルタミンは、細胞がエネルギーを得るために大量に消費している。


ということです。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
食物繊維はエネルギー源になる。大腸のエネルギー源は短鎖脂肪酸。
【16/03/16 コバタケ

総合ビタミン剤
食事のことですが、肉、魚、ミックスナッツ(少量)、コーヒー、日本茶、紅茶は糖質制限をしていく上で良いと思うのですが、野菜のことで悩んでおります。野菜は冷蔵庫保存しても日持ちしにくく、しょっちゅうスーパーに配達してもらってます。そこで総合ビタミン剤で代替できないかと思ってます。いかがでしょうか?】


こんにちは。
こばたけさんから、野菜は総合ビタミン剤で代替できるのかというコメント・質問を頂きました。

結論からいうと、ビタミンCなどは野菜が少なくても、総合ビタミン剤で代替できますが、食物繊維は代替できないので、やはり野菜を食べるほうがいいと思います。食物繊維も人間には必要と考えられます。

以下その理由を考察してみます。

細胞が活動するにはエネルギー源が必要です。

その中で、小腸と大腸は特殊なエネルギー源を利用しています。

A)小腸の細胞のエネルギー源はグルタミンが50~60%、ケトン体が15~20%、ブドウ糖は5~7%とごく少ない。グルタミンは血中に最も多く含まれている遊離アミノ酸です。

*江部注
その他食事中のグルタミン酸、アスパラギン酸も小腸細胞でエネルギー源として代謝されます。
グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸は、小麦粉、海藻、大豆、サトウキビ、肉、魚、卵、チーズ、トマトなど、いろいろな食品に含まれています。


B)大腸の細胞のエネルギー源は、短鎖脂肪酸(☆)のみである。

*江部注
短鎖脂肪酸は「食物繊維+腸内細菌」由来のものと血中にある短鎖脂肪酸があります。
血中にある短鎖脂肪酸は、βヒドロキシ酪酸とアセト酢酸などケトン体です。



さて、

『B)大腸の細胞のエネルギー源は、短鎖脂肪酸のみである』

このことの意味を、考えてみます。

短鎖脂肪酸は食材では、バターや酢くらいにしか含まれていません。

バターや酢だけでは、食材からの短鎖脂肪酸補充は、大腸のエネルギー源としては到底足りません。

そうすると、短鎖脂肪酸を人体内で自ら作成するしかありません。

つまり、体脂肪を分解して作る血中にある短鎖脂肪酸および大腸内の腸内細菌が、食物繊維を餌にして産生する短鎖脂肪酸が
ヒトの大腸細胞のエネルギー源となっているということです。

このヒト腸内の短鎖脂肪酸は、主として酪酸と考えられます。

大腸内の酪酸菌が酪酸を生産しています。

ヒトにおいて、食物繊維の摂取が極めて重要ということになります。

大腸細胞で利用せずに余った短鎖脂肪酸は、吸収されて全身の臓器のエネルギー源となります。

「食物繊維から腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸が、大腸細胞のエネルギー源になる」

というのは、少なくとも現世人類全てにおいて共通の生理学的事実と考えられます。


Ⅰ)摂取エネルギー > 消費エネルギー   → 体重増加
Ⅱ)摂取エネルギー = 消費エネルギー   → 体重不変
Ⅲ)摂取エネルギー < 消費エネルギー   → 体重減少


Ⅰ)Ⅱ)Ⅲ)は、長らく、定説として、信じられてきましたが、間違いでした。

今後は、以下のようになると考えられます。

①摂取エネルギー+腸内細菌の作るエネルギー > 消費エネルギー  → 体重増加
②摂取エネルギー+腸内細菌の作るエネルギー = 消費エネルギー  → 体重不変
③摂取エネルギー+腸内細菌の作るエネルギー < 消費エネルギー  → 体重減少


①②③で、考察していくと、腸内細菌の作る短鎖脂肪酸エネルギーが多い人は、大腸で利用しない余剰のエネルギーが体内に吸収されて利用されるので、低カロリーに抑えても、体重が減りにくいと考えられます。

食糧危機の時代が到来したときには、腸内細菌の作るエネルギーが多い人は大きなアドバンテージとなりますね。


なお食物繊維はゼロカロリーとアバウトに計算されていることも多いですが、
実は厳密には食物繊維は0~2ゼロカロリー/gなのです。

Japan Food Research Laboratoriesによれば

第1群の食物繊維素材
グァーガム,グァーガム分解物,小麦胚芽,プルラン,
水溶性大豆食物繊維(WSSF),タマリンドシードガム
湿熱処理でんぷん(難消化性でんぷん)

第2群の食物繊維素材
アラビアガム,難消化性デキストリン,ビートファイバー

第3群の食物繊維素材
寒天,キサンタンガム,サイリウム種皮,ジェランガム,
セルロース,低分子化アルギン酸ナトリウム,
ポリデキストロース

第1群は2キロカロリー
第2群は1キロカロリー
第3群は0キロカロリー


とされています。


(☆)
短鎖脂肪酸
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%AD%E9%8E%96%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8

短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん、英: SCFA)は脂肪酸の一部で、炭素数6以下のものを指す。具体的には酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸を指す。

反芻動物における役割

摂取した飼料が反芻胃内で微生物の発酵を受ける反芻動物においては、この発酵の際に生じる短鎖脂肪酸(主に酢酸、プロピオン酸、酪酸)が主なエネルギー源となる。 反すう胃内で生成した酪酸の多くは反すう胃粘膜でβ-ヒドロキシ酪酸に換されるため、肝門脈に現れるのはおよそ10分の1となる。このとき生成されるβ–ヒドロキシ酪酸も反すう家畜にとってはエネルギー源となる。 また、プロピオン酸の多くは肝臓で糖新生に利用され、反芻動物の糖要求の多くはプロピオン酸からの糖新生によってまかなわれる。



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
食物繊維のエネルギーは、 0、1、2kcal/gの三群あり。
こんにちは。

いろいろ調べて、紆余曲折はありましたが、食物繊維の含有エネルギーに関しては、

0kcal/g、1kcal/g、2kcal/g の三群があるとされています。

食物繊維の発酵・分解性はその種類によって異なります。

ペクチンのように腸内細菌によって容易に発酵・分解され、短鎖脂肪酸を産生して、エネルギーを供給するもの、セルロースのように腸内細菌による発酵・分解をほとんど受けず、短鎖脂肪酸を生成しないもの、これらの中間的なものがあります。


さて、昨日の記事の

『大腸細胞のエネルギー源は、短鎖脂肪酸のみ』

なのですが、その短鎖脂肪酸には「食物繊維+腸内細菌」由来のものと「血中に循環している短鎖脂肪酸」があります。

血中にある短鎖脂肪酸は、βヒドロキシ酪酸とアセト酢酸などケトン体であり、これらは肝臓で生産されています。

大腸細胞は、大腸由来と肝臓由来の短鎖脂肪酸を両方、エネルギー源として利用していると思います。


一般財団法人日本食品分析センター
Japan Food Research Laboratories

No.34 Jul. 2003
食物繊維の熱量(エネルギー)について


によれば、

平成15年2月17日付の厚生労働省の2種の通知
『「栄養表示基準等の取扱いについて」の 一部改正について』(食新発 第 0217001 号)ならびに
『「栄養表示基準における栄養成分等の 分析方法等について」の一部改正について』(食新発 第 0217002 号)により、

栄養表示基準に おける食物繊維の熱量(エネルギー)の取扱いが改正されました。

食物繊維は最大で1g 当たり2kcal であり、大腸内の腸内細菌による 発酵・分解を受け難いものでは、その発酵・分解性に応じて1g 当たり1kcal あるいは0kcal とされたようです。

奥ら(*)は、食物繊維の発酵・分解性に基づいて食物繊維素材のエネルギー換算係数を決めるに当たっての基準として
以下を提案しています。

①発酵・分解率が 75%以上のもの2 kcal/g
②発酵・分解率が 25%以上,75%未満のもの 1 kcal/g
③発酵・分解率が 25%未満のもの0 kcal/g


市販食物繊維素材のエネルギー換算係数(奥らの表を簡略化して以下作成)
① 2kcal/g:  タマリンドシードガム、グァーガム、
             グァーガム酵素分解物
             小麦胚芽、湿熱処理でんぷん(難消化性でんぷん)、
             水溶性大豆食物繊維(WSSF)、プルラン
② 1kcal/g:  アラビアガム、難消化性デキストリン、
              ビートファイバー
③ 0kcal/g:  低分子化アルギン酸ナトリウム、寒天、
              キサンタンガム、ジェランガム、サイリウム種皮、
              セルロース、ポリデキストロース
☆☆☆ 

コーンファイバー、水溶性コーンファイバー(アラビノキシラン)、小麦ふすま、specialty dextrin、難消化性でんぷんに関しては、データが少なかったが暫定的に、2kcal/gを用いる。



参考文献(*)
奥 恒行,山田 和彦,金谷 建一郎:日本食物繊維研究会誌,6,81-86(2002)



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
大腸のエネルギー源は短鎖脂肪酸 → 食物繊維がエネルギー源になる
こんにちは。

細胞が活動するにはエネルギー源が必要です。

その中で、小腸と大腸は特殊なエネルギー源を利用しています。

A)小腸の細胞のエネルギー源はグルタミンが50~60%、ケトン体が15~20%、
  ブドウ糖は5~7%とごく少ない。グルタミンは血中に最も多く含まれている遊離アミノ酸です。

*江部注
その他食事中のグルタミン酸、アスパラギン酸も小腸細胞でエネルギー源として代謝されます。
グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸は、小麦粉、海藻、大豆、サトウキビ、肉、魚、卵、チーズ、トマトなど、いろいろな食品に含まれています。


B)大腸の細胞のエネルギー源は、短鎖脂肪酸(☆)のみである。

*江部注
短鎖脂肪酸は「食物繊維+腸内細菌」由来のものと血中にある短鎖脂肪酸があります。
血中にある短鎖脂肪酸は、βヒドロキシ酪酸とアセト酢酸などケトン体です。


A)B)に関して、私は浅学にして知りませんでした。

『治療に活かす!
栄養療法
はじめの一歩
清水健一郎 著
羊土社 2011年2月』


を読んで、初めて知りました。

臨床に即した栄養療法の本はほとんどないので、私にはとても参考になりました。
清水健一郎先生、ありがとうございました。


さて、今日は
『B)大腸の細胞のエネルギー源は、短鎖脂肪酸(☆)のみである』

このことの意味を、考えてみます。

短鎖脂肪酸は食材では、バターや酢くらいにしか含まれていません。

バターや酢だけでは、食材からの短鎖脂肪酸補充は、大腸のエネルギー源としては到底足りません。

そうすると、短鎖脂肪酸を人体内で自ら作成するしかありません。

つまり大腸内の腸内細菌が、食物繊維を分解して短鎖脂肪酸を産生してくれて、それがヒトの大腸細胞のエネルギー源となっているということです。

このヒト腸内の短鎖脂肪酸は、主として酪酸と考えられます。ヒトにおいて、食物繊維の摂取が極めて重要ということになります。

大腸細胞で利用せずに余った短鎖脂肪酸は、吸収されて全身の臓器のエネルギー源となります。

「食物繊維から腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸が、大腸細胞のエネルギー源になる」

というのは、少なくとも現世人類全てにおいて共通の生理学的事実と考えられます。

ここにおいて、

1)蛋白質、脂質、糖質:分解・吸収されて人体のエネルギー源となる。
2)食物繊維:分解・吸収できないので人体のエネルギー源とならない。

1)はともかくとして、2)という現代栄養学の定説が覆りましたが、実は食物繊維でもエネルギー源になるものがあるという事実は、大分前から知られていたようです。

Ⅰ)摂取エネルギー > 消費エネルギー   → 体重増加
Ⅱ)摂取エネルギー = 消費エネルギー   → 体重不変
Ⅲ)摂取エネルギー < 消費エネルギー   → 体重減少


Ⅰ)Ⅱ)Ⅲ)は、長らく、定説として、信じられてきましたが、間違いでした。

今後は、以下のようになると考えられます。

①摂取エネルギー+腸内細菌の作るエネルギー > 消費エネルギー  → 体重増加
②摂取エネルギー+腸内細菌の作るエネルギー = 消費エネルギー  → 体重不変
③摂取エネルギー+腸内細菌の作るエネルギー < 消費エネルギー  → 体重減少


①②③で、考察していくと、腸内細菌の作る短鎖脂肪酸エネルギーが多い人は、大腸で利用しない余剰のエネルギーが体内に吸収されて利用されるので、低カロリーに抑えても、体重が減りにくいと考えられます。

食糧危機の時代が到来したときには、腸内細菌の作るエネルギーが多い人は大きなアドバンテージとなりますね。



(☆)
短鎖脂肪酸
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%AD%E9%8E%96%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8

短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん、英: SCFA)は脂肪酸の一部で、炭素数6以下のものを指す。具体的には酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸を指す。

反芻動物における役割

摂取した飼料が反芻胃内で微生物の発酵を受ける反芻動物においては、この発酵の際に生じる短鎖脂肪酸(主に酢酸、プロピオン酸、酪酸)が主なエネルギー源となる。 反すう胃内で生成した酪酸の多くは反すう胃粘膜でβ-ヒドロキシ酪酸に換されるため、肝門脈に現れるのはおよそ10分の1となる。このとき生成されるβ–ヒドロキシ酪酸も反すう家畜にとってはエネルギー源となる。 また、プロピオン酸の多くは肝臓で糖新生に利用され、反芻動物の糖要求の多くはプロピオン酸からの糖新生によってまかなわれる。


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
人体の各臓器や細胞の具体的なエネルギー源は何?2015年8月。
おはようございます。

人体の各臓器や細胞の具体的なエネルギー源は何なのか、大変興味深い問題ですので、復習を兼ねて検討してみます。

人体の主たるエネルギー源として

A)脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム
B)ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム

の2つのシステムがあります。

人体のほとんどの細胞が、A)B)をエネルギー源として利用しています。

A)B)以外の例外のエネルギー源として、
『グルタミン』と『短鎖脂肪酸』があります。

C)グルタミン
小腸はグルタミンが主たるエネルギー源です。
グルタミンが50~60%、ケトン体が15~20%、ブドウ糖は5~7%とごく少ないです。
グルタミンは血液など細胞外液に最も多く含まれている遊離アミノ酸です。
食事中のグルタミンは、小腸上皮細胞や腸管付属リンパ節細胞の、エネルギー源となります。
グルタミンは腎臓、肝臓、白血球、繊維芽細胞などでも、エネルギー源として利用されます。
グルタミンは、大豆製品、豚、かつお、アーモンド、チーズ、
カシューナッツ、鱈、ニワトリ、サケ、ヒラメ、鱧、
しらす干し、鯛、サワラ、アジ、エビ、鯖、クルミ、ブリ・・・などいろんな食材に含まれています。

D)短鎖脂肪酸(*)
大腸(大腸上皮細胞)は、短鎖脂肪酸しか、エネルギー源として使いません。
大腸は腸内細菌が、食物繊維を分解して作った短鎖脂肪酸をエネルギー源として利用しているのです。
余った短鎖脂肪酸は、全身の細胞のエネルギー源として利用されます。
そうすると、ヒトも牛や馬と同様に食物繊維を腸内細菌の力を借りてエネルギー源にできるということです。

「食べない生き方(サンマーク出版)2013年」の著者、森美智代さんの場合、腸内細菌の短鎖脂肪酸産生能力が極めて高いと考えられます。
彼女は一日150gの青汁とビタミンC、ビール酵母、藍藻サプリ、乾燥柿の葉のお茶(1.5~2リットル)だけで、19年間、普通に生きておられます。



さて、A)B)がエネルギー源となっているほとんどの細胞について整理してみます。

キーワードは、ミトコンドリアと血液脳関門(**)です。

ミトコンドリアは細胞内にあるエネルギー生産装置です。

ミトコンドリアがあると、TCAサイクルを回して、脂肪酸やケトン体をエネルギー源として利用することができるのです。
血液脳関門は、脳細胞の毛細血管にあり、脳細胞を物理的かつ化学的に守っています。

1)赤血球
 ミトコンドリアを持っていないので、「ブドウ糖」しかエネルギー源として利用できません。
人体でミトコンドリアを持っていないのは、赤血球だけです。

2)脳
 脳はミトコンドリアを持っているのですが、血液脳関門のため、脂肪酸は大きいので通過できません。
 従って、「ブドウ糖+ケトン体」をエネルギー源として、利用します。

3)筋肉・内臓・脂肪など、ほとんどの体組織
 ミトコンドリアを細胞内に有し、血液脳関門もないので、
「ブドウ糖+ケトン体+脂肪酸」をエネルギー源として 利用します。

4)肝臓
 肝細胞のなかで、ケトン体が生成されますが、肝細胞自らはケトン体を利用せず、
血中に送り込んで他の 組織に供給します。
 従って肝細胞は 「ブドウ糖+脂肪酸」をエネルギー源として利用します。


このように整理してみると、肝臓や腎臓で糖新生(アミノ酸、乳酸、グリセロールなどからブドウ糖を作ること)をして最低限の血糖値を確保しているのは、ひたすら赤血球のためということがわかります。

例えば脳は、ケトン体をいくらでもエネルギー源として利用できるのです。

そして小腸がグルタミンを主たるエネルギー源にしているのは、食べ物を消化吸収したとき、ブドウ糖や脂肪酸は、自分ではエネルギー源として利用せずに、他の臓器や筋肉に供給するためと思われます。

まあ、入口の小腸でブドウ糖や脂肪酸をエネルギー源として消費してしまったら、後に控える他の臓器や筋肉はエネルギー不足になってしまいますので、なかなかよくできたシステムと思います。

このパターンは、肝臓が、自身が生産した最も効率のよいエネルギー源であるケトン体を、自らは使用せずに他の臓器や筋肉に供給するのと同じことと思います。

人体の各臓器や各細胞のエネルギー源、かなり整理整頓できたと思います。 (^^)

今回の記事に関しては、清水健一郎先生の2冊のご著書がとても参考になりました。


治療に活かす!
栄養療法 はじめの一歩
清水健一郎 著
羊土社 2011年2月

モヤモヤ解消! 栄養療法にもっと強くなる
〜病状に合わせて効果的に続けるためのおいしい話
清水 健一郎  著
羊土社  2014年3月



江部康二


(*)
短鎖脂肪酸
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%AD%E9%8E%96%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8

短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん、英: SCFA)は脂肪酸の一部で、炭素数6以下のものを指す。具体的には酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸を指す。

反芻動物における役割

摂取した飼料が反芻胃内で微生物の発酵を受ける反芻動物においては、この発酵の際に生じる短鎖脂肪酸(主に酢酸、プロピオン酸、酪酸)が主なエネルギー源となる。 反すう胃内で生成した酪酸の多くは反すう胃粘膜でβ-ヒドロキシ酪酸に換されるため、肝門脈に現れるのはおよそ10分の1となる。このとき生成されるβ–ヒドロキシ酪酸も反すう家畜にとってはエネルギー源となる。 また、プロピオン酸の多くは肝臓で糖新生に利用され、反芻動物の糖要求の多くはプロピオン酸からの糖新生によってまかなわれる。



(**)
血液脳関門
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%80%E6%B6%B2%E8%84%B3%E9%96%A2%E9%96%80

<血液脳関門>

血液脳関門(けつえきのうかんもん、英語: blood-brain barrier, BBB)とは、血液と脳(そして脊髄を含む中枢神経系)の組織液との間の物質交換を制限する機構である。これは実質的に「血液と脳脊髄液との間の物質交換を制限する機構」=血液髄液関門 (blood-CSF barrier) でもあることになる。ただし、血液脳関門は脳室周囲器官(松果体、脳下垂体、最後野など)には存在しない。これは、これらの組織が分泌するホルモンなどの物質を全身に運ぶ必要があるためである。

<構造>

血液脳関門は、毛細血管の内皮細胞の間隔が極めて狭いことによる物理的な障壁であるが、これに加え、中枢神経組織の毛細血管内皮細胞自体が有する特殊な生理的機能、すなわち、グルコースをはじめとする必須内因性物質の取り込みと異物を排出する積極的なメカニズムが関与している。脂肪酸は脳関門を通れないため、脳は通常、脳関門を通過できるグルコースをエネルギー源としている[1]。グルコースが枯渇した場合、アセチルCoAから生成されたケトン体も脳関門を通過でき[2]、脳関門通過後に再度アセチルCoAに戻されて脳細胞のミトコンドリアのTCAサイクルでエネルギーとして利用される[1]。血液脳関門の働きにより、中枢神経系の生化学的な恒常性は極めて高度に維持されている。

その一方で、アルコール、カフェイン、ニコチン、抗うつ薬は、脳内へ通過できる[3]。かつては分子量500を超える分子(多くの蛋白質など)や、脂溶性が低い荷電したイオンは脂質二重膜を透過できず、血液循環から中枢神経系の中に入ることができないとされていた(分子量閾値説)が[4]、近年の研究により、脳毛細血管内皮細胞の細胞膜に存在するタンパク質が、脳内から血管へ物質を積極的に排出していることが明らかにされている[5]。

こうした毛細血管内皮細胞の機能はリンパ球やマクロファージや神経膠細胞から放出されるサイトカインによってコントロールされ得る。このため、脳炎や髄膜炎のときは血液脳関門の機能は低下する。また、膿瘍その他の感染巣形成や腫瘍といった、よりマクロなレベルの破壊を起こす疾患の存在によっても、血液脳関門は破綻する。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット