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日本の糖尿病食・糖質制限食の歴史。
<プロローグ>
こんにちは。

現在ではファミリーレストランのガストやリンガーハットでも、くら寿司でも
糖質オフメニューがあります。
ローソンやファミリーマートでも、糖質制限なパンが販売されています。
あの山崎パンも、今や、糖質制限なパンを販売しています。

2005年に日本で初めて、
糖質制限食の本「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(糖尿経済新報社)を刊行した頃は、
糖質制限な食品が何もなくて、とても苦労したのですが、今や、今昔の感があります。

2016/7/20(水)、NHKクローズアップ現代で糖質制限食が特集されました。
NHKによれば、糖質制限食が空前のブームだそうで、
関連の市場は当時で¥3184億円とのことでした。

今や2023年で、糖質制限市場はさらに加速して拡大しています。
中国や韓国や台湾でも、私の糖質制限の本の訳本が出版されています。

私は、糖質制限食はブームではなく、科学的な真理そのものと考えています。
従ってブームのように消え去ることはなく、今後もどんどん繁栄していくと思います。

今回は、その糖質制限食と糖尿病食の歴史を考察してみました。

<夏目漱石と糖尿病と厳重食>
文豪夏目漱石(1867~1916年)は、糖尿病でした。
大正5年(1916)正月、右の上膊(上腕)神経に強い痛みと右上膊(上腕)の不全麻痺。
薬、マッサージは無効。4月、糖尿病と診断。
教え子の医師真鍋嘉一郎により、5月から、当時の最先端治療の「厳重食」を開始。尿糖は消失。
7月終わりには、右の上膊神経に強い痛みと右上膊の不全麻痺が改善。
神経衰弱の症状も減退。糖尿病も改善。11月、胃潰瘍が再発。
12月9日、胃潰瘍による出血で死亡。
厳重食で、糖尿病と糖尿病神経障害は著明改善ですが、残念ながら胃潰瘍のために死去しています。

<厳重食=スーパー糖質制限食>

昭和13年、18年の女子栄養大学の以下の「厳重食」の解説をみると、まさに、「厳重食=スーパー糖質制限食」です。

『肉類(牛、豚、鶏、魚肉、内臓、心臓、肝臓、舌、膈、腎臓、骨髄)、貝類、卵類(鶏卵、鳥卵、魚卵)、脂肪類(バター類、豚脂、ヘッド、肝油、オリーブ油、ごま油、)、豆類(豆腐、油揚げなど)、
味噌は少量、野菜(含水炭素5%以下)小松菜、京菜、白菜、筍、レタス、蕗、大根、アスパラ、果実(含水炭素の少ないもの)びわ、すもも、苺、いちじく、メロン、パイナップル、パパイヤ、りんご、蜜柑、夏みかん・・・
*梨、ブドウ、柿、バナナはやや糖質が多いので警戒を要する。』


夏目漱石と厳重食1)2)については、
精神科医師Aこと中嶋一雄医師に資料を提供して頂きました。ありがとうございました。

<日本における糖尿病食事療法の変遷>
日本でも、昭和18年(1943年) 頃は、まだ厳重食のほうが、幅を利かせていたようです。

そして日本糖尿病学会のバイブルのような食品交換表初版が1965年に発行されました。
この時、適正なカロリーということが強調されました、。
解説には、食事療法の原則として
「①適正なカロリー②糖質量の制限③糖質、たんぱく質、脂質のバランス④ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と記載されています。
なんと、2番目には驚くべきことに「糖質量の制限」と明記してあります。
これが、1969年の第2版になると
「①適正なカロリー(カロリーの制限)②糖質、たんぱく質、脂質のバランス③ビタミンおよびミネラルの適正な補給」
と変更されて、
「糖質量の制限」という文言が削除されています。
糖尿病食事療法の原則から、「糖質制限」が消えて、「カロリーの制限」が登場したのが2版です。

これ以降の食品交換表は、2013年、11年ぶりに改訂された第7版にいたるまで、「カロリー制限」一辺倒でした。

2013年10月の米国糖尿病学会の「栄養療法に関する声明」では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。
これに対して、日本糖尿病学会は、唯一無二の糖尿病食事療法として「カロリー制限・高糖質食」を、
1969年以来、現在まで推奨し続けています。

<日本における糖質制限食の歴史>
 戦前までは、厳重食があったのですが、1969年以降はすっかり消えてしまいました。
その後の糖質制限食の臨床実践は、1999年から釜池医師が宇和島で開始し、
同時に高雄病院でも筆者の兄江部洋一郎医師が開始し有効例を重ねました。

その経験を踏まえ医学文献では、2004年に筆者が本邦初の糖質制限食有効例の報告を行いました3)。
2005年には筆者が本邦初の一般向けの本を出版しました4)。

2006年荒木医師が「断糖宣言」、2007年釜池医師が「糖質ゼロの食事術」を刊行しました。
坂東医師、中村医師は約1000人を肥満外来で治療し糖質制限食の有効性を2008年に報告しました5)。
2009年、2010年、医学雑誌に筆者が小論文を発表しました6)7)。

その後、2012年に山田悟医師、白澤医師、2013年に夏井医師、2014年に渡辺信幸医師、
2015年に宗田医師が一般向け糖質制限食の本を出版しました8)9)10)11)12)。
糖質制限食の広がり、いよいよ加速がついてきました13)14)15)。
その後もほぼ毎年、糖質制限食の本を刊行しています。16)17)18)19)20)21)22)23)。


1)香川綾: 女子栄養大学「栄養と料理」 第4巻第4号 p46
  糖尿病の手当と食餌療法、昭和13年(1938年)
2)香川昇三:女子栄養大学「栄養と料理」 第9巻第5号 p27 
  糖尿病患者の厳重食、 昭和18年(1943年)
3)江部康二他:糖尿病食事療法として糖質制限食を実施した3症例,
      京都医学会雑誌51(1):125-130、2004
4)江部康二:主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ、
  2005年(東洋経済新報社)
5)坂東浩,中村巧:カーボカウントと糖質制限食, 治療,90(12):3105-3111,2008
6)江部康二:主食を抜けば(糖質を制限すれば)糖尿病は良くなる!,
  治療,91(4):682-683,2009
7)江部康二:低糖質食(糖質制限食carbohydrate restriction)の意義,
  内科,105(1):100-103,2010
8)山田悟:糖質制限食のススメ、2012年(東洋経済新報社)
9)白澤卓二:<白澤式>ケトン食事法、2012年(かんき出版)
10)夏井睦:「炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学」、光文社新書、2013年
11)渡辺信幸:日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる 、2014年(講談社)
12)宗田哲男:「ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか」、光文社新書、2015年
13)江部康二:「人類最強の『糖質制限』論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる」、SB新書、2016年
14)江部康二:外食でやせる! 「糖質オフ」で食べても飲んでも太らない体を手に入れる、2017年(毎日新聞出版)
15)江部康二:江部康二の糖質制限革命」2017年(東洋経済新報社)
16)「男・50代からの糖質制限」2018年(東洋経済新報社)「内臓脂肪がストン!とおちる食事術」2019年5月(ダイヤモンド社)
17)「糖質制限の大百科」2019年7月(洋泉社)
18)「糖質量&炭水化物量ポケットガイド」電子書籍、2019年8月(SBクリエイティブ)
19)「名医が考えた認知症にならない最強の食事術」2020年6月(宝島社)
20)「ダイエット・糖質制限に必携! 食品別糖質量ハンドブック 」2020年9月(宝島社)江部 康二 (監修)
21)医学的に正しい「糖質制限」見るだけノート2020年10月(宝島社)
22)「増補新版 糖質制限の大百科」2021年9月(宝島社)
23)医者が教える 正しい糖質の減らし方 (TJMOOK) ムック – 2022/5/26 江部 康二 (監修)


など多数。

夕食時間が早いと翌朝空腹時血糖値が好ましく下がる。
こんにちは。
今回は、
「夕食時間が早いと翌朝空腹時血糖値が好ましく下がる。」
というお話です。

数年前の日曜日のことですが、お昼に東京で仕事があり、
日帰り出張でした。
打ち合わせが終了したあと、出版社の編集の人と夕食を共にしました。
バルバッコア・クラシコ 丸の内店で
ブラジル料理のシュラスコをご馳走していただきました。
ありがとうございました。

肉を塊のまま串に刺し、そのまま岩塩のみで焼き上げる
ブラジリアンバーベキュー(シュラスコ)の専門店です。
そのままの状態でテーブルまで運び、
目の前で好きな部分を好きなだけ切り分けてくれます。
肉は油を一切使用せずに焼き上げるそうです。
店内中央にある 30 種類にも及ぶ巨大な
フレッシュ・サラダバーも自慢とのことです。

夕方5時~食事開始で、おなかいっぱい、
様々な部位の肉とサラダを食べました。
赤ワインもしっかり飲みました。
シュラスコは、生まれて初めて食べましたが、
のでなかなか美味しくて興味深い体験でした。

まさしく美味しく楽しく糖質制限食の夕餉を堪能しました。
午後7時過ぎの新幹線で帰京しましたが、
おなかいっぱいだったので、何も食べずに、焼酎の水割り2杯飲んで
深夜0時に眠りにつきました。

そうすると翌日のの
早朝空腹時血糖値(午前7時)が82mg/dlとかなり低めでした。
びっくりして再度検査しても85mg/dlでした。

私も、一定の「暁現象」があるので、通常の早朝空腹時血糖値は
調子がいいと100mg~109mg/dl、
ややもすると110mg~125mg/dlと境界型
くらいのこともあります。
今までは、100mg/dlを切ることは年間通してあまりありませんでした。

従って、私としては、年間通して、82mg/dlというのは自己最低記録に近いのです。
夕食は通常は、早くても午後7時半で、遅ければ午後9~10時です。

今回の、空腹時血糖値82mg/dlという記録は
前夜の食事が午後5時~6時半くらいまでという
超早めだったことの影響の可能性が高いです。

もちろん、夕食開始が早いほうが翌朝の血糖値が下がることは経験していたので
なんとか午後9時までに食べるようにつとめてはいたのですが、
午後5時に夕食開始というのは年間通してまずありません。

東京日帰りのおかげで、とても良い経験をしました。
「暁現象」で困っておられるブログ読者の皆さん、
可能ならば、選択肢の一つとして、夕食を早めに食べて実験してみて下さい。


江部康二
食後高血糖の害、高インスリン血症の害。
こんにちは。
今回は、食後高血糖の害高インスリン血症の害について、検討してみます。

<食後高血糖の害>
食後高血糖が良くないことは、
2007年と2011年の国際糖尿病連合「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
において、エビデンスが明示されています。

以下、国際糖尿病連合・2011年発表 「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
の内容の抜粋を紹介します。
2007年の国際糖尿病連合「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
から、4年ぶりの改訂です。

まずは
国際糖尿病連合(International Diabetes Federation:IDF)2007年
「食後血糖値の管理に関するガイドライン」
から抜粋です。

• 食後および負荷後高血糖は大血管疾患の独立した危険因子である。
• 糖負荷(GL*)の低い食事は食後血糖値のコントロールに有益である。
• 食後血糖値をコントロールするためには、食事療法および薬物療法を考慮すべきである。
• 食後高血糖は糖尿病網膜症と関係する。
• 食後高血糖はIMT肥厚と関係する。
• 食後高血糖は、酸化ストレスを生じ、血管内皮を障害する。
• 食後高血糖は認知障害にも関係する。
• 食後高血糖は癌発症リスク上昇と関連する。
• 食後血糖と空腹時血糖を共にターゲットにすることは、血糖コントロール達成の最善の戦略である。
• HbA1cは6.5%未満が目標。
• 空腹時血糖値は100mg/dl未満をめざす。
• 食後2時間血糖値は140mg/dLを超えないようにする。


*GL(glycemic lord)
GI値を100で割り、その食品1食分に含まれる糖質のグラム数をかけた数値。
GIよりGLのほうが、実際に食事をするときの参考になりやすい。
GL値10以下の食品が、低GL食品。 

国際糖尿病連合2007年発表の「食後血糖値の管理に関するガイドライン」と比べて、
2011年のガイドラインはそれほど大きな変化はないように思います。
いずれも食後高血糖のリスクを、列挙して明示しています。
違いですが、私の発見したところでは、

*SMBG(血糖自己測定)を、食後高血糖チェックに一押しで推奨。
*食後血糖値は、食後1~2時間で測定されるべきで、
 160mg/dl未満が目標というのが追加。
*食後高血糖は心筋の血液量と血流を減らすと新たに言及。
*CGMが普及してきて、薬、食事、ストレス、運動など
 様々な要素が血糖に影響を与えるのをチェックできる。


これらが、2007年版に追加で、加わりました。

<他のエビデンス>
エビデンスですが

日本の熊本スタディー。Kumamoto Study。
<細小血管合併症予防>のための目標
HbA1c:6.9%未満・・・DCCTとUKPDSと合わせて、7.0%未満
空腹時血糖値:110mg/dl未満
食後2時間血糖値:180mg/dl未満
改訂第7版
糖尿病専門医研修ガイドブック
19、20ページ



以下は、 国際肥満研究連合のシステマティックレビューなので、信頼度は高いです。

体重減少、中性脂肪減少、HDL-C増加は低炭水化物食が低脂質・低カロリー食に比し有効。
13の電子データベースの2000年1月~2007年3月の低炭水化物食と低脂質食比較RCTをメタ解析。
Systematic review of randomized controlled trials of low-carbohydrate vs. low-fat/low-calorie diets in the management of obesity and its comorbidities M. Hession,et all
Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)
Volume 10, Issue 1, pages 36–50, January 2009


以下も有名な、RCT研究論文です。
アトキンス、ゾーン、ラーン、オーニッシュダイエットのそれぞれの1年間の体重減少効果などをみた。
311人の女性を上記4グループに分けて追跡。
これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなものである。
アトキンスは低炭水化物食(スーパー糖質制限食)、ラーンとオーニッシュは高炭水化物、低脂肪食、ゾーンは炭水化物40%
低炭水化物食が体重を最も減少させて、HDL-CとTGを改善。
Comparison of the Atkins, Zone, Ornish, and LEARN Diets for Change in Weight and Related Risk Factors Among Overweight Premenopausal Women
The A TO Z Weight Loss Study: A Randomized Trial ,JAMA297:969-977


①②③のエビデンス以外に、
高血糖により糖化蛋白生成が亢進し、糖化蛋白は SOD などの抗酸化酵素と反応して劣化させ、活性酸素の除去が困難となり活性酸素が増え、酸化ストレスとなります。
酸化ストレスが、糖尿病合併症・動脈硬化・老化・癌・アルツハイマー・パーキンソン等の元凶とされています。


<高インスリン血症の害>

次に、食後高血糖と共に
過剰なインスリンの害にはエビデンスがあります。
たとえ基準値内でも、インスリンの血中濃度が高いほど、アルツハイマー病、がん、肥満、高血圧などのリスクとなります。
また、高インスリン血症は、活性酸素を発生させて、酸化ストレスを増加させます。

酸化ストレスは、老化・癌・動脈硬化・その他多くの生活習慣病の元凶とされていて、パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、アルツハイマー病などにも酸化ストレスの関与の可能性があります。

ロッテルダム研究によれば、インスリン使用中の糖尿人ではアルツハイマー病の相対危険度は4.3倍です。
Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」


インスリン注射をしている糖尿人は、メトグルコで治療している糖尿人に比べてガンのリスクが1.9倍というカナダの研究もあります。
2005年の第65回米国糖尿病学会、
カナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告、
その後論文化。コホート研究。
 「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)を内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」 
その後、Diabetes Care February 2006 vol. 29 no. 2 254-258 、に論文掲載。


このようにインスリンの弊害を見てみると、「インスリンは血糖コントロールができている限り少なければ少ないほど、身体には好ましい」ことがわかります。

別の言い方をすれば、農耕開始後、精製炭水化物開始後、特に第二次大戦後に世界の食糧事情が良くなってからの糖質の頻回・過剰摂取が、食後高血糖、
インスリンの頻回・過剰分泌を招き、様々な生活習慣病の元凶となった構造が見えてきます。
<生活習慣病=糖質過剰病>です。


<結論>
<食後高血糖の害><高インスリン血症の害> を考察してみました。
「糖質摂取⇒食後高血糖⇒高インスリン血症」の悪循環パターンを生じるのは、
糖質摂取時のみであり、脂質・タンパク質摂取時には、この悪循環は起こりません。

スーパー糖質制限食を実践すれば、上記の悪循環は生じず、
インスリンの分泌は必要最小限で済むようになり、
様々な生活習慣病の予防・改善が期待できます。

ブログ読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、
必要最低限のインスリンで血糖こントロールを維持して、健康ライフを送ってくださいね。


江部康二
【医師が教える】 実は「果物」が“体の害悪”になる決定的理由 。
こんにちは。
個人的にとても嬉しいお知らせです。

ダイヤモンド社のダイヤモンド・オンラインで
内臓脂肪がストンと落ちる食事術(江部康二著)
が、紹介されたところ、
2023年5月28日(日)時点で
ダイヤモンド・オンライン全体の
アクセス・ランキングで第1位となっています。


以下は、その記事の要約です。
詳しくは、https://diamond.jp/articles/-/323278
をクリックして記事を見て頂ければ、幸いです。


【医師が教える】
実は「果物」が“体の害悪”になる決定的理由

江部康二
https://diamond.jp/articles/-/323278


内臓脂肪がストンと落ちる食事術 江部康二著
2023.5.28 3:10

TBS系『金スマ ~中居正広の金曜日のスマイルたちへ~』で
「番組史上最も楽して痩せる食事術」として紹介され、
爆発的な反響をみせた『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)。
美味しいものをお腹いっぱい食べて、なんならお酒も飲めるのに、
運動なしでも痩せられるという驚きの食事術。
この食事術を、やはり運動なしで半年間実践して10kg痩せた経験があり、
現在70代にして20代の頃の体重をキープしている著者・江部康二医師が、
もう2度と太らない医学的に正しいダイエット法を伝授!
ひもじくなるようなカロリー制限は一切ナシ。
お腹いっぱい食べていいし、筋トレもジョギングもしなくていい。
その体脂肪、運動ナシで落とす方法を教えましょう!


果物はヘルシーな食べ物?

果物の甘みのもとは要注意

猛毒を生み出しやすい果糖



※本稿は、『内臓脂肪がストン!と落ちる食事術』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。


江部康二


緩徐進行性1型糖尿病と糖質制限について
【日付名前
23/05/27yamamoto    
緩徐進行性1型糖尿病と糖質制限について
はじめまして、
先生のブログを拝見し、
緩徐進行性1型糖尿病と糖質制限について、
アドバイスいただきたく連絡いたしました。
男性(59歳 )です。 身長 168cm 体重 59kg
毎年受けている健康診断でA1Cの値が5.7~5.9とやや高く、
今年3月に糖尿の専門医院に受診したところ、
抗AGD抗体陽性で緩徐進行性1型糖尿病と診断されました。
早期発見でインスリンが分泌されている状態なので
今のところインスリンの必要は無く経過観察といわれています。

過去の健康診断の結果を見ると、
6~7年前からA1Cや空腹時血糖が高くなり始めているので、
6~7年前に1型糖尿病に罹患したのではないかと思っています。
糖質制限を始める前は、玄米や野菜中心の食生活をしていました。
お酒は飲みません、タバコもすいません。

緩徐進行性1型糖尿病と診断せれてから、
掛かり付けの医師に相談しながら
私なりに膵臓に負担をかけない、
血糖値の上下の変動が少ない食生活が良いと思い
糖質制限を始めようと思いました。

糖質制限は、今年、1月中旬から
1日120g以下(週一回は甘いお菓子などを食べていました)をはじめ、
1型糖尿病と診断されたため3月20日からスーパー糖質制限を始めました。

今後、できれば糖質制限など食生活や生活習慣の改善で
インスリンを使わず生活していきたいと思っています。
(掛かり付けの医師は糖質制限には否定派ですが、
私が糖質制限を行っていることについては受け入れて頂いています。)

その上で、先生に幾つか質問があります。

○ ブログには1型糖尿病でインスリンフリーを続けている患者さんの話が
 載っていますが、緩徐進行1型糖尿病での糖質制限の効果、
 インスリンフリーの可能性などをお聞かせください。
○ 緩徐進行1型糖尿病で糖質制限行っていくうえで注意点をお聞かせください。
○ 尿素窒素の値が高くなってきてますが大丈夫ですか?
○ 中性脂肪、低い HDLとLDLが高いが大丈夫ですか?
○ スーパー糖質制限を始めて約1ヵ月後に検査を受けましたが 
  A1Cの値に変化は見られませんでした、なぜでしょうか?
  A1C 6.0%(3/9)→6.1%(4/20)
〇今後、A1Cが下がる可能性はありますか?
○ ケトン体について、時々血液(リブレで測定)でケトン体を測定しています。
  200~300ぐらいです。
  ケトン体の数値があまり上がりませんが、  
  ケトン回路に切り替わっていないと言う事ですか?

よろしくお願いします。

年齢 59歳 身長 168cm 体重 59kg

検査結果
              2023/3/9          2023/4/20
抗GAD抗体         36.6              -
インスリン空腹        2.7               -
c-ペプチド          1.2               -

A1C             6.0               6.1
血糖(BS)前       110                 113

総ケトン体        269                164
アセト酢酸        63                  39  
3ヒドロキシラク酸    206                 125

尿素窒素         22.6                32.0
中性脂肪         42                 42
HDL          70                 87
LDL           140                188】



こんにちは。緩徐進行1型糖尿病のyamamoto さんから、
コメント・質問を頂きました。

2023/3/9         
抗GAD抗体        36.6(5未満)          
空腹時インスリン値     2.7(2.7~10.4)

   
血中インスリン値:2.7~10.4μU/mL(国立がん研究センター)
空腹時インスリン基準値は、検査機関により少し異なることがありますが、
yamamoto さんの場合、正常の下限くらいの分泌量が残っているようです。
抗GAD抗体 は明らかに陽性ですので、
緩徐進行1型糖尿病という診断で間違いないと思います。


【毎年受けている健康診断でA1Cの値が5.7~5.9とやや高く、
今年3月に糖尿の専門医院に受診したところ、
抗AGD抗体陽性で緩徐進行性1型糖尿病と診断されました。
早期発見でインスリンが分泌されている状態なので
今のところインスリンの必要は無く経過観察といわれています。】


HbA1cの正常値は、日本糖尿病学会は6.0未満としています。
HbA1cが5.7~5.9%なので、ぎりぎり正常値内に収まっています。
従って、現時点ではインスリン治療の必要はありません。


【糖質制限を始める前は、玄米や野菜中心の食生活をしていました。
お酒は飲みません、タバコもすいません。】


玄米を食べていた頃は、「食後高血糖」「血糖変動幅増大」
という酸化ストレスリスク、合併症リスクがあったと考えられます。


【緩徐進行性1型糖尿病と診断せれてから、
掛かり付けの医師に相談しながら
私なりに膵臓に負担をかけない、
血糖値の上下の変動が少ない食生活が良いと思い
糖質制限を始めようと思いました。】


ご自分で考えて、<血糖値の上下の変動が少ない食生活⇒糖質制限>
に辿り着かれたのは、素晴らしいことです。


【糖質制限は、今年、1月中旬から
1日120g以下(週一回は甘いお菓子などを食べていました)を始め、
1型糖尿病と診断されたため3月20日からスーパー糖質制限を始めました。】

そうですね、1型糖尿病と確定診断ですから、
食後高血糖から自分のβ細胞を守るためには
スーパー糖質制限食という選択がベストです。
180mg/dlを超える血糖値は、β細胞に障害を与えます。
揺るやかな糖質制限食で、
1回に40gの糖質だと、2型でも食後血糖値は120mg/dl上昇して、
180mg/dlを超えます。
まして1型なら食後血糖値は180mg/dlを軽く超えてしまうと思います。


【今後、できれば糖質制限など食生活や生活習慣の改善で
インスリンを使わず生活していきたいと思っています。
(掛かり付けの医師は糖質制限には否定派ですが、
私が糖質制限を行っていることについては受け入れて頂いています。)】


主治医のドクターは、「糖質制限をするな」と言わないのは、素晴らしいです。



【○ ブログには1型糖尿病でインスリンフリーを続けている患者さんの話が
 載っていますが、緩徐進行1型糖尿病での糖質制限の効果、
 インスリンフリーの可能性などをお聞かせください。】


 自己免疫的にβ細胞が壊れるのが1型糖尿病ですが、その速度は遅いと思います。
現実には高血糖がβ細胞を障害する速度の方が遥かに早いので、
スーパー糖質制限食で、血糖コントロール良好を保つことが、極めて重要です。

【○ 緩徐進行1型糖尿病で糖質制限行っていくうえで注意点をお聞かせください。】
スーパー糖質制限食で、血糖コントロール良好を保つのみです。

【○ 尿素窒素の値が高くなってきてますが大丈夫ですか?】
 スーパー糖質制限食は相対的に高蛋白食となるので、BUN が上昇することがあります。
しかし、クレアチニン値やシスタチンC値が正常なら、腎機能は大丈夫です。
一度、最も信頼度が高い腎機能検査である<シスタチンC>を検査しましょう。

【○ 中性脂肪、低い HDLとLDLが高いが大丈夫ですか?】
 中性脂肪値が60mg/dl以下でHDL-Cが60mg/dl以上あれば
LDL-Cも全て標準の大きさの善玉ですので心配ありません。

【○ スーパー糖質制限を始めて約1ヵ月後に検査を受けましたが 
  A1Cの値に変化は見られませんでした、なぜでしょうか?
  A1C 6.0%(3/9)→6.1%(4/20)】

3/9のHbA1c値は、血糖変動幅増大のある<質の悪いHbA1c>です。
一方、4/20のHbA1cは、血糖変動幅増大がほとんどない<質の良いHbA1c> です。

【〇今後、A1Cが下がる可能性はありますか?】

 5.8%とか5.9%になる可能性はあると思います。

【○ ケトン体について、時々血液(リブレで測定)でケトン体を測定しています。
  200~300ぐらいです。
  ケトン体の数値があまり上がりませんが、  
  ケトン回路に切り替わっていないと言う事ですか?】

3月20日からスーパー糖質制限を始めておられて、
1ヶ月後の4月20日の総ケトン体が 164 です。
スーパー糖質制限を続ければ今後さらに上昇してくると思います。
ただ、ケトン体の上昇には個人差があります。
スーパー糖質制限食で総ケトン体が2000とか3000の人もおられます。
スーパー糖質制限歴21年間の江部康二の総ケトン体値は
300~600~900~1200くらいです。

基準値
総ケトン体 26~122μmoL/L
アセト酢酸 13~ 69μmoL/L
3-ヒドロキシ酪酸 0~ 76μmoL/L



江部康二