機能性低血糖。急性膵炎・慢性膵炎と糖質制限食。
【17/10/17 ルーマニアから

膵炎らしき症状に糖質制限は

江部先生。初めまして。突然の失礼をお許しください。
私は55歳の男性で、長いこと低血糖症に悩んでいまして、
ことしの3月と6月に急性膵炎で倒れてしまいました。

しかし、昨年4月よりルーマニアの片田舎に在住のため、
日本のような医療機関が見つからず、
インターネットの情報から絶食とわずかづつの摂食でなんとか自力で回復しました。

しかし、救急症状まではいかなくとも低血糖症状は良くならず、
しんどい時は昏睡のように眠ったり、
最悪の時は黒砂糖を食べて救急症状に対応したりしています。

しかしなんとかしたいといろいろと探しているうちに、
江部先生の糖質制限にたどり着きました。
もう本当に目からウロコが取れた感じです。
自己流でこれを始めて1週間くらいです。
血糖の乱高下は収まりつつあります。
しかし医療機関の受診も検査もできないため、数値からではなく、
体の様子からの判断であり、すべて憶測の範囲を出ません。

糖質制限の注意事項に、基準値範囲内の膵炎患者は適応しない、とありますが、
私のような症状では糖質制限食を行ってよいものでしょうか。
薬は膵炎用の単純消化薬のみ服用しています。

お忙しいところ大変申し訳ありません。
もしわずかでもアドバイスをいただけると大変助かります。
よろしくお願いします。】



おはようございます。
「ルーマニアから」 さんに、膵炎と糖質制限食について、コメント・質問を頂きました。
機能性低血糖もあるそうです。

結論から言うと、「ルーマニアから」 さんの今の状態なら
腹痛などの症状もなく、急性膵炎から回復しておられますので、
糖質制限食を実践されても大丈夫です。

『慢性膵炎の診断基準を満たす場合は、糖質制限食は適応とならない。』
と述べましたが、下記にもありますように、そのようなケースはまれです。

従いまして、安心して糖質制限食を実践されて、
機能性低血糖の症状を予防・コントロールされて、大丈夫です。


さて、急性膵炎は重症の病気で、本来、入院が必要です。
しかし急性膵炎は、致命的経過をとることがある重症例を除き、
一般的には可逆性であり、臨床的回復後約 6 か月経過すると、
膵臓は機能的・形態的にほぼ旧に復するとされます。

従って、治ったあとは糖質制限食OKです。
糖質制限食で膵炎になるということは、ありません。
一方アルコールが急性膵炎のもっとも多い原因ですから、
過度な飲酒を控えることが大変重要です。
1日あたりの飲酒量が増えるに伴い
急性膵炎のリスクが上昇することが知られています。


慢性膵炎は、再燃と改善(間欠期)を繰り返しながら、
徐々に膵臓が慢性炎症のために壊れて膵機能不全に進行していく病気です。
再燃を予防するには、アルコールを控えることと禁煙が最も重要です。

「厚生労働省難治性疾患克服研究事業・難治性膵疾患に関する調査研究班」
の全国調査によると、
2011年1年間に医療機関を受診した慢性膵炎患者さんの数は約67,000人、
人口10万人あたりの数は52.4人と推定されています。
2011年の1年間に新たに慢性膵炎を発病した患者さんは約18,000人でした。

慢性膵炎は高脂肪食はなしとなりますので、糖質制限食は適応となりません。
一方、慢性膵炎の確定診断には画像診断或いは組織診断が必須です。
そのため、確定診断のついた慢性膵炎は、そんなにはおられません。

従って、確定診断がついていない、
血清アミラーゼやリパーゼがやや高値で、腹痛もないレベルなら
糖質制限食OKです。
実際、糖尿病があり、アミラーゼ高値でも
腹痛はない患者さんが
糖質制限食を実践したところ、血清アミラーゼ値が改善したことがあります。


より詳しくは以下の本ブログ記事をご参照頂けば幸いです。


2015年05月12日 (火)の本ブログ記事
「膵炎と糖質制限食。急性膵炎。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3377.html

2015年05月14日 (木)の本ブログ記事
「膵炎と糖質制限食2。慢性膵炎。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3379.html



江部康二
炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】植物vs.ヒトの全人類史、刊行
炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】
植物vs.ヒトの全人類史 (光文社新書) 新書 – 2017/10/17
夏井 睦 (著)




こんにちは。
我が畏友、夏井睦先生の新刊が刊行されました。

衝撃のベスセラー「炭水化物が人類を滅ぼす」から、4年、
最終解答編ということで、
期待はおおいに膨らみます。

2016/7/20(水)、
NHKクローズアップ現代で糖質制限食が特集されました。
番組出演の群馬大学名誉教授の栄養学者の高橋久仁子さんが、
「ダイエットブームは、たいてい1~2ヶ月、
長くても半年で終わるが糖質制限食は年単位で続いているのが不気味です。」
と述べておられました。

私に言わせれば、不気味でも何でもなく、
糖質制限食はブームではなく真実そのものであるということです。

すなわち、糖質制限食は生理学的事実に基づく基礎理論により体系づけられています。
さらにRCT研究論文・コホート研究によるエビデンスがある科学的な食事療法なのです。

糖質制限食は、今後もどんどん広がり続け、人類を救ってくれることでしょう。
夏井先生からの、新説・仮説・解答・メッセージ・・・とても楽しみです。

炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】
私も早速、購入しました。
しっかり熟読したいと思います。
皆さんも、ぜひどうぞ、御覧あれ。

江部康二


☆☆☆
以下は、出版社の内容紹介です。

内容紹介
ダイエットに革命をもたらしたあのベストセラーの
発売から4年、待望の続編がついに登場! !

2割の「冒険家遺伝子」が今、開始する
糖質からの独立戦争

「増えよ、地に満ちよ……」
埋め込まれたプログラムのままに、
生物としてのリミッターを外してしまった人類は、
これからどこへ行こうとしているのか――。


◎内容
ベストセラー『炭水化物が人類を滅ぼす』の刊行から4年。
この間、糖質制限を取り巻く社会の状況は大きく変化した。
批判的な記事は数を減らし、代わってスーパーや外食チェーンには
糖質オフ商品が続々登場。今や糖質制限市場ともいうべき
巨大マーケットが形成されている。
それは何より消費者の側が、健康への効果を体感しているからだろう。
続編となる本書では、前作で未解決だったいくつかの問題を解決し、
実践者からの大規模アンケートの結果を公開。
さらに糖質セイゲニストの立場から、全生命史、全人類史を
読み直すという新たな試みに挑む。
「糖質まみれの近・現代人」による研究は、
初期人類(糖質ゼロ)の姿を見誤っている。
19世紀的知識の呪縛、シアノバクテリアの呪いから我々の脳を解き放ち、
糖質に操られ支配される生活から人生を取り戻すべく
縦横無尽に新説・仮説を展開しながら語る。
アルコール摂取の適量は?、リスクは?、血糖低下作用は?
こんにちは。

ずいぶん、涼しくなってきました。
鍋の季節ですね。
我が家は、秋・冬は鍋料理が多いです。
夏でも鍋料理のこともあります。
鍋は、究極の糖質制限料理ですね。(^^)

2017年10月14日(土)は食事会のあとカラオケに行って
超久しぶりに午前様でした。
辛口ワインとハイボールです。
とても楽しかったのですが、
日曜日は、やはりというか必然的というか二日酔いでしたが、 (*_*)
テニスには行きましたよ。

もっとも、糖質制限食開始前の、「嘔気・嘔吐・点滴」といった
シビアな二日酔いではなくて、頭が重いていどでした。
朝昼兼用の食事もいつも通り食べました。

秋・冬はお酒が美味しいですが、家で呑むときは、
寒い日は最初の1杯は焼酎のお湯割りで、その後は水割りに切り替えます。

焼酎も、基本25%のものが主で、
濃いアルコールはできるだけ避けるようにしています。

さてアルコール1gは約7kcalの燃焼エネルギーを有し、
摂取時の利用効率は70%ていどと推定されています。

一方、エネルギーは有していますが、
糖尿病専門医研修ガイドブック 改定第4版 81ページの記載によれば、
アルコールには体重増加作用がないとされています。

そして、アルコール単体では、血糖を上昇させることはありません。
蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)は糖質を含まないので血糖を上昇させません。
醸造酒(ビール、日本酒など)は糖質を含むので血糖値を上昇させます。


<アルコールの適量>

世界がん研究基金2007年の勧告では、アルコールの推奨量は、
男性は1日2杯、女性は1日1杯までとしています。
1杯はアルコール10~15グラムに相当します。

米国糖尿病学会は、
アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら適量としていますが、
ビール(5%)なら600ml
ワイン(15%)なら200ml
ウイスキー(43%)なら70ml
焼酎(25%)なら120ml
糖質ゼロ発泡酒(4%)なら750ml

に相当します。

<アルコールのリスク>

世界がん研究基金の2007年の勧告で、アルコール摂取は、
「口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん」の確実なリスクであり、
「肝臓がん、大腸がん(女性)」 のリスクとなるので要注意です。 (→ο←)

それから、過度のアルコール摂取は、
肝細胞内での脂肪酸からの中性脂肪の過剰合成を引き起こします。

その一部は肝臓外へ分泌されて高中性脂肪血症の原因となり、
一部は肝細胞内に蓄積されて脂肪肝の原因となります。

<アルコールと血糖低下作用>

ご存知の方も多いと思いますが、アルコールには、血糖低下作用があります。

ただ個人差が大きいので、(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、
低下させるというように一律にはいきません。

エネルギー源としては、[アルコール→糖質→脂質→タンパク質]の順で利用されます。

焼酎、ウィスキーなど蒸留酒には糖質は含まれていないので、
血糖は全く上昇しません。

しかし、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて、
優先的に肝臓で分解されますので、
その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。

従って、アルコールを摂取すると結果として、
肝臓の糖新生を抑制することとなります。

血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、
個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、
血糖値が下がる人もいると思います。

また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、
翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。

アルコールの血糖低下作用については個人差が大きいので、ご注意ください。

なお、SU剤内服中の糖尿人やインスリン注射中の糖尿人は、
過度のアルコール摂取により糖新生が阻害されると
低血糖になりやすいので要注意です。

正常人でも、空きっ腹で大量のアルコールを摂取すれば、
低血糖になる可能性もあります。

<江部康二の酒量は?>

私自身のお酒の摂取量ですが、平均的には、
糖質ゼロ発泡酒350mlを1缶、その後、焼酎の水割りを3~5杯です。

焼酎は25%の濃さで、720mlが3日間で空くくらいのペースです。

あるいは、糖質ゼロ発泡酒350mlを1缶と赤ワインを1/2本とかです。

家でたまに、赤ワイン、ボトル1本のむこともあります。

外で飲食のときは、焼酎の水割りを5~6杯のこともあります。

25度の焼酎が720mlなら、アルコールそのものは180ml含まれています。

従って、私は毎日60~75ml以上のアルコールを摂取していますので、
世界がん研究基金や米国糖尿病協会の「適量=30ml」は、
誠に遺憾ながら、確実にオーバーしています。( ̄_ ̄|||)


上述のようにアルコールには発ガン性や脂肪肝のリスクも指摘されていますので、
各自が自己責任で自己管理で適量!?の飲酒ということになるでしょうか? 

勿論、私は、アルコール摂取のリスクは充分承知した上で、
自己責任でそれなりに飲酒しています。 (^^)
幸い、肝機能を含めて、血液検査は全て正常です。

ちなみに、今日も今から宴会です。  (^_^)

江部康二
10/21(土)、NHKカルチャー岐阜教室、糖質制限食講座のご案内。
こんにちは。

NHKカルチャー岐阜教室、
2017/10/21(土) 17:00~18:30
糖質制限食講座
http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1133666.html


のご案内です。
岐阜では、数年ぶりの講演です。

糖質制限食の最新の知識や情報をわかりやすく楽しくお話します。
70分間の講演と20分間の質疑応答となります。
岐阜、名古屋、滋賀方面の方々、是非ご参加いただけば幸いです。
お陰様で、糖質制限食は順調に普及してきています。

2005年に私が「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)
を日本初の糖質制限食の本として刊行したころとは、大きな違いがあります。

なんと言っても、2013年10月に米国糖尿病学会が5年ぶりに改訂した「栄養療法に関する声明」のなかで、
地中海食やベジタリアン食などどともに「糖質制限食」を正式に容認したことが、大きな追い風となりました。

この1~2年、糖質制限食の展開において大きな発展があり
いい意味のサプライズもありました。

2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。

一方、医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、東京大学医学部に行ってきました。
渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
です。

日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。

糖質制限食の発展、まさに、今昔の感ありですね。


江部康二


☆☆☆
以下、NHKカルチャー岐阜教室のサイトから抜粋です。

糖尿病&生活習慣病と糖質制限食
~糖質制限は人類本来の食事、人類の健康食~
http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1133666.html


講師 
一般財団法人高雄病院 理事長  江部康二医師
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会 理事長
内科医 漢方医


内容
糖質制限食は糖尿病治療食として開始され、
数多くの臨床活動を通してメタボなど様々な生活習慣病にも有効ということが判明しました。
運動を勧められても長続きしなかった方、
ダイエットの効果が表れなかった方に向け正しい知識と治療効果、
カロリー制限食と糖質制限食の比較や注意点などをお話します。


受講申し込み
NHKカルチャー岐阜教室
http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1133666.html
058-264-6311

開催期間
2017/10/21(土) 17:00~18:30

受講料(税込み)
会員 3,261円
一般(入会不要) 3,823円


1型糖尿病、スーパー糖質制限食で、8年間インスリンフリー。冠攣縮は?
【17/10/13 小福
糖質制限中の虚血性変化
江部先生
極度の糖質制限と虚血性変化の実験はマウス実験だから、
当てはまらないということですね。
ありがとうございます。

虚血性変化で検索するとほとんどが動脈硬化や血管の詰まりが原因だと書かれています。
私の場合、糖質制限食のおかげでHbA1c5.4%、
動脈硬化はなく、血管にも詰まりが見られません。
運動負荷がかかった時に血管が細くなるみたいですが、
糖尿関係ではなく、ストレスなど別の要因だと考えられますか?

日赤循環器医師に「糖質制限をしている」と話したため、
「あなたは1型糖尿だし、運動した時に心臓を動かすのに必要な養分(糖質)を取り込む力がないから虚血性の変化がでているのかもしれない。
糖尿内科を紹介するので、そこで、2ヵ月くらいインスリン注射をして糖を体に少し取り込み、様子を見てはどうか?」と言われています。

1型でもスーパー糖質制限で8年間、薬も注射もなしで生活できていることもあり、
糖質制限に理解のない医師に診ていただくことにも抵抗がありましたが、
私は素人ですので、
インスリンを打ったら虚血性変化がなくなるかもしれない?と心が揺らぎました。
ですが、江部先生に確認してからでないと決断できず、
インスリンを打つかどうかの返事を待っていただいています。

私にはまだ基礎インスリンが残っているので、
インスリン注射して糖質を多く取り込むことは無意味なのかなぁ?と思いますが、
先生はどう思われますか?

人と違ったことをすると異端児の様に見られます。
まだまだ古い考えの人の前では、私の様に他に異常がでた場合にはやっぱりだと、
「糖質制限」のせいにしがたる傾向にあります。

私は、これまで間違っていないと信じて8年も過ごしてきましたので、
貫きたいのですが、実際に他の不調が出ると心配になるものです。
ときどき、先生に質問させていただいて言葉をいただくとすごく安心でき、
糖質制限のモチベーションにつながっております。

今回は心臓の不調ということもあり、先生の言葉をとても必要としております。
糖質制限をしているのに運動時の虚血性変化が現れることについて、
考えられる原因と、インスリン注射を2ヶ月試してみるべきか?と、
長期間の高たんぱく食が運動をしない人には心臓の負担になるか?
についてご教授いただきますようお願いいたします。】


こんにちは。

1型糖尿病の小福さんから、コメント・質問を頂きました。
スーパー糖質制限食で、8年間インスリンフリーで
HbA1c5.4%とコントロール良好とは、素晴らしいです。

小福さんの「虚血性変化」は動脈硬化はなく、血管にも詰まりが見られませんので、
いわゆる「冠攣縮性狭心症」のシンプルなタイプと思われます。
何らかのストレスなどをきっかけに冠動脈が攣縮するために発症します。

喫煙、飲酒、糖尿病、ストレスなどが関与します。
糖尿病はコントロール極めて良好なので、今回は無関係です。
一般に、
・禁煙.
・血圧管理.
・適正体重の維持.
・耐糖能障害の是正.
・脂質異常症の是正.
・過労,精神ストレスの回避.
・節酒.
をこころがけ、予防にはカルシウム拮抗薬が有効です。
ビタミン E 、ビタミンC、漢方薬の経口投与も有効である可能性があります。

生活習慣を注意しても、「冠攣縮性狭心症」の頻度が減少しないなら
まずは、 ビタミン E 、ビタミンCの経口投与を試しては如何でしょう。
それが無効なら、漢方薬を試し、カルシウム拮抗剤の予防内服も選択肢の1つです。

糖質制限をしているのに運動時の虚血性変化が現れることに関しては
まず上記を試みましょう。


さて、インスリン注射ですが、小福さんの場合は全く適応となりません。
そもそも、ハーパー生化学・原書27版(P155、図16-9)によれば
「心臓のような肝外組織では代謝エネルギー源は次の順に好まれて酸化される。
1)ケトン体2)脂肪酸3)グルコース。」

ということです。
従ってスーパー糖質制限食で、ケトン体リッチなら、
心臓のエネルギー不足は全く考えられません。

小福さんのように、1型糖尿病でも内因性インスリンがあるていど保たれていて、
HbA1c5.4%ならば、基礎分泌も追加分泌もしっかりでていると考えられ、
インスリンの不足はありません。

私が常々、言っているように、血糖コントロール良好が保たれている限り、
インスリンは少なければ少ないほど、身体には優しいです。

過剰なインスリンは活性酸素を発生させ、酸化ストレスリスクとなります。
従って、インスリン注射は、役に立たないし、酸化ストレスリスクとなる可能性もありますので、適応となりません。


長期間の高たんぱく食が心臓によいかどうか諸説あります。

ともあれ、信頼度の高い論文(☆)で、
植物性、動物性たんぱく質を多くとっている女性は、そうでない人に比べ心疾患のリスクとなる血圧や血管の硬さの数値が低いことがわかったと発表されました。
たんぱく質に含まれる7種類のアミノ酸が影響しており、その効果は減塩や禁煙、禁酒、運動習慣などに匹敵するとのことです。


(☆)
J Nutr. 2015 Sep;145(9):2130-8. doi: 10.3945/jn.115.214700. Epub 2015 Jul 22.
Amino Acid Intakes Are Inversely Associated with Arterial Stiffness and Central Blood Pressure in Women.


江部康二