2017年6月18日(日) 朝日カルチャーセンター立川教室。糖質制限食の講座。
おはようございます。

2017年6月18日(日)
朝日カルチャーセンター立川教室にて
糖質制限食の講座の講師をつとめます。

2016年4月30日(土)以来、立川では久しぶりです。
この1年、糖質制限食の展開において大きな発展があり
いい意味のサプライズもありました。

2016年7月のNHKクローズアップ現代の試算によれば、
糖質制限市場は、3184億円とのことです。
医学界より、企業のほうが糖質制限食をビジネスチャンスと捉えて
行動が迅速なようです。

一方、医学界においても、嬉しいサプライズです。
2017年2月7日(火)午後から、東京大学医学部に行ってきました。
渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で鼎談を行いました。
二人で話し合うのが対談で、三人で話し合うのが鼎談です。
渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長
であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授
です。

日本糖尿病学会のトップとじっくり話し合うことができて、
とても有意義な90分間でした。

ケトン体に関しても「心血管イベント,および全死亡の発症率を低下」という
とてもポジティブな評価を示す研究が最近発表され、
糖質制限食にとって大きな追い風となりました。

このような、糖質制限食に関する最新の動向を、本講座において
余すこと無くお話ししたいと思います。
東京、関東方面の皆さん、是非奮って、ご参加頂けば幸いです。


江部康二


☆☆☆
以下、朝日カルチャーセンター立川教室のサイトから一部抜粋。

朝日カルチャーセンター立川教室
糖尿病&生活習慣病と糖質制限食
講師名 高雄病院理事長 江部 康二
https://www.asahiculture.jp/tachikawa/course/6b4de227-9489-6f6c-0701-585a6ad79f60

講座内容
糖質制限食は、1999年から京都・高雄病院において糖尿病治療食として開始され、
合併症を予防できる唯一の食事療法として画期的な成果をあげてきました。
この課程で、肥満・メタボなど様々な生活習慣病にも有効ということが判明しました。
従来の糖尿病食(カロリー制限食)と糖質制限食の比較や注意点についてもお話します。(講師記)


日時・期間   日曜 13:30-15:00  6/18  1回
日程   2017年 6/18

受講料(税込み)
6月(1回)
会員 3,024円
一般 3,672円

お申し込み①
https://www.asahiculture.jp/tachikawa/course/6b4de227-9489-6f6c-0701-585a6ad79f60

お申し込み②
朝日カルチャーセンター立川教室 
電話:042-527-6511

講師紹介 江部 康二 (エベ コウジ)
<プロフィール>
・ 1950年生まれ。
・ 1974年京都大学医学部卒業。
・ 1974年から京都大学胸部疾患研究所第一内科(現在京大呼吸器内科)
にて呼吸器科を学ぶ。
・ 1978年から高雄病院に医局長として勤務。1996年副院長就任。
・1999年高雄病院に糖質制限食導入。
・2000年理事長就任。
・ 2001年から糖質制限食に本格的に取り組む。
・2002年に自ら糖尿病であると気づいて以来、さらに糖尿病治療の研究に力を 注ぎ、
「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服。
内科医/漢方医/
一般財団法人高雄病院理事長/一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長

<著書>
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』2005年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編』2008年(東洋経済新報社)
『我ら糖尿人、元気なのにはわけがある』2009年(東洋経済新報社・作家宮本 輝氏との対談本)
『糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食』2010年(ナツメ社)
『主食をやめると健康になる』2011年(ダイヤモンド社)
『食品別糖質量ハンドブック』2012年(洋泉社)
『糖質オフ!健康法』2012年(PHP文庫)
『糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド』2013年(東洋経済新 報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!新版』2014年(東洋経済新報社)
『主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版』2014年(東洋経済新報社)
『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』2014年(東洋経済新報社)
『江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか? 』 2015年(洋泉社)
『なぜ糖質制限をすると糖尿病が良くなるのか』2015年(ナツメ社)
『糖質制限の教科書』2015年(洋泉社)監修
『よくわかる! すぐできる! 「 糖質オフ! 」健康法 』2016年(PHP研究所)
『人類最強の「糖質制限」論~ケトン体を味方に して痩せる、健康になる』2016年(SB新書)
『江部康二の糖質制限革命』2017年(東洋経済新報社)
など多数。

ブログ
『ドクター江部の糖尿病徒然日記』( http://koujiebe.blog95.fc2.com/
は日に約数千件のアクセスがあり、
糖尿病のかたやそのご家族から寄せられ た質問への回答や、
糖尿病・糖質制限食に関する 情報の発信に、日々尽力している。
脂質栄養学会講演。脂質栄養学での論文。 糖尿病、久山町の悲劇と糖質制限法。
【17/05/23 らこ
江部先生の論文紹介お願い申し上げます。
脂質栄養学 第26巻,第 1 号(2017)p.47-57

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jln/26/1/26_47/_pdf

よろしくお願いします。】


おはようございます。

らこさんから
私の論文が、ネットにpdfファイルで公開されているとの
コメントをいただきました。
ありがとうございます。
論文は書きましたが、ネットでpdfファイル公開とは知りませんでした。

以下は
2016年9月16日(金)日本脂質栄養学会での発表の講演要旨です。
この講演を基に論文を執筆しました。
論文は
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jln/26/1/26_47/_pdf
を御覧頂けば幸いです。
やや長文となりますが、とても参考になると思います。

江部康二

糖尿病、久山町の悲劇と糖質制限法

財団法人高雄病院、日本糖質制限医療普及推進協会代表理事
江部 康二


講演要旨 
抄録

「摂取後直接、血糖に影響を与えるのは糖質のみであり、蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及 ぼすことはない。」というのが米国糖尿病学会の見解である。これらは含有エネルギーとは無関係の生理学的事実である。食後高血糖と一日平均血糖変動幅増大が、糖尿病患者において最大の酸化ストレスリスクとなるが、これらを生じるのは糖質摂取だけであり、脂質や蛋白質を摂取しても生じない。糖質制限食なら食後高血糖は生じず、平均血糖変動幅は速やかに改善する。一方カロリー制限食を実践しても糖質を摂取すれば、必ず食後高血糖と平均血糖変動幅増大を生じる。酸化ストレス亢進は、糖尿病合併症、動脈硬化、ガン、老化、アルツハイマ-病、パーキンソン病などの元凶とされている。米国糖尿病学会は、2013 年 10 月、5 年ぶりに「栄養療法に関する声明」を発表し、全ての糖尿病患者に適した唯一無二の食事パターンはないと明言し、糖質制限食、地中海食、ベジタリアン食、低脂質食、DASH食を受容した。脳はブドウ糖だけでなくケトン体をエネルギー源としていくらでも利用する。ケトン体はインスリン作用が保たれているかぎり安全な物質である。ケトン体は肝細胞内で「脂肪酸→β酸化→アセチルCoA→ケトン体」という順番で日常的につくられていて、肝臓では使われずに、他の臓器・脳・筋肉のエネルギー源として供給される。日常生活では空腹時は心筋・骨格筋など多くの体細胞は脂肪酸・ケトン体を主エネルギー源としているのに対して、赤血球・脳・網膜など特殊な細胞だけがブドウ糖を主エネルギー源としている。なお赤血球はミトコンドリアがないのでブドウ糖だけが唯一のエネルギー源である。2型糖尿病高雄病院入院患者において、同一カロリーにそろえた従来の糖尿病食(高糖質食)と糖質制限食における血糖の日内変動を比較検討してみた。その結果、糖質制限食では従来の糖尿病食に比べて顕著な食後血糖改善効果が認められた。糖尿病合併症は米国においては激減したが、日本では毎年16000人が透析、3000人以上が失明、3000人以上が足切断に陥っている。九州大学医学部が1961年以来継続している信頼度の高い久山町研究において、糖尿病発症予防のため1988年から「食事療法+運動療法」により強力に指導が行われた。しかし2002年の統計では、従来の糖尿病食指導により糖尿病発症が激増しており、私はこれを久山町の悲劇と呼んでいる。

NHKマイあさラジオ。東洋経済オンライン。「江部康二の糖質制限革命」。
おはようございます。

NHKラジオ第一放送「マイあさラジオ」で、
2017/5/21(日)午前6時40分~約10分間
「著者からの手紙」のコーナーにおいて
高市佳明アナウンサーとインタビュー形式で
「江部康二の糖質制限革命」の紹介をして頂きました。

NHKネットラジオ - NHKオンラインの
番組ホームページから
5/21(日)「著者からの手紙」の放送を聞けるようになりました。
http://www4.nhk.or.jp/r-asa/359/

早朝の放送を聞き逃した方は、是非お聞き頂けば幸いです。



健康-東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/171789?display=b

「糖質制限は痩せすぎる」にはこう対処せよ!
第一人者が伝授「正しい糖質制限ダイエット」
江部 康二 :高雄病院理事長 2017年05月20日
「「糖質制限は痩せすぎる」にはこう対処せよ!
第一人者が伝授「正しい糖質制限ダイエット」

糖質制限食で、なかにはやせすぎてしまう人も…。
著しいダイエット効果がある糖質制限を、夏に向け始めたいという方も多いことだろう。
だが、糖質制限食を日本で初めて紹介した江部康二医師によると、
糖質制限を行うにあたっては「落とし穴」があるので注意が必要であるという。
「正しい知識」が欠如したまま自己流で実践すると、
前々回(「糖質制限で痩せない!」にはこう対処せよ)解説したように
、期待したダイエット効果が得られないこともあるというのだ。
また逆に、多くの人にとってはぜいたくな悩みかもしれないが、
糖質制限で「やせすぎて困る」という人もいるという。
このたび『江部康二の糖質制限革命』を上梓した江部医師に、
糖質制限ダイエットによる「やせすぎ」への対処法を語っていただいた。

「やせすぎて困る」はエネルギー不足
前々回ご紹介した「やせられない」という方とは逆に、
糖質制限食を実践して「やせすぎて困る」という方も、まれにですがいらっしゃいます。
これからダイエットしたいという方にとっては、うらやましい悩みかもしれませんが、
読者からの質問でも時折見受けられます。比較的、高齢の女性に多いようです。
この「やせすぎる」の原因は、第1回(糖質制限ダイエットの恐ろしい「落とし穴」)でもふれたように、
多くはエネルギー不足によるものです。
糖質制限食には血糖コントロールを改善する効果とともに体重減少効果がありますが、
摂取エネルギーが十分ならば過度に減少することはありません。
その個人における適正な体重で落ち着きます。
ただ、なかには少食タイプの人もいて、
結果として低エネルギーになり、やせすぎることもあるのです。
年齢の高い女性にこうした方が多いのは、食が細くなっているためでしょう。

→次ページ 糖質制限食を食べきれないというケースも

続きは、
http://toyokeizai.net/articles/-/171789?display=b
のサイトをご覧頂けば幸いです。


江部康二
HbA1c、75gOGTT、糖尿病合併症、高血糖の記憶について
【17/05/23 みぃ
長文失礼します。
約3週間前に2型糖尿病の診断を受けた、30代前半、痩せ型女性です。
糖尿病の診断を受けてから先生のブログを子育ての合間に見させていただいているので、過去の記事へのコメントになってしまい、申し訳ありません。

私は10年ほど前からHbA1c5.2〜5.4%(JDS)、NGSPに変わってからは、5.6〜5.7%で、正常高値でした。この度、昨年秋頃から月一回風邪をひき、2か月前からは強い腹痛、下痢が時々あり、そして、急にエンジンが切れたようにだるくなり動けなくなることが時々あり、不眠(中途覚醒、早朝覚醒)も出てきたので、これはおかしいと思い、総診を受診しました。内分泌系の諸々の血液検査データは異常なし。ただ、HbA1cが5.9%と過去最高になっていたので、翌日から糖質制限を実施。4日後、糖尿病内科を受診し、FBS78,HbA1c5.6%でしたが、75gOGTTにて一時間後から200を超えており、2時間後までどんどん上がり(山型ではなく右肩上がりでした)、2時間後は265でした。

それから色々情報収集したり勉強したりして、既に自分は数々の合併症が出ていたことがわかりました。
私は二十歳の頃から、時々腕や太もも、脇などの内側にビリッと電撃痛が走ることがあり、これまでペインクリニックなどで診察してもらいましたが、原因が特定できませんでした。そして、いつの頃からか、足の裏がピリピリとしびれていたことにも最近気付きました。
合併症はHbA1cが7%くらいにならないと起こらないという自分の中の変な意識のせいで、完全に大事な症状を見逃していたのだなと反省しました。そして、ついに自律神経にまで症状が及んできていたのだと思い、大変怖くなりました。今週土曜日に、眼科で網膜症の検査をしてもらおうと思っています。

きっと、HbA1cが基準値を超えていなかっただけで、私の体の中では、低血糖と高血糖が繰り返され、もう長年糖尿病に罹患した状態だったのだと思いました。合併症に関しては、血糖コントロールが良くても、これまでの負の遺産で、悪化することもあると知り、ただただ怖いです。まだ子どもも小さく、二人目の妊娠希望もあります。不安ばかりですが、糖質制限の力を信じて継続するしかないですね。

ちなみに、妊娠中(約3年前)の50gGCTでは1時間後が134でギリギリひっかからなかったのですが、おそらく2時間後は下がることなくもっと上がっていたのだろうなと思い、よく無事に産まれてくれたと奇跡に感謝です。

また、今回も、総診では5.9%という値に対し、「正常範囲内ですよ?心配ですか?」と言われ、糖尿病内科でも、75gOGTTを自分から希望するまでは「5.6%だからまぁ緩く糖質制限をすればいいんじゃないかな」で終わらされるところだったので、改めて、糖尿病診断の困難さを感じました。

今はまだ頭がパニックで、色々考えては落ち込み、今後が不安でなりませんが、このブログにコメントされている皆様、糖質制限をしながら頑張っておられるので、私も力をもらって自分を奮い立たせたいと思います。】



こんにちは。
みぃ さんから、
HbA1c、75gOGTT、糖尿病合併症について、
コメント・質問を頂きました。

『75gOGTTにて一時間後から200を超えており、2時間後までどんどん上がり265』

これは糖質制限食を開始して4日後のデータなので、
見かけ上の耐糖能低下(糖尿病型)と思います。
糖質摂取の準備ができていない状態で、いきなり75gのブドウ糖という大量の糖質摂取なので、
油断していたβ細胞が対応ができなかったのだと思います。

糖尿病学会の推奨通り、75gOGTT検査前の3日間は、
150g/日以上の糖質摂取をしてから、検査すれば、
β細胞も油断していないので、もう少し良い結果(境界型ていど)であったと思います。

平均血糖値の換算式
<平均血糖値 = HbA1c×28.7 - 46.7>


HbA1cが5.9%なら、平均血糖値は122.6mg/dlです。
従って、普通の糖質ありの今までの食生活で、
食後血糖値が200mg/dlを超えていたということは、考えられません。

ここ5年間のHbA1cが5.6~5.9%なら
平均血糖値は、114mg/dl~122.6mg/dlですので
糖尿病合併症が出現することは、ありません。
足の裏のピリピリも、糖尿病合併症ではないと思います。

眼科検診は是非実施しておきましょう。
糖尿病網膜症はないと思いますが、確認して安心しましょう。


『合併症に関しては、血糖コントロールが良くても、これまでの負の遺産で、悪化することもある』

高血糖の記憶、消えない借金という概念は以下のようなことを言います。
例えば過去数年間高血糖でコントロール不良で
HbA1cが9.0%前後の糖尿人Dさんがいたとしましょう。
この糖尿人Dさんが、一念発起してスーパー糖質制限食を開始して、
ものの3ヶ月で、HbA1cが5.8%に改善し、空腹時血糖値も100mg/dlで
食後血糖値も140mg/dl未満となり、コントロール優秀を達成しました。

しかし、現在はコントロール優秀でも、過去のHbA1c9.0%の数年間で
すでに動脈硬化が起こっていたら、
それは消えない借金、高血糖の記憶として残存しています。

そのまま血糖コントロール良好を保っていても、
ベースにある高血糖の記憶により、1年後とか2年後に、
狭心症や心筋梗塞を発症する可能性があるのです。
このことを『高血糖の記憶』といい、油断は禁物なのです。

従って、糖尿病の方々は、
眼科検診、頸動脈エコー、心エコーなど、
画像診断をチェックしておくことが必要なのです。


ともあれ、
みぃ さんの場合は、
前述のように、高血糖の記憶がある可能性はほぼないと思いますので
安心していいと思います。

今から、糖質制限食を実践しておけば、将来の糖尿病発症が予防できますし、
第二子も、インスリンなしで妊娠・出産が可能です。

これからも美味しく楽しく糖質制限食を続けられて、
健康ライフを送って頂けば幸いです。


江部康二
第60回 日本糖尿病学会 年次学術集会[名古屋] の感想
【17/05/21 しらねのぞるば
第60回 日本糖尿病学会 年次学術集会[名古屋] 感想
糖質制限食の観点では,今回の目玉は,やはりDebate #4の『食事療法について再考する~エネルギー制限か糖質制限か~』でしたので,これを聴いて参りました.
このテーマになると 相変わらず会場は満席です.

演者は,エネルギー制限が 府立医大の福井道明先生,糖質制限が 北里研究所病院の山田悟先生で,この組み合わせは これで3回目の対決となります.

まず登壇した山田先生は,
================
学会では,今に至るもカロリー制限か糖質制限かの結論が出せないので,このようなDebateが行われるわけだが,世の中ではとっくに結論が出ている. 実際この学会会場近くのイオン金山を見ると,糖質制限食コーナーがあるほど,今や糖質制限は十分に普及した.

したがって,今更 糖質制限は何かとか,その利点について述べる必要性すら感じない.よって今回はカロリー制限食を推奨することがいかに間違っているか,この点にFocusする.

★診療ガイドラインにおける食事療法エビデンス提示
学会のガイドラインでは,現在でもカロリー制限食を推奨しているが,そのエビデンスはわずか3件の文献のみ(1件は食べ順)). 世界には糖質制限食を評価した多数の文献があるのに,それらは一切採用していない.

★カロリー制限食でいう,『適正なカロリー設定』は本当に適正か
学会ガイドラインでは,『適正カロリー』を,BMI22の標準体重×25-30kcal/kg(軽労作の場合)としているが,これが本当に適正か. ベッド上安静の人であっても,これ以上のカロリーが必要とされている.

★肥満でない人にまで,極端な低カロリー食を強いることが適切か

★そもそも,毎日の食事で,患者に摂取カロリーを把握しろということが,現実的か
100gの牛肉でも,部位や産地により,そのカロリーには数倍の開きがある. この一例を見ても摂取カロリーの正確な把握など不可能.

★1年中,常に一定のP/F/C 比を厳密に守った食事ができる人がいるだろうか?

★カロリー制限食で,肥満体重が減少した,というエビデンスはあるが,血糖コントロールが改善したというエビデンスはない. しかし糖質制限食にはある(学会ガイドラインは,このエビデンス論文を無視しているが)

★糖質制限食の長期安全性は不明というが,ではカロリー制限食の長期安全性のエビデンスは?

★カロリー制限食は,糖尿病治療食として,適当でないだけでなく,危険ではないか.
=========== 以上
と,いつものように多数のスライドで列挙されました.


対して,福井先生は,
================
◇糖質制限食は,食品交換表のP/F/C比率を外れざるを得ない,だから適切ではない. なぜなら食品交換表が適切だからである.
(すみません,ここの箇所,私にはどうしてもこのような循環論法にしか聞こえなかったのですが,他に正確に理解された方がおられたら,補足願います)

◇すべての糖質制限に反対しているのではない.あまりにも炭水化物過食に偏した食事嗜好の人や,P/F/Cがどうであれ 超肥満の人に対して,糖質を制限するのは当然. これらは『糖質が多すぎる』人なのだから.

◇腎症の人には糖質制限は危険,また動物性の蛋白質・脂質に偏ると,死亡率が上昇するという報告もある.

◆ただし,植物性の蛋白質・脂質,また 動物性でも魚を多くとれば,糖質制限はむしろ 死亡率がもっとも低いというデータもある.また脂質の鎖長(中鎖・短鎖)によっても,異なる.
=========== 以上

という反論でした.福井先生は『このDebateが始まって以来,私は全くブレていない』と言われていましたが,少なくとも,◆の箇所は,初期の頃とは正反対です. なにしろ『肉と油でギトギトの糖質制限食』と連呼していたのですから.

なお,このシンポジウム以外にも,最終日午後に,他学会と合同で「シンポジウム 26 ~これからの食事療法~」があり,これも聴講しましたが,割愛します. なぜなら 『糖尿病の食事療法』を説明された 杏林大学 石田均先生が,いつもの内容を話されただけでしたから. 強いて言えば,『食品交換表は,一律・機械的にすべての人に同じ食事をしろと言っているのではない』と述べられたのが耳新しかったぐらいでしょうか. もっともそのすぐ前に『食品交換表はBibleである』とも仰ったので,どこまで本気なのかは不明です.


なお,糖質制限食と直接の関係はないトピックスですが;

(1) ストレスで血糖値上昇することが実測された
『ストレスによってアドレナリン分泌が優位となり,血糖値は上昇する』とは,従来から言われてきたことですが,実際どうなのかと探してもデータはありませんでした. ところが,CGMの普及でこういうこともわかるようになってきたのですね. CGMを装着した人の3例で,食事などに全く関係なく血糖値が急上昇している時間帯があり,聞けばその時にもめごとなどがあって,ストレスを感じていたそうです. 今回はポスター発表が広い地下駐車場だったので,じっくり読むことができ,こんな面白い発表があることに気づきました.

(2) グルカゴンは悪者か
[グルカゴン Update]の講演で,インスリンとグルカゴンとは,血糖だけでなく,アミノ酸代謝においても正反対の作用を示すという発表を受けて,会場から
『人類は農耕により多量の糖質を摂取するようになる以前は,たんぱく質から得たアミノ酸,特に必須アミノ酸以外の 糖源性アミノ酸から糖新生するルートがメインだったのではないか. グルカゴンは,現代の人間から見ると,【血糖値を上げる】だが,人類の長い歴史では,【アミノ酸から糖質を得る】が本来の役割だったのでは』
という意見が出されて,なるほどなと思いました.


以 上】



こんにちは。
しらねのぞるばさんから
第60回 日本糖尿病学会 年次学術集会[名古屋] の感想を
コメント頂きました。
しらねのぞるばさん、いつもありがとうございます。
とても参考になります。

『今や糖質制限は十分に普及した.
したがって,今更 糖質制限は何かとか,その利点について述べる必要性すら感じない.よって今回はカロリー制限食を推奨することがいかに間違っているか,
この点にFocusする.』

山田悟先生、なかなか過激な発言ですが、私も大賛成です。

そして、『エネルギー制限高糖質食』の最大のリスクは、
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」という酸化ストレスリスクを
食事のたびに、必ず生じるということです。
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」が糖尿病合併症の元凶です。

従って、従来の糖尿病食(エネルギー制限高糖質食)では
糖尿病合併症を防ぐことは、理論的に不可能です。
端的に言えば、従来の糖尿病食(エネルギー制限高糖質食)は
『合併症製造食』です。


現実に糖尿病患者さんにおいて
毎年16000の人工透析、3000人の失明、3000人の足切断が発症しています。


福井道明先生の
『糖質制限食は,食品交換表のP/F/C比率を外れざるを得ない,だから適切ではない. なぜなら食品交換表が適切だからである』

このご発言ですが、食品交換表の、P/F/C比率にエビデンスがないことは明らかです。

「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」
2013(編集日本糖尿病学会)の食事療法の項に、

「摂取エネルギー量の決定」
「摂取成分量」

の項目で、摂取エネルギー量算定の目安や
炭水化物は指示エネルギー量の50~60%など、
グレードAで推奨してあります。

摂取エネルギー量の目安に従えば、
かなりのカロリー制限食(エネルギー制限食)となります。

まあ、結局、「食品交換表」も「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」も、
従来の糖尿病食である、「エネルギー制限・高糖質食」を、
相変わらずグレードAで推奨しているわけです。

そして、驚くべき事に、

「摂取エネルギー量の決定」
「摂取成分量」

の項目は、グレードAの推奨なのに、
根拠はともにコンセンサスなのです。

コンセンサスというのは、根拠となる論文がないので、
ガイドライン作成に関わった医師が相談して決めたということです。

つまり、科学的根拠に基づいていないことが、
明示されているのですから、何をか言わんやです。


結論です。
エネルギー制限食(従来の糖尿病食)では、
「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」、
そして糖尿病合併症を防ぐことは不可能です。

また、山田流の緩やかな糖質制限食で、糖尿人が
1回の食事の糖質量30~40gを摂取すれば、
こちらも残念ながら「食後高血糖」になる可能性が高いです。
緩やかな糖質制限食が有効なのは「境界型糖尿病」かごく軽症の糖尿病だけです。

「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」を確実に予防できるのは
1回の食事の糖質量が20g以下のスーパー糖質制限食だけです。



江部康二



(1) ストレスで血糖値上昇することが実測された。
(2) グルカゴンは悪者か


こちらも大変興味深い情報です。
ありがとうございます。