2023年12月05日 (火)
こんばんは。
高雄病院栄養科で入院給食で提供しているスーパー糖質制限食だと、
1回の食事の糖質量が10~20g以下で、
1日3食で、30g~60g以下の糖質摂取です。
『ケトジェニックダイエット』 であり、
三食を平均すると糖質摂取比率は12%くらいです。
私の場合は、朝は<コーヒー+生クリーム>で
昼夕の1日2食ですので、一回10g、1日に20gくらいの糖質摂取量で、
糖質摂取比率は、4~5%くらいです。
私の血中ケトン体は、660~1590μM/L(26~122μM/L)レベルであり
「ケトン体質」になっています。
私は、73歳ですが、
テニスの試合中でも、速歩中でも、まったく息切れはしませんし、
スタミナも充分です。
同年配のテニス仲間は、たいてい、試合中に息切れしていますし、
2試合くらいすると動きが重くなります。
月、火、水、木、金、土と仕事なので、日曜日しかテニスに行けません。
1日2食ですが、 日曜日だけは、朝8時頃、最初の食事をします。
車で30分かけて、テニスクラブに到着して、午前11時から100分くらい練習です。
その後、13時くらいから、ダブルスの試合を3~4試合します。
練習が終わったあと帰る方々は、このあと試合をしますというと、
「すごいスタミナですね!」とびっくりされます。
私の場合、
筋肉のほとんどのエネルギー源は<ケトン体-脂肪酸>システムであり、
<ブドウ糖-グリコーゲン>システムはほとんど利用していないと思います。
それで、スタミナが充分なのだと考えられます。
ともあれ、スポーツをしている人にとって、
スーパー糖質制限食で、運動時のスタミナは大丈夫か?
といった疑問が湧いてくると思いますが、
結論は、『大丈夫』なのです。 (^^)
参考になる文献として
「オフロードサイクリストにおける運動代謝と身体能力へのケトン食の影響」
という題のポーランドの研究があります。(*)
以下、この研究の要約と結果を、かなりアバウトに意訳してみました。
面倒なところは一部省いていますが、大意は合っていると思います。
<要約>
本研究の主な目的は、オフロードサイクリストの好気的パフォーマンスと運動代謝においての、
長期的ケトン食の効果を決定することであった。
被験者はトレーニング経験が5年間以上のオフロードサイクリングのアスリート。
8人の男性被験者、年齢は28.3±3.9歳
クロスオーバーで、ケトン食と混合食を一ヶ月ずつ。
それぞれ同じトレーニング負荷。
ケトン食:P:C:F=15:15:70
混合食:P:C:F=20:50:30
様々な強度でサイクロエルゴメーターで連続的な運動手順で検査を行った。
ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて
好ましい変化があった。
最大酸素摂取量と乳酸閾値と呼吸交換率(RER)は、
安静時および運動の最初の3つの段階(10分、45分、90分・・・低~中程度の強度)においては、
ケトン食が優位であった。
最後のマックス強度の運動の時は、ケトン食の優位は逆転した。
<結果>
有酸素持続的なアスリートにおいては、ケトン食は好ましい可能性がある。
高容量で、低から中等度の強度のトレーニング負荷のトレーニング過程においては、
ケトン食は優位である可能性がある。
筋肉のダメージも少ない。
しかし最高強度の運動においては、
ケトン食は筋肉中のグリコーゲン貯蔵が少なく解糖酵素の能力が低下するので運動能力を低下させる。
*ケトン食は脂肪酸代謝を活性化させ、インスリンレベルとブドウ糖利用を減少させる。
自転車のアスリート8名の研究で、ケトン食を摂取した1ヶ月と混合食を摂取した1ヶ月で、
それぞれデータをとって、比較した研究です。
結論は、有酸素運動(この研究では自転車競技)において、
低強度~中等度の強度トレーニングなら、ケトン食は混合食(普通食)より優位であるけれど、
最高強度のトレーニングでは、優位は逆転するということです。
これは、中程度の強度のトレーニングなら、ケトン食で脂肪酸代謝が活性化しているので、
それをエネルギー源として筋肉は混合食(普通食)の時より効率的に活動できるということです。
この結論は、私の印象とも一致しています。
このことを考慮すると、有酸素運動が主のマラソンやトレイルランなどでは、
ケトン食を実践していると、筋肉はしっかり「脂肪酸-ケトン体」を主たるエネルギー源として使って、
中等度の強度の運動で走り続けて、
ラストスパートだけは、「グリコーゲン-ブドウ糖」をエネルギーに使って
無酸素運動で最高強度の運動で終了というパターンが可能です。
この研究のケトン食は、糖質15%ですから、高雄病院のスーパー糖質制限食の12%と似たようなものです。
そうすると、長距離ランナーなどでいつも通りのトレーニングでスーパー糖質制限食を実践していると、
筋肉は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」を使いやすくなります。
そして中程度の強度の走行では、脂肪酸-ケトン体を利用して
ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステムを節約しておいて、
ラストスパートで最後に効率的にそれを使うということが可能となります。
また、テニス、サッカー、野球、バレーボール、卓球、スキーなど、
市民スポーツではスーパー糖質制限食のほうがスタミナが充分でよいパフォーマンスが出せると思います。
(*)
http://www.mdpi.com/2072-6643/6/7/2493#tabs-5
Nutrients 2014, 6, 2493-2508; doi:10.3390/nu6072493
The Effects of a Ketogenic Diet on Exercise Metabolism and
Physical Performance in Off-Road Cyclists
Adam Zajac 1
Stanisław Poprzecki 2
Adam Maszczyk 1,*, Miłosz Czuba 1
Małgorzata Michalczyk 3
and Grzegorz Zydek 3
江部康二
高雄病院栄養科で入院給食で提供しているスーパー糖質制限食だと、
1回の食事の糖質量が10~20g以下で、
1日3食で、30g~60g以下の糖質摂取です。
『ケトジェニックダイエット』 であり、
三食を平均すると糖質摂取比率は12%くらいです。
私の場合は、朝は<コーヒー+生クリーム>で
昼夕の1日2食ですので、一回10g、1日に20gくらいの糖質摂取量で、
糖質摂取比率は、4~5%くらいです。
私の血中ケトン体は、660~1590μM/L(26~122μM/L)レベルであり
「ケトン体質」になっています。
私は、73歳ですが、
テニスの試合中でも、速歩中でも、まったく息切れはしませんし、
スタミナも充分です。
同年配のテニス仲間は、たいてい、試合中に息切れしていますし、
2試合くらいすると動きが重くなります。
月、火、水、木、金、土と仕事なので、日曜日しかテニスに行けません。
1日2食ですが、 日曜日だけは、朝8時頃、最初の食事をします。
車で30分かけて、テニスクラブに到着して、午前11時から100分くらい練習です。
その後、13時くらいから、ダブルスの試合を3~4試合します。
練習が終わったあと帰る方々は、このあと試合をしますというと、
「すごいスタミナですね!」とびっくりされます。
私の場合、
筋肉のほとんどのエネルギー源は<ケトン体-脂肪酸>システムであり、
<ブドウ糖-グリコーゲン>システムはほとんど利用していないと思います。
それで、スタミナが充分なのだと考えられます。
ともあれ、スポーツをしている人にとって、
スーパー糖質制限食で、運動時のスタミナは大丈夫か?
といった疑問が湧いてくると思いますが、
結論は、『大丈夫』なのです。 (^^)
参考になる文献として
「オフロードサイクリストにおける運動代謝と身体能力へのケトン食の影響」
という題のポーランドの研究があります。(*)
以下、この研究の要約と結果を、かなりアバウトに意訳してみました。
面倒なところは一部省いていますが、大意は合っていると思います。
<要約>
本研究の主な目的は、オフロードサイクリストの好気的パフォーマンスと運動代謝においての、
長期的ケトン食の効果を決定することであった。
被験者はトレーニング経験が5年間以上のオフロードサイクリングのアスリート。
8人の男性被験者、年齢は28.3±3.9歳
クロスオーバーで、ケトン食と混合食を一ヶ月ずつ。
それぞれ同じトレーニング負荷。
ケトン食:P:C:F=15:15:70
混合食:P:C:F=20:50:30
様々な強度でサイクロエルゴメーターで連続的な運動手順で検査を行った。
ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて
好ましい変化があった。
最大酸素摂取量と乳酸閾値と呼吸交換率(RER)は、
安静時および運動の最初の3つの段階(10分、45分、90分・・・低~中程度の強度)においては、
ケトン食が優位であった。
最後のマックス強度の運動の時は、ケトン食の優位は逆転した。
<結果>
有酸素持続的なアスリートにおいては、ケトン食は好ましい可能性がある。
高容量で、低から中等度の強度のトレーニング負荷のトレーニング過程においては、
ケトン食は優位である可能性がある。
筋肉のダメージも少ない。
しかし最高強度の運動においては、
ケトン食は筋肉中のグリコーゲン貯蔵が少なく解糖酵素の能力が低下するので運動能力を低下させる。
*ケトン食は脂肪酸代謝を活性化させ、インスリンレベルとブドウ糖利用を減少させる。
自転車のアスリート8名の研究で、ケトン食を摂取した1ヶ月と混合食を摂取した1ヶ月で、
それぞれデータをとって、比較した研究です。
結論は、有酸素運動(この研究では自転車競技)において、
低強度~中等度の強度トレーニングなら、ケトン食は混合食(普通食)より優位であるけれど、
最高強度のトレーニングでは、優位は逆転するということです。
これは、中程度の強度のトレーニングなら、ケトン食で脂肪酸代謝が活性化しているので、
それをエネルギー源として筋肉は混合食(普通食)の時より効率的に活動できるということです。
この結論は、私の印象とも一致しています。
このことを考慮すると、有酸素運動が主のマラソンやトレイルランなどでは、
ケトン食を実践していると、筋肉はしっかり「脂肪酸-ケトン体」を主たるエネルギー源として使って、
中等度の強度の運動で走り続けて、
ラストスパートだけは、「グリコーゲン-ブドウ糖」をエネルギーに使って
無酸素運動で最高強度の運動で終了というパターンが可能です。
この研究のケトン食は、糖質15%ですから、高雄病院のスーパー糖質制限食の12%と似たようなものです。
そうすると、長距離ランナーなどでいつも通りのトレーニングでスーパー糖質制限食を実践していると、
筋肉は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」を使いやすくなります。
そして中程度の強度の走行では、脂肪酸-ケトン体を利用して
ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステムを節約しておいて、
ラストスパートで最後に効率的にそれを使うということが可能となります。
また、テニス、サッカー、野球、バレーボール、卓球、スキーなど、
市民スポーツではスーパー糖質制限食のほうがスタミナが充分でよいパフォーマンスが出せると思います。
(*)
http://www.mdpi.com/2072-6643/6/7/2493#tabs-5
Nutrients 2014, 6, 2493-2508; doi:10.3390/nu6072493
The Effects of a Ketogenic Diet on Exercise Metabolism and
Physical Performance in Off-Road Cyclists
Adam Zajac 1
Stanisław Poprzecki 2
Adam Maszczyk 1,*, Miłosz Czuba 1
Małgorzata Michalczyk 3
and Grzegorz Zydek 3
江部康二
2023年12月04日 (月)
こんばんは。
京都では、かなり久しぶりの糖質制限食の講演です。
京都の皆さん、是非ふるってご参加頂ければ幸いです。
主催は、NHK文化センター京都教室です。
糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二
<教室講演>と<オンライン講演>があります。
日本列島にヒトが住み始めたのは旧石器時代からです。
旧石器時代は約38000年前から16000年前までの約22000年間続きました。
ナウマン象、オオツノジカ、ヘラジカ、シカ、イノシシ、ムササビ・・・ などを狩猟してとり、
肉食が主でした。
・・・北海道ではマンモスも食べていました。
糖質摂取比率は10%以下でしたでしょう。
当時の日本列島は多くは亜寒帯性の針葉樹林が広がっていて、
植物性の食品は乏しく漁撈も未発達なため、
大型哺乳類を主とした狩猟に依存した生活でした。
植物食は自然薯(山芋)、百合根、コケモモ、松の実、マツボックリ、山菜などしか、
ありませんでした。
私達、日本人は、この肉食を主とした22000年間で、身体を形成したので、
肉食に特化して適合していると考えられます。
スーパー糖質制限食は、この旧石器時代の食生活と同様のPFCの摂取比率です。
米を食べ始めたのは、僅か2500年前の弥生時代からなので、肉食の歴史には遠く及びません。
江部康二
■教室受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1280128.html
糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二
カテゴリー 特別・短期・1日講座
特別講座・講演会 健康
お友達におすすめ
医学的に考える糖質制限法とは?
★こちらは 教室講座 です★
糖質制限食の理論を解説し
旧石器時代・縄文時代・弥生時代の食生活にも触れ、
症例も提示して、わかりやすく解説します。
【講師紹介】江部 康二(えべ こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、
肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
開催期間 12/9、土曜日
日時15:00~16:30
回数:1回
途中受講できません
受講形態:対面型コース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員3,432円一般(入会不要)4,125円
日程 ○2023/12/09(土)
持ち物筆記用具
備考●こちらは教室講座です。
オンライン講座ではありません。
■オンライン受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1282360.html
糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二
カテゴリー特別・短期・1日講座 >
特別講座・講演会 健康・エクササイズ・スポーツ >
お友達におすすめ
★「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア!
★ こちらはオンライン講座です
★
糖質制限食の理論を解説し
旧石器時代・縄文時代・弥生時代の食生活にも触れ、
症例も提示して、わかりやすく解説します。
【講師紹介】江部 康二(えべ こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。
京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
講座の詳細
教室名京都教室
開催期間12/9曜日・日時15:00~16:30
回数:1回
途中受講できません
受講形態オンラインコース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員・一般(入会不要)3,300円日程
○2023/12/09(土)
●PC、タブレット(LANケーブルもしくはwi-fiに接続し、通信環境の良いところから参加してください)
※資料がある場合は招待メールにてご案内します。
※こちらの講座は教室講座を収録して配信します。
ご了承ください。
備考●事前にビデオ会議ツールZoomアプリをインストールしてください
(詳細は「オンライン講座受講前の準備」ページをご覧ください。)
※講座日前日にご登録のメールアドレスへZoomへの招待メールをお送りします。
※講座時間5分前よりZoomに入室いただけます。
京都では、かなり久しぶりの糖質制限食の講演です。
京都の皆さん、是非ふるってご参加頂ければ幸いです。
主催は、NHK文化センター京都教室です。
糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二
<教室講演>と<オンライン講演>があります。
日本列島にヒトが住み始めたのは旧石器時代からです。
旧石器時代は約38000年前から16000年前までの約22000年間続きました。
ナウマン象、オオツノジカ、ヘラジカ、シカ、イノシシ、ムササビ・・・ などを狩猟してとり、
肉食が主でした。
・・・北海道ではマンモスも食べていました。
糖質摂取比率は10%以下でしたでしょう。
当時の日本列島は多くは亜寒帯性の針葉樹林が広がっていて、
植物性の食品は乏しく漁撈も未発達なため、
大型哺乳類を主とした狩猟に依存した生活でした。
植物食は自然薯(山芋)、百合根、コケモモ、松の実、マツボックリ、山菜などしか、
ありませんでした。
私達、日本人は、この肉食を主とした22000年間で、身体を形成したので、
肉食に特化して適合していると考えられます。
スーパー糖質制限食は、この旧石器時代の食生活と同様のPFCの摂取比率です。
米を食べ始めたのは、僅か2500年前の弥生時代からなので、肉食の歴史には遠く及びません。
江部康二
■教室受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1280128.html
糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二
カテゴリー 特別・短期・1日講座
特別講座・講演会 健康
お友達におすすめ
医学的に考える糖質制限法とは?
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糖質制限食の理論を解説し
旧石器時代・縄文時代・弥生時代の食生活にも触れ、
症例も提示して、わかりやすく解説します。
【講師紹介】江部 康二(えべ こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、
肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
開催期間 12/9、土曜日
日時15:00~16:30
回数:1回
途中受講できません
受講形態:対面型コース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員3,432円一般(入会不要)4,125円
日程 ○2023/12/09(土)
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備考●こちらは教室講座です。
オンライン講座ではありません。
■オンライン受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1282360.html
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1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。
京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
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教室名京都教室
開催期間12/9曜日・日時15:00~16:30
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受講形態オンラインコース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員・一般(入会不要)3,300円日程
○2023/12/09(土)
●PC、タブレット(LANケーブルもしくはwi-fiに接続し、通信環境の良いところから参加してください)
※資料がある場合は招待メールにてご案内します。
※こちらの講座は教室講座を収録して配信します。
ご了承ください。
備考●事前にビデオ会議ツールZoomアプリをインストールしてください
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※講座日前日にご登録のメールアドレスへZoomへの招待メールをお送りします。
※講座時間5分前よりZoomに入室いただけます。
2023年12月03日 (日)
こんにちは。
高雄病院には、1型糖尿病患者さんも、結構通院しておられます。
1型糖尿病患者さんは、全国に10〜14万人おられるようですが、そのほとんどが「糖質制限食」をご存じないと思います。
2018年10月19日のと糖尿病ネットワークの記事によると、以下の如くです。
【日本の1型糖尿病の患者数は10〜14万人と推定されると、
厚生労働省の研究班が公表した。とくにコントロールが難しい1型糖尿病を、
「インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病」として定義。
「こうした患者を支援する適切な対応が望まれる」と強調している。
厚生労働省の研究班による「1型糖尿病の実態調査、客観的診断基準、日常生活・社会生活に着目した重症度評価の作成に関する研究」(代表者:田嶼尚子・東京慈恵会医科大学)では、
2014年から4年間にわたって、1型糖尿病の実態調査などを続けてきた。
研究班はこのほど、日本の1型糖尿病の患者数の推計などを公表した。
1型糖尿病のなかでもとくにコントロールが難しく、
身体的にも社会的にも対応に格別の配慮が必要な1型糖尿病を、「インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病」として定義。
「1型糖尿病患者の健康が損なわれるのを防ぐことが重要」と強調している。】
高雄病院に通院しておられない1型糖尿病患者さんのほとんどが、「糖質制限食」のことをご存じないと思います。
そして、血糖コントロールができている限り、
インスリン注射の単位は少なければ少ないほど身体に優しいという重要な事実を、ご存じないと思います。
インスリンの単位が多いと癌やアルツハイマー病のリスクになるというエビデンスもあまり知られていません。
またインスリンの単位が多いほど、当然、低血糖も生じやすいのです。
従って、1型糖尿病患者さんが、糖質制限食を導入してインスリンの単位を減らすことは、
大変大きなメリットがあるということです。
日本の1型糖尿病患者さんに、是非、「糖質制限食」のことを知って頂きたいと思っています。
江部康二
以下、中嶋一雄先生から、わかりやすいコメントを頂いた、
1型糖尿病に関する2019年12月1日の本ブログ記事を再掲します。
【19/11/30 中嶋一雄
糖尿病学会誌
学会誌「糖尿病」61巻11号787-788頁(2018)
「1型糖尿病患者における糖質制限について」いkの
中嶋一雄
https://doi.org/10.11213/tonyobyo.61.787
発行して1年経過したので、誰でも閲覧できるようになりました。
糖質制限に批判的な人物がいたら、これを印刷して読ませてあげてください】
おはようございます。
中嶋一雄先生から、コメントを頂きました。
ありがとうございます。
1型糖尿病患者における糖質制限について、
日本の文献と欧米の文献を整理整頓して論じて頂きました。(☆)
とても参考になります。
日本糖尿病学会誌に
糖尿病Vol. 60 (2017) No. 6 p. 449-455
症例報告厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続している罹病歴33年の1型糖尿病の1例
https://doi.org/10.11213/tonyobyo.60.449
と題する症例報告が掲載されて、
主治医は
「日本糖尿病学会により推奨される食事療法(炭水化物 50-60 %)を摂取し
必要なインスリンを追加することが標準的な糖尿病の治療であり推奨する」
ことを説明したとあります。(☆☆)
この主治医の説明には、おおいに違和感を覚えます。
罹病歴33年の1型糖尿病患者さんが、自分の頭で考えて
厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続し
血糖コントロール良好を保ち、糖尿病合併症なしです。
これだけ素晴らしい結果を出している1型糖尿病患者さんに対して、
エビデンスはないと日本糖尿病学会も自ら認めている、
「糖尿病食(炭水化物50~60%)」を推奨するとは、あり得ません。
少なくとも、この個人においては、最高の状態を保っているわけですので、
無根拠な「糖尿病食」を推奨する理由は皆無です。
計算してみると、2002年から糖質制限食を開始しておられます。
高雄病院で糖質制限食を導入したのは1999年ですが、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」江部康二著(東洋経済新報社)
を上梓したのが、2005年です。
ということは、日本で糖質制限食の概念が一般的になる前に、
自力で開始しておられるので、すごく勉強しておられるのだと思います。
なお、従来の糖尿病食は、カロリー制限・高糖質食ですので、
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」という合併症リスクを、必ず生じます。
誠に遺憾ながら、従来の糖尿病食は、「合併症製造食」としか言いようがないのです
中嶋先生も指摘しておられるように「1型糖尿病と糖質制限」に関して
エビデンスはまだありません。
一方、症例報告は
「1 型糖尿病とてんかんの合併例に,超低炭水化物食であるケトン食療法を実施して,
血糖維持と痙攣発作がいずれも改善し安定した状態を得られたと,
すでに複数の症例が報告されている.」
「Flash glucose monitoring(FGM)とインスリンポンプを併用して,
1 型糖尿病患者にそれまでの 1 日量 100-150 g から,
30-50 g 迄に減量した低炭水化物食を実施した症例報告も行われている.
本例ではインスリンの 1 日量が 50 単位から30 単位に減量でき,
FGM により記録された毎日の平均血糖値は改善し,
脂質異常等の合併症も生じなかったとある.」
あります。
このように、
1型糖尿病において、糖質制限食を導入すれば、インスリンの単位が大幅に減量できます。
従って、低血糖リスクも大幅に減少します。
過剰のインスリンは酸化ストレスリスクであり、
<肥満、老化、動脈硬化、がん、アルツハイマー病・・・etc>
の元凶となりますので、インスリンの減量にはおおいに意味があります。
一方、減量したとはいえ、1型でインスリンは必ず注射していますので、
ケトアシドーシスのリスクは、ほぼ皆無と言えます。
つまり、1型糖尿病と糖質制限食は相性が良いということです。
(☆)
以下の緑の文字の記載が、中嶋先生の論文です。
学会誌「糖尿病」61巻11号787-788頁(2018)
「1型糖尿病患者における糖質制限について」
中嶋一雄
【近年糖尿病の食事療法に糖質制限食が注目され,米国のジョスリン糖尿病センターでは,2004 年より食事療法勧告において炭水化物を 40 %エネルギーと定めている1)
米国糖尿病学会は 2013 年 10 月より,
食事療法においてあらゆる栄養素比率を選択することが可能であるとの見解を出した2).
本誌 60 巻 6 号に
「厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン 1 回法を約 15 年継続している罹病歴 33 年の 1型糖尿病の 1 例」
と題する症例報告3)が掲載された.
日本糖尿病学会により推奨される食事療法(炭水化物 50-60 %)を摂取し
必要なインスリンを追加することが
標準的な糖尿病の治療であり推奨することを説明したとある.
一方,1 型糖尿病における糖質制限については統一見解には至っていないと思われる.
1 型糖尿病とてんかんの合併例に,超低炭水化物食であるケトン食療法を実施して,
血糖維持と痙攣発作がいずれも改善し安定した状態を得られたと,
すでに複数の症例が報告されている4~6).
2018 年になり,
1 型糖尿病と低炭水化物食との研究について系統的レビューが発表された7).
炭水化物を45 %エネルギー以下とした論文のレビューを実施したが,
HbA1c の低下がみられた論文とみられなかった論文とが混在しており,
エビデンスとしては限界があるため全体として結論は下せず,
さらなる臨床研究をすすめる必要があると記載されている.
一方,近年に使用開始された
Flash glucose monitoring(FGM)とインスリンポンプを併用して,
1 型糖尿病患者にそれまでの 1 日量 100-150 g から,
30-50 g 迄に減量した低炭水化物食を実施した症例報告も行われている8).
本例ではインスリンの 1 日量が 50 単位から30 単位に減量でき,
FGM により記録された毎日の平均血糖値は改善し,
脂質異常等の合併症も生じなかったとある.
FGM による血糖変化の観察と適切なインスリン調節が
安全な血糖維持をもたらしたと考えられ,
頭痛は減少し睡眠も良好化し情動面が改善するなど,本人の QOL も向上した.
1 型糖尿病患者における糖質制限についてさらなる臨床研究が望まれる.
(☆☆)
糖尿病Vol. 60 (2017) No. 6 p. 449-455
症例報告厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続している罹病歴33年の1型糖尿病の1例
抄録
症例は46歳男性である.13歳時に1型糖尿病を発症し,インスリン治療を開始された.
10代より運動時の低血糖のためインスリンを減量し,
30代より糖質制限を行い持効型溶解インスリン1回法に変更,
HbA1c 7 %前後で経過した.
45歳,当科に入院時,我々は
1型糖尿病における糖質制限の有効性,安全性に関する報告は少なく
動脈硬化性疾患のリスクとなること,
インスリン減量がケトアシドーシス発症の危険となることを繰り返し説明し,
炭水化物比50~60 %の食事を勧めた.
しかし,現時点では動脈硬化性疾患やケトーシスの既往はなく,
患者の強い意向に沿った糖質制限食とインスリン1回法を容認せざるを得なかった.
その危険性を十分に患者に説明するとともに,
慢性合併症やケトーシスのモニタリング等,慎重に経過観察する必要がある.
厳密な糖質制限と持効型インスリン1回法を長期間継続した1型糖尿病の症例は
希少であるため,報告する.
江部康二
高雄病院には、1型糖尿病患者さんも、結構通院しておられます。
1型糖尿病患者さんは、全国に10〜14万人おられるようですが、そのほとんどが「糖質制限食」をご存じないと思います。
2018年10月19日のと糖尿病ネットワークの記事によると、以下の如くです。
【日本の1型糖尿病の患者数は10〜14万人と推定されると、
厚生労働省の研究班が公表した。とくにコントロールが難しい1型糖尿病を、
「インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病」として定義。
「こうした患者を支援する適切な対応が望まれる」と強調している。
厚生労働省の研究班による「1型糖尿病の実態調査、客観的診断基準、日常生活・社会生活に着目した重症度評価の作成に関する研究」(代表者:田嶼尚子・東京慈恵会医科大学)では、
2014年から4年間にわたって、1型糖尿病の実態調査などを続けてきた。
研究班はこのほど、日本の1型糖尿病の患者数の推計などを公表した。
1型糖尿病のなかでもとくにコントロールが難しく、
身体的にも社会的にも対応に格別の配慮が必要な1型糖尿病を、「インスリン分泌が枯渇した1型糖尿病」として定義。
「1型糖尿病患者の健康が損なわれるのを防ぐことが重要」と強調している。】
高雄病院に通院しておられない1型糖尿病患者さんのほとんどが、「糖質制限食」のことをご存じないと思います。
そして、血糖コントロールができている限り、
インスリン注射の単位は少なければ少ないほど身体に優しいという重要な事実を、ご存じないと思います。
インスリンの単位が多いと癌やアルツハイマー病のリスクになるというエビデンスもあまり知られていません。
またインスリンの単位が多いほど、当然、低血糖も生じやすいのです。
従って、1型糖尿病患者さんが、糖質制限食を導入してインスリンの単位を減らすことは、
大変大きなメリットがあるということです。
日本の1型糖尿病患者さんに、是非、「糖質制限食」のことを知って頂きたいと思っています。
江部康二
以下、中嶋一雄先生から、わかりやすいコメントを頂いた、
1型糖尿病に関する2019年12月1日の本ブログ記事を再掲します。
【19/11/30 中嶋一雄
糖尿病学会誌
学会誌「糖尿病」61巻11号787-788頁(2018)
「1型糖尿病患者における糖質制限について」いkの
中嶋一雄
https://doi.org/10.11213/tonyobyo.61.787
発行して1年経過したので、誰でも閲覧できるようになりました。
糖質制限に批判的な人物がいたら、これを印刷して読ませてあげてください】
おはようございます。
中嶋一雄先生から、コメントを頂きました。
ありがとうございます。
1型糖尿病患者における糖質制限について、
日本の文献と欧米の文献を整理整頓して論じて頂きました。(☆)
とても参考になります。
日本糖尿病学会誌に
糖尿病Vol. 60 (2017) No. 6 p. 449-455
症例報告厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続している罹病歴33年の1型糖尿病の1例
https://doi.org/10.11213/tonyobyo.60.449
と題する症例報告が掲載されて、
主治医は
「日本糖尿病学会により推奨される食事療法(炭水化物 50-60 %)を摂取し
必要なインスリンを追加することが標準的な糖尿病の治療であり推奨する」
ことを説明したとあります。(☆☆)
この主治医の説明には、おおいに違和感を覚えます。
罹病歴33年の1型糖尿病患者さんが、自分の頭で考えて
厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続し
血糖コントロール良好を保ち、糖尿病合併症なしです。
これだけ素晴らしい結果を出している1型糖尿病患者さんに対して、
エビデンスはないと日本糖尿病学会も自ら認めている、
「糖尿病食(炭水化物50~60%)」を推奨するとは、あり得ません。
少なくとも、この個人においては、最高の状態を保っているわけですので、
無根拠な「糖尿病食」を推奨する理由は皆無です。
計算してみると、2002年から糖質制限食を開始しておられます。
高雄病院で糖質制限食を導入したのは1999年ですが、
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」江部康二著(東洋経済新報社)
を上梓したのが、2005年です。
ということは、日本で糖質制限食の概念が一般的になる前に、
自力で開始しておられるので、すごく勉強しておられるのだと思います。
なお、従来の糖尿病食は、カロリー制限・高糖質食ですので、
「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」という合併症リスクを、必ず生じます。
誠に遺憾ながら、従来の糖尿病食は、「合併症製造食」としか言いようがないのです
中嶋先生も指摘しておられるように「1型糖尿病と糖質制限」に関して
エビデンスはまだありません。
一方、症例報告は
「1 型糖尿病とてんかんの合併例に,超低炭水化物食であるケトン食療法を実施して,
血糖維持と痙攣発作がいずれも改善し安定した状態を得られたと,
すでに複数の症例が報告されている.」
「Flash glucose monitoring(FGM)とインスリンポンプを併用して,
1 型糖尿病患者にそれまでの 1 日量 100-150 g から,
30-50 g 迄に減量した低炭水化物食を実施した症例報告も行われている.
本例ではインスリンの 1 日量が 50 単位から30 単位に減量でき,
FGM により記録された毎日の平均血糖値は改善し,
脂質異常等の合併症も生じなかったとある.」
あります。
このように、
1型糖尿病において、糖質制限食を導入すれば、インスリンの単位が大幅に減量できます。
従って、低血糖リスクも大幅に減少します。
過剰のインスリンは酸化ストレスリスクであり、
<肥満、老化、動脈硬化、がん、アルツハイマー病・・・etc>
の元凶となりますので、インスリンの減量にはおおいに意味があります。
一方、減量したとはいえ、1型でインスリンは必ず注射していますので、
ケトアシドーシスのリスクは、ほぼ皆無と言えます。
つまり、1型糖尿病と糖質制限食は相性が良いということです。
(☆)
以下の緑の文字の記載が、中嶋先生の論文です。
学会誌「糖尿病」61巻11号787-788頁(2018)
「1型糖尿病患者における糖質制限について」
中嶋一雄
【近年糖尿病の食事療法に糖質制限食が注目され,米国のジョスリン糖尿病センターでは,2004 年より食事療法勧告において炭水化物を 40 %エネルギーと定めている1)
米国糖尿病学会は 2013 年 10 月より,
食事療法においてあらゆる栄養素比率を選択することが可能であるとの見解を出した2).
本誌 60 巻 6 号に
「厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン 1 回法を約 15 年継続している罹病歴 33 年の 1型糖尿病の 1 例」
と題する症例報告3)が掲載された.
日本糖尿病学会により推奨される食事療法(炭水化物 50-60 %)を摂取し
必要なインスリンを追加することが
標準的な糖尿病の治療であり推奨することを説明したとある.
一方,1 型糖尿病における糖質制限については統一見解には至っていないと思われる.
1 型糖尿病とてんかんの合併例に,超低炭水化物食であるケトン食療法を実施して,
血糖維持と痙攣発作がいずれも改善し安定した状態を得られたと,
すでに複数の症例が報告されている4~6).
2018 年になり,
1 型糖尿病と低炭水化物食との研究について系統的レビューが発表された7).
炭水化物を45 %エネルギー以下とした論文のレビューを実施したが,
HbA1c の低下がみられた論文とみられなかった論文とが混在しており,
エビデンスとしては限界があるため全体として結論は下せず,
さらなる臨床研究をすすめる必要があると記載されている.
一方,近年に使用開始された
Flash glucose monitoring(FGM)とインスリンポンプを併用して,
1 型糖尿病患者にそれまでの 1 日量 100-150 g から,
30-50 g 迄に減量した低炭水化物食を実施した症例報告も行われている8).
本例ではインスリンの 1 日量が 50 単位から30 単位に減量でき,
FGM により記録された毎日の平均血糖値は改善し,
脂質異常等の合併症も生じなかったとある.
FGM による血糖変化の観察と適切なインスリン調節が
安全な血糖維持をもたらしたと考えられ,
頭痛は減少し睡眠も良好化し情動面が改善するなど,本人の QOL も向上した.
1 型糖尿病患者における糖質制限についてさらなる臨床研究が望まれる.
(☆☆)
糖尿病Vol. 60 (2017) No. 6 p. 449-455
症例報告厳密な糖質制限と持効型溶解インスリン1回法を約15年継続している罹病歴33年の1型糖尿病の1例
抄録
症例は46歳男性である.13歳時に1型糖尿病を発症し,インスリン治療を開始された.
10代より運動時の低血糖のためインスリンを減量し,
30代より糖質制限を行い持効型溶解インスリン1回法に変更,
HbA1c 7 %前後で経過した.
45歳,当科に入院時,我々は
1型糖尿病における糖質制限の有効性,安全性に関する報告は少なく
動脈硬化性疾患のリスクとなること,
インスリン減量がケトアシドーシス発症の危険となることを繰り返し説明し,
炭水化物比50~60 %の食事を勧めた.
しかし,現時点では動脈硬化性疾患やケトーシスの既往はなく,
患者の強い意向に沿った糖質制限食とインスリン1回法を容認せざるを得なかった.
その危険性を十分に患者に説明するとともに,
慢性合併症やケトーシスのモニタリング等,慎重に経過観察する必要がある.
厳密な糖質制限と持効型インスリン1回法を長期間継続した1型糖尿病の症例は
希少であるため,報告する.
江部康二
2023年12月01日 (金)
こんばんは。
糖質制限食ビギナーさんから、HOMA-R、HOMA-βについて、コメント・質問を頂きました。
今回は、インスリン、Cペプチド、「インスリン分泌指標」や「インスリン抵抗性指標」について
検討してみます。
早朝空腹時のインスリン(IRI)や血糖値を測定することで
いろんな指標が計算できます。
【インスリン、Cペプチド】
インスリン
早朝空腹時の血中インスリン(基準値は3.5~15μU/mL)を測定すれば、基礎分泌能力がわかります。
Cペプチド
通常は、血液中のインスリン(IRI)そのものを測定しますが、
インスリン注射中の糖尿人は、C-ペプタイド(CPR)というものを調べます。
IRIの測定は、注射したインスリンの影響を受けますので不正確になりますが、
CPRの方は、外から注射したインスリンとは無関係の、
内因性インスリンの分泌状態を示しています。
早朝空腹時血中CPR(基準値は1.5~3.5ng/mL)を測定することで、
インスリンの基礎分泌能力がわかります。
蓄尿して一日尿中のCPR(基準値は17~181μg/day)を測定することは、
一日の内因性インスリン分泌総量(基礎分泌+追加分泌)の指標となります。
以下に、臨床上役に立つ
インスリン分泌指標、インスリン抵抗性指標をまとめてみます。
【インスリン分泌指標】
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度が高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
インスリン使用中の患者には使えない。
インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)
=(負荷後30分IRI値-負荷前IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型では0.3以下が多い。
SUIT指数
空腹時CPR(ng/ml)×1485/<空腹時血糖値(mg/dl)-61.8>
50%以下は軽度、20%以下は顕著なインスリン分泌低下。
30%以下だとインスリン治療が必要。
Cペプチドインデックス(CPI)
空腹時CPR(ng/ml)×100/空腹時血糖値(mg/dl)
1.2以上は正常。0.8以下でインスリン分泌低下。
1.2以上の場合は食事や経口薬治療、0.8未満の場合はインスリン療法を選択。
空腹時血糖値140mg/dl以上なら、CPIのほうが、HOMA-βやSUIT指数より信頼度が高い。
【インスリン抵抗性指標】
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
江部康二
糖質制限食ビギナーさんから、HOMA-R、HOMA-βについて、コメント・質問を頂きました。
今回は、インスリン、Cペプチド、「インスリン分泌指標」や「インスリン抵抗性指標」について
検討してみます。
早朝空腹時のインスリン(IRI)や血糖値を測定することで
いろんな指標が計算できます。
【インスリン、Cペプチド】
インスリン
早朝空腹時の血中インスリン(基準値は3.5~15μU/mL)を測定すれば、基礎分泌能力がわかります。
Cペプチド
通常は、血液中のインスリン(IRI)そのものを測定しますが、
インスリン注射中の糖尿人は、C-ペプタイド(CPR)というものを調べます。
IRIの測定は、注射したインスリンの影響を受けますので不正確になりますが、
CPRの方は、外から注射したインスリンとは無関係の、
内因性インスリンの分泌状態を示しています。
早朝空腹時血中CPR(基準値は1.5~3.5ng/mL)を測定することで、
インスリンの基礎分泌能力がわかります。
蓄尿して一日尿中のCPR(基準値は17~181μg/day)を測定することは、
一日の内因性インスリン分泌総量(基礎分泌+追加分泌)の指標となります。
以下に、臨床上役に立つ
インスリン分泌指標、インスリン抵抗性指標をまとめてみます。
【インスリン分泌指標】
HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度が高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。
インスリン使用中の患者には使えない。
インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)
=(負荷後30分IRI値-負荷前IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型では0.3以下が多い。
SUIT指数
空腹時CPR(ng/ml)×1485/<空腹時血糖値(mg/dl)-61.8>
50%以下は軽度、20%以下は顕著なインスリン分泌低下。
30%以下だとインスリン治療が必要。
Cペプチドインデックス(CPI)
空腹時CPR(ng/ml)×100/空腹時血糖値(mg/dl)
1.2以上は正常。0.8以下でインスリン分泌低下。
1.2以上の場合は食事や経口薬治療、0.8未満の場合はインスリン療法を選択。
空腹時血糖値140mg/dl以上なら、CPIのほうが、HOMA-βやSUIT指数より信頼度が高い。
【インスリン抵抗性指標】
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。
江部康二
2023年11月30日 (木)
こんにちは。
京都では、かなり久しぶりの糖質制限食の講演です。
京都の皆さん、是非ふるってご参加頂ければ幸いです。
主催は、NHK文化センター京都教室です。
糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二
<教室講演>と<オンライン講演>があります。
日本列島にヒトが住み始めたのは旧石器時代からです。
旧石器時代は約38000年前から16000年前までの約22000年間続きました。
ナウマン象、オオツノジカ、ヘラジカ、シカ、イノシシ、ムササビ・・・ などを狩猟してとり、
肉食が主でした。
・・・北海道ではマンモスも食べていました。
糖質摂取比率は10%以下でしたでしょう。
当時の日本列島は多くは亜寒帯性の針葉樹林が広がっていて、
植物性の食品は乏しく漁撈も未発達なため、
大型哺乳類を主とした狩猟に依存した生活でした。
植物食は自然薯(山芋)、百合根、コケモモ、松の実、マツボックリ、山菜などしか、
ありませんでした。
私達、日本人は、この肉食を主とした22000年間で、身体を形成したので、
肉食に特化して適合していると考えられます。
スーパー糖質制限食は、この旧石器時代の食生活と同様のPFCの摂取比率です。
米を食べ始めたのは、僅か2500年前の弥生時代からなので、肉食の歴史には遠く及びません。
江部康二
■教室受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1280128.html
糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二
カテゴリー 特別・短期・1日講座
特別講座・講演会 健康
お友達におすすめ
医学的に考える糖質制限法とは?
★こちらは 教室講座 です★
糖質制限食の理論を解説し
旧石器時代・縄文時代・弥生時代の食生活にも触れ、
症例も提示して、わかりやすく解説します。
【講師紹介】江部 康二(えべ こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、
肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
開催期間 12/9、土曜日
日時15:00~16:30
回数:1回
途中受講できません
受講形態:対面型コース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員3,432円一般(入会不要)4,125円
日程 ○2023/12/09(土)
持ち物筆記用具
備考●こちらは教室講座です。
オンライン講座ではありません。
■オンライン受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1282360.html
糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二
カテゴリー特別・短期・1日講座 >
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★「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア!
★ こちらはオンライン講座です
★
糖質制限食の理論を解説し
旧石器時代・縄文時代・弥生時代の食生活にも触れ、
症例も提示して、わかりやすく解説します。
【講師紹介】江部 康二(えべ こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。
京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
講座の詳細
教室名京都教室
開催期間12/9曜日・日時15:00~16:30
回数:1回
途中受講できません
受講形態オンラインコース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員・一般(入会不要)3,300円日程
○2023/12/09(土)
●PC、タブレット(LANケーブルもしくはwi-fiに接続し、通信環境の良いところから参加してください)
※資料がある場合は招待メールにてご案内します。
※こちらの講座は教室講座を収録して配信します。
ご了承ください。
備考●事前にビデオ会議ツールZoomアプリをインストールしてください
(詳細は「オンライン講座受講前の準備」ページをご覧ください。)
※講座日前日にご登録のメールアドレスへZoomへの招待メールをお送りします。
※講座時間5分前よりZoomに入室いただけます。
京都では、かなり久しぶりの糖質制限食の講演です。
京都の皆さん、是非ふるってご参加頂ければ幸いです。
主催は、NHK文化センター京都教室です。
糖質制限で健康になろう
~糖尿病・メタボ・生活習慣病を考える~
講師高雄病院 理事長 江部 康二
<教室講演>と<オンライン講演>があります。
日本列島にヒトが住み始めたのは旧石器時代からです。
旧石器時代は約38000年前から16000年前までの約22000年間続きました。
ナウマン象、オオツノジカ、ヘラジカ、シカ、イノシシ、ムササビ・・・ などを狩猟してとり、
肉食が主でした。
・・・北海道ではマンモスも食べていました。
糖質摂取比率は10%以下でしたでしょう。
当時の日本列島は多くは亜寒帯性の針葉樹林が広がっていて、
植物性の食品は乏しく漁撈も未発達なため、
大型哺乳類を主とした狩猟に依存した生活でした。
植物食は自然薯(山芋)、百合根、コケモモ、松の実、マツボックリ、山菜などしか、
ありませんでした。
私達、日本人は、この肉食を主とした22000年間で、身体を形成したので、
肉食に特化して適合していると考えられます。
スーパー糖質制限食は、この旧石器時代の食生活と同様のPFCの摂取比率です。
米を食べ始めたのは、僅か2500年前の弥生時代からなので、肉食の歴史には遠く及びません。
江部康二
■教室受講
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1280128.html
糖質制限で健康になろう
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講師高雄病院 理事長 江部 康二
カテゴリー 特別・短期・1日講座
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糖質制限食の理論を解説し
旧石器時代・縄文時代・弥生時代の食生活にも触れ、
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【講師紹介】江部 康二(えべ こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。
一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、
肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
著書・監修書多
開催期間 12/9、土曜日
日時15:00~16:30
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一般社団法人日本糖質制限医療推進協会理事長。
1950年京都府生まれ。
1974年京都大学医学部卒業。
京都大学胸部疾患研究所を経て、1978年より高雄病院に医局長として勤務。
2000年理事長就任。
2001年から糖質制限食に取り組む。
2002年に自身の糖尿病に気づき、自ら糖質制限食を実践、肥満と糖尿病を克服。
豊富な症例をもとに糖質制限食の研究を続けている。
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教室名京都教室
開催期間12/9曜日・日時15:00~16:30
回数:1回
途中受講できません
受講形態オンラインコース受講料(税込み)
教材費(税込み):会員・一般(入会不要)3,300円日程
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※資料がある場合は招待メールにてご案内します。
※こちらの講座は教室講座を収録して配信します。
ご了承ください。
備考●事前にビデオ会議ツールZoomアプリをインストールしてください
(詳細は「オンライン講座受講前の準備」ページをご覧ください。)
※講座日前日にご登録のメールアドレスへZoomへの招待メールをお送りします。
※講座時間5分前よりZoomに入室いただけます。