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糖尿病と合併症③
今日は、葭村洋平さんのディナーショーに診療所のスタッフといってきました。京都大丸の8階中にあるバルダルノというレストランで、カンツオ-ネを聞きながらイタリア料理を楽しんでまいりました。

「イタリアンでパスタが食べれなかったら楽しくないだろう」なんて意見もおありでしょうが、赤ワインをチビチビやりながら、実は半分だけ蕎麦パスタを食べました。

「イタリアにも蕎麦があるんです」とお店の人が言ってましたがはじめて知りましたね。ほんの少しトリビアな教養が増えました。>^_^<☆


さて、合併症シリーズ第三弾です。
糖尿病による大血管の合併症としては、脳卒中、心筋梗塞・狭心症、糖尿病足病変があります。これらはいずれも、高血糖の持続により大血管の動脈硬化が進行して発生する病気です。

動脈硬化は糖尿病だけで生じるのではなくて、肥満、高脂血症、高血圧、喫煙などの危険因子が集まれば集まるほどリスクが増えます。

ですから、私は糖尿人が適量の蒸留酒や赤ワインを飲むことには寛容ですが、タバコのみにはとても厳しいのです。

などどいうとかっこよさそうですが、まあ、自分がお酒が好きでタバコが嫌いというのがホントの理由です。でも、やはり喫煙はとても危険ですよ。

私の父は、77才で糖尿病性足病変(足の指の壊疽)のため、右下肢を膝上から切断し、その後、心筋梗塞や肺炎を繰り返して80才で永眠しました。父の酒はウィスキーで糖質制限食OKだったのですが、足を切断してもなおタバコをやめずに(まあいい根性してましたが・・・(-_~-))動脈硬化が進行しそれが基で命を縮めたわけです。糖尿人のご同輩の皆さん、先人と同じ過ちを繰り返さないようご用心ご用心。

①冠動脈硬化症
糖尿人が心筋梗塞を起こす可能性は、正常人の3倍以上です。欧米では糖尿病患者の約半分が、心筋梗塞を直接死因としています。日本でも、心筋梗塞で死亡する糖尿人が増えてきています。

糖尿人の心筋梗塞は、胸痛などの症状があまりないことが多く、うっかりすると重大な事態を見逃してしまうこともあるので注意が必要です。

糖尿病と正常の中間の境界型と呼ばれる段階の人も、冠動脈疾患のリスクは糖尿人とそんなに変わりないとされ、早期の段階の治療開始が大切です。

糖尿人の約半数が高血圧も合併しているのですが、UKPDSによると、高血圧のコントロールと糖尿病のコントロールの両方ができたら、あきらかに心筋梗塞は減ることが解っています。

②脳血管障害
糖尿人には脳出血より脳梗塞が多いです。脳梗塞の頻度は正常人に比べれば約3倍程度です。

糖尿人の約半数が高血圧も合併しているので、そのコントロールも重要なのは、心筋梗塞予防と同様です。

ラクナ梗塞と呼ばれるごく小さな脳梗塞を何回も繰り返し、命には別状はないけれど、脳血管性認知症にもなりやすいので、やはり血糖と血圧の両方のコントロールが肝要です。

③下肢閉塞性動脈硬化症
糖尿人の15~20%に合併してきます。
冷感、しびれ感→間欠性跛行→安静時疼痛→皮膚潰瘍→壊疽
といったプロセスで進行していきます。

私の父の例で脅すわけではないのですが、「糖尿病+タバコ」の糖尿人は、明らかに皮膚潰瘍・壊疽のリスクが倍増、三倍増です。

糖尿人の方々、タバコは是非やめましょうね。

それではお休みなさい。また明日。

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
神経障害について
先日色素性痒疹について伺ったものです。
ステロイドをつけても効いているのか効いていないのか勝手に良くなったり悪くなったりを繰り返している感じだったのが、ある日、病状に落ち込んだあまり4ヶ月間のタブーを破ってママ友とケーキを食したら・・なんとその夜から劇的改善を見て自分で見るのも辛かった真っ赤な痒疹が、色素沈着こそ残っていますがほとんどなくなってしまいました。糖質制限そのものよりも、私がいい加減すぎてカロリーや栄養素が足りなくて、体が飢餓状態だったのだろうと思っています。
(その後はまた糖質制限を続けています。)

ところで、私は5~6年前から左の手足(特に肘膝より先)が重だるかったり、思うように動かしたりふんばったり出来ないような、何かが一枚かぶさったような感覚があったりで、整形外科や神経内科で頭部・頸部のMRIをとるなどの検査をしてきました。頚椎や腰椎の狭窄は多少見られるといわれましたが、原因確定に至らず、そのまま今日に至っています。もちろんその頃も、空腹時血糖は正常でした。

一時忘れていたのですが、最近また重だるさや違和感、それに多少の痺れなどが出てきて、
もしかしたら高血糖による神経障害かと不安になりました。
発症がいつかといわれれば、尿糖が出ていた18年前の妊娠中なのか、それとも健康診断でA1cが6・1になった昨年12月をさすのか、気付かなかっただけでA1cが5.0~5.8の間を行き来したこの10年ほどをさすのかよくわかりません。
片側だけ、それも継続的な検査ではないが空腹時血糖は正常、A1cも5台で来ていたのに、神経障害を起こしているという事は考えられるのでしょうか。
かかりつけの病院は糖尿病専門医ではなく、今までも空腹時血糖のみを見て、お願いしてもA1cを計ってくれなかったりという事がありましたし、糖質制限中の数値ではまったく異常がないので、神経障害の薬を出してくれるという事もあまり考えられません。(ちなみに先日のA1cは5.0。自己測定でケーキ食後の2時間値は146.本日夕食で糖質20グラム検討で1時間値108でした。)
整形外科や神経内科などで他の可能性をつぶすのが先なのでしょうか。
先生のお考えを伺いたく投稿いたしました。
よろしくお願いいたします。
2010/06/08(Tue) 19:47 | URL | puntoko | 【編集
Re: 神経障害について
puntoko さん。

このデータで、糖尿病神経障害はないと思います。
2010/06/08(Tue) 22:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございました。
何か不安があるとまず先生の過去のブログを拝読する生活です。
不安神経症という診断を受けた事もあるので、不安を取り除いていただけるというのは本当にありがたいことと思います。
先生、診療の仕事・糖質制限を広めるための講演会など・テニス・バンド・・それにこのブログへの解答など他色々で、お疲れの様子も見せず活躍されていること、本心から尊敬申し上げます。
心と体の充実・・を私なりに目指したいと思います。
2010/06/09(Wed) 06:59 | URL | puntoko | 【編集
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