2008年12月26日 (金)
おはようございます。
今朝は、雪が降っている京都です。積もるほどではありませんが、初雪ですね。
さて、昨日インフルエンザワクチンのお話しをしました。今回は、インフルエンザの治療に使う、タミフルのお話しです。
インフルエンザ治療薬として、タミフル、リレンザ吸入薬、シンメトレル(アマンタジン)がありますが、昨年タミフルが一番良く使用されて、異常行動が問題となりました。
タミフルと異常行動に関して、2007年度はいろんな情報が錯綜しました。
以下は、中外製薬から2007年3月に出された緊急安全情報です。
中外製薬株式会社 医薬情報センター
2007年3月 No.06-01
<緊急安全性情報>
タミフル服用後の異常行動について
抗インフルエンザウイルス剤、タミフルカプセル75、タミフルドライシロップ3%につきましては、今年2月に入り、タミフルを服用したとみられる10代のインフルエンザ患者様が、自宅で療養中、自宅マンションから転落死するという痛ましい事例があったことから、2月28日、厚生労働省は、医療関係者に注意喚起を行ったところです。弊社におきましても、インフルエンザ治療開始後の注意事項についてご説明いただくようお願いして参りました。
しかしながら、3月20日、タミフルの服用後に10代の患者様が2階から転落して骨折したとする症例が2例報告されたことから、本剤の使用に際しましては、特に下記の点に十分注意下さいますようお願い申し上げます。
「10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。
また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。
なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。」
この後も、
「厚生労働省の調査班の報告では、タミフル投与群と非投与群で投与群で1割異常行動が少なかった。」とか・・・、
「調査班にメーカーから研究費をもらっていた医師が入っていて信用できない。」とか・・・、
「津田敏秀・岡山大教授(臨床疫学)らによれば、調査班の統計の取り方に問題があって、実際はタミフル投与群で5割異常行動が多かった。」とか・・・、
「インフルエンザそのものにより異常行動がありうる。」とか・・・、
「リレンザにも異常行動がある。」とか・・・、
「シンメトレルにも異常行動がある。」とか・・・、
結局、いまだもってタミフルと異常行動に関して結論ははっきりしないのです。
しかし、こういう場合は疑わしき薬剤を使用する必要はないので、2007年3月、高雄病院では、19才以下の若者や小児には、タミフルは使用しないことと決めました。一方、成人には適宜使用することとしました。
タミフルは、インフルエンザ様症状が発現してから、2日以内(48時間以内)に、投与を開始します。高雄病院において、現実にインフルエンザに罹患しタミフルを内服した成人は多数おられましたが、効果はありましたし、幸い副作用も出現しませんでした。
インフルエンザワクチンもタミフルも全面肯定か全面否定ではなく、ニュートラルな立場で、その役割や限界を見極めていきたいものですね。
江部康二
今朝は、雪が降っている京都です。積もるほどではありませんが、初雪ですね。
さて、昨日インフルエンザワクチンのお話しをしました。今回は、インフルエンザの治療に使う、タミフルのお話しです。
インフルエンザ治療薬として、タミフル、リレンザ吸入薬、シンメトレル(アマンタジン)がありますが、昨年タミフルが一番良く使用されて、異常行動が問題となりました。
タミフルと異常行動に関して、2007年度はいろんな情報が錯綜しました。
以下は、中外製薬から2007年3月に出された緊急安全情報です。
中外製薬株式会社 医薬情報センター
2007年3月 No.06-01
<緊急安全性情報>
タミフル服用後の異常行動について
抗インフルエンザウイルス剤、タミフルカプセル75、タミフルドライシロップ3%につきましては、今年2月に入り、タミフルを服用したとみられる10代のインフルエンザ患者様が、自宅で療養中、自宅マンションから転落死するという痛ましい事例があったことから、2月28日、厚生労働省は、医療関係者に注意喚起を行ったところです。弊社におきましても、インフルエンザ治療開始後の注意事項についてご説明いただくようお願いして参りました。
しかしながら、3月20日、タミフルの服用後に10代の患者様が2階から転落して骨折したとする症例が2例報告されたことから、本剤の使用に際しましては、特に下記の点に十分注意下さいますようお願い申し上げます。
「10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。
また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。
なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。」
この後も、
「厚生労働省の調査班の報告では、タミフル投与群と非投与群で投与群で1割異常行動が少なかった。」とか・・・、
「調査班にメーカーから研究費をもらっていた医師が入っていて信用できない。」とか・・・、
「津田敏秀・岡山大教授(臨床疫学)らによれば、調査班の統計の取り方に問題があって、実際はタミフル投与群で5割異常行動が多かった。」とか・・・、
「インフルエンザそのものにより異常行動がありうる。」とか・・・、
「リレンザにも異常行動がある。」とか・・・、
「シンメトレルにも異常行動がある。」とか・・・、
結局、いまだもってタミフルと異常行動に関して結論ははっきりしないのです。
しかし、こういう場合は疑わしき薬剤を使用する必要はないので、2007年3月、高雄病院では、19才以下の若者や小児には、タミフルは使用しないことと決めました。一方、成人には適宜使用することとしました。
タミフルは、インフルエンザ様症状が発現してから、2日以内(48時間以内)に、投与を開始します。高雄病院において、現実にインフルエンザに罹患しタミフルを内服した成人は多数おられましたが、効果はありましたし、幸い副作用も出現しませんでした。
インフルエンザワクチンもタミフルも全面肯定か全面否定ではなく、ニュートラルな立場で、その役割や限界を見極めていきたいものですね。
江部康二
江部先生、はじめまして。
いつもサイトを拝見し、勉強させていただいております。
私は、糖尿病ではないのですが、今秋より低糖質の生活を基本に過ごしております。
このところ毎日、タンパク質のおかずに揚げ物やフライを選択することが増えてきており、
この10日間で2キロほど戻ってしまいました。
やはりカロリー過多になってしまっているのでしょうか?
また、この状態が長く続くと体にどのような影響がありますでしょうか?
改善のため、心がけることがありましたら教えてください。
参考までに昨日のメニューを記載させていただきます。
朝:水分補給(しょうが入り白湯など)
昼:ブロッコリー1株、鮭フライ1つ
夜:豚しゃぶ(200グラム程度)、枝豆100グラム、白和え100グラム、鶏ももロースト1本
ご回答よろしくお願いいたします。
いつもサイトを拝見し、勉強させていただいております。
私は、糖尿病ではないのですが、今秋より低糖質の生活を基本に過ごしております。
このところ毎日、タンパク質のおかずに揚げ物やフライを選択することが増えてきており、
この10日間で2キロほど戻ってしまいました。
やはりカロリー過多になってしまっているのでしょうか?
また、この状態が長く続くと体にどのような影響がありますでしょうか?
改善のため、心がけることがありましたら教えてください。
参考までに昨日のメニューを記載させていただきます。
朝:水分補給(しょうが入り白湯など)
昼:ブロッコリー1株、鮭フライ1つ
夜:豚しゃぶ(200グラム程度)、枝豆100グラム、白和え100グラム、鶏ももロースト1本
ご回答よろしくお願いいたします。
2008/12/26(Fri) 10:12 | URL | Lab | 【編集】
江部先生こんにちは。
先ほど本年最後の勤務を終えて帰宅したゆうです。
さて、タミフルではありませんが私自身10才くらいの時に風邪の症状で受診した際、抗生物質(品名失念)を注射された直後、訳が分からなくなり病院の外へダッシュして激しく嘔吐したという経験があります。(嘔吐後は落ち着きました)
その時は医師に理解不能な子どもだなという態度をされて診察は終わってしまいましたが、今にして思えば異常行動そのものでした。
一応その時に付き添っていた母親が薬品名を医師から聞いていてしばらくは覚えていたのですが、大分たってから他の病院でこの薬は今ほとんど使われていないと聞かされ、そのうち品名は忘れてしまいました。
今は病院の外へダッシュした時に車に惹かれなくて本当に良かったと思うのですが、この行動が薬によるもので間違いないとしら怖いことだと思いました。
それでは失礼いたします。
先ほど本年最後の勤務を終えて帰宅したゆうです。
さて、タミフルではありませんが私自身10才くらいの時に風邪の症状で受診した際、抗生物質(品名失念)を注射された直後、訳が分からなくなり病院の外へダッシュして激しく嘔吐したという経験があります。(嘔吐後は落ち着きました)
その時は医師に理解不能な子どもだなという態度をされて診察は終わってしまいましたが、今にして思えば異常行動そのものでした。
一応その時に付き添っていた母親が薬品名を医師から聞いていてしばらくは覚えていたのですが、大分たってから他の病院でこの薬は今ほとんど使われていないと聞かされ、そのうち品名は忘れてしまいました。
今は病院の外へダッシュした時に車に惹かれなくて本当に良かったと思うのですが、この行動が薬によるもので間違いないとしら怖いことだと思いました。
それでは失礼いたします。
2008/12/26(Fri) 11:00 | URL | ゆう | 【編集】
Labさん。
体重減少は個人差があります。
通常は糖質制限食で減量できます。
しかし
倹約遺伝子(肥満遺伝子)の持ち主は
「糖質制限」+「カロリー制限」で初めて
減量できます。
まあ体重が2kg戻ったぐらいは問題ないと思います。
減量については
2008年8月5日のブログ
「糖質制限食を実践しても痩せにくい」
をご参照ください。
体重減少は個人差があります。
通常は糖質制限食で減量できます。
しかし
倹約遺伝子(肥満遺伝子)の持ち主は
「糖質制限」+「カロリー制限」で初めて
減量できます。
まあ体重が2kg戻ったぐらいは問題ないと思います。
減量については
2008年8月5日のブログ
「糖質制限食を実践しても痩せにくい」
をご参照ください。
2008/12/26(Fri) 17:17 | URL | 江部康二 | 【編集】
いつもブログを拝見させて頂いております(ペコリ)
インフルエンザウイルスについて質問があります
抗体を染込ませた?マスクが発売されていたのですが
私の理解する抗体とは、ウイルスなどの異物を見つけると
異物を見つけたぞと危険信号を出して、白血球やマクロファージに知らせて、やってきたそれらの免疫攻撃隊が異物をやっつけたり
抗体がよってたかって異物を動けなくしたり
というようなイメージなのですが
だから体内というか少なくとも抗体そのものが自由に動き回れる環境にないと働けないのじゃないかな?と思うのですが
抗体入りのマスクって意味があるのでしょうか?
教えてください
インフルエンザウイルスについて質問があります
抗体を染込ませた?マスクが発売されていたのですが
私の理解する抗体とは、ウイルスなどの異物を見つけると
異物を見つけたぞと危険信号を出して、白血球やマクロファージに知らせて、やってきたそれらの免疫攻撃隊が異物をやっつけたり
抗体がよってたかって異物を動けなくしたり
というようなイメージなのですが
だから体内というか少なくとも抗体そのものが自由に動き回れる環境にないと働けないのじゃないかな?と思うのですが
抗体入りのマスクって意味があるのでしょうか?
教えてください
2008/12/26(Fri) 23:42 | URL | トモトム | 【編集】
江部先生はじめまして。草太郎ともうします。
以前から糖質制限食に興味がありちびりちびりと取り入れつつ減量に励む草太郎です。
少し前にあらてつさんのblogでも拝見したのですが、イタリアのデュラムサモリナのパスタならスタンダード糖質制限食にも可能とあり、その後いろいろ調べていたのですが、タイ米ってあるじゃないですか。
あれは白米と同量の栄養価がありますが玄米よりも血糖値も上げにくいという記載がされた本も見つけまして…実際どうなのででしょう?糖質制限食に使えるのでしょうか?
年末にお忙しいかと思われますがご意見いただけると幸いです。
以前から糖質制限食に興味がありちびりちびりと取り入れつつ減量に励む草太郎です。
少し前にあらてつさんのblogでも拝見したのですが、イタリアのデュラムサモリナのパスタならスタンダード糖質制限食にも可能とあり、その後いろいろ調べていたのですが、タイ米ってあるじゃないですか。
あれは白米と同量の栄養価がありますが玄米よりも血糖値も上げにくいという記載がされた本も見つけまして…実際どうなのででしょう?糖質制限食に使えるのでしょうか?
年末にお忙しいかと思われますがご意見いただけると幸いです。
草太郎さん。
タイ米(インディカ米)は血糖上昇指数(GI)
はジャポニカ米より低いようです。
従って糖尿病でない人には、一定の減量効果が期待できます。
しかし糖尿病の人では、普通量食べればいずれも
血糖値は200mg/dl以上になりますので、
好ましくありません。
タイ米(インディカ米)は血糖上昇指数(GI)
はジャポニカ米より低いようです。
従って糖尿病でない人には、一定の減量効果が期待できます。
しかし糖尿病の人では、普通量食べればいずれも
血糖値は200mg/dl以上になりますので、
好ましくありません。
2008/12/27(Sat) 15:15 | URL | タイ米 | 【編集】
トモトムさん。
私も抗体マスク、怪しいものかと調べてみましたら
意外にもれっきとしたものでした。
日経メディカルオンラインの記事に載ってましたので
比較的信頼できると思います。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/flu2007/pickup/200801/505318.html
「ダチョウの卵から、高病原性鳥インフルエンザウイルスを不活化する抗体を大量に生産する方法が開発された。大阪府立大生命環境科学研究科の塚本康浩氏らが手がけているもので、この方法を応用した鳥インフルエンザ抗体マスクの商品化も進んでいる。」
2008年1月の記事ですので
その後商品化されたようですね。
私も抗体マスク、怪しいものかと調べてみましたら
意外にもれっきとしたものでした。
日経メディカルオンラインの記事に載ってましたので
比較的信頼できると思います。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/flu2007/pickup/200801/505318.html
「ダチョウの卵から、高病原性鳥インフルエンザウイルスを不活化する抗体を大量に生産する方法が開発された。大阪府立大生命環境科学研究科の塚本康浩氏らが手がけているもので、この方法を応用した鳥インフルエンザ抗体マスクの商品化も進んでいる。」
2008年1月の記事ですので
その後商品化されたようですね。
2008/12/27(Sat) 15:22 | URL | 江部康二 | 【編集】
先生
糖尿で死ぬのはどんな死に方になるのですか?節制すると節制していない人より長生きして楽な最後を迎えられるのですか?死ぬ時はどんな人でも楽じゃないですよね?私の父は糖尿で最期は壊疽になり足を2回切断し、透析をして最後にはすごい床擦れが出来、肺炎で亡くなりました。(予断ですが、父の死に行く姿を書いたエッセイーが大学の授業で使われました。)私は父のような死に方をしたくないので 一生懸命節制しています。(時々くじけますが…あはは!)
糖尿で死ぬのはどんな死に方になるのですか?節制すると節制していない人より長生きして楽な最後を迎えられるのですか?死ぬ時はどんな人でも楽じゃないですよね?私の父は糖尿で最期は壊疽になり足を2回切断し、透析をして最後にはすごい床擦れが出来、肺炎で亡くなりました。(予断ですが、父の死に行く姿を書いたエッセイーが大学の授業で使われました。)私は父のような死に方をしたくないので 一生懸命節制しています。(時々くじけますが…あはは!)
シアトルさんへ
糖尿病がベースにあって死亡するとしたら
心筋梗塞、脳梗塞、肺炎などでしょうね。
しかし、合併症がない血糖コントロール良好の
糖尿病は正常人と同じことです。
私は糖尿人ですが、糖質制限食を実践する限りにおいては、正常人です。
シアトルさんも、糖質制限食で正常人をめざしてください。
糖尿病がベースにあって死亡するとしたら
心筋梗塞、脳梗塞、肺炎などでしょうね。
しかし、合併症がない血糖コントロール良好の
糖尿病は正常人と同じことです。
私は糖尿人ですが、糖質制限食を実践する限りにおいては、正常人です。
シアトルさんも、糖質制限食で正常人をめざしてください。
2008/12/27(Sat) 18:13 | URL | 江部康二 | 【編集】
先生、本当に有難うございます
お忙しいのにわざわざ調べてくださって
感謝します <(_ _)>
お忙しいのにわざわざ調べてくださって
感謝します <(_ _)>
2008/12/27(Sat) 19:23 | URL | トモトム | 【編集】
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