2023年05月20日 (土)
【23/05/19
まー
糖尿病になると寿命が10年縮む?
江部先生、こんにちは。
今日ネットで、「糖尿病になると寿命が10年縮む」という記事がありました。
同患者の死因トップはがんで、その他にも感染症、心筋梗塞、脳梗塞などが上位をしめているそうです。
同患者、境界型の方で、服薬あるなし、糖質制限あるなし、年齢などの視点で解説して頂けないでしょうか。
よろしくお願いします。】
こんばんは。まーさんから、
「糖尿病になると寿命が10年縮む?」という、
ネットの記事の信憑性についてコメント・質問を頂きました。
確かに、糖尿病になると若いうちから加齢症状があらわれるので早期治療が大切という研究報告もあります。
つまりコントロールが悪い糖尿病は、「老化が早く進む病気」と言っても過言ではありません。
服薬のあるなしよりも、血糖コントロールが良好か否かのほうが、重要です。
境界型(食後高血糖)でも、心筋梗塞のリスクは糖尿病の人に近いくらいあることもわかっています。
そして、厄介なのは、「質の良いHbA1c」と「質の悪いHbA1c」があるということです。
現状の健康診断などでは、「早朝空腹時血糖値」と「HbA1c」で糖尿病コントロールの評価をしています。
HbA1c検査の弱点は、食後高血糖を見逃すという点です。
つまり平均血糖値を見ているので、食後200mg/dlであっても、
夜中に65mg/dlとかであれば、平均血糖値としてのHbA1cは6.2%くらいになり、一見、良好です。
しかしこのようなHbA1cは、食後高血糖が存在し、
血糖変動幅が大きく「酸化ストレスリスク」となる「質の悪いHbA1c」です。
これでは、動脈硬化を予防できません。
すなわち日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(低脂肪・高糖質食)では、
HbA1cが6.2%とか6.5%とか一見コントロール良好でも
「食後高血糖」や「平均血糖変動幅増大」を伴なう「質の悪いHbA1c」であり、
これでは、糖尿病合併症を防げません。
毎年新たに、人工透析が16000人以上、失明が3000人以上、、下肢切断が3000人以上
というのが、日本の糖尿病患者さんの現状であり、大変つらい状況です。
これに対して、スーパー糖質制限食実践なら、
食後高血糖は最小限となり、血糖変動幅増大も最小限となるので
達成されたHbA1cは、「質の良いHbA1c」であり、
動脈硬化や糖尿病合併症の予防ができます。
日本全国の糖尿人の皆さん、
是非糖質制限食を実践されて、
合併症を予防し健康長寿を目指しましょう。
江部康二
まー
糖尿病になると寿命が10年縮む?
江部先生、こんにちは。
今日ネットで、「糖尿病になると寿命が10年縮む」という記事がありました。
同患者の死因トップはがんで、その他にも感染症、心筋梗塞、脳梗塞などが上位をしめているそうです。
同患者、境界型の方で、服薬あるなし、糖質制限あるなし、年齢などの視点で解説して頂けないでしょうか。
よろしくお願いします。】
こんばんは。まーさんから、
「糖尿病になると寿命が10年縮む?」という、
ネットの記事の信憑性についてコメント・質問を頂きました。
確かに、糖尿病になると若いうちから加齢症状があらわれるので早期治療が大切という研究報告もあります。
つまりコントロールが悪い糖尿病は、「老化が早く進む病気」と言っても過言ではありません。
服薬のあるなしよりも、血糖コントロールが良好か否かのほうが、重要です。
境界型(食後高血糖)でも、心筋梗塞のリスクは糖尿病の人に近いくらいあることもわかっています。
そして、厄介なのは、「質の良いHbA1c」と「質の悪いHbA1c」があるということです。
現状の健康診断などでは、「早朝空腹時血糖値」と「HbA1c」で糖尿病コントロールの評価をしています。
HbA1c検査の弱点は、食後高血糖を見逃すという点です。
つまり平均血糖値を見ているので、食後200mg/dlであっても、
夜中に65mg/dlとかであれば、平均血糖値としてのHbA1cは6.2%くらいになり、一見、良好です。
しかしこのようなHbA1cは、食後高血糖が存在し、
血糖変動幅が大きく「酸化ストレスリスク」となる「質の悪いHbA1c」です。
これでは、動脈硬化を予防できません。
すなわち日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(低脂肪・高糖質食)では、
HbA1cが6.2%とか6.5%とか一見コントロール良好でも
「食後高血糖」や「平均血糖変動幅増大」を伴なう「質の悪いHbA1c」であり、
これでは、糖尿病合併症を防げません。
毎年新たに、人工透析が16000人以上、失明が3000人以上、、下肢切断が3000人以上
というのが、日本の糖尿病患者さんの現状であり、大変つらい状況です。
これに対して、スーパー糖質制限食実践なら、
食後高血糖は最小限となり、血糖変動幅増大も最小限となるので
達成されたHbA1cは、「質の良いHbA1c」であり、
動脈硬化や糖尿病合併症の予防ができます。
日本全国の糖尿人の皆さん、
是非糖質制限食を実践されて、
合併症を予防し健康長寿を目指しましょう。
江部康二
こんにちは
いつも勉強させていただいております。
内科医です。
さて、基本的な所になり恐縮ですが質問お願いします。
糖質制限して、ケトン体が増加してケトアシドーシスにはならないのでしょうか?
最近、時折sglt 2i内服中の方で尿ケトンが陽性の方がいてそんな事を思いました。
いつも勉強させていただいております。
内科医です。
さて、基本的な所になり恐縮ですが質問お願いします。
糖質制限して、ケトン体が増加してケトアシドーシスにはならないのでしょうか?
最近、時折sglt 2i内服中の方で尿ケトンが陽性の方がいてそんな事を思いました。
としの さん
<スーパー糖質制限食+SGLT2阻害薬>
の併用で、急劇に血中ケトン体が上昇したときは
人体の緩衝作用が間に合わなくて、まれに<ケトアシドーシス>の報告があります。
脱水気味だと、ケトアシドーシスのリスクとなるので、水分補給が重要と思います。
<スーパー糖質制限食+SGLT2阻害薬>
の併用で、急劇に血中ケトン体が上昇したときは
人体の緩衝作用が間に合わなくて、まれに<ケトアシドーシス>の報告があります。
脱水気味だと、ケトアシドーシスのリスクとなるので、水分補給が重要と思います。
2023/05/22(Mon) 16:54 | URL | ドクター江部 | 【編集】
先生早々のご回答ありがとうございました。
体が追いつかないのですね。
体が追いつかないのですね。
山田悟医師の論文がメディカルトリビューンに発表されました。
「消滅に追い込まれた糖質制限反対論」
反対論者を自縄自縛にするNHS、HPFS論文
https://medical-tribune.co.jp/rensai/2023/0520556640/?utm_source=Pickup&utm_medium=email&utm_campaign=mailmag230522
山田医師は、糖質制限反対論者多数の日本糖尿病学会内において、
糖質40%の低糖質食を提唱して戦ってきました。
ついに理論武装が完成して無制限の糖質制限の主張を開始しました。
2023/05/23(Tue) 15:56 | URL | kz | 【編集】
kz さん
とても嬉しい情報をコメント頂き、ありがとうございます。
山田悟医師は、当初は、
『緩やかな糖質制限食はOKで、厳格なものはNGでケトン体の上昇が懸念される』
という立場でしたが、
徐々に変化して、
とうとう、私と同じスタンスになって頂いたようで、私としても嬉しい限りです。
とても嬉しい情報をコメント頂き、ありがとうございます。
山田悟医師は、当初は、
『緩やかな糖質制限食はOKで、厳格なものはNGでケトン体の上昇が懸念される』
という立場でしたが、
徐々に変化して、
とうとう、私と同じスタンスになって頂いたようで、私としても嬉しい限りです。
2023/05/23(Tue) 17:14 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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