2023年04月07日 (金)
【23/04/04川鹿
夜間のかゆみは低血糖と関係があるか
はじめてまして。いつも勉強させていただいています。
私はアトピーや精神的なストレスや不安に効くかなと思って自主的に糖質制限を一年半前に始めました。
効能として感じたことは、子供の頃から居眠りをしていて、大人になってからも会議中などでうたた寝してしまうので困っていましたが、糖質制限を始めてからは、日中に眠くなることが随分と減りました。以前は頻繁に間食していたのですが、その癖もなくなりました。おならが減り便が良い固さになりました。
先日HbA1Cをはじめて測ってもらったところ、5.5で、思ったよりも低くないのだなと思いました。普段、穀物と果物は食べませんが、社交的な場面では方針を崩して主食や甘いものを食べることがあります。そのせいかもしれません。
私の場合、食後高血糖とか、機能性低血糖というやつなのかなとかんぐっています。
昔、夜勤をしていた時は低血糖で気を失って倒れたことが何回かありました。
今でもたまにケーキのようなものを外で食べると動悸がして疲れることがあります。
穀物のある食事をした後は食後3-4時間後に眠くなることがあります。
糖質制限するきっかけになったアトピーはやはり今でもよくなく、
夜中にかゆみで目がさめることがよくあり、
血糖値と関係するのかなとネットで調べてみたのですが、よくわかりませんでした。
夜間のかゆみは夜間低血糖とは関係はありますか?
子供の頃から結構な量を使っっているステロイドの塗り薬の量が、
血糖値に影響することも考えられるでしょうか?
ちなみに私は40です。
記事と関係ないコメントですみません。
ブログのネタになりそうでしたら記事にしていただけたら嬉しいです。】
こんにちは。
川鹿さんから、糖質制限食で、機能性低血糖の症状が改善したという
嬉しいコメントを頂きました。
【子供の頃から居眠りをしていて、大人になってからも会議中などでうたた寝してしまうので困っていましたが、糖質制限を始めてからは、日中に眠くなることが随分と減りました。以前は頻繁に間食していたのですが、その癖もなくなりました。おならが減り便が良い固さになりました。】
ご指摘通り、機能性低血糖による眠気が、糖質制限食で改善したのだと思います。
【HbA1Cをはじめて測ってもらったところ、5.5%で、
思ったよりも低くないのだなと思いました。】
HbA1cは、平均血糖値ですから、食後250mg/dlで、
数時間後の空腹時50mg/dlとかの低血糖なら、
平均値であるHbA1cは、一見6%未満で良好に見えますが
これは、血糖変動幅の大きい質の悪いHbA1cです。
質の悪いHbA1cでは、動脈硬化を生じる可能性があります。
一方、川鹿さんの現在のHbA1c5.5%は、
糖質制限食の実践で血糖変動幅の小さい質の良いHbA1cです。
これなら動脈硬化のリスクはないので安心です。
またAGEsの蓄積も最小限ですむので、糖化からくる老化も最小限で済みます。
【今でもたまにケーキのようなものを外で食べると動悸がして疲れることがあります。
穀物のある食事をした後は食後3-4時間後に眠くなることがあります。】
この症状も、機能性低血糖の可能性が高いです。
【夜間のかゆみは夜間低血糖とは関係はありますか?】
これは、私にもよくわかりません。
今まで、機能性低血糖の患者さんを複数診てきましたが
痒みを訴えた人はありませんでした。
【子供の頃から結構な量を使っっているステロイドの塗り薬の量が、
血糖値に影響することも考えられるでしょうか?】
外用薬が血糖値に影響を及ぼすことはまずありません。
またステロイド薬による副作用は血糖値の上昇になり、低血糖ではありません。
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、
血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。
ほとんどの機能性低血糖の背景には、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があります。
やせ型でインスリン抵抗性がなくても、機能性低血糖を生じる人はおられます。
機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。
はっきりしている場合は、糖質摂取4~5時間後の血糖値が60mg/dl以下になります。
家族歴に2型糖尿病があって、現在は正常型で糖尿病を発症していない人は、インスリン追加分泌が遷延することがあり、機能性低血糖が特に起こりやすいです。
境界型および糖尿病でも、軽症の段階だと、インスリン分泌能力はまだ残っています。
そして、インスリン追加分泌が出遅れて遷延するのが2型糖尿病の特徴なので、
「機能性低血糖+境界型」あるいは「機能性低血糖+糖尿病型」
というパターンは、結構あると思います。
一方、家族歴に2型糖尿病がなくて、現在糖尿病的には全く正常でも、
インスリンが過剰に分泌されるタイプの「機能性低血糖+正常型」もあります。
こちらは若い人に多く、それこそ小学生や中学生でもありえると思います。
当然、高校生や大学生は言うまでもありません。
いずれにせよ
<糖質摂取による血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>
というパターンです。
従って、精製炭水化物が、最も機能性低血糖を起こしやすいです。
未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。
A)機能性低血糖が原因で生じている症状は、糖質制限食でリアルタイムに改善します。
B)糖質制限食で改善しない症状は、機能性低血糖とは無関係ということです。
A)B)はシンプルですが、重要なことなので、「自分は機能性低血糖かも?」と思っている皆さんは、しっかり覚えておきましょう。
糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、
インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖をほとんど生じません。
スーパー糖質制限食なら、インスリン追加分泌は、野菜分の少量の糖質に対応して、
せいぜい2~3倍くらいまでです。
この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、
きっちり問診してみると、若い人でも結構おられますので注意が必要ですね。
機能性低血糖症の場合、糖質摂取後30分で140mg/dl程度に上昇した血糖値が、
60分後に80mg/dlなったりします。
これだけ血糖の変動幅が大きい(60mg)と、眠気も来そうですね。
さらに4時間~5時間に40~60mg/dlとかまで下がることがあり、
低血糖症状を生じます。
血糖値が40mg~60mg/dlなら明らかな低血糖ですが、
60mg/dl以上あって正常範囲でも、
血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。
江部康二
夜間のかゆみは低血糖と関係があるか
はじめてまして。いつも勉強させていただいています。
私はアトピーや精神的なストレスや不安に効くかなと思って自主的に糖質制限を一年半前に始めました。
効能として感じたことは、子供の頃から居眠りをしていて、大人になってからも会議中などでうたた寝してしまうので困っていましたが、糖質制限を始めてからは、日中に眠くなることが随分と減りました。以前は頻繁に間食していたのですが、その癖もなくなりました。おならが減り便が良い固さになりました。
先日HbA1Cをはじめて測ってもらったところ、5.5で、思ったよりも低くないのだなと思いました。普段、穀物と果物は食べませんが、社交的な場面では方針を崩して主食や甘いものを食べることがあります。そのせいかもしれません。
私の場合、食後高血糖とか、機能性低血糖というやつなのかなとかんぐっています。
昔、夜勤をしていた時は低血糖で気を失って倒れたことが何回かありました。
今でもたまにケーキのようなものを外で食べると動悸がして疲れることがあります。
穀物のある食事をした後は食後3-4時間後に眠くなることがあります。
糖質制限するきっかけになったアトピーはやはり今でもよくなく、
夜中にかゆみで目がさめることがよくあり、
血糖値と関係するのかなとネットで調べてみたのですが、よくわかりませんでした。
夜間のかゆみは夜間低血糖とは関係はありますか?
子供の頃から結構な量を使っっているステロイドの塗り薬の量が、
血糖値に影響することも考えられるでしょうか?
ちなみに私は40です。
記事と関係ないコメントですみません。
ブログのネタになりそうでしたら記事にしていただけたら嬉しいです。】
こんにちは。
川鹿さんから、糖質制限食で、機能性低血糖の症状が改善したという
嬉しいコメントを頂きました。
【子供の頃から居眠りをしていて、大人になってからも会議中などでうたた寝してしまうので困っていましたが、糖質制限を始めてからは、日中に眠くなることが随分と減りました。以前は頻繁に間食していたのですが、その癖もなくなりました。おならが減り便が良い固さになりました。】
ご指摘通り、機能性低血糖による眠気が、糖質制限食で改善したのだと思います。
【HbA1Cをはじめて測ってもらったところ、5.5%で、
思ったよりも低くないのだなと思いました。】
HbA1cは、平均血糖値ですから、食後250mg/dlで、
数時間後の空腹時50mg/dlとかの低血糖なら、
平均値であるHbA1cは、一見6%未満で良好に見えますが
これは、血糖変動幅の大きい質の悪いHbA1cです。
質の悪いHbA1cでは、動脈硬化を生じる可能性があります。
一方、川鹿さんの現在のHbA1c5.5%は、
糖質制限食の実践で血糖変動幅の小さい質の良いHbA1cです。
これなら動脈硬化のリスクはないので安心です。
またAGEsの蓄積も最小限ですむので、糖化からくる老化も最小限で済みます。
【今でもたまにケーキのようなものを外で食べると動悸がして疲れることがあります。
穀物のある食事をした後は食後3-4時間後に眠くなることがあります。】
この症状も、機能性低血糖の可能性が高いです。
【夜間のかゆみは夜間低血糖とは関係はありますか?】
これは、私にもよくわかりません。
今まで、機能性低血糖の患者さんを複数診てきましたが
痒みを訴えた人はありませんでした。
【子供の頃から結構な量を使っっているステロイドの塗り薬の量が、
血糖値に影響することも考えられるでしょうか?】
外用薬が血糖値に影響を及ぼすことはまずありません。
またステロイド薬による副作用は血糖値の上昇になり、低血糖ではありません。
機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、
血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。
易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・ などの症状がみられます。
ほとんどの機能性低血糖の背景には、インスリンの過剰分泌及び遷延分泌があります。
やせ型でインスリン抵抗性がなくても、機能性低血糖を生じる人はおられます。
機能性低血糖症は、糖質を摂取して血糖値が上昇して、追加分泌インスリンが基礎分泌インスリンの10倍、20倍、30倍レベル出たときに、早ければ食後2時間、通常は4時間から5時間くらいで発症することが多いです。
はっきりしている場合は、糖質摂取4~5時間後の血糖値が60mg/dl以下になります。
家族歴に2型糖尿病があって、現在は正常型で糖尿病を発症していない人は、インスリン追加分泌が遷延することがあり、機能性低血糖が特に起こりやすいです。
境界型および糖尿病でも、軽症の段階だと、インスリン分泌能力はまだ残っています。
そして、インスリン追加分泌が出遅れて遷延するのが2型糖尿病の特徴なので、
「機能性低血糖+境界型」あるいは「機能性低血糖+糖尿病型」
というパターンは、結構あると思います。
一方、家族歴に2型糖尿病がなくて、現在糖尿病的には全く正常でも、
インスリンが過剰に分泌されるタイプの「機能性低血糖+正常型」もあります。
こちらは若い人に多く、それこそ小学生や中学生でもありえると思います。
当然、高校生や大学生は言うまでもありません。
いずれにせよ
<糖質摂取による血糖値上昇→インスリン過剰分泌・分泌遷延→機能性低血糖>
というパターンです。
従って、精製炭水化物が、最も機能性低血糖を起こしやすいです。
未精製の炭水化物はややましですが、やはり起こす可能性があります。
A)機能性低血糖が原因で生じている症状は、糖質制限食でリアルタイムに改善します。
B)糖質制限食で改善しない症状は、機能性低血糖とは無関係ということです。
A)B)はシンプルですが、重要なことなので、「自分は機能性低血糖かも?」と思っている皆さんは、しっかり覚えておきましょう。
糖質制限食なら、食後高血糖がほとんどなくて、
インスリン追加分泌もごく少量なので機能性低血糖をほとんど生じません。
スーパー糖質制限食なら、インスリン追加分泌は、野菜分の少量の糖質に対応して、
せいぜい2~3倍くらいまでです。
この機能性低血糖症、日本ではあまり認知されていませんが、
きっちり問診してみると、若い人でも結構おられますので注意が必要ですね。
機能性低血糖症の場合、糖質摂取後30分で140mg/dl程度に上昇した血糖値が、
60分後に80mg/dlなったりします。
これだけ血糖の変動幅が大きい(60mg)と、眠気も来そうですね。
さらに4時間~5時間に40~60mg/dlとかまで下がることがあり、
低血糖症状を生じます。
血糖値が40mg~60mg/dlなら明らかな低血糖ですが、
60mg/dl以上あって正常範囲でも、
血糖値が1時間で50mg以上下がると眠気などの症状も出やすいようです。
江部康二
川鹿さんへ
>夜間のかゆみは夜間低血糖とは関係はありますか?
>子供の頃から結構な量を使っっているステロイドの塗り薬
私らこ は、首から上に「痒み」あり50年以上継続です(泣
今63才です。
◎痒みにステロイド剤は利かない
◎ナジフロキサシン が利く
です。
>夜間のかゆみは夜間低血糖とは関係はありますか?
>子供の頃から結構な量を使っっているステロイドの塗り薬
私らこ は、首から上に「痒み」あり50年以上継続です(泣
今63才です。
◎痒みにステロイド剤は利かない
◎ナジフロキサシン が利く
です。
2023/04/07(Fri) 23:54 | URL | らこ | 【編集】
らこ さん
ナジフロキサシンは、主に尋常性痤瘡の治療で使用されるニューキノロン系の抗菌剤で
商品名はアクアチムクリームです。
抗菌剤が痒みに効くというのも不思議ですが、
そういうこともあるのですね。
ただ、他の人に有効かどうかはわかりません。
ナジフロキサシンは、主に尋常性痤瘡の治療で使用されるニューキノロン系の抗菌剤で
商品名はアクアチムクリームです。
抗菌剤が痒みに効くというのも不思議ですが、
そういうこともあるのですね。
ただ、他の人に有効かどうかはわかりません。
2023/04/08(Sat) 06:11 | URL | ドクター江部 | 【編集】
私の場合、しつこかったアトピー自体は、亜鉛とビタミンDで治りました。
その後、糖質制限を続けていますが、発症していません。
なお、ステロイドを使っていたときは、グチュグチュになっていたところには、ステロイドだけではダメで、ステロイドと抗菌剤の軟膏を併用するとよく効きました。
シロウト考えですが、ステロイドで免疫が抑制されたところでは黄色ブドウ球菌などが増えやすくなるので、それを抗菌剤で抑えてやると、効く、ということなんじゃないかな、と思っていました。
その後、糖質制限を続けていますが、発症していません。
なお、ステロイドを使っていたときは、グチュグチュになっていたところには、ステロイドだけではダメで、ステロイドと抗菌剤の軟膏を併用するとよく効きました。
シロウト考えですが、ステロイドで免疫が抑制されたところでは黄色ブドウ球菌などが増えやすくなるので、それを抗菌剤で抑えてやると、効く、ということなんじゃないかな、と思っていました。
2023/04/08(Sat) 07:20 | URL | みか | 【編集】
みか さん
コメントをありがとうございます。
参考になります。
『ステロイドで免疫が抑制されたところでは黄色ブドウ球菌などが増えやすくなるので、
それを抗菌剤で抑えてやると、効く、ということなんじゃないかな、と思っていました。』
確かに、そういう場合があります。
コメントをありがとうございます。
参考になります。
『ステロイドで免疫が抑制されたところでは黄色ブドウ球菌などが増えやすくなるので、
それを抗菌剤で抑えてやると、効く、ということなんじゃないかな、と思っていました。』
確かに、そういう場合があります。
2023/04/08(Sat) 08:54 | URL | ドクター江部 | 【編集】
スンギ さん
コメントありがとうございます。
参考になります。
コメントありがとうございます。
参考になります。
2023/04/08(Sat) 10:33 | URL | ドクター江部 | 【編集】
日々糖質制限に関わる情報提供ありがとうございます。毎日拝読しております。
本記事とコメント欄の内容に刺激を受けまして考察したところ、自分の考えをよそ様が理解できるレベルに文章化てきまして、かつ、冒頭の相談質問者の方の何かの役に立つかもしれないと思い、これを紹介したいと思います。
ただ、
・免疫力の定義を普通より拡張してある
・アトピー症状を発熱と同様に免疫力の増強の一形態と捉える
という奇抜な発想になっているのが玉にキズなのです。そこが気になるようなら、江部式以外の手軽で安価な手法を紹介する形式になっていますので、そこだけでも読み取っていただければ幸いです。以下が上述の文章化したものです。
================================
アレルギー症状は免疫系の荒技処理モード
・ヒトの体内で老廃物・異物の除去は、普段は不快な症状なく行われている(穏便処理モード、平時モードと言える)
・普段の免疫力(基礎免疫力)が低下する、異物が過剰になるなどして除去処理に支障が出てくると、免疫力を増強するスイッチが入り、不快な症状が出現し易くなる(荒技処理モード)
・このような不快な症状の代表例としては発熱、倦怠感があるが、とある一定範囲のものはアレルギー症状と呼ばれている(アトピーの場合は異物を体表から追い出す動きが原型となる症状と、花粉症などの即時型アレルギーの場合は異物を入れないよう洗い流す吐き出す動きが原型となる症状と解される)
・ステロイドなどの免疫抑制剤を使うと、増強された免疫力(増強免疫力)を削ぐことができ不快な症状が軽快することがあるものの、基礎免疫力という本質は変化していないことから免疫力増強スイッチを切ることに繋がらないことも多い(根治には脱免疫抑制剤が必要ではないか?)
基礎免疫力を高く維持するには?
・普段の疫を免れる力(基礎免疫力)は、外来体の侵入防御能力と、老廃物・異物の除去能力の余力という二つの能力の兼ね合いで決まると解される(荒技処理モード時の手法についてみれば、例えば、発熱やアトピーは除去能力の増強効果を、倦怠感(必須活動以外の活動制限)や即時型アレルギーは老廃物・異物の抑制効果をもたらすのだろう)
・これら二つの能力(侵入防御と除去能の余力)を高く維持する手法としては、ヒトの御先祖様から引き継いだ遺伝子が想定している生活様式をなぞる(ことにより遺伝子が持つであろう自動制御機能を最大限引き出す)のが、手軽で安上がりだろう
・そうすると、前者の能力を高く維持する手法としては、
-夏井式療法(皮脂防御を温存するノー石鹸・ノーシャンプー法。皮脂が出にくい体質なら代替物を補充するワセリン頻回塗布)、
-西原式療法(粘膜防御を劣化させる局所低体温を避けるために、口呼吸を多用しない、冷飲食をしない)などがあるだろう。
・後者の能力を高く維持する手法としては、先ず
-江部式食事療法(糖質制限)
があげられる。その他としては、安保式療法と解される
-低体温の解消(江部式食事療法でも起こり得るほか、適度な運動、十分な日光浴、入浴など)、
-過剰なストレスが生じないメリハリのある生活(御先祖様のように、日中活動・夜間休息が基本。骨休め不足のハリハリ生活は交感神経優位を、一日中不活発のまま心安からに過ごすメリメリ生活は副交感神経優位を過剰に招き易く不適)などがあるだろう。ついでに、遺伝子想定的生活様式により健康を維持する観点からは無視することができそうもないので、カズンズ式療法と解される
-笑いの絶えない生活(「笑う門に福来る」とあるように御先祖様の遊動生活は笑いに満ちていて基礎免疫力も高水準だったと推測される一方、現代はストレス社会で笑いが減り、本来の能力が発揮できていないのだろう)も追加しておこう。(了)
本記事とコメント欄の内容に刺激を受けまして考察したところ、自分の考えをよそ様が理解できるレベルに文章化てきまして、かつ、冒頭の相談質問者の方の何かの役に立つかもしれないと思い、これを紹介したいと思います。
ただ、
・免疫力の定義を普通より拡張してある
・アトピー症状を発熱と同様に免疫力の増強の一形態と捉える
という奇抜な発想になっているのが玉にキズなのです。そこが気になるようなら、江部式以外の手軽で安価な手法を紹介する形式になっていますので、そこだけでも読み取っていただければ幸いです。以下が上述の文章化したものです。
================================
アレルギー症状は免疫系の荒技処理モード
・ヒトの体内で老廃物・異物の除去は、普段は不快な症状なく行われている(穏便処理モード、平時モードと言える)
・普段の免疫力(基礎免疫力)が低下する、異物が過剰になるなどして除去処理に支障が出てくると、免疫力を増強するスイッチが入り、不快な症状が出現し易くなる(荒技処理モード)
・このような不快な症状の代表例としては発熱、倦怠感があるが、とある一定範囲のものはアレルギー症状と呼ばれている(アトピーの場合は異物を体表から追い出す動きが原型となる症状と、花粉症などの即時型アレルギーの場合は異物を入れないよう洗い流す吐き出す動きが原型となる症状と解される)
・ステロイドなどの免疫抑制剤を使うと、増強された免疫力(増強免疫力)を削ぐことができ不快な症状が軽快することがあるものの、基礎免疫力という本質は変化していないことから免疫力増強スイッチを切ることに繋がらないことも多い(根治には脱免疫抑制剤が必要ではないか?)
基礎免疫力を高く維持するには?
・普段の疫を免れる力(基礎免疫力)は、外来体の侵入防御能力と、老廃物・異物の除去能力の余力という二つの能力の兼ね合いで決まると解される(荒技処理モード時の手法についてみれば、例えば、発熱やアトピーは除去能力の増強効果を、倦怠感(必須活動以外の活動制限)や即時型アレルギーは老廃物・異物の抑制効果をもたらすのだろう)
・これら二つの能力(侵入防御と除去能の余力)を高く維持する手法としては、ヒトの御先祖様から引き継いだ遺伝子が想定している生活様式をなぞる(ことにより遺伝子が持つであろう自動制御機能を最大限引き出す)のが、手軽で安上がりだろう
・そうすると、前者の能力を高く維持する手法としては、
-夏井式療法(皮脂防御を温存するノー石鹸・ノーシャンプー法。皮脂が出にくい体質なら代替物を補充するワセリン頻回塗布)、
-西原式療法(粘膜防御を劣化させる局所低体温を避けるために、口呼吸を多用しない、冷飲食をしない)などがあるだろう。
・後者の能力を高く維持する手法としては、先ず
-江部式食事療法(糖質制限)
があげられる。その他としては、安保式療法と解される
-低体温の解消(江部式食事療法でも起こり得るほか、適度な運動、十分な日光浴、入浴など)、
-過剰なストレスが生じないメリハリのある生活(御先祖様のように、日中活動・夜間休息が基本。骨休め不足のハリハリ生活は交感神経優位を、一日中不活発のまま心安からに過ごすメリメリ生活は副交感神経優位を過剰に招き易く不適)などがあるだろう。ついでに、遺伝子想定的生活様式により健康を維持する観点からは無視することができそうもないので、カズンズ式療法と解される
-笑いの絶えない生活(「笑う門に福来る」とあるように御先祖様の遊動生活は笑いに満ちていて基礎免疫力も高水準だったと推測される一方、現代はストレス社会で笑いが減り、本来の能力が発揮できていないのだろう)も追加しておこう。(了)
2023/04/09(Sun) 12:11 | URL | vincero | 【編集】
vincero さん
コメントをありがとうございます。
人体の免疫には大きく二つのシステムがあります。
免疫
①自然免疫
生まれつき体に備わっている仕組み
②獲得免疫
異物に応じた攻撃方法を記憶する後天的な仕組み
スーパー糖質制限食の実践で、①の自然免疫の力が向上すると思います。
従って、あらゆる感染症に対して強くなると考えられます。
コメントをありがとうございます。
人体の免疫には大きく二つのシステムがあります。
免疫
①自然免疫
生まれつき体に備わっている仕組み
②獲得免疫
異物に応じた攻撃方法を記憶する後天的な仕組み
スーパー糖質制限食の実践で、①の自然免疫の力が向上すると思います。
従って、あらゆる感染症に対して強くなると考えられます。
2023/04/10(Mon) 14:54 | URL | ドクター江部 | 【編集】
早速記事にして頂きどうも有難うございます。やはり外用薬としてのステロイドは血糖値に影響しないのですね。先生の機能性低血糖の患者さんで痒みを訴えられた方はいなかったことも参考になりました。
糖質制限は体に良いことが実感できるのでこれからも続けていこうと思います。便通が良くなったのは食物繊維の摂取量が増えてグルテンの摂取量が減ったことも関係しているかもなと思います。そして普段の食事が良くても、私はアルコールを摂ると便やガスの感じが悪くなります。
他の方のコメントでアトピーアレルギー関係のことが色々あるので、私の他にやっていることを記しておきます。
先生はサプリを摂らないそうですが、みかさんの仰るように私もビタミンDを飲んでいます。ここ最近は量を増やしてみています。腸内環境が良くなるかもと思い、Lグルタミンとプロバイオティクスも使い始めました。鉄も時たま、立ちくらみなど気になる症状がある時に、コーヒーの時間と離して、便の反応を気にしながら飲んでいます。本当は血液検査して客観的に判断して摂取するといいのでしょうが、私はいつも貧血気味なのでまあ飲んでも大丈夫だろうな、と。亜鉛もたまに飲んでみています。
皮膚のかゆみは、皮膚が悪い時はステロイド、おさまってきたらそれを間欠的にして代わりにタクロリムスを使いつつ、我慢できないかゆみのある時は7.5%亜鉛華軟膏(ピーナツオイルやヒマシオイルの混ざったもの)をリント布にベタッと塗布したものを貼り付けて皮膚をさわれないようにしたりします。寝る時は綿の手袋をします。水仕事にはニトリルのゴム手袋を使います。
vinceroさんのいうように、ストレスは確かにかなりの誘因かもしれません。私は検査すると様々なものにアレルギー反応を示す体質です。鼻と目のアレルギー反応は糖質制限を始めてからはだいぶ減りました。が、ストレスがあるとやはり出てきます。皮膚のかゆみはいわずもがなですが、目と鼻に比べると時差があります。目の症状がある時は、人工涙液の目薬を使います。鼻には生理食塩水による鼻うがいをします。それから、目を手で触るのをやめました。
イラっとした時についどこかを掻いていることがあるのでそれを意識してやめて、代わりに保湿用の軟膏(ピーナツオイル、ホワイトビーワックスやワセリンの混ざったもの)をぬってみたりします。
抗菌剤入りの外用薬が効く人がいるということですが、ステロイドで皮膚のバクテリア環境が悪くなるということがあるのかもなと思い、亜鉛華軟膏に期待したり、オートミール粉末を溶かす風呂を試してみたりしていますが効くのかはわかりません。シャンプーや石鹸はやめました。
糖質制限は体に良いことが実感できるのでこれからも続けていこうと思います。便通が良くなったのは食物繊維の摂取量が増えてグルテンの摂取量が減ったことも関係しているかもなと思います。そして普段の食事が良くても、私はアルコールを摂ると便やガスの感じが悪くなります。
他の方のコメントでアトピーアレルギー関係のことが色々あるので、私の他にやっていることを記しておきます。
先生はサプリを摂らないそうですが、みかさんの仰るように私もビタミンDを飲んでいます。ここ最近は量を増やしてみています。腸内環境が良くなるかもと思い、Lグルタミンとプロバイオティクスも使い始めました。鉄も時たま、立ちくらみなど気になる症状がある時に、コーヒーの時間と離して、便の反応を気にしながら飲んでいます。本当は血液検査して客観的に判断して摂取するといいのでしょうが、私はいつも貧血気味なのでまあ飲んでも大丈夫だろうな、と。亜鉛もたまに飲んでみています。
皮膚のかゆみは、皮膚が悪い時はステロイド、おさまってきたらそれを間欠的にして代わりにタクロリムスを使いつつ、我慢できないかゆみのある時は7.5%亜鉛華軟膏(ピーナツオイルやヒマシオイルの混ざったもの)をリント布にベタッと塗布したものを貼り付けて皮膚をさわれないようにしたりします。寝る時は綿の手袋をします。水仕事にはニトリルのゴム手袋を使います。
vinceroさんのいうように、ストレスは確かにかなりの誘因かもしれません。私は検査すると様々なものにアレルギー反応を示す体質です。鼻と目のアレルギー反応は糖質制限を始めてからはだいぶ減りました。が、ストレスがあるとやはり出てきます。皮膚のかゆみはいわずもがなですが、目と鼻に比べると時差があります。目の症状がある時は、人工涙液の目薬を使います。鼻には生理食塩水による鼻うがいをします。それから、目を手で触るのをやめました。
イラっとした時についどこかを掻いていることがあるのでそれを意識してやめて、代わりに保湿用の軟膏(ピーナツオイル、ホワイトビーワックスやワセリンの混ざったもの)をぬってみたりします。
抗菌剤入りの外用薬が効く人がいるということですが、ステロイドで皮膚のバクテリア環境が悪くなるということがあるのかもなと思い、亜鉛華軟膏に期待したり、オートミール粉末を溶かす風呂を試してみたりしていますが効くのかはわかりません。シャンプーや石鹸はやめました。
2023/04/11(Tue) 05:18 | URL | 川鹿 | 【編集】
川鹿 さん
アルコールが合わない人は、一定の確率でおられます。
アルコールは嗜好品ですので、なしでも問題ないです。
アルコールが合わない人は、一定の確率でおられます。
アルコールは嗜好品ですので、なしでも問題ないです。
2023/04/11(Tue) 16:14 | URL | ドクター江部 | 【編集】
娘乳児がてんかんで母乳にケトンを出すため母体をケトン食にしている者です。
導入は2週間ほど前からで、母体は順調にケトンが出ているものの(尿検査)フラフラが改善されず、力がでません。
かなりカロリーは摂っていると思います。計算したことがないですが、朝昼晩女性にしてはかなり多めに糖質を抜いて(タンパク質はそれほどこだわって抜いてません)mctオイルをバシャバシャとかけています。
フラつきをなくさないと、もう直ぐ来る娘の入院付き添いが私しかできないのでなんとか体力を戻したいと思っています。
この症状は低血糖?血を採れば理由がわかるでしょうか?ケトンは尿検査のキットで一番色が濃い紫になっています。
導入は2週間ほど前からで、母体は順調にケトンが出ているものの(尿検査)フラフラが改善されず、力がでません。
かなりカロリーは摂っていると思います。計算したことがないですが、朝昼晩女性にしてはかなり多めに糖質を抜いて(タンパク質はそれほどこだわって抜いてません)mctオイルをバシャバシャとかけています。
フラつきをなくさないと、もう直ぐ来る娘の入院付き添いが私しかできないのでなんとか体力を戻したいと思っています。
この症状は低血糖?血を採れば理由がわかるでしょうか?ケトンは尿検査のキットで一番色が濃い紫になっています。
田中 さん
ケトン食でケトン体が尿にしっかり陽性なら、血中ケトン体も高値なので良いです。
フラフラが改善されないとのことですが、
摂取エネルギー不足以外には考えにくいです。
母乳育児中の女性は
<母体自身の摂取エネルギー確保 + 赤ちゃんへの母乳によるエネルギーー供与>
普段の倍くらいの摂取エネルギーが必要となります。
まずは、摂取エネルギーを計算してみましょう。
貧血の可能性もあるので、血液検査(血糖値、ケトン体値、貧血の検査、肝機能、腎機能、膵機能など)をしてみましょう。
ケトン食でケトン体が尿にしっかり陽性なら、血中ケトン体も高値なので良いです。
フラフラが改善されないとのことですが、
摂取エネルギー不足以外には考えにくいです。
母乳育児中の女性は
<母体自身の摂取エネルギー確保 + 赤ちゃんへの母乳によるエネルギーー供与>
普段の倍くらいの摂取エネルギーが必要となります。
まずは、摂取エネルギーを計算してみましょう。
貧血の可能性もあるので、血液検査(血糖値、ケトン体値、貧血の検査、肝機能、腎機能、膵機能など)をしてみましょう。
2023/06/06(Tue) 13:02 | URL | ドクター江部 | 【編集】
| ホーム |