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IGT(食後高血糖)とIFG(空腹時血糖障害)。暁現象とは?
【22/09/15 まー

江部先生

いつもブログ有難うございます。
もう糖質制限(基本スーパー糖質制限)を始め15年になります。
それで毎年の健診で空腹時血糖値が111〜117、Hba1cは5.6~5.9です。
昼の空腹時血糖値は100前後まで下がるので、朝が高いのは暁現象かと思っています。
インターバル速歩も実践しておりますが、なかなか朝の血糖値は下がりません。
このような場合は、このままほっとかずに服薬(受診)した方が良いでしょうか。】



こんばんは。
まーさんから、早朝空腹時血糖値高値について、コメントを頂きました。
まーさん、
『毎年の健診で空腹時血糖値が111〜117mg/dl、Hba1cは5.6~5.9%』
これなら、糖尿病合併症の心配は少ないので焦らなくてよいです。
同じ境界型でも「IGT (食後高血糖)」は、
心血管系合併症を生じやすいのですが
「IFG(空腹時血糖障害)」は、合併症リスクは正常型の人と同程度です。
まーさんは、スーパー糖質制限食実践なので、食後高血糖はありません。
今しばらく、内服薬なしで、経過をみて良いと思います。
可能なら夕食を18時とか19時とか早めに摂ると翌朝の空腹時血糖値が
上がりにくいです。

また、血糖自己測定器を購入されて、自分で早朝空腹時血糖値を検査するとよいです。
私は、ニプロを使っていますが、テルモなど、日本製ならOKです。
前の日の運動効果とか早めの食事効果とかが、チェックできますので
とても便利で有用です。

早朝空腹時血糖値の高値は、暁現象が関与すると考えられます。

早朝の空腹時血糖値は、正常人では、寝る前より低いのが普通です。
ところが、就寝前よりも朝起きたときの血糖値のほうが高いという現象が、
糖尿人によくみられ、「暁現象」と呼ばれています。

朝方3~4時ころは、基礎分泌インスリンは一番低値になります。
さらにこの時間帯、成長ホルモンコルチゾールが増えて
血糖が上がりやすくなるのですが、
正常人は即座にインスリン分泌を増やして対応します。
糖尿人はインスリンを増加させてそれに対抗できないから、
暁現象を生じるとされています。

成長ホルモンは、肝臓でのグリコーゲン分解を促し、
また抗インスリン作用(インスリンを抑制し、血糖値を上昇させる)を持つため、
血糖値を上昇させます。
コルチゾールは肝臓での糖新生を促進させて、血糖値を上昇させます。

また糖尿病患者では起床前後の交換神経活性が暁現象に関係しています。
交感神経活性でカテコラミンなどのインスリン拮抗ホルモンが増えます。
膵臓では交感神経刺激によりインスリン分泌抑制グルカゴン分泌促進が起こり、
血糖値が上昇します。

夜間睡眠時は、肝臓がブドウ糖を合成して(糖新生)血液中に送り、
血糖値を維持しますが、もともと糖尿人は正常人に比べて糖新生が増加しています。

この時間帯、基礎分泌インスリンは、正常人なら少し分泌されれば血糖値が下がりますが、
2型の糖尿人は正常人の2倍の量が必要だといわれていますので、
そもそもハンディがあります。
糖新生が多くなると、
正常人なら即座に基礎分泌インスリンの分泌を増加させて対応します。
しかし、糖尿人はインスリンの分泌量調整がスムースにいかないために、
糖新生を制御できず、暁現象が起きると考えられます。

暁現象を改善するには運動が良いです。
簡単で長続きする運動として
<インターバル速歩><ながらジョギング>がお奨めです。

以下のブログ記事をご参照頂ければ幸いです。

インターバル速歩と体力。8000歩/日との比較。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4826.html
2019年02月20日 (水)

体脂肪率の改善、糖質制限食、インターバル速歩、ながらジョグ。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5345.html
2020年08月20日 (木)




江部康二
コメント
人工甘味料が腸内細菌を乱すと判明、健康に悪影響の恐れも、研究
人工甘味料の真実はどれなのでしょうか?
体に良い悪い?
摂取する量が問題?
是非先生の考え方とこの記事の正確性を教えてください。
2022/09/17(Sat) 08:15 | URL | kou | 【編集
グレリン
江部先生、「グレリン」について教えて下さい。

グレリン : 食欲を促す。喜びを脳に伝える

私らこ は、スーパー糖質制限食実行丸13年で、「食べたい意欲」は全く起きません。
グレリンが出ていないのでしょうか?
2022/09/17(Sat) 11:46 | URL | らこ | 【編集
Re: 人工甘味料が腸内細菌を乱すと判明、健康に悪影響の恐れも、研究
kou さん

摂取する基準がありますので、それを守って少量である限りは大丈夫と思います。
糖質の害の方がはるかに大きいです。
以下の記事をご参照頂ければ幸いです。

人工甘味料の許容量や安全性は?
2021年11月15日 (月
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-5791.html
2022/09/17(Sat) 15:03 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: グレリン
らこ さん

グレリンは、人類は皆、分泌されていると思います。

ただ、糖質セイゲニストと糖質摂取者ではグレリンの作用も異なると思います。
2022/09/17(Sat) 15:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
『日本医療界』は、何故時代進化しないのか、私は、疑問満載です!!
都内河北 鈴木です。

『日本医療界』は、
何故進化しないのか、日々の江部先生ブログ、著書を読んでいて、
私は、<<『生還、覚醒、5度の再覚醒、』>>しているから考えますが、
68歳の人生で、不思議だなと日々考えます!!!

そんな、医療界の進化の為に、
江部先生の御苦労を、お察しします!!

私は、『日本医療か』に『殺されかけた患者として、
今後共食生活は、
『日本医療界』の食生活理論否定はとして、
江部先生『糖質制限理論』を理解把握して食生活を継続して、
<<『更なる改善、覚醒を目指してゆきます!!』>>

江部先生には、<<『生還、覚醒、5度の再覚醒、』>>でき、
更なる改善を期待できる状況で、10年目に生活できる事に、
感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2022/09/17(Sat) 20:04 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
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