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ケトン体と短鎖脂肪酸。オリゴ糖。
【22/07/03 yama
短鎖脂肪酸について
先生こんにちは。先生のブログと著作をいつも興味深く拝見しております。
先生にこの度質問したいことがあり、ご連絡いたしました。
もしお時間があればご教示いただければ幸いです。

https://narukinhonda.com/naruhealth/antiaging/ketone-bodies-short-chain-fatty-acids.html

上記のサイトにて、短鎖脂肪酸が腸内で作られるケトン体なので、
糖質制限して肝臓からケトン体を作るより、
食物繊維を多く摂取して腸内で短鎖脂肪酸を作る方が効率がいいのでは
と述べられていますが、実際に短鎖脂肪酸はケトン体といい得るのでしょうか。

また私は現在、短鎖脂肪酸を作り出すためにオリゴ糖を摂取するようにしています。
オリゴ糖は難消化性の糖質なので糖質制限では摂取してもよいと考えているのですが、
こちらも先生のご見解をお伺いできれば幸いです。
末筆となりますが、先生のますますのご活躍を心より祈念いたしております。】



こんにちは。
yamaさんから、短鎖脂肪酸とケトン体について、コメント・質問を頂きました。

<ケトン体>
生体内におけるケトン体は、β-ヒドロキシ酪酸、アセト酢酸、アセトンの3つです。
このうち、β-ヒドロキシ酪酸は、化学構造上はケトンではないのですが、
医学・生化学の世界では、慣習的にケトン体の一員とされています。
従って<短鎖脂肪酸=ケトン体>ということではありません。

また、スーパー糖質制限食実践者は、ステーキを食べている最中でもケトン体を産生しています。
すなわち一日中<脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム>が、主たるエネルギー源として稼働しています。
そして、普通に糖質を摂取している人でも、空腹時や睡眠時は
<脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム>
主たるエネルギー源として稼働しているのです。

<短鎖脂肪酸>
ヤクルトさんのサイトがわかりやすいので以下、引用させて頂きます。謝謝!
https://institute.yakult.co.jp/dictionary/word_3163.php ヤクルト中央研究所
脂肪酸とは、油脂を構成する成分のひとつで、数個から数十個の炭素が鎖のように繋がった構造をしています。
そのうち炭素の数が6個以下のものが短鎖脂肪酸と呼ばれ、
酢酸、プロピオン酸、酪酸などが含まれます。
短鎖脂肪酸は、ヒトの大腸において、
消化されにくい食物繊維やオリゴ糖を腸内細菌が発酵することにより生成されます。
生成された短鎖脂肪酸の大部分は大腸粘膜組織から吸収され、
上皮細胞の増殖や粘液の分泌、水やミネラルの吸収のための
エネルギー源として利用されます。
また、一部は血流に乗って全身に運ばれ、
肝臓や筋肉、腎臓などの組織で
エネルギー源や脂肪を合成する材料として利用されます。
その他にも短鎖脂肪酸には、
腸内を弱酸性の環境にすることで有害な菌の増殖を抑制する、
大腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促進する、
ヒトの免疫反応を制御する、などさまざまな機能があることが知られています。

<オリゴ糖>
オリゴ糖は、少糖類と呼ばれることもあります。
オリゴとは少ないという意味です。
明確な定義はないのですが、一般には、
単糖類が3~20分子縮合して1分子になったものをオリゴ糖と言います。
中でも、
フラクトオリゴ糖

乳果オリゴ糖(ラクトスクロース)

は、
血糖値とインスリン値にほとんど影響を与えません。
ラフィノース、キシロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖は
一定難消化性ですが、少し血糖値を上げる可能性があります。
イソマルトオリゴ糖は、あるていど血糖値をあげると思います。

つまり、フラクトオリゴ糖と乳果オリゴ糖以外のオリゴ糖は
血糖値を上げる
ので、注意が必要です。


江部康二
コメント
江部先生この度は見解をお聞かせくださり、ありがとうございます。大変参考になりました。

私事ですが、糖質制限で劇的に体調が良くなったのですが、便について、黒くコロコロとした、ニオイも強い便が続いたので、食物繊維が足りていなかったものと思っています。フラクトオリゴ糖と乳果オリゴ糖であれば血糖値に影響がないとのことで、これらを用いて、また野菜もしっかりと摂取しながら今後とも糖質制限を継続したいと思います。

私はかつて介護士として働いていたのですが、糖質制限を行ってしばらくすると腰の痛みがウソのようになくなることに大変驚きました。腰の痛みの一番の原因は業務によるものではなく、糖質過剰な食事に起因するのだと実感しました。また糖質制限をしていたおかげで頭が冴え、ケアマネや社会福祉士、精神保健福祉士の資格も一発合格できました。糖質制限で脳も含む全身の炎症が収まったため、全体的なパフォーマンスアップができたのだろうなと今では思います。
糖尿病や物忘れに悩む人だけでなく、受験生にも糖質制限が広まれば良いのにと強く思います。確実に数ランク上の学校に入学できると思います。若い学生はお菓子などの甘いものが好きな人が多く、何もしなくても太りづらく、健康に気を使う必要性があまりないので広まりづらいかもしれませんが…。受験生が糖質制限を実施することで、記憶力、やる気、集中力といった受験を乗り越える力を数段強化できるのは間違いないと確信しています。これは健康を実感し辛い若い受験生でもすぐに実感できると思います(三島塾の取り組みにも強く関心を抱いております)。

また質問させていただくこともあるかもしれませんが、その際はどうぞよろしくお願いいたします。
2022/07/04(Mon) 19:25 | URL | yama | 【編集
Re: タイトルなし
yama さん

糖質制限食実践で、心身共に、体調が良くなって良かったです。

仰る通り、食物繊維やフラクトオリゴ糖と乳果オリゴ糖を摂取して、善玉腸内細菌を活性化すれば、
便通も良好となると思います。

糖質制限食で腰痛がよくなったとは素晴らしいです。
ほとんどの生活習慣病が糖質制限食で改善しますが、腰痛まで改善とはビックリです。
「過剰糖質の弊害、恐るべし」ですね。

2022/07/05(Tue) 08:40 | URL | ドクター江部 | 【編集
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