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世界の糖尿病人口は5.4億人に増加 。予防には糖質制限食が正解。
こんにちは。
糖尿病ネットワークに、以下の記事が掲載されました。

糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/calendar/2021/036325.php
2021年12月09日

世界の糖尿病人口は5.4億人に増加 
10人に1人が糖尿病 
糖尿病のパンデミックが脅威に


 【世界で糖尿病とともに生きる人の数は、
2021年の統計で5億3,700万人に増加したことが、
国際糖尿病連合(IDF)が発表した「IDF糖尿病アトラス」第10版で示された。
 2019年の推計から16%(7,400万)増加しており、
いまや世界の成人の10人に1人が糖尿病だ。
 世界の糖尿病人口は、有効な対策をしないでいると、2030年までに6億4,300万人、2045年までに7億8,300万人に増加すると予測されている。
糖尿病のパンデミック(世界的拡大)が人類を脅かしている。・・・以下略】


2000年から2021年、この20年間で、約3.6倍となっています。
2019年から2021年では、16%(7400万人)の増加です。
国際糖尿病連合(IDF)の見解通り、有効な対策をしないと、
糖尿病患者の激増は、免れないと思います。

そして、有効な対策としては、「糖質制限食」が最適です。
1回の食事の糖質量を20g以下にする<スーパー糖質制限食>が、
一番良いのですが、1回の食事の糖質量を40gにする<緩やかな糖質制限食>
でもそれなりの効果はあります。


<糖質制限食と耐糖能に関する研究論文>
1)
新潟労災病院消化器内科部長前川智先生(当時)の論文
「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」
Diabetes, Metabolic syndrome, Obesity, Target and Therapy
(ニュージーランドの英文雑誌)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063858/ → ここで全文が閲覧可能です。

Diabetes Metab Syndr Obes. 2014; 7: 195–201.
Retrospective study on the efficacy of a low-carbohydrate diet for impaired glucose tolerance
Satoshi Maekawa,1 Tetsuya Kawahara,2 Ryosuke Nomura,1 Takayuki Murase,1 Yasuyoshi Ann,1 Masayuki Oeholm,1 and Masaru Harada3

12ヶ月間の低炭水化物ダイエット(120g/日の糖質)により、
境界型糖尿病36名中25名(69.4%)が、OGTTで正常化。
11名(30%)は境界型(IGT)のまま。
糖尿病発症は0名(0%)。

対照群(普通食)36名中、3名(8%)が正常化。
28名(78%)は不変でIGTのまま。
5名(14%)が糖尿病発症。



<緩やかな糖質制限食>実践により、
1年後、境界型糖尿病の耐糖能が69%も正常化していて、
対照群に比べて素晴らしい成果です。
対照群は28名(78%)は不変でIGTのままであり、5名(14%)が糖尿病発症で、
正常化したのは、僅か3名(8%)に過ぎません。

1日の糖質摂取量を120gに設定したのが糖質制限食グループです。
1回の食事の糖質量が40gですから、緩やかな糖質制限食ですね。
それでも、見事に改善しています。
普通食のグループは、200~240g/日くらい糖質を摂取しています。

境界型糖尿病(IGT:食後高血糖タイプ)と糖質制限食に関する論文は、
世界的にもほとんど見られず、極めて貴重な論文と思います。

緩やかな糖質制限食で耐糖能が境界型から正常型に改善した人達は
そのまま続ければ、正常型をずっと維持できると思います。


一方、糖質制限食以外の食事療法は、
糖尿病予防にあまり期待は持てないと思います。

国際糖尿病連合(IDF)も、
「血糖値に直接影響を与えるのは糖質のみで、
蛋白質・脂質は直接影響を与えることはない。」

という生理学的事実を、しっかり広報して、
糖尿病予防に取り組むのが、唯一の正解です。

糖質制限食以外の食事療法では、
糖尿病患者の激増は止められないと考えられます。


江部康二


コメント
ありがとうございました。
江部先生、いつも情報をありがとうございます。私の糖質制限も3年になりました。おかげさまでHbA1cは5.8と、安定しています。江部先生の御本に出会って、本当に良かった、と感謝しております。
ところで、毎朝血糖値を測っているのですが、食事内容は変わっていないと思うのですが、このところ、120を超えることが多いのです。冬の寒さが多少早朝の血糖値を上げる、ということはあるでしょうか。春から秋までは100前後だったのですが。
気をつけているつもりなのですが、冬はどうしても大根やカブなどの根菜が増えてしまっているのかもしれないのでそのせいでしょうか。

先日友人の知人が糖尿病とのことで先生の「糖質制限革命」をぜひ読むようにと勧めました。一年ほど前にはやはり先生の御本を勧めた友人が劇的に改善して、薬をやめられた、という連絡を受けました。
私もこれからもしっかり糖質制限スーパーを楽しく美味しく続けたいと思います。

来年は何とかコロナがおさまって良い年になりますよう祈っております。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2021/12/30(Thu) 19:37 | URL | 佐野貴子 | 【編集
糖尿病パンデミック
江部先生
こんばんは

清水先生の新しい本、肥満糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか、にもコロナのパンデミックよりも糖質パンデミックの方がもっと恐ろしいと書いていましたね。

お正月も糖質制限ですごそうと思っています。

では良いお年をおむかえ下さい
2021/12/30(Thu) 21:23 | URL | みんみん | 【編集
Re: ありがとうございました。
佐野貴子 さん

個人差はありますが、寒いと血糖値が高くなる傾向があります。
日本糖尿病学会の指針では、空腹時血糖値が130mg/dl未満が目標で、
それで合併症予防効果が期待できます。
佐野さんは、120台なので、クリアしてますね。

「一年ほど前にはやはり先生の御本を勧めた友人が劇的に改善して、薬をやめられた、という連絡を受けました。」

拙著がお役に立てて幸いです。

佐野さんも、スーパー糖質制限を、美味しい楽しく続けられて、健康長寿を目指してくださいね。
それでは、よいお年を。
来年もよろしくお願いもうしあげます。

2021/12/31(Fri) 12:39 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖尿病パンデミック
みんみん さん

確かに、「糖質パンデミック」こそが、万病の元と言えます。
糖質制限食で、「糖化⇒老化」「酸化ストレス」「慢性炎症」「AGEs蓄積」を最小限に抑えて
健康長寿を目指しましょう。
それでは、よいお年を。
2021/12/31(Fri) 12:44 | URL | ドクター江部 | 【編集
本年もありがとうございました
江部先生
糖尿病体質であり、耐糖能に異常を来たしていることが判明し、勧められたカロリー制限で栄養失調に陥り、江部先生の糖質制限に辿り着きました。栄養士さんからは脅しのように罵られ、ほっといてくれと宣言し、その後は先生のご著書と当ブログでのご教示に助けられ今年で丸十年が経ちました。お米一粒、おうどん一本たりとも食せず、糖質制限食を毎食感謝を込めて戴いております。お陰様で、極めて健常なる糖尿人にて過ごせてまいりました。
江部先生と、当ブログ上でご体験談やアドバイスをくださいました皆様に心より感謝申し上げます。
先生、皆様、佳きお年をお迎えくださいますように。
2021/12/31(Fri) 13:42 | URL | neiri | 【編集
Re: 本年もありがとうございました
neiri さん

糖質制限食実践、丸十年とは、good job です。
極めて健常なる糖尿人にて過ごしておられて、良かったです。
カロリー制限栄養士との、バトル、お疲れ様でした。

このまま、美味しく楽しく末長く糖質制限食実践で、健康長寿を目指してください。

それでは、よいお年を。
2021/12/31(Fri) 17:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
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