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早期がん診断時にはすでに10年以上が経過。糖質制限食で予防は?
こんにちは。
厚生労働省によれば、2019年の日本人の死因の順位は2018年と同様、
第1位「悪性新生物(腫瘍)」、第2位「心疾患(高血圧性を除く)」、第3位「老衰」、第4位「脳血管疾患」、第5位「肺炎」でした。

悪性新生物というのは、がんのことです。
がんが日本人の死亡順位の一位です。
今日は、糖質制限食とがん予防のお話です。
現実にどのていど予防可能かを考察してみます。

がん細胞は人の体の中で毎日、数百から数千個も発生していますが、
通常は免疫細胞が排除してくれているので、がんを発症しません


正常細胞ががん細胞に変わり、体の免疫細胞が排除に失敗すると、
がん細胞は徐々に成長を始めます。
実は、1個のがん細胞が発生してから、画像診断的に発見可能な大きさになるのには、
かなり長い年月がかかります。

細胞分裂により1個が2個になり、2個が4個、
4個が8個、そして16個、32個、64個と倍々で増加していきます。
30回分裂を繰り返すと、約10億個に増え、
重さは約1グラム、直径1cm程度になります。
細胞1個が0.01mmで、1cm経になるのに10~20年かかります。

個体差やがんの種類によっても発育速度は異なります。
がん細胞が生まれてから活発に成長するようになるまでには、
長い期間がかかります。

しかし、がん細胞は成長するにしたがって、
発育速度が速くなるとされています。
2倍の大きさになるのは、例えば早期胃がんでは数年(2-6年)、
進行がんでは数ヶ月、転移した胃がんでは数週間とされています。

従来のがん検診では、腫瘍の大きさが1cm程度にならないと発見できませんでしたが、
PET検査では、早期の5mm程度の大きさでの発見が可能です。
しかしながら、5mmや1cmで早期発見したがんということでも、
がん細胞が発生してから、
すでに約10~20年間が経過していることとなります。

つまり早期発見ということでも、すでに転移しているか否かは、運次第なのです。

「食後高血糖」「血糖変動幅増大」「糖質摂取による過剰インスリン分泌」
が、酸化ストレスとなり、がん発症リスクとなりますが、
これらは「スーパー糖質制限食」で予防できます。

従って「スーパー糖質制限食」実践で理論的には、
『生活習慣病型がん』の発症予防が期待できます。

一方、すでに発症しているがんに対しては、
スーパー糖質制限食でも、縮小させることは困難です。
「ケトン食」レベルの厳しい食事が必要となりますが、
それでも食事療法単独で、がんを根治させるのは難しいと思います。

対策としては、がん細胞が発生する前に、間に合う内にできるだけ早く
「スーパー糖質制限食」を開始して予防を期待するということになるでしょうか。

糖尿人はがんになりやすいことは、よく知られていますが、
国立がん研究センターの研究によると、
糖尿病ではない人においても、HbA1cが高値であるほど、
右肩上がりで、がんのリスクが増える
ことがわかっています。
糖尿人も正常人も、スーパー糖質制限食でがん予防が望ましいです。

江部康二は2002年~スーパー糖質制限食を実践しています。
2021年現在で、あしかけ20年です。
2002年以降は、いわゆる『生活習慣病型のがん』の発生は
かなり予防できている可能性が高いです。
一方で、2001年以前に、すでに原初のがん細胞が発生していたとしたら
予防はできていないこととなります。
まあ足かけ20年、経過しているので、まず大丈夫と思っています。

本日のブログは

PET検査ネット
http://www.pet-net.jp/pet_html/treat/gan.html


を参考にしました。
PET検査ネットさん、ありがとうございます。


江部康二
コメント
イベルメクチン、人間用と家畜用があるのでしょうか?
どのように区別すればいいのでか?

「あなたは馬でもなければ牛でもない」米・FDAがイベルメクチン使用に警鐘。最悪の場合、死に至ることも…

https://news.yahoo.co.jp/articles/59832e0567c0c8097d93b0fa37149da06801527f
2021/08/30(Mon) 15:10 | URL | 久堀 | 【編集
Re: タイトルなし
久堀 さん

FDAもWHOと同じスタンスですね。
新型コロナ感染症に対して、イベルメクチンを使用すべきでないという立場です。
新型コロナワクチンの利権が関与しているのでしょう。

元々、イベルメクチンは寄生虫や疥癬に対する特効薬です。
アフリカでは、寄生虫の薬として、3億人が37年間使用しています。
そして、イベルメクチンを使用しているアフリカの国は、
イベルメクチンを使用していないアフリカの国に対して、
新型コロナの感染者や死者数が1/10程度しかないということで、有効性が確認された側面があります。
2021/08/30(Mon) 17:02 | URL | ドクター江部 | 【編集
先生、効果があるのはわかりますが、
人間用、家畜用とかあるのですか?
2021/08/30(Mon) 20:37 | URL | 久堀 | 【編集
イベルメクチン
江部先生、こんばんは       

イベルメクチンの件、横から失礼します。

記事「イベルメクチンは抗ウイルス薬ではない」「深刻な被害を引き起こす可能性」
FDAが理解を求めたポイントは次の5点だ。

記事内容ですが、一人でつっこんでみました

(1)FDAは人における新型コロナ治療や予防のためにイベルメクチンを使用することを承認していない。

*承認したら効果が有りすぎて、ワクチンが不要になってしまいますから、大変 ですよね

(2)イベルメクチンの錠剤はいくつかの寄生虫に対して使用する容量で承認されているもので、抗ウイルス薬ではない。

*寄生虫用に作った薬が、新型コロナにも効果が有る事が分ると、ワクチン不要 になるのでこれも大変ですよね

(3)イベルメクチンを大量に服用することは危険。深刻な被害を引き起こす可能性がある。

*大量とはどれ位の量でしょうか? どんな薬でも、大量に服用したら危険です が

(4)イベルメクチンの処方箋を持っている場合、合法的な供給ルートから入手し、処方箋通りに服用すること。
 
*当然、薬は普通は正規のルートで入手し、処方箋通り服用しますが


(5)動物用の薬を自分に使ってはいけない。動物用のイベルメクチン は人間用に承認されたものとは大きく異なる。

*薬局へイベルメクチンを買いに行って店員が「動物用イベルメクチン」を出す でしょうか? 動物用と人間用で内容が大きく異なるのでしょうか?私は服用 する量の問題だけだと思っているのですが

*昨年のイベルメクチンの記事ですが、貼り付けさせて頂きます。

https://cvdd.rakuno.ac.jp/archives/3630.html


2021/08/30(Mon) 23:43 | URL | モン吉 | 【編集
Re: タイトルなし
久堀 さん

モン吉さんのコメントにあるように、
人間用も家畜用も成分は一緒で、量に差があるだけと思います。
2021/08/31(Tue) 10:01 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: イベルメクチン
モン吉 さん

コメントをありがとうございます。
私も同様の見解です。
2021/08/31(Tue) 10:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
病院の経管注入栄養中の糖質について
江部先生こんにちは

60g/日 を目途に6年ほど糖質制限をしてきた者です。
現在、中咽頭癌で入院中です。放射線と化学療法併用の病巣に対する治療は8月25日に終了し、ダメージからの回復を待っている段階です。口からの食事摂取はまだ厳しく、鼻からの経管で栄養注入をしています。実は29年前と23年前に胃癌を患って半分ずつ摘出した為、私には胃がありません。そのせいもあってか、栄養注入をすると下痢をおこしてしまっています。今回の入院前から、糖質が多く摂りすぎるとお腹が緩くなる事はしばしば有り、糖質の身体への負荷は実感していたところです。糖質は身体の修復にはあまり必要ないであろうと思い、糖質の少ない経管栄養をお願いしてみました。けれど、カロリーが大切なので、全てに糖質は入っており糖質の少ないものは無いとの返答。成分を固めるものを注入してから、少量の栄養を入れるという方法を取っています。病院食こそ糖質が少ない物にして欲しいと思うのですが…。栄養学会の考え方は旧態のままだという事でしょうか。
コメントいただけると大変嬉しく思います。
                    まこと 62歳
2021/08/31(Tue) 13:59 | URL | まこと | 【編集
Re: 病院の経管注入栄養中の糖質について
まこと さん


アボットジャパンの
グルセルナ®-REX。
100ml中に
糖質:8.8g


とかなりの低糖質です。
2021/08/31(Tue) 16:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
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