2021年07月10日 (土)
こんにちは。
今回は、果物やその主成分である果糖について考察してみます。
果物に含まれている糖質は、果糖、ショ糖、ブドウ糖などです。
この中のショ糖は、果糖とブドウ糖から構成されています。
市販されている砂糖の主成分がショ糖です。
果物の糖質は、全て果糖だと私も思っていましたが、実態は違うのですね。
例えばリンゴ1個(約240g)ですと、
・カロリー:約150kcal
・ビタミンC:8mg
・遊離糖含有量:35.6g
(果糖:18g、ブドウ糖:6g、ショ糖:9.6g、ソルビトール:2g)
・水溶性食物繊維含量:0.95g
・不溶性食物繊維含量:2.95g
くらいです。
この果糖ですが、実に面白い性質をもっていますので検討してみましょう。
まず、果糖はブドウ糖とは代謝経路が全く異なっています。
そして、果糖のGI(血糖上昇指数)は20程度と低いです。
ブドウ糖のGIは、100です。
果糖の代謝経路は特殊で、10%がブドウ糖に変換され吸収されますが、
残りの90%は果糖のまま吸収され、肝臓でそのまま直接代謝されます。
ですから、果糖は血糖値をほとんど上昇させず、
インスリンの分泌もほとんど促しません。
つまり、果糖のGI値が低いのは、
果糖が「ブドウ糖として」利用されるのはごく一部であるからであり、
果糖の吸収速度が遅いからGI値が低いというわけではありません。
消化吸収されて肝門脈に流れ込んだ果糖は、
肝臓でブドウ糖より速く解糖作用をうけます。
ブドウ糖が解糖系に入って代謝されていく時には、
ホスホフルクトキナーゼという酵素が必要なのですが、
果糖はこの段階をバイパスして、速やかに解糖系に入って代謝されるからです。
肝臓に取り込まれたブドウ糖と果糖は、
解糖系-TCAサイクルを経てATP産生に消費され、
余分なものはグリコーゲンと中性脂肪に変換されます。
肝臓のグリコーゲン蓄積には限りがあるので、
ブドウ糖より速やかに代謝された果糖の代謝産物によって脂肪酸合成が促進され、
中性脂肪の合成が亢進し、高中性脂肪血症となります。
血糖値の上昇をみるGI値では「ブドウ糖>砂糖>果糖」ですが、
中性脂肪値の上昇速度は、「果糖>砂糖>ブドウ糖」となります。
このように、果糖は、ブドウ糖のように血糖値を上昇させませんが、
中性脂肪合成を促進させ、太りやすい性質をもっています。
果物の糖質の主成分は果糖ですので、
血糖値はパンや米など穀物より上昇させにくいですが、
中性脂肪に変わるという意味では、かえって太りやすいと思います。
農耕以前の人類は、来るべき冬の食糧難に備えて、実りの秋に果物を摂取して、
効率よく中性脂肪を蓄えていたというのが私の仮説です。
また、果糖はAGEsに変わる速度が、
ブドウ糖の数十倍であることもしっかり認識しておかなくてはなりません。
AGEsは糖尿病合併症の元凶であり、
動脈硬化・老化・アルツハイマー病にも関与するとされています。
一般に果物には、ヘルシーなイメージがありますが、
上述のように、肥満しやすい、
AGEsを蓄積させやすく動脈硬化・老化・アルツハイマー病などの元凶となるといった
負の側面も多いので、摂取は少量にとどめるのが安全と言えます。
そして甘味料は、果糖や砂糖ではなくて、
ラカントS(サラヤ)、パルスイートゼロ(味の素)、
シュガーカットゼロ(浅田飴)など、
エリスリトールが主成分のものがお奨めです。
※
参考文献:「ハーパー・生化学」原書27版、
上代淑人監訳、丸善株式会社、2007年など。
江部康二
今回は、果物やその主成分である果糖について考察してみます。
果物に含まれている糖質は、果糖、ショ糖、ブドウ糖などです。
この中のショ糖は、果糖とブドウ糖から構成されています。
市販されている砂糖の主成分がショ糖です。
果物の糖質は、全て果糖だと私も思っていましたが、実態は違うのですね。
例えばリンゴ1個(約240g)ですと、
・カロリー:約150kcal
・ビタミンC:8mg
・遊離糖含有量:35.6g
(果糖:18g、ブドウ糖:6g、ショ糖:9.6g、ソルビトール:2g)
・水溶性食物繊維含量:0.95g
・不溶性食物繊維含量:2.95g
くらいです。
この果糖ですが、実に面白い性質をもっていますので検討してみましょう。
まず、果糖はブドウ糖とは代謝経路が全く異なっています。
そして、果糖のGI(血糖上昇指数)は20程度と低いです。
ブドウ糖のGIは、100です。
果糖の代謝経路は特殊で、10%がブドウ糖に変換され吸収されますが、
残りの90%は果糖のまま吸収され、肝臓でそのまま直接代謝されます。
ですから、果糖は血糖値をほとんど上昇させず、
インスリンの分泌もほとんど促しません。
つまり、果糖のGI値が低いのは、
果糖が「ブドウ糖として」利用されるのはごく一部であるからであり、
果糖の吸収速度が遅いからGI値が低いというわけではありません。
消化吸収されて肝門脈に流れ込んだ果糖は、
肝臓でブドウ糖より速く解糖作用をうけます。
ブドウ糖が解糖系に入って代謝されていく時には、
ホスホフルクトキナーゼという酵素が必要なのですが、
果糖はこの段階をバイパスして、速やかに解糖系に入って代謝されるからです。
肝臓に取り込まれたブドウ糖と果糖は、
解糖系-TCAサイクルを経てATP産生に消費され、
余分なものはグリコーゲンと中性脂肪に変換されます。
肝臓のグリコーゲン蓄積には限りがあるので、
ブドウ糖より速やかに代謝された果糖の代謝産物によって脂肪酸合成が促進され、
中性脂肪の合成が亢進し、高中性脂肪血症となります。
血糖値の上昇をみるGI値では「ブドウ糖>砂糖>果糖」ですが、
中性脂肪値の上昇速度は、「果糖>砂糖>ブドウ糖」となります。
このように、果糖は、ブドウ糖のように血糖値を上昇させませんが、
中性脂肪合成を促進させ、太りやすい性質をもっています。
果物の糖質の主成分は果糖ですので、
血糖値はパンや米など穀物より上昇させにくいですが、
中性脂肪に変わるという意味では、かえって太りやすいと思います。
農耕以前の人類は、来るべき冬の食糧難に備えて、実りの秋に果物を摂取して、
効率よく中性脂肪を蓄えていたというのが私の仮説です。
また、果糖はAGEsに変わる速度が、
ブドウ糖の数十倍であることもしっかり認識しておかなくてはなりません。
AGEsは糖尿病合併症の元凶であり、
動脈硬化・老化・アルツハイマー病にも関与するとされています。
一般に果物には、ヘルシーなイメージがありますが、
上述のように、肥満しやすい、
AGEsを蓄積させやすく動脈硬化・老化・アルツハイマー病などの元凶となるといった
負の側面も多いので、摂取は少量にとどめるのが安全と言えます。
そして甘味料は、果糖や砂糖ではなくて、
ラカントS(サラヤ)、パルスイートゼロ(味の素)、
シュガーカットゼロ(浅田飴)など、
エリスリトールが主成分のものがお奨めです。
※
参考文献:「ハーパー・生化学」原書27版、
上代淑人監訳、丸善株式会社、2007年など。
江部康二
都内河北 鈴木です。
本日も『果糖の解明・害毒』を再度説明で知ってしまったら、
顧問・夏井先生も再三発言あります
『2011年以降は、果物は、食べていない。』と発言しています!!
私は、サンフジと言うリンゴを、【江部先生『糖質制限理論』】食生活後に、
数か月間、月数個は食べていましたが、
害毒解明されたのならと、数か月以降9年目現在迄は、食べていません!!
甘味の欲求は皆無で、エリスリト~ルが主成分で有ってもです!!
甘味は、害毒だと解明されているからです!!
だから私の時代進化・皆無の
日本の糖尿病・専門組織『日本糖尿病学会』に、
『悪化一途で、殺されかけた糖尿病の病態患者』が、
現実に、
<<『生還、覚醒、5度の再覚醒、』>>している
9年目があるのだなと、考えます!!
<<本日の『果糖』記事も健康・改善目指すなら、
理解把握しとくべきだなと考えます!!>>
江部先生の日々の記事には、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
本日も『果糖の解明・害毒』を再度説明で知ってしまったら、
顧問・夏井先生も再三発言あります
『2011年以降は、果物は、食べていない。』と発言しています!!
私は、サンフジと言うリンゴを、【江部先生『糖質制限理論』】食生活後に、
数か月間、月数個は食べていましたが、
害毒解明されたのならと、数か月以降9年目現在迄は、食べていません!!
甘味の欲求は皆無で、エリスリト~ルが主成分で有ってもです!!
甘味は、害毒だと解明されているからです!!
だから私の時代進化・皆無の
日本の糖尿病・専門組織『日本糖尿病学会』に、
『悪化一途で、殺されかけた糖尿病の病態患者』が、
現実に、
<<『生還、覚醒、5度の再覚醒、』>>している
9年目があるのだなと、考えます!!
<<本日の『果糖』記事も健康・改善目指すなら、
理解把握しとくべきだなと考えます!!>>
江部先生の日々の記事には、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2021/07/10(Sat) 23:28 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集】
糖質制限を始めてから、初めての血液検査の結果をいただいてきました(産婦人科関係です)。
痩せの為必要ないと、血糖値関係の検査はして貰えていませんでした(まさかしてないとは思っていなく、次回はしてもらえるようお願いしてきました)
糖質制限前 初めて3ヶ月後
HDL 100 105
LDL 100 125
中性脂肪 149 149
と、中性脂肪が全く変わっていませんでした。
BMI17.2で体力もなく、フラフラしやすいので糖質制限しながらも結構脂肪分をとっていたからかと不安です。
中性脂肪が150ぐらいだと、小粒子LDLは存在しますよね?
まだこれから更年期という年齢で、これから色々数値も悪くなると思われます。脂肪やカロリーを減らすべきでしょうか。
糖質制限をしてから、全く体重は減っておりません。食べ過ぎかな…
別件で甲状腺機能低下を示唆された(THS 7.5)ので、そちらの治療をしたら少しは中性脂肪も減らないかと期待しております。
痩せの為必要ないと、血糖値関係の検査はして貰えていませんでした(まさかしてないとは思っていなく、次回はしてもらえるようお願いしてきました)
糖質制限前 初めて3ヶ月後
HDL 100 105
LDL 100 125
中性脂肪 149 149
と、中性脂肪が全く変わっていませんでした。
BMI17.2で体力もなく、フラフラしやすいので糖質制限しながらも結構脂肪分をとっていたからかと不安です。
中性脂肪が150ぐらいだと、小粒子LDLは存在しますよね?
まだこれから更年期という年齢で、これから色々数値も悪くなると思われます。脂肪やカロリーを減らすべきでしょうか。
糖質制限をしてから、全く体重は減っておりません。食べ過ぎかな…
別件で甲状腺機能低下を示唆された(THS 7.5)ので、そちらの治療をしたら少しは中性脂肪も減らないかと期待しております。
2021/07/12(Mon) 13:18 | URL | 読書好き | 【編集】
読書好き さん
①
BMI17.2で体力もなく、フラフラしやすい
これは、摂取エネルギー不足です。
今より、200~300kcal/日は、多く摂取しましょう。
摂取量を増やすのは、動物性蛋白質や動物性脂質です。
中性脂肪値は、早朝空腹時に測定しましょう。
それでTG:80mg/dl以下を目指しましょう。
①
BMI17.2で体力もなく、フラフラしやすい
これは、摂取エネルギー不足です。
今より、200~300kcal/日は、多く摂取しましょう。
摂取量を増やすのは、動物性蛋白質や動物性脂質です。
中性脂肪値は、早朝空腹時に測定しましょう。
それでTG:80mg/dl以下を目指しましょう。
2021/07/12(Mon) 18:05 | URL | ドクター江部 | 【編集】
ありがとうございます。
運動も出来るだけして、中性脂肪の低下を目指します。
産婦人科の診察が午後になるので、早朝の中性脂肪値は一年後の人間ドックまで測る機会がないかもしれません。
食後4時間ぐらいの中性脂肪値と、早朝の中性脂肪値は全然違いますか?
食事内容によるかもしれませんが、脂質は多めになるかと思います。
運動も出来るだけして、中性脂肪の低下を目指します。
産婦人科の診察が午後になるので、早朝の中性脂肪値は一年後の人間ドックまで測る機会がないかもしれません。
食後4時間ぐらいの中性脂肪値と、早朝の中性脂肪値は全然違いますか?
食事内容によるかもしれませんが、脂質は多めになるかと思います。
2021/07/14(Wed) 12:54 | URL | 読書好き | 【編集】
読書好き さん
①
食後4時間ぐらいの中性脂肪値と、早朝の中性脂肪値は・・・違います。
②
朝食を抜いて、昼からの空腹時採血でも大丈夫です。
①
食後4時間ぐらいの中性脂肪値と、早朝の中性脂肪値は・・・違います。
②
朝食を抜いて、昼からの空腹時採血でも大丈夫です。
2021/07/14(Wed) 15:56 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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