2021年07月08日 (木)
こんにちは。
今回はワインに含まれている糖質量について、考察してみます。
まず、ワインに比較的多く含まれている、
グリセリンと有機酸について考えてみます。
一般にグリセリンは、アルコールとして分類されてます。
では、アルコールは炭水化物として分類されているのでしょうか?
五訂日本食品標準成分表では、アルコールは欄外に炭水化物からの
除外物質として、カフェインなどと共に表記されています。(*)
即ちグリセリン(アルコール)は、炭水化物からの除外物質として、
五訂日本食品標準成分表では炭水化物にはカウントされず、
アルコールとして分類されている可能性があります。
次に有機酸について考えてみます。
ワインに含まれる有機酸には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、酢酸、
などがあります。
五訂日本食品標準成分表では、窒素を測定してタンパク質成分と計算するので、
アミノ酸はタンパク質として計算されていることになります。
一方、有機酸には窒素は含まれていないので、タンパク質成分には属しません。
また有機酸は、ワインに含まれていて水に溶けるので、脂質にも分類されません。
そうすると、有機酸は「水分、たんぱく質、脂質及び灰分」には分類されないので、
残り物として炭水化物に分類されることになります。
五訂日本食品標準成分表では、赤ワインの成分は100g中に
・水分:88.7g
・タンパク質:0.2g→全てアミノ酸
・脂質:0.0g
・炭水化物:1.5g
・灰分:0.3g
「水分+タンパク質+脂質+炭水化物+灰分」合計90.7g
この合計に含まれていないものが、アルコールで、100g中に合計9.3g。
合わせて100gになります。
赤ワインの成分の中で炭水化物(1.5g)に分類されているものは、
有機酸、ブドウ糖、果糖、ポリフェノール、糖アルコールなどです。
有機酸は血糖値を上昇させません。
ポリフェノールも血糖値を上昇させません。
エリスリトール以外の糖アルコールはショ糖の半分くらい血糖値を上昇させます。
果糖はショ糖の1/5くらい血糖値を上昇させます。
一般に残糖のうち果糖が過半数を占めていて、ブドウ糖は極少量です。
グリセリンがアルコールに分類されているのか否か、確認できていないのですが、
赤ワインの場合、タンニン、アントシアニンなどの
ポリフェノールが約0.2g/100g含まれています。
また有機酸が、約0.6g/100g含まれています。
そうすると、グリセリンはアルコールとして計算されていて、
炭水化物には含まれていないとしても、
赤ワイン100ml中の炭水化物に分類されている物質の中で、
「有機酸0.6g+ポリフェノール0.2g=0.8g」
は血糖値を上昇させません。
残った0.7gの血糖値を上昇させる炭水化物の内、果糖と糖アルコールがほとんどで、
ブドウ糖は少量です。
果糖がブドウ糖の1/5、
エリスリトール以外の糖アルコールが1/2血糖値を上げるとしても
かなり低い数値になりますので、
やはり赤ワインは糖質制限食OK食材といえますね。
白ワインはポリフェノールが少なく0.05gくらいです。
有機酸0.6gと合わせて、0.65gが血糖値を上げない炭水化物です。
残りの1.35gが血糖値を上げる糖質で、赤ワインの約2倍です。
しかし辛口なら、残糖(果糖とブドウ糖)は0.4g/100gなので、糖質制限食OK食材ですね。
江部康二
今回はワインに含まれている糖質量について、考察してみます。
まず、ワインに比較的多く含まれている、
グリセリンと有機酸について考えてみます。
一般にグリセリンは、アルコールとして分類されてます。
では、アルコールは炭水化物として分類されているのでしょうか?
五訂日本食品標準成分表では、アルコールは欄外に炭水化物からの
除外物質として、カフェインなどと共に表記されています。(*)
即ちグリセリン(アルコール)は、炭水化物からの除外物質として、
五訂日本食品標準成分表では炭水化物にはカウントされず、
アルコールとして分類されている可能性があります。
次に有機酸について考えてみます。
ワインに含まれる有機酸には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、酢酸、
などがあります。
五訂日本食品標準成分表では、窒素を測定してタンパク質成分と計算するので、
アミノ酸はタンパク質として計算されていることになります。
一方、有機酸には窒素は含まれていないので、タンパク質成分には属しません。
また有機酸は、ワインに含まれていて水に溶けるので、脂質にも分類されません。
そうすると、有機酸は「水分、たんぱく質、脂質及び灰分」には分類されないので、
残り物として炭水化物に分類されることになります。
五訂日本食品標準成分表では、赤ワインの成分は100g中に
・水分:88.7g
・タンパク質:0.2g→全てアミノ酸
・脂質:0.0g
・炭水化物:1.5g
・灰分:0.3g
「水分+タンパク質+脂質+炭水化物+灰分」合計90.7g
この合計に含まれていないものが、アルコールで、100g中に合計9.3g。
合わせて100gになります。
赤ワインの成分の中で炭水化物(1.5g)に分類されているものは、
有機酸、ブドウ糖、果糖、ポリフェノール、糖アルコールなどです。
有機酸は血糖値を上昇させません。
ポリフェノールも血糖値を上昇させません。
エリスリトール以外の糖アルコールはショ糖の半分くらい血糖値を上昇させます。
果糖はショ糖の1/5くらい血糖値を上昇させます。
一般に残糖のうち果糖が過半数を占めていて、ブドウ糖は極少量です。
グリセリンがアルコールに分類されているのか否か、確認できていないのですが、
赤ワインの場合、タンニン、アントシアニンなどの
ポリフェノールが約0.2g/100g含まれています。
また有機酸が、約0.6g/100g含まれています。
そうすると、グリセリンはアルコールとして計算されていて、
炭水化物には含まれていないとしても、
赤ワイン100ml中の炭水化物に分類されている物質の中で、
「有機酸0.6g+ポリフェノール0.2g=0.8g」
は血糖値を上昇させません。
残った0.7gの血糖値を上昇させる炭水化物の内、果糖と糖アルコールがほとんどで、
ブドウ糖は少量です。
果糖がブドウ糖の1/5、
エリスリトール以外の糖アルコールが1/2血糖値を上げるとしても
かなり低い数値になりますので、
やはり赤ワインは糖質制限食OK食材といえますね。
白ワインはポリフェノールが少なく0.05gくらいです。
有機酸0.6gと合わせて、0.65gが血糖値を上げない炭水化物です。
残りの1.35gが血糖値を上げる糖質で、赤ワインの約2倍です。
しかし辛口なら、残糖(果糖とブドウ糖)は0.4g/100gなので、糖質制限食OK食材ですね。
江部康二
本日20:00NHK-BS「ヒューマニエンス」の「肝臓」で「ケトン体」が取り上げられました。1時間番組で50分過ぎてからです。
・糖質制限 が ロカボ に変質していたり
いい加減な点も多いのですが
◎ケトン体が栄養として肝臓から供給され、血中糖が減ると、4期癌が消滅
を放送してました。
再放送もあります。江部先生、ご多忙のところと存じますが、ご確認お願いします。
・糖質制限 が ロカボ に変質していたり
いい加減な点も多いのですが
◎ケトン体が栄養として肝臓から供給され、血中糖が減ると、4期癌が消滅
を放送してました。
再放送もあります。江部先生、ご多忙のところと存じますが、ご確認お願いします。
2021/07/08(Thu) 21:59 | URL | らこ | 【編集】
いつも情報をありがとうございます。
糖尿病ネットワークのサイトでは[糖尿病人は温泉に入ると基礎代謝が増え、血糖値が下がる人が多くみられる]と言う記事を見つけました。
①私はシャワーをしただけで血糖値は上がります。特異な体質でしょうか。
②シャワーは食事後ではないため、ヘモグロビンに結合するブドウ糖の量はないと考えるならば、HbA1cに影響はないものでしょうか。
③血糖値が上がることにより血管が傷ついてしまう恐れはあると思うのですがいかがでしようか。
午前11時頃にシャワーしてしまうと血糖値が上がったまま維持し、糖質制限の昼食であっても相対で上がり180近くになります。
糖尿病ネットワークのサイトでは[糖尿病人は温泉に入ると基礎代謝が増え、血糖値が下がる人が多くみられる]と言う記事を見つけました。
①私はシャワーをしただけで血糖値は上がります。特異な体質でしょうか。
②シャワーは食事後ではないため、ヘモグロビンに結合するブドウ糖の量はないと考えるならば、HbA1cに影響はないものでしょうか。
③血糖値が上がることにより血管が傷ついてしまう恐れはあると思うのですがいかがでしようか。
午前11時頃にシャワーしてしまうと血糖値が上がったまま維持し、糖質制限の昼食であっても相対で上がり180近くになります。
2021/07/09(Fri) 08:02 | URL | ライト | 【編集】
ライト さん
「日本温泉気候物理医学会の研究データによると、42℃のお湯に10分間入ると体温が2℃くらい上昇し、入浴直後から脈拍数は上昇してきます。すると基礎代謝は増加し、エネルギー消費量も増加します。一般的に、10分間で30〜40kcalのエネルギーを消費すると言われます。」
基礎代謝は増加し、エネルギー消費量も増加するので、結果として血糖値が下がります。
「高温浴の場合、交感神経緊張により血糖が上がることが多く見られます。」
①ライトさんも、熱いシャワーなら、交感神経緊張で、血糖値が上昇する可能性があります。
②HbA1cは、過去1~2ヶ月の平均血糖値を示すので、シャワーの影響はそんなにないと思います。
なお、食後も空腹時もHbA1cは常に産生されています。
食後のほうが多く、空腹時は少ないです。
③短時間なので、動脈硬化への影響は少ないと思います
「日本温泉気候物理医学会の研究データによると、42℃のお湯に10分間入ると体温が2℃くらい上昇し、入浴直後から脈拍数は上昇してきます。すると基礎代謝は増加し、エネルギー消費量も増加します。一般的に、10分間で30〜40kcalのエネルギーを消費すると言われます。」
基礎代謝は増加し、エネルギー消費量も増加するので、結果として血糖値が下がります。
「高温浴の場合、交感神経緊張により血糖が上がることが多く見られます。」
①ライトさんも、熱いシャワーなら、交感神経緊張で、血糖値が上昇する可能性があります。
②HbA1cは、過去1~2ヶ月の平均血糖値を示すので、シャワーの影響はそんなにないと思います。
なお、食後も空腹時もHbA1cは常に産生されています。
食後のほうが多く、空腹時は少ないです。
③短時間なので、動脈硬化への影響は少ないと思います
2021/07/10(Sat) 07:24 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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