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インフルエンザワクチンに比し、麻疹ワクチンが有効な理由。
こんばんは。
新型コロナ流行によるウィルス間干渉などの影響により、
2020年度のインフルエンザ罹患数は例年に比し、極端に少ないです。

インフルエンザ定点あたり報告数(厚生労働省)
2020年11月2日~11月8日 総数 24名 


ちなみに2019年同期では5084名ですので、200分の1以下という少なさです。

今回は、麻疹とインフルエンザの潜伏期や発症パターンの違いと、
ワクチンの有効性の違いを検討してみます。
麻疹とインフルエンザで、何が違うのでしょう?

麻疹ワクチンもインフルエンザワクチンも、IgG抗体は作るけれど、
粘膜面のIgA抗体は作れませんので、粘膜表面での感染防御は困難なのは同一なのに、
何故効果にこれほどの差があるのでしょう?
以下検討してみます。

<インフルエンザとインフルエンザワクチン>

インフルエンザの潜伏期間は約1~3日で、
突然、38℃以上の高熱や全身倦怠感、頭痛などの
インフルエンザに特徴的な全身症状が出現します。

インフルエンザワクチンを注射することにより、
IgG抗体が血液・体液中に産生されますが、
粘膜面を防御しているIgA抗体は全くできません。
従って、インフルエンザウィルスが、
咽や鼻の粘膜を突破して細胞内に侵入した後(感染が成立した後)、
はじめてIgG抗体がかけつけて戦うことになります。

従って現行のインフルエンザワクチンは、
感染防御に関しては、効果は期待できませんし、流行予防も困難なのです。
結論としてインフルエンザワクチンの効能は
『感染防御効果はないが重症化を防ぐことが期待される』
程度です。


<麻疹と麻疹ワクチン>

インフルエンザワクチンと違って、麻疹ワクチンの効能は素晴らしいです。
具体的には、明確に感染防御にも流行予防にも有効です。

麻疹ウィルス、ほんのちょっとしたすれ違いくらいで、すごい感染力があります。
空気、飛沫(ひまつ)、接触で感染ですが、インフルエンザや新型コロナウィルスとは、
比較にならないくらい強力な感染力です。
幸い麻疹も2020年は罹患数は少ないですが、感染したら症状もきついし、
肺炎や脳炎もあるので、ワクチンが有効なのは嬉しい限りです。

麻疹ウイルスへの曝露から、発症まで7~14日間程度の潜伏期があります。
その後カタル期(口腔粘膜症状と37~38度前後の風邪症状)が3~4日間続き、
いったん解熱したあと半日で39~40度の発熱と全身の発疹がでます。
麻疹ウィルスが口腔粘膜から血中に入って全身にばらまかれるので、
カタル期のあと「39~40度の発熱と全身の発疹」が出現すると考えられます。

麻疹ワクチンを接種している場合、麻疹ウィルスが口腔粘膜内に侵入したら、
粘膜内の体液中のIgG抗体が、麻疹ウィルスと戦いを開始します。
従って、カタル期には、すでに麻疹ウィルスを駆逐すべく、
IgG抗体が活躍しているので、血中に入るのを予防できる可能性が高いのです。
インフルエンザウィルスと違って発病までが長いし、
血中に入るまでに一定の期間があるので、粘膜細胞内のIgG抗体が間に合うのです。
この時点で、ほぼ防衛成功と考えられます。

麻疹ウィルスが血中に入るのを防ぐことができれば、「39~40度の発熱と全身の発疹」が防げるので、
感染源となることが激減して、流行もしないと考えられます。

血中抗体は麻疹ワクチン接種後約2週間から出現しますが、
麻疹の患者と接触して緊急に発症を予防したい場合、
接触後72時間以内に予防接種を受けることで発症を防御できる可能性があります。
ただし、100%ではないので、事前に予防接種を受けておくことが重要です。


<結論>

1)麻疹ウィルスは血中に侵入して全身に播種されるが、
  麻疹ワクチン接種によるIgG抗体がそれを防ぐので高熱や発疹が予防できる。
  感染防御にも流行予防にも有効である。

2)インフルエンザワクチン接種によるIgG抗体では、
  感染防御も流行予防も困難である。
  インフルエンザウィルスは血中に侵入できないので、
  麻疹ワクチンほどのIgG抗体による顕著な効果は期待できない。
  重症化を防ぐ可能性がある。


江部康二
コメント
酒量について
はじめまして。少し相談にのっていただきたく書き込ませていただきます。先生のご著書も数冊読ませていただき、すごく勉強になっております。

私は現在スーパー糖質制限食を6か月継続中。糖尿病ではありません。以前は休肝日をはさんでもγ-gtpは三桁が当たり前でしたが糖質制限食により劇的な改善をしましたし、二日酔いをしなくなりました。それから逆流性食道炎の症状も消え去りましたし、基礎体温も上昇しました。減量目的で始めたのですが体質改善効果に驚いております。

私は45歳で身長173で、糖質制限を始めたときは80㎏で六か月経過後の今は74㎏です。BMIは25未満になりました。脂質とタンパク質はしっかり摂っておりましたが、糖質制限開始後三か月くらいでこの数値になっており半年経過後の現在、体重減少の効果が思ったよりなかたので、もしかして倹約遺伝子とやらがあるのかと思い朝食を抜いてみましたがあまり変化がありません。

ただアルコール摂取量は家では毎日濃いめハイボール換算で4杯以上。飲みに行くと10杯前後は飲んでいます。

体重が減らないのはアルコール摂取によるものなのでしょうか。不躾な質問で恐れ入りますが、江部先生のご見解をいただければ幸いです。

スーパー糖質制限によって体調は今まで生きてきた中で一番良い状態になってます。年を重ねれば体調不良が出るのが当然で、それを薬で押さえて生きていくのが当たり前だと思っていましたが、こんな良い体調の世界があったのかとビックリしております。血糖健常者ですが一生続けたいと思っています。

よろしくお願いたします。
2020/11/15(Sun) 21:59 | URL | ハイライト | 【編集
新型コロナウィルス
江部先生、こんばんは

コロナウィルスの第三波は、14日の記事で書かれたように、かなり感染力が強くなっているのでしょうね。現在、感染者数がすごく増えています。
米ファイザーのワクチンにしても、今冬には間に合わないでしょうし、又、感染予防効果は期待できなく、保管がマイナス70~80度というのは、現実的ではありませんね。

ところで期待されている治療薬アビガンは、10月末か11月初旬には認可されるのではないかといわれていましたが、まだのようですね。
アビガンは感染初期のウィルス増殖抑制効果があるといわれていますが、ワクチンを全国民に接種するなら、アビガンを全国民が一斉に飲めば、感染を抑えられるのではないか、極端なことを言えば、皆さんマスクなしで生活できるのではないかと、まあ、全く素人の戯言ですが。
(妊婦には胎児への副作用がいわれていますが、アビガンに限らず通常妊婦には殆どの薬は使用出来ない筈です)

政府も打つ手がないような感じですが、しかし、何か手を打たないと今冬は諸外国のような罹患者数になりかねませんね。
とりあえずは、糖質制限食で自己免疫力を高めておきます。

2020/11/15(Sun) 22:39 | URL | モン吉 | 【編集
日本国医療は、時代進化しないのは、何故??!!
都内河北 鈴木です。

私は、江部先生『糖質制限理論』(2005年発表)で、
2012年10月1日より実践で、3ヵ月足らずで『生還、』でき、
以降継続で後遺症『眼、脳梗塞、』が、
『覚醒、4度の再覚醒、』している9年目の
「日本糖尿病学会」信奉・病院、担当医に、
『悪化一途で殺されかけた患者です!!』

<<『改善・医療デ~タ存在してます』>>

この通院・体験事実から、時代進化を考えてみますが、
私は現状の「日本の医療方法」は、狂っていると申しておきます!!

何故なら
<<『何の改善皆無の医療方法、指導だからです!!』>>

だから日本国は、『世界1の糖尿病国』だと、
テレビ放送して久しいですが、
『改善策の公表は、皆無です!!』

だが日本国には、「日本糖尿病学会」信奉の医療者は、多数存在してます!!
この者達は、
『改善への知識無知で、改善すると私が事実で証明しても、
思考変更することなく所属している無知者共です!!』

<<私が証明した『殺されかけた患者』の、
  『改善・医療デ~タ』が証明です!!>>

事実を知りたければ、都内S区の最大病院『K総合病院』へ、
訊いてみてください!!
<<私所持の『生還・医療デ~タ』はその病院の物だからです!!!>>

アメリカの時代進化は、素晴らしかなと映画『ラビング』1958年の
実話を今見て、現在の「日本医療界」は、明らかに遅れていると、考えます!!

この映画は実話で、
<<『アメリカの法律を変えた、民間人の実話だと言う事です!!』>>

私が4歳当時の実話です!!
現在は、2020年11月下旬です!!

<<「日本医療界」は、
  日本自国民を2000年以降世界に存在しない「カロリ~制限理論」で、
  改善皆無・理論で指導して、多量薬投与の状況で、
  『既得権益の亡者だと言わざるを得ません!!』>>

江部先生には、『生還、覚醒、4度の再覚醒、』している9年目に
体調快調に成りながら生活できる事に、
感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具










2020/11/16(Mon) 01:48 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
Re: 新型コロナウィルス
モン吉 さん

完成したとしてもワクチンの効果は、おそらくインフルエンザワクチンと同レベルであり、多くは期待できません。

またアビガンには、新型コロナの治療期間を短縮する可能性があるとの研究もありますが、
<細菌性肺炎に対する抗生剤>のようにクリアに効くということではありません。

仰る通り、糖質制限食で、免疫力を向上させて、水際で感染をくいとめるのが一番と思います。
2020/11/16(Mon) 20:15 | URL | ドクター江部 | 【編集
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