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糖質制限食と適正摂取エネルギー。胃切除後の場合は?
【20/10/24 T-J
カロリーの量と取り方
江部先生、先日は胃手術後のダンピング症候群後の機能性低血糖について、
詳細なアドバイスありがとうございました。感謝申し上げます。

そこでスーパー糖質制限食を実践持続するべく模索しているのですが、168cm57kgで2000-2200kcalくらいだと体重が56kgになってしまいました(ほぼデスクワークで、現在ひどい馬力不足は感じませんが、顔が疲れていると言われます)。

摂取カロリーを増やすべくいろいろなオイルや肉魚類をとっているのですが、食があまりおおくないので一度に量を食べるのがなかなか困難で、1日約2200kcal(3食(各500kcal)+間食3回(各200kcal)+α)としています。

先生のレシピ本だと1日ほぼ2食で、お酒抜きだと1日2000kcal未満かと思われます。

先生の活動レベル(診察+テニス他?)でも、そのカロリーでOKなのでしょうか(私も将来的にはそのレベルの活動をしたいと思っております)?

また、お酒はempty カロリーとも聞きますが大丈夫なのでしょうか?

他に糖質制限をなさっている方々も、1日2食以下だったりして、実際の摂取カロリーはどのくらいなのか不思議です。

現状かなりがんばってハイカロリーなものを探して食べているのですが、アイテムが偏ってきてしまったりと問題を感じています。

お酒抜きでも2500kcal以上とりたいとすると3食+間食(低糖質パン等)で糖質がどうしても増えていってしまうのと、時間がとられる(のべつ幕なし口にしている感じ?)のが悩みです。

長期的に継続するにはもっと楽な方法を探したく、先生のレシピ本をそのまま再現(お酒は抜きで)したら、」お腹はふくれず楽だろうと思われますが、やはり体力低下は免れないでしょうか?

なにかコメントあればお聞かせ願えれば幸いです。

よろしくお願いいたします。】


こんばんは。
T-J さんから、胃切除後の糖質制限食の適正摂取エネルギーについて、コメント・質問を頂きました。
T-J さん、T-J さんは、胃を切除しておられるので
そもそもそんなに多く食べることは困難と思います。

私は、糖質制限食実践者に対して、
「厚生労働省のいう<推定エネルギー必要量> を目標として摂取しましょう。」
と常々発言しています。

これは、糖質制限食実践者の一部において、
「血糖コントロールは良くなったけれど体に力が入らない。」
「減量は成功したが、階段をのぼるのもしんどい。」
「ダイエット目的で糖質制限食を実践しているが生理が止まってしまった。」

など、身体にとって好ましくない症状がでる場合があり、
そのほとんどにおいて、摂取エネルギー不足が見られるからです。

糖質制限しつつ、長年の習慣で無意識に脂肪制限もしている例があり、
結果としてカロリー不足になっているのです。
糖質制限食の導入期にそういうことが多くあるので、注意喚起しているわけです。

一方、糖質制限食実践がが一定期間以上となり定着してくると、
必要摂取エネルギーが自然に減少してくることがあります。
例えば減量期には、推定エネルギー必要を摂取して、順調に減量したけれど、
減量維持期になると、推定エネルギー必要量を摂取すると
体重の増加がみられることがあるのです。
それで自然に摂取エネルギーが減りますが、体重は維持できて
体調も良好で体力も維持できている状態です。

このことは、西村典彦さんが、コメントで考察しておられます。

【20/10/12西村 典彦  

糖質制限下における体重と摂取カロリーについて体重と摂取カロリーについて
私の経験から考察してみたいと思います。

BMI:21.5前後 体脂肪率18%前後で糖質制限による減量はストップすると思います(私の例です)。適正体重になったと理解できます。
さらに、減量期を過ぎると体重が減った分、
摂取カロリーも少なくしないと体重は増加に転じます。
私は糖質制限を始めたころ(体重63kg)は2000kcal以上の食事をしていましたが、
それでも体重は減っていきました。
このころの体重と摂取カロリーは無関係のように見えます。
摂取カロリーから計算した体重の理論値から実測値はどんどん解離していきました。
現在(56kg)は、1750kcalが体重の維持量です。12.5%少なくなっています。
体重の減少量と摂取カロリーの減少量(11.1%)はほぼ一致しています。

私の経験上、適正に減量した状態になれば、
ここからは摂取カロリーと体重は正の相関を示します。
糖質制限をされている、または推奨される方は、
体重と摂取カロリーは直接関係ないと思われている事が多いですが、
それは糖質制限を始めたころの減量期の場合に限られると思います。
そして、糖質制限ではお腹いっぱい食べても痩せるんだと思い込んで
、失敗(リバウンド)する方がいるのではないでしょうか。

これも私の経験になりますが、厚労省の推奨する摂取カロリーは私には多すぎます。
体重が増加します。

実際に私の今年1月~9月(減量期は過ぎて既に安定期)までのデータを
グラフにしてみて驚きました。
完全に正の相関を示しています。疑う余地はないと思います。

江部先生、もしよろしければ、
参考までにこのデータ(グラフ)をメールにてお送りいたします。】


胃が残っている人の場合は、西村さんや私のように、
必要摂取エネルギーが自然に減少してくることが多いです。
私も導入期から過渡期は2200kcal/日は食べていたと思います。
結構大食タイプだったのですが、それでも半年で10kgの減量に成功してます。
167cm、67kgから半年で57kgとなりました。
その後は、西村説の通りで、徐々に自然に摂取エネルギーが減ったのですが、
体重は56~57kgを維持していて、体力も充分です。
BMIは20.08~20.44です。
現在は、ご指摘通り、1日2食で1800kcalくらいだと思います。

T-J さんの場合は、胃を切っておられますので、
胃が残っている西村さんや私の場合とは、消化吸収のパターンが
やや異なっていると思われます。

「摂取エネルギーが2000-2200kcalくらいだと体重が56kgになってしまいました。」
ということですが、とくに馬力不足がなければ問題ないと思います。
168cm、56kgで、BMI:19.84 です。

胃を切除している人においては、BMIが19.84で正常やや痩せ型でも
体調良好ならそれでOKと思います。
もっと言えば、胃が小さい分を、体重をやや少なめにして
コントロールしているのは、ホメオスターシス的には好ましいように思います。


江部康二


コメント
栄養と料理 最新号
栄養と料理2020年11月号

「コロナ時代の血糖コントロール」

https://eiyo21.com/nc/er202011/
2020/10/25(Sun) 20:44 | URL |  | 【編集
加熱食材と非加熱食材について
今日は、先日の体重とカロリーの関係に続いて、摂取カロリーと過熱調理について考えてみました。

野菜などは過熱すると生野菜より多く食べられるのは、よく言われることだと思います。
しかし、野菜に限らず、魚や肉も過熱した方がたくさん食べられます。

例えば、サンマ(最近高いですが)を焼いて食べると、1食で1尾と言うのが普通だと思いますが、この量を刺身(生)にすると2人前くらいになります。
肉でもユッケのような生肉よりも焼肉の方がはるかに多い量が食べられるでしょう。
貝類でも生ガキよりもカキなべにすれば、これもはるかに多い量になるでしょう。

そう考えると、人類700万年の歴史では、火を手に入れる以前の時間の方がはるかに長かったわけですから、食材は生で食べていたとすると現在よりも少ない量を摂取していたのではないかと考えることもできます。
さらに、加熱により分解したり、流れ出てしまう栄養素も非加熱なら少量でもたくさん摂取できます。過熱により吸収率がどう変化するかと言う問題は別途ありますが。

私は、糖質制限+カロリー制限(タンパク質量はカロリー制限以前と同等)の実験を進行中ですが、体重はさらに1.5kg減量しましたが、筋肉量は変化ありません。
糖質制限ではカロリー制限は禁忌ですが、今のところ、必要栄養素を摂取できていれば、筋肉量も落ちない事が確認できています。
特に運動はしていません。通勤で8000歩程度です。運動すればもっと効果的だとは思いますが、冬のスキーくらいしか運動習慣がないものでw
カロリー自体は200kcal/日、少なくしました(主に脂質)が、その事で筋肉量が減ったり、体調が悪くなると言う事はありません。
かえって体調は良好で、脂質摂取が少ないにもかかわらず、総カロリーが減ることによりケトン体が増えています(600→800~1200μmol/L)。1000μmol/Lを超えると体が軽い事が実感できます。

先日もコメントしましたが、厚労省推奨のカロリー量は、糖質制限で適正体重に落ちた私には多すぎて、体重増加に転じてしまいます。
厚労省推奨値は、やはり炭水化物60%程度の場合の推奨量と考えるべきではないでしょうか。
人類の歴史的な事も併せて考えると、高栄養食(ビタミン、ミネラル、タンパク質)にすれば、現在の基準よりもカロリーは少なくて良いと感じています。
したがって、栄養のない白米でカロリーだけを摂取する事は控えるべきだと言えます。美味しい事は認めますw が体に良い事とは別問題なので。

以上は、糖質制限で標準体重になった現在も内臓脂肪が思ったほど減っていない、かつ高LDL-Cのため、そこを改善するための実験です。
幼少の頃より二十歳過ぎまで痩せ型だった私は、標準的なBMI:22では過体重ではないか、これも個人差があるはずだと考えています。
実験の成果として、来月の血液検査の結果がどう変化するかを確認したいと思います。
2020/10/26(Mon) 09:36 | URL | 西村 典彦 | 【編集
本日記事に、病態改善目指す患者には、納得です!!
都内河北 鈴木です。

本日記事内容は、如何なる病態者でも、改善目指すなら、
知りおくべき知識かなと思います!!

<<如何なる病態での改善有る『栄養補給の方法だからです!!』>>
<<妥協の知識も、必要不可欠です!!>>

<<医療者なら知り得て当然至極の知識だから、尚更です!!>>

<<医療者ならこの知識を得てなければ、改善は皆無だと考えられます!!>>

病態は違い『糖尿病』ですが、
私の糖尿病21年間の2005年転院後より、後半7年間の『進化・皆無』の
『「日本糖尿病学会」』に、『知識・皆無の指導』で、
悪化一途で、殺されかけた患者の私は、
江部先生『糖質制限理論』を理解把握して実践で、
『生還、覚醒、4度の再覚醒、』している9年目の現在に、
更なる得難い『改善・知識・学習』できる事に、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2020/10/26(Mon) 14:01 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集
ありがとうございました。
早々の詳細なお返事、ありがとうございます。ご指摘のとおり、胃がない人の場合は少し異なるかもしれませんが開始してまだ1月いかない期間ですが、体調は良好というか向上、頭も冴えてよく眠れます。運動などを開始してどうなるか、また追って経過を報告させていただきます。
ありがとうございました。
2020/10/26(Mon) 14:26 | URL | T-J | 【編集
Re: 栄養と料理 最新号

栄養と料理 最新号
栄養と料理2020年11月号

相変わらず、糖質制限の視点は、皆無です。
これでは、「質の悪いHbA1c」
しか達成できないので、免疫力向上も期待できませんね。
2020/10/26(Mon) 16:55 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 加熱食材と非加熱食材について
西村 典彦 さん

詳細な考察、人体実験、ありがとうございます。
検査結果また、ご報告頂ければ幸いです。


「日経サイエンス 2013 12 特集 食欲」によれば、

マウスにさつまいもか赤身の肉を与えて、体重の変化を比較。

1)生で形もそのまま
2)生で砕いたもの
3)形はそのままで加熱
4)砕いて加熱

結果は、食材を砕いても体重は増加しませんでしたが、
加熱すると、さつまいもでも赤身の肉でも、加熱していない餌のマウスに比べて体重が増えました。

加熱によって、消化吸収しやすくなり、摂取エネルギーが生食マウスに比べて、多くなったったと考えられます。
2020/10/26(Mon) 17:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
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