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糖質制限食の効果と長期的予後、総コレステロールは?
こんばんは。

町田のボンちゃんから情報をいただきましたが、日刊ゲンダイの8月21日号に“ご飯抜きダイエット”本当にいいのか?という記事が掲載されたそうです。

糖質制限食実践で総コレステロール値が上昇するので動脈硬化になる。」
糖質制限食実践でケトン体が血液中に増えて酸性となり意識を失うこともある。」

という内容ですが、糖質制限食に対してかなりの誤解があるようです。

まずは結論です。

町田のボンちゃん、安心して糖質制限食をお続けください。 (^_^)

以下に根拠を述べます。


糖質制限食の効果と長期予後>一部再掲

糖質制限食実践者においては、血糖値・HbA1c・中性脂肪は速やかに改善します。HDL-コレステロールは個人差があり、しっかり上昇する人と軽度に上昇する人がいます。

糖質制限食実践者の総コレステロール、LDLコレステロール値に関しては、個人差があり一定しません。

しかし、HDL-コレステロールが上昇し、中性脂肪が減少するので、真の悪玉である、小粒子LDLコレステロールや酸化LDLコレステロールは減ります。

糖質制限食の短期的効果に関しては、このように全ての指標が良い方に向かいます。

ちなみに私の場合は、2型糖尿病でスーパー糖質制限食実践中ですが、HDL-コレステロールが上昇し、中性脂肪が減少し、LDLコレステロールも少し減りました。血糖コントロールは、正常レベルです。

<江部康二の血液検査:スーパー糖質制限食実践中>
1.5AG:5.8μg/ml(12~43)  糖質制限食により生理的に減少
空腹時血糖値:104mg/dl
HbA1c:5.3%
ケトン体:498μM/L(26~122) 糖質制限食中は生理的で正常値
尿酸:2.9(3.4~7.0)
TC:229
TG:73
HDL-C:104.6
LDL-C:109
BUN:21.4(8~20)
クレアチニン:0.62(0.6~1.1)


高雄病院でも、1999年から糖質制限食による糖尿病治療を開始して、実践する限りにおいては、99%の人が著明に血糖値が改善をすることを確認しています。

基本的に体重も減少し肥満が改善しますので、血圧も下がることが多いです。

それでは10年、20年後の長期的予後はどうなのでしょう?

同級生の糖尿病専門医にいつも相談しているのですが、必ずこの話題がでてきます。

一つの答えは、イヌイットです。 生肉と生魚が主食という完全無欠の糖質制限食を数千年以上続けてきた民族ですが、有名なダイアベルグ博士の研究によると、心筋梗塞や脳梗塞が極めて少なかったことが報告されています。(^-^)v(^-^)v

二つ目の答えは最近流行の代謝症候群(メタボリック シンドローム)です。

一つ一つは些細な所見でも、二重・三重に重なってくると危険という警鐘です。
 
*腹囲基準:男性85cm、女性90cm以上、
①高血圧:130/85以上、
②空腹時血糖:110mg以上、
③中性脂肪高値:150mg以上  HDL-コレステロール:40mg未満

具体的には、腹囲基準を満たしていて、①②③の三項目中二項目を満たせば、何もない人に比べて、将来冠動脈疾患になる確率が、約31倍にもなるとされています。

糖質制限食の実践により、代謝症候群の指標が全て改善します。逆に言えば糖質の過剰摂取こそが代謝症候群の根本要因といえます。

ともあれ西洋医学的に現在まで明らかにされている動脈硬化の危険因子が 糖質制限食の実践により全て改善するので、長期的予後も悪かろうはずがありません。

さらに三つ目として、米国の大きな疫学的研究を2つご紹介しましょう。

<米国医師会雑誌2006年2月8日号>
米国の大規模介入試験において脂質熱量比率20%で強力に指導したグループは、対照群に比較して意外なことに心血管疾患、乳がん、大腸がんリスクを下げないことが米国医師会雑誌2006年2月8日号で報告されました。総コレステロール値に関しても、両群に優位な差はありませんでした。

この研究は、5万人弱の閉経女性を対象に対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した大がかりなもので、所謂EBM(科学的根拠に基づいた医療)的にはトップランクに位置する権威あるものです。
権威ある研究により、従来の常識(脂肪犯人説)が根底から覆ったわけですね。


<New England Journal of Medicine、2006年11月9日>
『米国の女性看護師82,802人を20年間追跡したところ、炭水化物が少なく脂肪とたんぱく質が多い食事でも、冠動脈疾患のリスクは上昇しなかった』

このような内容の研究が、New England Journal of Medicine、2006年11月9日号にハーバード大学のグループにより報告されました。

今まで、 糖質制限食(即ち高脂肪・高タンパク食)の長期的な予後に関する本格的な研究がなかったのですが、とうとう出たという感じですね。

論文を要約すると

『1980年、米国の女性看護師82,802人に対して、質問票を使った食事調査を行い、研究を開始した。
1980年から1998年までのあいだに、2~4年間隔で食事調査を6回実施し、一人一人の低炭水化物食の度合を得点化。
2000年まで20年間の追跡調査を行ったところ、1994人が心筋梗塞などの冠動脈疾患に罹患した。
解析の結果、「低炭水化物食得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は、下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。
つまり、脂肪とたんぱく質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
**Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.』

低炭水化物食を長期に続けた場合、心臓病リスクの上昇などの害が生じるのではないかという批判が、従来の医学界おいてありました。

今回の研究は、低炭水化物食の長期的な安全性を調べる目的で、20年間、82,802人の女性の分析が行われました。

その結果、少なくとも心臓病に関しては、高タンパク・高脂肪食の長期的安全性があるていど保証されたということになります。

このように、理論的にも短期データ的にも、長期の疫学的データでも 、糖質制限食(高タンパク・高脂肪食)の有効性と安全性が、確立されつつあるといえるでしょう。ヾ(^▽^)


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
リュカ さん。

糖質制限食で体重減少、良かったですね。
妊娠糖尿病に関しては、2008年07月04日のブログを
ご参照ください。
2008/08/29(Fri) 16:15 | URL | 江部康二 | 【編集
No title
5/28日からスーパー,,初めて
1ヶ月少しで血液検査すべてクリアーかかりつけの先生ビックリ、先生に許可を頂き9/20日現在そのまま実行中です。10数年間人間ドッグ行き続け、何をしていたのでしょう今まで栄養指導受けていたけどいまいち!!2ヶ月に1度の血液検査、好酸球の数値に問題あり、自分で免疫のことを調べたりしている時にこの療法をふと知り早速実行、本来170なのに、私は2年前、2440、20年1月いろいろ自分なり努力したつもりで2200になっていました。
5/28日から始めて7/8日血液検査結果、すべてクリアーで好酸球の数値1500台になっていたのです。
170にはまだ程遠いですが頑張ってみます。
今年中に標準体重になることを夢見ながらがんばります。
主人も最初は本気にしなかったのですが、結果に驚き協力してくれます。卵巣を取る手術だけのせいではないでしょうが、凄く太りさんざんでしたが、20キロくらいもうすぐ落ちそうです。
先生感謝です。
周りの人に本を見て納得してやった方が頑張れるし、まず知識を身につけてと、アドバイス、私がまず実験台ネと言ってやったので説得力あった様です。本当にありがとうございます。周りの人も痩せ始めました。
2008/09/20(Sat) 19:22 | URL | えこ | 【編集
No title
えこ さん。

スーパー糖質制限食で体重減少、
おめでとうございます。v(∩_∩)vv
好酸球に関しては私にもよくわかりませんが、まずは改善して良かったです。
糖質制限食で代謝全てがよくなり
自然治癒力が高まるのだと思います。
これからも標準体重目指して
美味しく楽しく糖質制限食お続けくださいね。
2008/09/27(Sat) 16:26 | URL | 江部康二 | 【編集
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