2019年01月17日 (木)
【19/01/16 クワトロ
やはり未だに心配されているタンパク質の摂取量
今、Twitterで
『ジャンクハンター吉田@Yoshidamian
人柱として書いておいたほうがいいのかな。20歳から格闘技やっていた時にプロテイン飲料を常に摂取していたんですね。
で、ケガで25歳に格闘技をほぼリタイアしてもクセで最近までプロテイン飲料を常用してました。
それが過剰摂取となりタンパク質摂取過多が原因で腎不全に……。皆さんも注意しましょう』
というツイートがちょっとした話題になっています。
最近では、タンパク質の量の多さと腎臓の病気は相関関係が無いということは論文などで確認されていて、
有力なエビデンスがない状況ですよね。
でも、やはり心配する人には、医学的な観点で理論的に考えたら、
タンパク質を大量に分解した時に出る副産物の尿酸、尿素窒素、クレアチニンなどが腎臓に負担をかけ続けるから、
腎不全につながるという主張が見られます。
確かにこれらの値が上がっているとき、腎臓に負担をかけないとしたら、
どこに行ってしまうのか?腎臓を通過するなら影響は本当に少ないのか?
こういった不安が頭をよぎるのはよく理解出来ます。
是非腎臓病とタンパク質摂取量の相関関係についての江部先生のお考えや経験をお聞かせ願いたいです。】
クワトロさん。
情報をありがとうございます。
この吉田さん、結果として腎不全になっておられます。
しかし「高タンパク食を摂取したから腎不全になった。」
というふうに単純に決めつけることはできません。
腎炎、高血圧、糖尿病、膠原病、喫煙、お薬、ウィルス疾患など感染症、脱水・・・
様々な疾患や要因が腎不全発症に関与しています。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
の、8ページに、たんぱく質の食事摂取基準が載っています。
(推定平均必要量、推奨量、目安量:g/日、目標量(中央値):%エネルギー)
「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書
においては、たんぱく質の耐容上限量は設定しないと記載してあります。
II 各論
たんぱく質(PDF:1,149KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf
<97ページ>
3.過剰摂取の回避
3─1.耐容上限量の設定
たんぱく質の耐容上限量は、
たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなければならない。
しかし現時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は
十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした。
厚生労働省によれば、現時点では、
正常人がタンパク質をたくさん食べて危険という根拠もないけれど、
たくさん食べても安全という根拠もないということです。
まさに、自分で考えて選択して自己責任で食事療法を実践することとなります。
ちなみに、江部康二は、
糖尿病発覚の2002年(52才)からスーパー糖質制限食を開始して
2019年1月(69才)現在まで続けています。
タンパク質の摂取量は、一日あたり130~140gくらいと、
普通人よりかなり大量のタンパク質を摂取してます。
体重1kgあたり2.4gのタンパク質です。(2.4g/kg)
一般には、
運動あまりしない人では、0.8g/kg、
軽い運動実践者は、0.8~1.1g/kg、
アスリートや運動習慣のある人は、
体重1㎏あたり1.2~1.8gのタンパク質が必要とされています。
私の場合、早歩きを一日に60分くらいで、運動習慣はありませんが
何と、アスリートより、はるかに多いタンパク質摂取量ですね。
それでも尿酸は低めですし、腎機能に何の問題もありません。
一日に平均約8000歩、そのうち速歩が5000~6000歩で、距離は6~8kmくらいです。
<江部康二の2018年12月の検査結果>
クレアチニン:0.68mg/dl(0.6~1.1) eGFR:87.8
シスタチンC:0.75/Ldl(0.53~0.95) eGFR:97.7
尿酸:4.0mg/dl(3.4~7.0)
江部康二
やはり未だに心配されているタンパク質の摂取量
今、Twitterで
『ジャンクハンター吉田@Yoshidamian
人柱として書いておいたほうがいいのかな。20歳から格闘技やっていた時にプロテイン飲料を常に摂取していたんですね。
で、ケガで25歳に格闘技をほぼリタイアしてもクセで最近までプロテイン飲料を常用してました。
それが過剰摂取となりタンパク質摂取過多が原因で腎不全に……。皆さんも注意しましょう』
というツイートがちょっとした話題になっています。
最近では、タンパク質の量の多さと腎臓の病気は相関関係が無いということは論文などで確認されていて、
有力なエビデンスがない状況ですよね。
でも、やはり心配する人には、医学的な観点で理論的に考えたら、
タンパク質を大量に分解した時に出る副産物の尿酸、尿素窒素、クレアチニンなどが腎臓に負担をかけ続けるから、
腎不全につながるという主張が見られます。
確かにこれらの値が上がっているとき、腎臓に負担をかけないとしたら、
どこに行ってしまうのか?腎臓を通過するなら影響は本当に少ないのか?
こういった不安が頭をよぎるのはよく理解出来ます。
是非腎臓病とタンパク質摂取量の相関関係についての江部先生のお考えや経験をお聞かせ願いたいです。】
クワトロさん。
情報をありがとうございます。
この吉田さん、結果として腎不全になっておられます。
しかし「高タンパク食を摂取したから腎不全になった。」
というふうに単純に決めつけることはできません。
腎炎、高血圧、糖尿病、膠原病、喫煙、お薬、ウィルス疾患など感染症、脱水・・・
様々な疾患や要因が腎不全発症に関与しています。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
の、8ページに、たんぱく質の食事摂取基準が載っています。
(推定平均必要量、推奨量、目安量:g/日、目標量(中央値):%エネルギー)
「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書
においては、たんぱく質の耐容上限量は設定しないと記載してあります。
II 各論
たんぱく質(PDF:1,149KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042630.pdf
<97ページ>
3.過剰摂取の回避
3─1.耐容上限量の設定
たんぱく質の耐容上限量は、
たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなければならない。
しかし現時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は
十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした。
厚生労働省によれば、現時点では、
正常人がタンパク質をたくさん食べて危険という根拠もないけれど、
たくさん食べても安全という根拠もないということです。
まさに、自分で考えて選択して自己責任で食事療法を実践することとなります。
ちなみに、江部康二は、
糖尿病発覚の2002年(52才)からスーパー糖質制限食を開始して
2019年1月(69才)現在まで続けています。
タンパク質の摂取量は、一日あたり130~140gくらいと、
普通人よりかなり大量のタンパク質を摂取してます。
体重1kgあたり2.4gのタンパク質です。(2.4g/kg)
一般には、
運動あまりしない人では、0.8g/kg、
軽い運動実践者は、0.8~1.1g/kg、
アスリートや運動習慣のある人は、
体重1㎏あたり1.2~1.8gのタンパク質が必要とされています。
私の場合、早歩きを一日に60分くらいで、運動習慣はありませんが
何と、アスリートより、はるかに多いタンパク質摂取量ですね。
それでも尿酸は低めですし、腎機能に何の問題もありません。
一日に平均約8000歩、そのうち速歩が5000~6000歩で、距離は6~8kmくらいです。
<江部康二の2018年12月の検査結果>
クレアチニン:0.68mg/dl(0.6~1.1) eGFR:87.8
シスタチンC:0.75/Ldl(0.53~0.95) eGFR:97.7
尿酸:4.0mg/dl(3.4~7.0)
江部康二
ということは何度も私自身確認しておりますが、今回は暴食した場合はどうなるかという実験(?)をやってみました。ただし超長文になりますので予め申しておきます。ごめんなさい(笑)
スーパー糖質制限開始後1年3ヶ月ほど経過しておりますが、多くの実践者の方々と同様、私も最初の3ヶ月で9kg、その後1年間で5kgほどの減量となっております。
また、こちらでもお世話になりましたが、開始後3ヶ月目には逆流性食道炎もまったく症状がなくなりました。
私は幸いにも糖尿人ではありませんが、いつそう定義されても全くおかしくない生活習慣でした。暴飲暴食もその一つです。
で、今回はよく行く居酒屋さんでしゃぶしゃぶコースの実験と称した暴食行為を慣行いたしました(笑)
私が口にしたものをざっと記しますと、
・豚ロース 約620g
・豚バラ 約650g
・地鶏炭火焼き 約250g
・サーモンのカルパッチョ
・白菜、水菜、もやし、エノキダケ
・シーザーサラダ
・ハイボール(1杯)
・ウーロン茶(5杯)
というところで、肉だけで1.5kgほど、総カロリーでは4500kcal以上、タンパク質・脂質共に300g以上というなかなかの暴食レベルです(笑)
また、食べ方ですが、最初にハイボールを一気に飲み干しあとはウーロン茶のみ、ひたすら1時間以上肉を食べ続け、最後に野菜類を食べて1時間半ほどで食事終了です。
ちなみにしゃぶしゃぶのたれはポン酢やごまダレではなく鰹出汁でした。
さらに今回は食事前後に徒歩を含む運動はしていません。
SMBGによる血糖値変化は以下の通りです。( )内は連れ合いの数値です。
【食前】 64(79)
【一時間値】 74(79)
【二時間値】 83(98)
【三時間値】 80(75)
【四時間値】 87(75)
【五時間値】 66
ということで、私の場合これだけの量を食べるとベースラインに戻るまで5時間ほどもかかるということのようです。
最初にアルコールを飲んでますので糖新生が抑えられていることも関係しているかも知れませんし、以前にやってみたササミ400gのタンパク質負荷実験でもベースラインから誤差程度の変動しかしませんでしたので、たぶん私はグルカゴン分泌に対するインスリンの反応についてはバランスが取れているのかもしれません。
しかし連れ合いも(普段結構な量を食べます)傾向としては私と変わらないので、たぶんこのような食事内容では血糖値は上がりにくいのだろうと推測できます。
ただ、表面的には血糖値の変動は小さくても、摂取したタンパク質量およびその他の食材から想像するインスリン分泌量は、おそらく糖質100-150g摂取に匹敵する程度はあったのではないでしょうか。
あと、たぶん食後の中性脂肪も凄いことになってたんでしょうね^^;
まあ何事もほどほどにが正しいであろうことは言うまでもありません(笑)
今回はその後に行う予定の食前または食後、およびその両方の運動(徒歩あるいはランニング)の効果を探るためのベース確認が目的でしたが、あまり血糖値の上昇がありませんでしたので、そもそも下げる意味(やその効果の確認)があるのかという根本的な疑義が生じております(笑)
インスリン分泌量が手軽にリアルタイム測定できたらいいのに、と。
非常に個人差の大きい部分でもあろうと思いますのでなんの参考にもならないかも知れませんが、どなたかの参考になれば幸いです。
スーパー糖質制限開始後1年3ヶ月ほど経過しておりますが、多くの実践者の方々と同様、私も最初の3ヶ月で9kg、その後1年間で5kgほどの減量となっております。
また、こちらでもお世話になりましたが、開始後3ヶ月目には逆流性食道炎もまったく症状がなくなりました。
私は幸いにも糖尿人ではありませんが、いつそう定義されても全くおかしくない生活習慣でした。暴飲暴食もその一つです。
で、今回はよく行く居酒屋さんでしゃぶしゃぶコースの実験と称した暴食行為を慣行いたしました(笑)
私が口にしたものをざっと記しますと、
・豚ロース 約620g
・豚バラ 約650g
・地鶏炭火焼き 約250g
・サーモンのカルパッチョ
・白菜、水菜、もやし、エノキダケ
・シーザーサラダ
・ハイボール(1杯)
・ウーロン茶(5杯)
というところで、肉だけで1.5kgほど、総カロリーでは4500kcal以上、タンパク質・脂質共に300g以上というなかなかの暴食レベルです(笑)
また、食べ方ですが、最初にハイボールを一気に飲み干しあとはウーロン茶のみ、ひたすら1時間以上肉を食べ続け、最後に野菜類を食べて1時間半ほどで食事終了です。
ちなみにしゃぶしゃぶのたれはポン酢やごまダレではなく鰹出汁でした。
さらに今回は食事前後に徒歩を含む運動はしていません。
SMBGによる血糖値変化は以下の通りです。( )内は連れ合いの数値です。
【食前】 64(79)
【一時間値】 74(79)
【二時間値】 83(98)
【三時間値】 80(75)
【四時間値】 87(75)
【五時間値】 66
ということで、私の場合これだけの量を食べるとベースラインに戻るまで5時間ほどもかかるということのようです。
最初にアルコールを飲んでますので糖新生が抑えられていることも関係しているかも知れませんし、以前にやってみたササミ400gのタンパク質負荷実験でもベースラインから誤差程度の変動しかしませんでしたので、たぶん私はグルカゴン分泌に対するインスリンの反応についてはバランスが取れているのかもしれません。
しかし連れ合いも(普段結構な量を食べます)傾向としては私と変わらないので、たぶんこのような食事内容では血糖値は上がりにくいのだろうと推測できます。
ただ、表面的には血糖値の変動は小さくても、摂取したタンパク質量およびその他の食材から想像するインスリン分泌量は、おそらく糖質100-150g摂取に匹敵する程度はあったのではないでしょうか。
あと、たぶん食後の中性脂肪も凄いことになってたんでしょうね^^;
まあ何事もほどほどにが正しいであろうことは言うまでもありません(笑)
今回はその後に行う予定の食前または食後、およびその両方の運動(徒歩あるいはランニング)の効果を探るためのベース確認が目的でしたが、あまり血糖値の上昇がありませんでしたので、そもそも下げる意味(やその効果の確認)があるのかという根本的な疑義が生じております(笑)
インスリン分泌量が手軽にリアルタイム測定できたらいいのに、と。
非常に個人差の大きい部分でもあろうと思いますのでなんの参考にもならないかも知れませんが、どなたかの参考になれば幸いです。
2019/01/18(Fri) 10:34 | URL | ねけ | 【編集】
先生大変お世話になります。たんぱく質と腎機能についてですが、わたしは体重の3ー4はとっています。トレーニングもしてます。BUNは高めですが、クレアチニンは0.7、egfrは88とむしろ前よりよくなりました。やっぱりケトン体に保護作用があるからでしょうか?わたしもたんぱく質が腎機能に影響があるとは思えません。
2019/01/18(Fri) 15:30 | URL | ギー | 【編集】
食べ物のカロリーは糖質とたんぱく質と脂質の合計ですが、糖質制限食でも体重減少が見られない場合カロリー摂取を控えるように勧めておられるのは何故ですか?たんぱく質と脂質をいくら摂取しても太らないと言われていることと矛盾していませんか?教えてください。(^^)
ねけさん
減量成功、逆流性食道炎の改善、良かったです。
また、貴重な暴飲暴食実験のご報告もありがとうございます。
データベースに保存しておきます。 (^_^)
総カロリーでは4500kcal以上・・・半端ないです・・・私には到底無理です。( ̄_ ̄|||)
減量成功、逆流性食道炎の改善、良かったです。
また、貴重な暴飲暴食実験のご報告もありがとうございます。
データベースに保存しておきます。 (^_^)
総カロリーでは4500kcal以上・・・半端ないです・・・私には到底無理です。( ̄_ ̄|||)
2019/01/19(Sat) 08:05 | URL | ドクター江部 | 【編集】
ギー さん
3-4g/kgのたんぱく質摂取とは、すごい量ですね。
とても参考になります。
ありがとうございます。
3-4g/kgのたんぱく質摂取とは、すごい量ですね。
とても参考になります。
ありがとうございます。
2019/01/19(Sat) 08:06 | URL | ドクター江部 | 【編集】
川端治 さん
回答は、近いうちに記事にしようと思います。
しばしお待ちください。 (^_^)
回答は、近いうちに記事にしようと思います。
しばしお待ちください。 (^_^)
2019/01/19(Sat) 18:27 | URL | ドクター江部 | 【編集】
さっそくの返信ありがとうございます(^-^;
◇エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018
https://cdn.jsn.or.jp/data/CKD2018.pdf
CKDの進行を抑制するためにたんぱく質摂取量を制限することを推奨する.
ただし,画一的な指導は不適切であり,個々の患者の病態やリスク,アドヒアランスなどを総合的に判断し,腎臓専門医と管理栄養士を含む医療チームの管理の下で行うことが望ましい
https://cdn.jsn.or.jp/data/CKD2018.pdf
CKDの進行を抑制するためにたんぱく質摂取量を制限することを推奨する.
ただし,画一的な指導は不適切であり,個々の患者の病態やリスク,アドヒアランスなどを総合的に判断し,腎臓専門医と管理栄養士を含む医療チームの管理の下で行うことが望ましい
2019/01/21(Mon) 08:55 | URL | ある人 | 【編集】
ある人 さん
情報をありがとうございます。
情報をありがとうございます。
2019/01/21(Mon) 16:15 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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