2019年01月02日 (水)
こんばんは。
たがしゅう先生から、
年末恒例の長めの問題提起のコメントを頂きました。
ありがとうございます。
糖質制限食で糖尿病、肥満、メタボ、生活習慣病などが
改善する人が多いのは事実です。、
そして、病気でなくても健康度が高まる人が多いのも事実です。
しかし、一方で糖質制限食が上手くいかない人が、
少数ではありますが存在するというのもまた事実です。
高雄病院では、もっぱら糖尿病患者さんを主に糖質制限食を導入しています。
初期の段階で、HbA1cや血糖値は劇的に改善したけれど
力が出ない、階段が登りにくい、しんどい、だるい・・・などと
訴える糖尿病患者さんが、時々おられました。
それで、これらの患者さんに栄養指導をしたところ、
ほぼ全ての患者さんにおいて、
「糖質制限+脂質制限」が実施されていて、
結果として、カロリー不足を生じていたことが確認できました。
そこで、脂質とたんぱく質はしっかり充分量摂取するように指導したところ
速やかに症状は改善しました。
今回のたがしゅう先生のケースは高雄病院のよくあるケースとは
異なっています。
以下、たがしゅう先生のコメントを私なりに要約してみました。
<受動的なパターン>と<主体性>
<受動的なパターン>
『摂取エネルギーについては十分足りている。
やや女性に多く、やせ型体型の場合が多い、
筋肉量が少なく、消化吸収能力が低い。』
『何らかの理由でストレスがかかり続けている。
それにより消化吸収機能が低下している。
消化吸収機能が低下しているから太れないし、
十分な摂取エネルギー量を確保しても吸収できず筋肉が出来上がらない。
筋肉が出来上がらないから糖新生がうまく働かない。』
『糖質制限でうまくいかない人に多くみられるパターンとしては、
体調を崩しているにも関わらずそのまま継続。
そこには「○○先生の本には続けることによって良くなると書いてあるから」だとか、
「○○先生に聞いたらエネルギー不足だと書いていたからエネルギーを増やしていれば治るはず」
というような受動的思考パターンがある。』
<主体性>
『糖質制限を実践する際には
主体性が不可欠である。
主体性、即ち自分の頭で考えて自分の判断で行動する力が必要。』
『例えば、糖質制限を始めてみて万が一体調がおかしいと思ったら、
自分に合わないと思って元に戻せばいいし、
戻した上で何がおかしかったのかを後から考えたり、わからなければ誰かに聞いたり、
何かを調べたりということをすればいい。』
私もたがしゅう先生の仰る通り、
糖質制限食を実践する場合には、主体性が必要と思います。
糖質制限食に限らずどんなことでも「自分の頭で考え、判断し、選択する」ということは大切ですね。
といっても、アドラー的には、「人は全ての行動を、自分で選択している。」
ということなのですが、そのことを、本人が認識できているか否かですね。
それと、選択する前に「自分の頭で考え、判断する」ということも肝要です。
ただこれは、「孤立して一人で主体的に生きていく。」という意味ではありません。
他者を信頼したり、他者に貢献したり、対等な人間関係を構築したり、
孤立しないことも大切です。
主体性を持ちつつ、他者ともしっかり関わりをもち、
互いに支え合っていくということです。
医師、栄養士、看護師、患者仲間、家族、友人・・・それぞれの間で、
対等な人間関係を持ちつつ主体的に生きていくというイメージですね。
このような生き方であれば、かかっているストレスも軽減する可能性が高いです。
江部康二
【18/12/31 たがしゅう
糖質制限と主体性
江部先生
いつもお世話になっております。
誠に勝手ながら自分の中で毎年恒例となっている
年末の先生への御挨拶をさせて頂きます。
確かに今年は昨年に比べてインパクトのあるニュースは少なかった印象があります。
けれど裏を返せばそれは、糖質制限が一般に広く定着してきたことの証であって、
先生が長年続けてこられた御活動が確かに実を結んでいる事の現れではないかと
感じております。
さて、私の糖質制限に関する今年の出来事を振り返りますと、
実は糖質制限でうまくいかないという方々の話を聞く機会の多い年でした。
決して多数例ではないのですが、糖質制限を実践していて体調を崩し、
その後糖質制限を解除することで体調が回復したという人達の話です。
江部先生は糖質制限で失敗するよくあるパターンとして、
糖質制限とカロリー制限を同時に行ってしまい
摂取エネルギー不足になるというのを御指摘なさいますが、
私が交流したそうした人達のお話を聞く限りは、
少なくとも摂取エネルギーについては十分足りているような食事摂取内容でした。
またパターンとしてはやや女性に多く、やせ型体型の場合が多い、
筋肉量が少なく、消化吸収能力が低いという傾向がありました。
それらの話を総合して私なりに考えてみました所、
こうした糖質制限でうまくいかない方々には
ストレスの問題が深く関わっているのではないかという結論に達しました。
その辺りの考察は拙ブログでも書かせて頂きましたので、
もしよろしければ御都合のよろしい時にでも
お目通し頂ければ有難く思います(http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-category-33.html)。
つまりは何らかの理由でストレスがかかり続けている。
それにより消化吸収機能が低下している。
消化吸収機能が低下しているから太れないし、
十分な摂取エネルギー量を確保しても吸収できず筋肉が出来上がらない。
筋肉が出来上がらないから糖新生がうまく働かない。
さらには消化吸収機能が低下する故に糖質摂取時のインスリンの分泌遅延が起こり、
機能性低血糖症の病態が起こる。
低血糖になりそうな段階で本来なら働くべき血糖上昇のバックアップが
糖新生機能が弱いために不十分となり低血糖症状を引き起こす。
もっと言えば、そうした方は
ストレスの対処を糖質摂取による血糖上昇に依存していたりするものだから、
糖質への依存度が高まってしまっていると。
だから糖質再摂取にて改善するけれど、
それではただ振り出しに戻ってしまっているだけです。
こうした考察を加えていく中で、
私は糖質制限を実践する際には
主体性が不可欠であるということを強く思うようになってきました。
主体性、即ち自分の頭で考えて自分の判断で行動する力のことです。
例えば、糖質制限を始めてみて万が一体調がおかしいと思ったら、
自分に合わないと思って元に戻せばいいし、
戻した上で何がおかしかったのかを後から考えたり、
わからなければ誰かに聞いたり、
何かを調べたりということをすればいいわけです。
ところが糖質制限でうまくいかない人に多くみられるパターンとしては、
体調を崩しているにも関わらずそのまま継続していたりするのです。
そこには「○○先生の本には続けることによって良くなると書いてあるから」だとか、
「○○先生に聞いたらエネルギー不足だと書いていたからエネルギーを増やしていれば治るはず」
というような思考パターンが見え隠れします。
こうした思考は判断が主体的ではなく受動的、
すなわち自分の頭で考えて判断するのではなく、
誰かの判断に身を委ねているということになるのではないかと思います。
先生もよくおっしゃいますように、どの食事療法にも合う合わないがあるわけですが、
その合う合わないの判断ができるのは自分しかいないわけで、
他の誰かが判断できるはずもありません。
糖質制限の普及に伴って、周りに強く勧められるがままにとか、
テレビや雑誌で良いと書いていたからとかいう理由で勢いのままに、
自分の頭で考えて納得するというプロセスを省略して、
すぐさま実践してしまうパターンが増えてきているのかもしれません。
それでもうまくいく場合にはまだ問題は少ないかもしれませんが(それでも盲目的に糖質制限を続けるというのはよくありませんが)、
たまたま上述のようにストレスが関わり体調を崩してきてしまう場合には
困ったことになってしまいます。
もっと言えばストレスの原因が糖質制限でない場合などは、
糖質制限は無関係であるにも関わらず
糖質制限が体調不良の原因とみなされてしまう可能性さえあります。
そしてそのストレスに向き合えるのもまた自分だけです。
他人が自分にしかわからないストレスの存在に気づけるはずもありません。
ですから糖質制限に取り組む場合には、
これまでにも繰り返し語られていることかもしれませんが、
自分の頭で考えて、自分の判断で行動するという主体性が不可欠であるということを
改めて再認識しました。
今後、糖質制限の発展のためには、
こうした糖質制限でうまくいかない人達の話も真摯に受け止め、
その上でどうしていくべきなのかについて話し合っていくことが、
糖質制限の信頼性をさらに高めることにつながるのではないかと考える次第です。
いささか長文となってしまい誠に恐縮ではございますが、
糖質制限推進派医師の一人として
今年一番考えさせられたことを御報告させて頂きました。
来年も引き続き宜しくお願い申し上げます。】
たがしゅう先生から、
年末恒例の長めの問題提起のコメントを頂きました。
ありがとうございます。
糖質制限食で糖尿病、肥満、メタボ、生活習慣病などが
改善する人が多いのは事実です。、
そして、病気でなくても健康度が高まる人が多いのも事実です。
しかし、一方で糖質制限食が上手くいかない人が、
少数ではありますが存在するというのもまた事実です。
高雄病院では、もっぱら糖尿病患者さんを主に糖質制限食を導入しています。
初期の段階で、HbA1cや血糖値は劇的に改善したけれど
力が出ない、階段が登りにくい、しんどい、だるい・・・などと
訴える糖尿病患者さんが、時々おられました。
それで、これらの患者さんに栄養指導をしたところ、
ほぼ全ての患者さんにおいて、
「糖質制限+脂質制限」が実施されていて、
結果として、カロリー不足を生じていたことが確認できました。
そこで、脂質とたんぱく質はしっかり充分量摂取するように指導したところ
速やかに症状は改善しました。
今回のたがしゅう先生のケースは高雄病院のよくあるケースとは
異なっています。
以下、たがしゅう先生のコメントを私なりに要約してみました。
<受動的なパターン>と<主体性>
<受動的なパターン>
『摂取エネルギーについては十分足りている。
やや女性に多く、やせ型体型の場合が多い、
筋肉量が少なく、消化吸収能力が低い。』
『何らかの理由でストレスがかかり続けている。
それにより消化吸収機能が低下している。
消化吸収機能が低下しているから太れないし、
十分な摂取エネルギー量を確保しても吸収できず筋肉が出来上がらない。
筋肉が出来上がらないから糖新生がうまく働かない。』
『糖質制限でうまくいかない人に多くみられるパターンとしては、
体調を崩しているにも関わらずそのまま継続。
そこには「○○先生の本には続けることによって良くなると書いてあるから」だとか、
「○○先生に聞いたらエネルギー不足だと書いていたからエネルギーを増やしていれば治るはず」
というような受動的思考パターンがある。』
<主体性>
『糖質制限を実践する際には
主体性が不可欠である。
主体性、即ち自分の頭で考えて自分の判断で行動する力が必要。』
『例えば、糖質制限を始めてみて万が一体調がおかしいと思ったら、
自分に合わないと思って元に戻せばいいし、
戻した上で何がおかしかったのかを後から考えたり、わからなければ誰かに聞いたり、
何かを調べたりということをすればいい。』
私もたがしゅう先生の仰る通り、
糖質制限食を実践する場合には、主体性が必要と思います。
糖質制限食に限らずどんなことでも「自分の頭で考え、判断し、選択する」ということは大切ですね。
といっても、アドラー的には、「人は全ての行動を、自分で選択している。」
ということなのですが、そのことを、本人が認識できているか否かですね。
それと、選択する前に「自分の頭で考え、判断する」ということも肝要です。
ただこれは、「孤立して一人で主体的に生きていく。」という意味ではありません。
他者を信頼したり、他者に貢献したり、対等な人間関係を構築したり、
孤立しないことも大切です。
主体性を持ちつつ、他者ともしっかり関わりをもち、
互いに支え合っていくということです。
医師、栄養士、看護師、患者仲間、家族、友人・・・それぞれの間で、
対等な人間関係を持ちつつ主体的に生きていくというイメージですね。
このような生き方であれば、かかっているストレスも軽減する可能性が高いです。
江部康二
【18/12/31 たがしゅう
糖質制限と主体性
江部先生
いつもお世話になっております。
誠に勝手ながら自分の中で毎年恒例となっている
年末の先生への御挨拶をさせて頂きます。
確かに今年は昨年に比べてインパクトのあるニュースは少なかった印象があります。
けれど裏を返せばそれは、糖質制限が一般に広く定着してきたことの証であって、
先生が長年続けてこられた御活動が確かに実を結んでいる事の現れではないかと
感じております。
さて、私の糖質制限に関する今年の出来事を振り返りますと、
実は糖質制限でうまくいかないという方々の話を聞く機会の多い年でした。
決して多数例ではないのですが、糖質制限を実践していて体調を崩し、
その後糖質制限を解除することで体調が回復したという人達の話です。
江部先生は糖質制限で失敗するよくあるパターンとして、
糖質制限とカロリー制限を同時に行ってしまい
摂取エネルギー不足になるというのを御指摘なさいますが、
私が交流したそうした人達のお話を聞く限りは、
少なくとも摂取エネルギーについては十分足りているような食事摂取内容でした。
またパターンとしてはやや女性に多く、やせ型体型の場合が多い、
筋肉量が少なく、消化吸収能力が低いという傾向がありました。
それらの話を総合して私なりに考えてみました所、
こうした糖質制限でうまくいかない方々には
ストレスの問題が深く関わっているのではないかという結論に達しました。
その辺りの考察は拙ブログでも書かせて頂きましたので、
もしよろしければ御都合のよろしい時にでも
お目通し頂ければ有難く思います(http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-category-33.html)。
つまりは何らかの理由でストレスがかかり続けている。
それにより消化吸収機能が低下している。
消化吸収機能が低下しているから太れないし、
十分な摂取エネルギー量を確保しても吸収できず筋肉が出来上がらない。
筋肉が出来上がらないから糖新生がうまく働かない。
さらには消化吸収機能が低下する故に糖質摂取時のインスリンの分泌遅延が起こり、
機能性低血糖症の病態が起こる。
低血糖になりそうな段階で本来なら働くべき血糖上昇のバックアップが
糖新生機能が弱いために不十分となり低血糖症状を引き起こす。
もっと言えば、そうした方は
ストレスの対処を糖質摂取による血糖上昇に依存していたりするものだから、
糖質への依存度が高まってしまっていると。
だから糖質再摂取にて改善するけれど、
それではただ振り出しに戻ってしまっているだけです。
こうした考察を加えていく中で、
私は糖質制限を実践する際には
主体性が不可欠であるということを強く思うようになってきました。
主体性、即ち自分の頭で考えて自分の判断で行動する力のことです。
例えば、糖質制限を始めてみて万が一体調がおかしいと思ったら、
自分に合わないと思って元に戻せばいいし、
戻した上で何がおかしかったのかを後から考えたり、
わからなければ誰かに聞いたり、
何かを調べたりということをすればいいわけです。
ところが糖質制限でうまくいかない人に多くみられるパターンとしては、
体調を崩しているにも関わらずそのまま継続していたりするのです。
そこには「○○先生の本には続けることによって良くなると書いてあるから」だとか、
「○○先生に聞いたらエネルギー不足だと書いていたからエネルギーを増やしていれば治るはず」
というような思考パターンが見え隠れします。
こうした思考は判断が主体的ではなく受動的、
すなわち自分の頭で考えて判断するのではなく、
誰かの判断に身を委ねているということになるのではないかと思います。
先生もよくおっしゃいますように、どの食事療法にも合う合わないがあるわけですが、
その合う合わないの判断ができるのは自分しかいないわけで、
他の誰かが判断できるはずもありません。
糖質制限の普及に伴って、周りに強く勧められるがままにとか、
テレビや雑誌で良いと書いていたからとかいう理由で勢いのままに、
自分の頭で考えて納得するというプロセスを省略して、
すぐさま実践してしまうパターンが増えてきているのかもしれません。
それでもうまくいく場合にはまだ問題は少ないかもしれませんが(それでも盲目的に糖質制限を続けるというのはよくありませんが)、
たまたま上述のようにストレスが関わり体調を崩してきてしまう場合には
困ったことになってしまいます。
もっと言えばストレスの原因が糖質制限でない場合などは、
糖質制限は無関係であるにも関わらず
糖質制限が体調不良の原因とみなされてしまう可能性さえあります。
そしてそのストレスに向き合えるのもまた自分だけです。
他人が自分にしかわからないストレスの存在に気づけるはずもありません。
ですから糖質制限に取り組む場合には、
これまでにも繰り返し語られていることかもしれませんが、
自分の頭で考えて、自分の判断で行動するという主体性が不可欠であるということを
改めて再認識しました。
今後、糖質制限の発展のためには、
こうした糖質制限でうまくいかない人達の話も真摯に受け止め、
その上でどうしていくべきなのかについて話し合っていくことが、
糖質制限の信頼性をさらに高めることにつながるのではないかと考える次第です。
いささか長文となってしまい誠に恐縮ではございますが、
糖質制限推進派医師の一人として
今年一番考えさせられたことを御報告させて頂きました。
来年も引き続き宜しくお願い申し上げます。】
江部先生
私の拙いコメントを綺麗に記事にまとめて頂き心より感謝申し上げます。
さらに2点、重要な点を御指摘頂いていると思います。一つは「まぎれもない事実」について、もう一つは「主体性を持つとは孤立して一人で生きていくという意味ではない」ということです。
御指摘のように糖質制限でよくなる人がいるのも、悪くなる人がいるのもまぎれもない事実です。事実には主観的な事実と客観的な事実とがあります。
科学的根拠の有無が重視される現在の医療業界において、客観的事実のみが注目され、主観的な事実はとかく軽視されがちですが、主観的な事実も当の本人にとって立派な「事実」です。
医学論文などはえてして客観的事実として捉えられ、それと違っていると自分の主観の方を疑い、医学論文の方を信用してしまう思考パターンの人も多いように思いますが、医学論文は実はよく読み込まないと客観的事実ではなくて、誰かの「解釈」で、それが独り歩きしているという場面も多々見受けられます。
ですから自分にとっての主観的な事実が周囲の情報と異なる場合には、主観的な事実を疑いその情報に盲目的に従うのではなく、なぜ自分の場合にはそうなるのかということを自分の頭で考える必要があると私は思います。
このことは先生も御指摘のように、糖質制限食に限らず、人生を生きていく上で大切な考え方だと私は思います。
もう一つ、私は患者が主体性を持ち、医師に全てを委ねるのではなくて、自分が主導権を持って病気について考えたり、治療法について選んだりすべきだという主体的医療が今後医療をよくしていくために重要なことだと考えているのですが、
こういう話をしていると、医師の責任放棄だとか、患者は素人なのに自分の頭で考えられるわけがない、というようにあたかも見捨てられたかのようなニュアンスを受け取ってしまう方もおられるようなのですが、
そういうことではなく、素人であろうと玄人であろうと、自分の健康についての決断は自分自身が行うべきであって、その判断のためにわからないことがあれば専門家達をサポーターとして上手に利用してほしい、ということなのです。
残念ながら今の医療はほとんどの場合、治療方針は医師主導で、患者さんの方も「素人だからわからない」「先生にお任せ」という価値観が強固に根付いています。
しかし今はインターネットが普及し、昔に比べて医療情報は容易に入手できるようになりましたし、わからないことをしかるべき人へ質問できる環境も整ってきました。
そして医師にお任せではなく、自らが動くことの重要性は糖質制限を通じてよく理解することができた人も多いのではないかと思います。何を隠そう私もそのうちの一人です。
ならば、今まで通り「素人だからわからない」と他人の医師に任せ続けるのか、それともわからないなりにも調べたり人に聞いたりして自分の頭で考え続けるか、どちらにするかは自分で選ぶことができるわけですから、
自分が本当に希望する医療を受けたいのであれば、医師、栄養士、看護師、患者仲間、家族、友人…みんなと良い人間関係を築きながら、互いに支え合っていけば、自分の中での主観的な事実にも配慮でき、希望通りの医療が受けられるのではないかと私は考える次第です。
新春早々、頭の中を整理する良い機会となりました。重ね重ね深謝申し上げます。
今年も何卒宜しくお願い申し上げます。
私の拙いコメントを綺麗に記事にまとめて頂き心より感謝申し上げます。
さらに2点、重要な点を御指摘頂いていると思います。一つは「まぎれもない事実」について、もう一つは「主体性を持つとは孤立して一人で生きていくという意味ではない」ということです。
御指摘のように糖質制限でよくなる人がいるのも、悪くなる人がいるのもまぎれもない事実です。事実には主観的な事実と客観的な事実とがあります。
科学的根拠の有無が重視される現在の医療業界において、客観的事実のみが注目され、主観的な事実はとかく軽視されがちですが、主観的な事実も当の本人にとって立派な「事実」です。
医学論文などはえてして客観的事実として捉えられ、それと違っていると自分の主観の方を疑い、医学論文の方を信用してしまう思考パターンの人も多いように思いますが、医学論文は実はよく読み込まないと客観的事実ではなくて、誰かの「解釈」で、それが独り歩きしているという場面も多々見受けられます。
ですから自分にとっての主観的な事実が周囲の情報と異なる場合には、主観的な事実を疑いその情報に盲目的に従うのではなく、なぜ自分の場合にはそうなるのかということを自分の頭で考える必要があると私は思います。
このことは先生も御指摘のように、糖質制限食に限らず、人生を生きていく上で大切な考え方だと私は思います。
もう一つ、私は患者が主体性を持ち、医師に全てを委ねるのではなくて、自分が主導権を持って病気について考えたり、治療法について選んだりすべきだという主体的医療が今後医療をよくしていくために重要なことだと考えているのですが、
こういう話をしていると、医師の責任放棄だとか、患者は素人なのに自分の頭で考えられるわけがない、というようにあたかも見捨てられたかのようなニュアンスを受け取ってしまう方もおられるようなのですが、
そういうことではなく、素人であろうと玄人であろうと、自分の健康についての決断は自分自身が行うべきであって、その判断のためにわからないことがあれば専門家達をサポーターとして上手に利用してほしい、ということなのです。
残念ながら今の医療はほとんどの場合、治療方針は医師主導で、患者さんの方も「素人だからわからない」「先生にお任せ」という価値観が強固に根付いています。
しかし今はインターネットが普及し、昔に比べて医療情報は容易に入手できるようになりましたし、わからないことをしかるべき人へ質問できる環境も整ってきました。
そして医師にお任せではなく、自らが動くことの重要性は糖質制限を通じてよく理解することができた人も多いのではないかと思います。何を隠そう私もそのうちの一人です。
ならば、今まで通り「素人だからわからない」と他人の医師に任せ続けるのか、それともわからないなりにも調べたり人に聞いたりして自分の頭で考え続けるか、どちらにするかは自分で選ぶことができるわけですから、
自分が本当に希望する医療を受けたいのであれば、医師、栄養士、看護師、患者仲間、家族、友人…みんなと良い人間関係を築きながら、互いに支え合っていけば、自分の中での主観的な事実にも配慮でき、希望通りの医療が受けられるのではないかと私は考える次第です。
新春早々、頭の中を整理する良い機会となりました。重ね重ね深謝申し上げます。
今年も何卒宜しくお願い申し上げます。
たがしゅう 先生
コメント、ありがとうございます。
『事実には主観的な事実と客観的な事実とがあります。』
このような視点で考えていなかったので、とても勉強になります。
確かに、現在の西洋医学は、「主観的な事実」が軽視されていますね。
そういう意味では、漢方は、風邪のひきはじめで38度の発熱があるときに
「寒気が強いのか」「熱感が強いのか」で、診断が異なり、『寒い風邪』と『熱い風』で処方も当然異なります。
西洋医学なら、寒気とか熱感とか主観的事実は無視で、
<解熱剤、咳止め、痰切り、場合により抗生剤>といったワンパターンの処方です。
一漢方医として、主観的事実は大切にしていて、臨床では漢方処方に活用していたはずなのに
あまり、意識していなかったことを反省しています。
『素人であろうと玄人であろうと、自分の健康についての決断は自分自身が行うべきであって、その判断のためにわからないことがあれば専門家達をサポーターとして上手に利用してほしい』
そうですね。
そういった生き方を実践する上で、導入として『糖質制限食』はとてもわかりやすいと思います。
コメント、ありがとうございます。
『事実には主観的な事実と客観的な事実とがあります。』
このような視点で考えていなかったので、とても勉強になります。
確かに、現在の西洋医学は、「主観的な事実」が軽視されていますね。
そういう意味では、漢方は、風邪のひきはじめで38度の発熱があるときに
「寒気が強いのか」「熱感が強いのか」で、診断が異なり、『寒い風邪』と『熱い風』で処方も当然異なります。
西洋医学なら、寒気とか熱感とか主観的事実は無視で、
<解熱剤、咳止め、痰切り、場合により抗生剤>といったワンパターンの処方です。
一漢方医として、主観的事実は大切にしていて、臨床では漢方処方に活用していたはずなのに
あまり、意識していなかったことを反省しています。
『素人であろうと玄人であろうと、自分の健康についての決断は自分自身が行うべきであって、その判断のためにわからないことがあれば専門家達をサポーターとして上手に利用してほしい』
そうですね。
そういった生き方を実践する上で、導入として『糖質制限食』はとてもわかりやすいと思います。
2019/01/03(Thu) 10:04 | URL | ドクター江部 | 【編集】
2019年度、再開です。東京教室開設、執筆、講演と、開催が滞っていましたが、北九州教室を縮小。東京教室を2教室に増設で日程に余裕を作りました。週末、北九州に帰る日になんとか組み入れたいと考えています。フェースブックなどのSNSを使ってつながることも、もちろん大事ですが、リアルで「美味しく楽しく」勉強できる場も捨てがたいと思うからです。江部先生はじめ、糖質制限の諸先生もお招きして盛り上げたいですね。
2019/01/03(Thu) 12:53 | URL | 北九州・東京 三島 | 【編集】
都内河北 鈴木です。
本日のコメント欄、両先生のコメントを読み私は「糖尿病重症化して行く21年の患者が、3か月足らずで生還し、その後覚醒して行く事実です!!」
私は、改善治療目的で病院へ行き、
専門医に医療世界情報隠蔽されて、
薬増量し、病態悪化し、殺されかけたのです!!
私は体験から、日本国の専門医は、治療知識の時代進化解明の知識不足だけでなく、
「患者より、知識不足で、反省学習無い無能者達への、
生命継続左右する判断皆無医療者の強制終了の指示のない日本国の組織だと
理解をして、改善への判断可否をするべきだと考えます!!」
詳細はともかく、私は面識無い、利害関係無い
江部康二医師
「糖質制限理論」を理解把握して、
「生還、覚醒」している患者がいることは、
「改善医療デ~タ、当時の病院側の考え」を
提示する事が可能だから発言しています!!
現在の私は、自身の改善医療デ~タ提示して説明していますが、
「糖質制限理論」実践可否は、不明だと考えます。
事実は伝えていますが、私は時々考えるのは、
「国を信じるあまり、判断基準に国は正しいと洗脳に気付かない事です!!」
「狼は生きろ!!豚は死ね!!」
名訓通りかなと思う事が多々有ります。
先生方には、言えない事かなと思いますが。
現在の専門知識は、ネット・グロ~バル時代には、
「知識不足は有り得ない事」かと考えます!!
ましてや専門医が「知識不足で、反省学習皆無」ではと考えます!!
少なくとも私は、糖尿病・21年間・重症化していた患者が、都内肩書ある病院で、
「日本糖尿病学会・公認医」に治療と称していた治療で悪化一途の患者が、
「糖質制限理論」実践で翌日より効果有り、
3か月足らずでインスリン投与者が、
ヘモグロビン正常化しました!!
という事実です!!
その後2年足らずで、自身人体実験するも「糖尿病薬、全て自主離脱」しました!!
その後、
2年後「眼・眼底検査希少改善!!」
4年後「脳外科・頸動脈プラ~ク希少改善!!」
した医療確証デ~タ事実!!
私は、頭のボケ防止兼ね、頭脳体操兼ねて、
「日本医療界が改革するまで」微力ながら可能な限り
更なる改善求め「生還、覚醒」事実をコメントして行きます!!
江部先生には、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
本日のコメント欄、両先生のコメントを読み私は「糖尿病重症化して行く21年の患者が、3か月足らずで生還し、その後覚醒して行く事実です!!」
私は、改善治療目的で病院へ行き、
専門医に医療世界情報隠蔽されて、
薬増量し、病態悪化し、殺されかけたのです!!
私は体験から、日本国の専門医は、治療知識の時代進化解明の知識不足だけでなく、
「患者より、知識不足で、反省学習無い無能者達への、
生命継続左右する判断皆無医療者の強制終了の指示のない日本国の組織だと
理解をして、改善への判断可否をするべきだと考えます!!」
詳細はともかく、私は面識無い、利害関係無い
江部康二医師
「糖質制限理論」を理解把握して、
「生還、覚醒」している患者がいることは、
「改善医療デ~タ、当時の病院側の考え」を
提示する事が可能だから発言しています!!
現在の私は、自身の改善医療デ~タ提示して説明していますが、
「糖質制限理論」実践可否は、不明だと考えます。
事実は伝えていますが、私は時々考えるのは、
「国を信じるあまり、判断基準に国は正しいと洗脳に気付かない事です!!」
「狼は生きろ!!豚は死ね!!」
名訓通りかなと思う事が多々有ります。
先生方には、言えない事かなと思いますが。
現在の専門知識は、ネット・グロ~バル時代には、
「知識不足は有り得ない事」かと考えます!!
ましてや専門医が「知識不足で、反省学習皆無」ではと考えます!!
少なくとも私は、糖尿病・21年間・重症化していた患者が、都内肩書ある病院で、
「日本糖尿病学会・公認医」に治療と称していた治療で悪化一途の患者が、
「糖質制限理論」実践で翌日より効果有り、
3か月足らずでインスリン投与者が、
ヘモグロビン正常化しました!!
という事実です!!
その後2年足らずで、自身人体実験するも「糖尿病薬、全て自主離脱」しました!!
その後、
2年後「眼・眼底検査希少改善!!」
4年後「脳外科・頸動脈プラ~ク希少改善!!」
した医療確証デ~タ事実!!
私は、頭のボケ防止兼ね、頭脳体操兼ねて、
「日本医療界が改革するまで」微力ながら可能な限り
更なる改善求め「生還、覚醒」事実をコメントして行きます!!
江部先生には、感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2019/01/03(Thu) 14:38 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集】
北九州・東京 三島 さん
「糖質セイゲニストin北九州・月例会の再開」
それはいいですね。
何と知っても三島さんの「ルーツ」みたいなものですから、応援します。
「糖質セイゲニストin北九州・月例会の再開」
それはいいですね。
何と知っても三島さんの「ルーツ」みたいなものですから、応援します。
2019/01/03(Thu) 15:16 | URL | ドクター江部 | 【編集】
http://news.livedoor.com/article/detail/15824080/
このような記事がありました。
糖質制限していればお酒飲み放題喫煙もOKと考えてる人達も少なからずいるようですね。
昨年は酒は筋肉にやはり良くないと実感しかなり飲酒を控えることができました。
年末年始はさすがに毎日飲酒してますが、また日常に戻ってたまに飲む酒を楽しみにしたいです。
このような記事がありました。
糖質制限していればお酒飲み放題喫煙もOKと考えてる人達も少なからずいるようですね。
昨年は酒は筋肉にやはり良くないと実感しかなり飲酒を控えることができました。
年末年始はさすがに毎日飲酒してますが、また日常に戻ってたまに飲む酒を楽しみにしたいです。
2019/01/03(Thu) 16:14 | URL | 愛 | 【編集】
愛 さん
仰る通りと思います。
いくら糖質制限をしていても、タバコにも酒にもそれぞれ害があります。
特に「タバコ+酒」だと、極めて有害となります。
仰る通りと思います。
いくら糖質制限をしていても、タバコにも酒にもそれぞれ害があります。
特に「タバコ+酒」だと、極めて有害となります。
2019/01/03(Thu) 17:40 | URL | ドクター江部 | 【編集】
あけましておめでとうとございます。
糖質制限とは少し内容が異なりますが、私は数年前に不安障害を発症し心療内科で薬物治療の経験があります(現在は寛解)。
その時に治療に対する主体性と自己責任を学びました。
向精神薬の殆どはプラセボに対して有意性がなく、ただし副作用はしっかりとある。その中から自分に合った薬、量を見つける試行錯誤が必要になります。量の加減は自己責任で調整する以外になく、副作用も自分で自主的に判断して主治医と相談するしかない世界でした。私の主治医も量の調整などは「この範囲内で試してね」と言う感じでした。患者から医師へのフィードバックがなければ治療できない世界だと思います。
糖尿病を発症した今、この時の経験が大いに生かされ、主治医(糖質制限非推奨)から糖質量を増やせと言われても「自分で決めた治療方針」に従えば限界量はここだ、薬はこれこれを処方してほしいと自信を持って反論できるようになりました(嫌な患者ですね)。当然、自己責任ですからこの1年の間に糖尿病関連の書籍も20冊以上読みました(江部先生のご著書も数冊、このブログでアドバイスして頂いた事も役立っており感謝しております)。
不安障害はスーパー糖質制限を始めて完全に治りました。今考えると血糖値の乱高下が原因だったように思います。
糖質制限とは少し内容が異なりますが、私は数年前に不安障害を発症し心療内科で薬物治療の経験があります(現在は寛解)。
その時に治療に対する主体性と自己責任を学びました。
向精神薬の殆どはプラセボに対して有意性がなく、ただし副作用はしっかりとある。その中から自分に合った薬、量を見つける試行錯誤が必要になります。量の加減は自己責任で調整する以外になく、副作用も自分で自主的に判断して主治医と相談するしかない世界でした。私の主治医も量の調整などは「この範囲内で試してね」と言う感じでした。患者から医師へのフィードバックがなければ治療できない世界だと思います。
糖尿病を発症した今、この時の経験が大いに生かされ、主治医(糖質制限非推奨)から糖質量を増やせと言われても「自分で決めた治療方針」に従えば限界量はここだ、薬はこれこれを処方してほしいと自信を持って反論できるようになりました(嫌な患者ですね)。当然、自己責任ですからこの1年の間に糖尿病関連の書籍も20冊以上読みました(江部先生のご著書も数冊、このブログでアドバイスして頂いた事も役立っており感謝しております)。
不安障害はスーパー糖質制限を始めて完全に治りました。今考えると血糖値の乱高下が原因だったように思います。
2019/01/04(Fri) 08:08 | URL | 西村典彦 | 【編集】
西村典彦 さん
不安障害が、スーパー糖質制限食で治ったとは、良かったです。
『主治医(糖質制限非推奨)から糖質量を増やせと言われても
「自分で決めた治療方針」に従えば限界量はここだ、
薬はこれこれを処方してほしいと自信を持って反論できる』
これも素晴らしいです。
患者さんが自分の病気のことを勉強して、いろいろ質問してくれるのは
私は大歓迎です。
アドラー的には、「人は全ての行動を、自分で選択している。」
ということですが、
西村さんは、そのことを認識しておられるのだと思います。
不安障害が、スーパー糖質制限食で治ったとは、良かったです。
『主治医(糖質制限非推奨)から糖質量を増やせと言われても
「自分で決めた治療方針」に従えば限界量はここだ、
薬はこれこれを処方してほしいと自信を持って反論できる』
これも素晴らしいです。
患者さんが自分の病気のことを勉強して、いろいろ質問してくれるのは
私は大歓迎です。
アドラー的には、「人は全ての行動を、自分で選択している。」
ということですが、
西村さんは、そのことを認識しておられるのだと思います。
2019/01/04(Fri) 15:23 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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