2018年12月09日 (日)
おはようございます。
少し前になりますが、
「2型糖尿病の薬物による厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度」
という驚くべき結論の論文が発表されました(*1)。
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌(BMJ誌)2011年7月30日号の報告です。
1950年から2010年までに登録された多数の臨床試験の中から、
厳しい条件を満たした信頼度の極めて高い研究を13件ほど選出して、メタ解析したのが上記論文報告です。
メタ解析とは多数の研究の結果を統合して症例数を増やし、より俯瞰的な見地から分析することで信頼度を高める手法です。
大変びっくりするような内容ですが、エビデンスレベルは最高ランクの論文です。
信頼度の極めて高い論文によって、2型糖尿病患者に対して厳格な血糖管理を行っても、
総死亡・心血管死亡リスクの改善効果はごくわずかで、重症低血糖リスクは2倍以上になることが、明らかとなりました。
さらに、厳格血糖管理群で、かえって死亡リスクが高まることも充分あり得るという、恐るべき結論です。
そして、2008年の米国糖尿病学会で報告されたACCORD試験では、厳格管理群の総死亡率が標準治療群より有意に上昇し、物議をかもしたのは記憶に新しいところです。
コントロール良好になるほど総死亡率は減少すると考えられていたのに真逆だったわけで、これも衝撃の報告でした。
ACCORDは、米国とカナダの77施設の10251例による大規模臨床試験です。
2008年2月、厳格血糖管理群における総死亡率および心血管死亡率が、通常血糖管理群を有意に上回ることが確認され、
同試験は5年間の期間満了を待たずに平均追跡期間3.4年で緊急中止となりました。
総死亡率が高まることが明確になった治療法群(厳格治療群)を、このまま予定の5年間まであと1.6年も続けることは、
倫理的に許されないということでの決断でした。
中止時の平均HbA1cは、厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。
今までの医学界の常識なら6.4%群のほうが7.5%群より当然、総死亡率は減少するはずなのに、
かえって増えてしまったわけで、研究者の戸惑いは想像に難くありません。
国際糖尿病連合によれば、HbA1cは6.5%未満が目標です。
ACCORD試験の結果はその後、ニューイングランドジャーナルに掲載されましたが、
やはりエビデンスレベルは極めて高い論文です(*2)。
さらに「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」という衝撃的な結論の研究報告が、
英国の医学雑誌ランセット誌2010年2月6日号に、発表されました(*3)。
HbA1cが9%、10%のグループの死亡率が、7.5%のグループより高いことは容易に頷けますが、
6.5%のグループの死亡率も7.5%のグループより高かったことは、従来の常識では考えられないことであり、
ここでも世界の医学界は衝撃を受けました。
「今後の研究で確認されれば、ガイドラインのHbA1cを特定の値より下げすぎないよう指示する必要が出てくるだろう。」
との見解を著者らは述べています。この研究論文もエビデンスレベルは高いです。
結局、北米と英国の大規模臨床試験において、HbA1c6.4%や6.5%と厳格に薬物治療すると、
HbA1c7.5%ていどのグループに比較して、かえって総死亡率および心血管死亡率が上昇するという、
同一のパラドックスが報告されたわけです。
『血糖コントロール良好を目指してHbA1cを下げるべく厳格に薬物療法を行うとかえって総死亡率が上昇する』
という信頼度の高い研究報告が2つなされたわけですが、勿論これには理由があるはずです。
すなわち<糖質摂取+薬物療法>による血糖値の乱高下と頻回の低血糖が、死亡率上昇の大きな要因と考えられます。
普通に糖質を摂取して、厳格な血糖コントロールのために薬物を増量すれば、低血糖の頻度は必然的に増加します。
BMJ誌の「2型糖尿病の薬物による厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度」という結論も
また宜なるかなです。
こうなると、従来の糖尿病食(糖質たっぷり)を摂取しながら、インスリン注射や経口血糖降下薬などを内服している糖尿人は、
ある程度の合併症はやむをえず受け入れても総死亡率を減らすためには、
コントロール目標はHbA1c7.5%くらいを目指すのが最も安全ということができます。
厳格な薬物療法をやめれば、少なくとも低血糖リスクは減ります。
日本の糖尿病患者のほとんどが、糖質を普通に食べているわけなので、
従来の日本糖尿病学会のHbA1cの目標値(7.0%未満)も考えなおして、
7.5%程度とするほうが、安全である可能性があります。
勿論、糖質制限食実践中の糖尿病患者は、HbA1c6.2%未満をめざすのがよいと思います。
糖質制限食なら、薬物療法はないか、あっても必要最低限しか使用しません。
そうすると低血糖リスクはほとんどなくなり、血糖値の乱高下は生じず、合併症の心配もなく、
安全に血糖コントロールが可能です。
糖尿人のご同輩、くれぐれも、美味しく楽しく末長く、糖質制限食ですね。
(*1)
Effect of intensive glucose lowering treatment on all cause mortality, cardiovascular death,
and microvascular events in type 2 diabetes: meta-analysis of randomised controlled trials
BMJ. 2011 Jul 26;343:d4169. doi: 10.1136/bmj.d4169.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21791495
(*2)
ACCORD
Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group, , Miller ME, Byington RP, Goff DC, Bigger JT, Buse JB, Cushman WC, Genuth S, Ismail-Beigi F, et al.: Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes. N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559.
(*3)
The Lancet
VOLUME 375, ISSUE 9713, P481-489, FEBRUARY 06, 2010
Survival as a function of HbA1c in people with type 2 diabetes: a retrospective cohort study
江部康二
少し前になりますが、
「2型糖尿病の薬物による厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度」
という驚くべき結論の論文が発表されました(*1)。
ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル誌(BMJ誌)2011年7月30日号の報告です。
1950年から2010年までに登録された多数の臨床試験の中から、
厳しい条件を満たした信頼度の極めて高い研究を13件ほど選出して、メタ解析したのが上記論文報告です。
メタ解析とは多数の研究の結果を統合して症例数を増やし、より俯瞰的な見地から分析することで信頼度を高める手法です。
大変びっくりするような内容ですが、エビデンスレベルは最高ランクの論文です。
信頼度の極めて高い論文によって、2型糖尿病患者に対して厳格な血糖管理を行っても、
総死亡・心血管死亡リスクの改善効果はごくわずかで、重症低血糖リスクは2倍以上になることが、明らかとなりました。
さらに、厳格血糖管理群で、かえって死亡リスクが高まることも充分あり得るという、恐るべき結論です。
そして、2008年の米国糖尿病学会で報告されたACCORD試験では、厳格管理群の総死亡率が標準治療群より有意に上昇し、物議をかもしたのは記憶に新しいところです。
コントロール良好になるほど総死亡率は減少すると考えられていたのに真逆だったわけで、これも衝撃の報告でした。
ACCORDは、米国とカナダの77施設の10251例による大規模臨床試験です。
2008年2月、厳格血糖管理群における総死亡率および心血管死亡率が、通常血糖管理群を有意に上回ることが確認され、
同試験は5年間の期間満了を待たずに平均追跡期間3.4年で緊急中止となりました。
総死亡率が高まることが明確になった治療法群(厳格治療群)を、このまま予定の5年間まであと1.6年も続けることは、
倫理的に許されないということでの決断でした。
中止時の平均HbA1cは、厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。
今までの医学界の常識なら6.4%群のほうが7.5%群より当然、総死亡率は減少するはずなのに、
かえって増えてしまったわけで、研究者の戸惑いは想像に難くありません。
国際糖尿病連合によれば、HbA1cは6.5%未満が目標です。
ACCORD試験の結果はその後、ニューイングランドジャーナルに掲載されましたが、
やはりエビデンスレベルは極めて高い論文です(*2)。
さらに「2型糖尿病患者の死亡率はHbA1c7.5%前後が最も低い」という衝撃的な結論の研究報告が、
英国の医学雑誌ランセット誌2010年2月6日号に、発表されました(*3)。
HbA1cが9%、10%のグループの死亡率が、7.5%のグループより高いことは容易に頷けますが、
6.5%のグループの死亡率も7.5%のグループより高かったことは、従来の常識では考えられないことであり、
ここでも世界の医学界は衝撃を受けました。
「今後の研究で確認されれば、ガイドラインのHbA1cを特定の値より下げすぎないよう指示する必要が出てくるだろう。」
との見解を著者らは述べています。この研究論文もエビデンスレベルは高いです。
結局、北米と英国の大規模臨床試験において、HbA1c6.4%や6.5%と厳格に薬物治療すると、
HbA1c7.5%ていどのグループに比較して、かえって総死亡率および心血管死亡率が上昇するという、
同一のパラドックスが報告されたわけです。
『血糖コントロール良好を目指してHbA1cを下げるべく厳格に薬物療法を行うとかえって総死亡率が上昇する』
という信頼度の高い研究報告が2つなされたわけですが、勿論これには理由があるはずです。
すなわち<糖質摂取+薬物療法>による血糖値の乱高下と頻回の低血糖が、死亡率上昇の大きな要因と考えられます。
普通に糖質を摂取して、厳格な血糖コントロールのために薬物を増量すれば、低血糖の頻度は必然的に増加します。
BMJ誌の「2型糖尿病の薬物による厳格な血糖管理の利益はわずか、低血糖リスクに相殺される程度」という結論も
また宜なるかなです。
こうなると、従来の糖尿病食(糖質たっぷり)を摂取しながら、インスリン注射や経口血糖降下薬などを内服している糖尿人は、
ある程度の合併症はやむをえず受け入れても総死亡率を減らすためには、
コントロール目標はHbA1c7.5%くらいを目指すのが最も安全ということができます。
厳格な薬物療法をやめれば、少なくとも低血糖リスクは減ります。
日本の糖尿病患者のほとんどが、糖質を普通に食べているわけなので、
従来の日本糖尿病学会のHbA1cの目標値(7.0%未満)も考えなおして、
7.5%程度とするほうが、安全である可能性があります。
勿論、糖質制限食実践中の糖尿病患者は、HbA1c6.2%未満をめざすのがよいと思います。
糖質制限食なら、薬物療法はないか、あっても必要最低限しか使用しません。
そうすると低血糖リスクはほとんどなくなり、血糖値の乱高下は生じず、合併症の心配もなく、
安全に血糖コントロールが可能です。
糖尿人のご同輩、くれぐれも、美味しく楽しく末長く、糖質制限食ですね。
(*1)
Effect of intensive glucose lowering treatment on all cause mortality, cardiovascular death,
and microvascular events in type 2 diabetes: meta-analysis of randomised controlled trials
BMJ. 2011 Jul 26;343:d4169. doi: 10.1136/bmj.d4169.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21791495
(*2)
ACCORD
Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group, , Miller ME, Byington RP, Goff DC, Bigger JT, Buse JB, Cushman WC, Genuth S, Ismail-Beigi F, et al.: Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes. N Engl J Med 2008; 358: 2545-2559.
(*3)
The Lancet
VOLUME 375, ISSUE 9713, P481-489, FEBRUARY 06, 2010
Survival as a function of HbA1c in people with type 2 diabetes: a retrospective cohort study
江部康二
都内河北 鈴木です。
本日記事内容は、
「現在の日本の既存の医療者、特に「日本糖尿病学会」は知っていても説明しない事」
かなと思います!!
私は、「都区内で肩書ある病院」で、
「日本糖尿病学会・公認医」に、
改善しないのは、「患者の私自身の努力不足だから」と21年間の後半、
「世界は解明していた時期」に、7年間も言われていました!!
2005年転移時から、7年間「医療世界情報・隠蔽」された状況の私が、
20012,10,1、より
私は、江部先生「糖質制限理論」を理解把握して3か月足らずで、
インスリン自主離脱してヘモグロビン正常化して、
「生還」し、「覚醒」もしています。
「覚醒」は、「2年目・眼底、4年目・脳梗塞頸動脈プラ~ク」に
「血管希少改善」しています。
「糖質制限理論」実践、現在8年目に入り現在も改善目指しています!!
日々の時代進化解明のブログ内容には「安心」への記事ばかりで、
心安らぎます!!
私は、21年間、後半7年間「医療世界情報・隠蔽」されていた、
殺されかけた被害者として、「糖質制限理論」で「生還結果を出した」患者の
「確証有る医療デ~タ、書面を持っている」から発言します!!
日本の医療者、特に「日本糖尿病学会」という組織は、
何故改善無い「カロリ~制限理論」を信奉して、
時代が世界へネットグロ~バル化した現在にも、患者が生還結果出しても
「何の反省学習無い事」には、呆れます!!
江部先生には、本日記事も感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
本日記事内容は、
「現在の日本の既存の医療者、特に「日本糖尿病学会」は知っていても説明しない事」
かなと思います!!
私は、「都区内で肩書ある病院」で、
「日本糖尿病学会・公認医」に、
改善しないのは、「患者の私自身の努力不足だから」と21年間の後半、
「世界は解明していた時期」に、7年間も言われていました!!
2005年転移時から、7年間「医療世界情報・隠蔽」された状況の私が、
20012,10,1、より
私は、江部先生「糖質制限理論」を理解把握して3か月足らずで、
インスリン自主離脱してヘモグロビン正常化して、
「生還」し、「覚醒」もしています。
「覚醒」は、「2年目・眼底、4年目・脳梗塞頸動脈プラ~ク」に
「血管希少改善」しています。
「糖質制限理論」実践、現在8年目に入り現在も改善目指しています!!
日々の時代進化解明のブログ内容には「安心」への記事ばかりで、
心安らぎます!!
私は、21年間、後半7年間「医療世界情報・隠蔽」されていた、
殺されかけた被害者として、「糖質制限理論」で「生還結果を出した」患者の
「確証有る医療デ~タ、書面を持っている」から発言します!!
日本の医療者、特に「日本糖尿病学会」という組織は、
何故改善無い「カロリ~制限理論」を信奉して、
時代が世界へネットグロ~バル化した現在にも、患者が生還結果出しても
「何の反省学習無い事」には、呆れます!!
江部先生には、本日記事も感謝尽きません!!
ありがとうございます。
敬具
2018/12/09(Sun) 17:44 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集】
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