2017年08月10日 (木)
こんばんは。
高雄病院では糖尿病患者さんに
CGM(持続血糖測定)を実施しています。
初回入院の患者さんは、
第1日目と2日目は、従来の糖尿病食(高糖質食)を食べて貰います。
第3日目からは、スーパー糖質制限食に変更します。
摂取カロリーは、従来の糖尿病食とスーパー糖質制限食で、同一としています。
CGMは非常に情報量が多い検査で、極めて有用です。
もっと、普及したらいいのになと思います。
例えば内服薬なしで、第1日目と2日目に
従来の糖尿病食を食べていただいた2型糖尿病患者さんで
夕食後は軽く200mg/dlを軽く超えていた方がおられました。
その人は翌朝明け方の午前3時頃には、
血糖値は60mg/dlを切っていました。
自覚症状はなかったので、CGMをしていなかったら、
全くわからなかったと思います。
HbA1cは6.8%くらいでまあまあコントロール良好でした。
午前8時の空腹時血糖値は、100mgくらいでした。
そのとき思ったのは、薬があるなしに関わらず、
実は日本中にこのようなケースが沢山あるのではないかということです。
このケース、HbA1cと午前8時の血糖値はコントロール良好ですが、
24時間を通して観察すると「血糖値の乱高下」が生じているので
酸化ストレスが増大していて、糖尿病合併症のリスクはたっぷりあります。
HbA1cはあくまでも平均血糖値を示しているに過ぎないので、
<血糖値の乱高下、平均血糖変動幅増大、食後高血糖、低血糖>
が存在したとしても、それを拾い上げることは不可能なのです。
しかしながら、現行の日本糖尿病学会の「血糖コントロール目標」は
HbA1cであり、7.0%未満が、合併症予防の目標値です。
そしてほとんどの病院において、
「HbA1cと早朝空腹時血糖値」により、糖尿病コントロールの評価をしています。
これでは、
「血糖値の乱高下 → 平均血糖変動幅増大」 及び 「食後高血糖」
という最大の酸化ストレスリスクも「低血糖」もチェックできません。
従って、例え「HbA1cと早朝空腹時血糖値」がコントロール良好でも、
糖尿病合併症を起こしてまう糖尿病患者さんが、後を絶たないわけです。
日本では、2012年の統計まで糖尿病患者は増え続けています。
そして、日本では、糖尿病合併症は米国と異なり減少していません。
米国では糖尿病は増え続けていますが、糖尿病合併症は激減しています。
日本糖尿病学会『第56回日本糖尿病学会年次学術集会』熊本宣言2013
の記載が以下です。
『糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していません。
糖尿病腎症で透析になる人が年間16000人以上。
糖尿病網膜症で失明する人が年間3000人以上。
糖尿病足病変で切断する人が年間3000人以上。』
日本では、ほとんどの糖尿病患者さんが
糖質摂取比率50~60%のカロリー制限食を指導されています。
高糖質食を糖尿病患者さんが摂取すれば、
<血糖値の乱高下、平均血糖変動幅増大、食後高血糖>を必ず生じます。
人によれば、低血糖を生じることもあります。
これでは、糖尿病合併症が、減らないのも当たり前としか言いようがありません。
スーパー糖質制限食なら
<血糖値の乱高下、平均血糖変動幅増大、食後高血糖、低血糖>
は生じません。
このことは、CGMで明らかです。
純粋理論的に、糖尿病合併症を予防できる唯一の食事療法が
『糖質制限食』であることは、明白と思います。
日本全国の糖尿人の皆さん、
とにかくできるだけ早く、間に合う内に糖質制限食を導入して
糖尿病合併症を防ぎましょう。
江部康二
高雄病院では糖尿病患者さんに
CGM(持続血糖測定)を実施しています。
初回入院の患者さんは、
第1日目と2日目は、従来の糖尿病食(高糖質食)を食べて貰います。
第3日目からは、スーパー糖質制限食に変更します。
摂取カロリーは、従来の糖尿病食とスーパー糖質制限食で、同一としています。
CGMは非常に情報量が多い検査で、極めて有用です。
もっと、普及したらいいのになと思います。
例えば内服薬なしで、第1日目と2日目に
従来の糖尿病食を食べていただいた2型糖尿病患者さんで
夕食後は軽く200mg/dlを軽く超えていた方がおられました。
その人は翌朝明け方の午前3時頃には、
血糖値は60mg/dlを切っていました。
自覚症状はなかったので、CGMをしていなかったら、
全くわからなかったと思います。
HbA1cは6.8%くらいでまあまあコントロール良好でした。
午前8時の空腹時血糖値は、100mgくらいでした。
そのとき思ったのは、薬があるなしに関わらず、
実は日本中にこのようなケースが沢山あるのではないかということです。
このケース、HbA1cと午前8時の血糖値はコントロール良好ですが、
24時間を通して観察すると「血糖値の乱高下」が生じているので
酸化ストレスが増大していて、糖尿病合併症のリスクはたっぷりあります。
HbA1cはあくまでも平均血糖値を示しているに過ぎないので、
<血糖値の乱高下、平均血糖変動幅増大、食後高血糖、低血糖>
が存在したとしても、それを拾い上げることは不可能なのです。
しかしながら、現行の日本糖尿病学会の「血糖コントロール目標」は
HbA1cであり、7.0%未満が、合併症予防の目標値です。
そしてほとんどの病院において、
「HbA1cと早朝空腹時血糖値」により、糖尿病コントロールの評価をしています。
これでは、
「血糖値の乱高下 → 平均血糖変動幅増大」 及び 「食後高血糖」
という最大の酸化ストレスリスクも「低血糖」もチェックできません。
従って、例え「HbA1cと早朝空腹時血糖値」がコントロール良好でも、
糖尿病合併症を起こしてまう糖尿病患者さんが、後を絶たないわけです。
日本では、2012年の統計まで糖尿病患者は増え続けています。
そして、日本では、糖尿病合併症は米国と異なり減少していません。
米国では糖尿病は増え続けていますが、糖尿病合併症は激減しています。
日本糖尿病学会『第56回日本糖尿病学会年次学術集会』熊本宣言2013
の記載が以下です。
『糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していません。
糖尿病腎症で透析になる人が年間16000人以上。
糖尿病網膜症で失明する人が年間3000人以上。
糖尿病足病変で切断する人が年間3000人以上。』
日本では、ほとんどの糖尿病患者さんが
糖質摂取比率50~60%のカロリー制限食を指導されています。
高糖質食を糖尿病患者さんが摂取すれば、
<血糖値の乱高下、平均血糖変動幅増大、食後高血糖>を必ず生じます。
人によれば、低血糖を生じることもあります。
これでは、糖尿病合併症が、減らないのも当たり前としか言いようがありません。
スーパー糖質制限食なら
<血糖値の乱高下、平均血糖変動幅増大、食後高血糖、低血糖>
は生じません。
このことは、CGMで明らかです。
純粋理論的に、糖尿病合併症を予防できる唯一の食事療法が
『糖質制限食』であることは、明白と思います。
日本全国の糖尿人の皆さん、
とにかくできるだけ早く、間に合う内に糖質制限食を導入して
糖尿病合併症を防ぎましょう。
江部康二
糖質制限5年経過しております。
今ではスタンダードに近い形となってしまいました。
やはり自分には甘いものですね。
ただ、1度の食事での糖質摂取量には気を付けています。
しかし、1日のトータルの糖質摂取量にしてみれば、100g近い値になってるのかもしれません。
さて、糖質制限を始めた当初、食欲がものすごくありました。
年数を経過しても、大食といえるほど食べることができました。
5年目になり、変化がありました。
朝食では、それほど食事の量が欲しくないのです。
夏バテか?と思ったりもしましたが、そうでもないようです。
糖質制限をすると、血糖に関する劇的な改善が身体の中で起こるのでしょうね。
数値はすぐに変わります。
ですが、本当に体になじむには4~5年くらいは必要なのかなと感じたりもしました。
無論、これからも自分に甘い糖質制限を続けていきます。
少し感じたことを勝手に書かせていただきました。
また、1度の食事の糖質摂取量を20g以下に抑えても、1日の総摂取量が100gを超えると、やはり体の劣化は抑えるのが難しいのでしょうか。
今ではスタンダードに近い形となってしまいました。
やはり自分には甘いものですね。
ただ、1度の食事での糖質摂取量には気を付けています。
しかし、1日のトータルの糖質摂取量にしてみれば、100g近い値になってるのかもしれません。
さて、糖質制限を始めた当初、食欲がものすごくありました。
年数を経過しても、大食といえるほど食べることができました。
5年目になり、変化がありました。
朝食では、それほど食事の量が欲しくないのです。
夏バテか?と思ったりもしましたが、そうでもないようです。
糖質制限をすると、血糖に関する劇的な改善が身体の中で起こるのでしょうね。
数値はすぐに変わります。
ですが、本当に体になじむには4~5年くらいは必要なのかなと感じたりもしました。
無論、これからも自分に甘い糖質制限を続けていきます。
少し感じたことを勝手に書かせていただきました。
また、1度の食事の糖質摂取量を20g以下に抑えても、1日の総摂取量が100gを超えると、やはり体の劣化は抑えるのが難しいのでしょうか。
2017/08/10(Thu) 20:04 | URL | クワトロ | 【編集】
①大半の糖尿病の方は、血糖値が乱高下しても自覚症状はない。②糖尿病合併症は糖尿病を数年罹患しないと発病しない。
以上のご教示ありがとうございました。
それならばやはり、糖質制限の有無により体調が急変する症状は、糖代謝脂質代謝異常以外の特殊な病因がありそうなことがよくわかりました。
主人は1か月糖質を食べ続けた結果、ADHDどころか、今度は非陳述記憶障害まで出てきました。高次機能脳障害の症状がほとんど当てはまります。糖質制限するとだいぶ正常に戻るのですが・・・。
がんばって病因を探し当てようと思います。何かわかりましたら、ご報告いたします。
これからも先生の発信する情報で色々学ばせて頂ければと思います。ありがとうございました。
以上のご教示ありがとうございました。
それならばやはり、糖質制限の有無により体調が急変する症状は、糖代謝脂質代謝異常以外の特殊な病因がありそうなことがよくわかりました。
主人は1か月糖質を食べ続けた結果、ADHDどころか、今度は非陳述記憶障害まで出てきました。高次機能脳障害の症状がほとんど当てはまります。糖質制限するとだいぶ正常に戻るのですが・・・。
がんばって病因を探し当てようと思います。何かわかりましたら、ご報告いたします。
これからも先生の発信する情報で色々学ばせて頂ければと思います。ありがとうございました。
2017/08/10(Thu) 20:40 | URL | 夫を完治させたい妻 | 【編集】
2017/08/10(Thu) 22:27 | URL | 精神科医師A | 【編集】
糖尿病の先生はまず足や、目の心配はしてくれません。糖尿の家族の足の色が変だな、先生に、相談してと言っても皮膚科に行くように言われた程度。ボコボコして、静脈瘤かな?車を売り、少し自転車をこぐようになったら、治りました。食事のことや、運動や血糖のことは言うけれど、気づきや観察も必要だと思います。ドイツでは、足を必ずチェックするみたいですが、日本ではまずないです。
2017/08/10(Thu) 22:47 | URL | 佐藤 | 【編集】
クワトロ さん
スーパー糖質制限食を開始して、ケトン体質になるのに
3~4週間かかります。
そのため、人によっては、最初の1~2週間は、やや運動能力が落ちることもあります。
ケトン体質に切り替わったら、運動パフォーマンスは向上します。
食欲に関しては、私もかなりの大食でした。
しかしスーパー糖質制限食にして、いつのまにか、そんなに大食はしなくなりました。
一日に、30gの糖質摂取量
一日に、60gの糖質摂取量
一日に、100gの糖質摂取量
一日に、200gの糖質摂取量
一日に、300gの糖質摂取量
AGEsの蓄積は、単純に糖質摂取量が多いほど増えることとなりますね。
2017年04月09日 (日)
糖化とAGEs(終末糖化産物)。糖質制限で糖化は防げるか?
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4163.html
をご参照頂けば幸いです。
2017/08/11(Fri) 08:07 | URL | ドクター江部 | 【編集】
夫を完治させたい妻 さん
糖尿病でも正常人でも、
血糖値が乱高下すると、心理的に不安定になることは多いです。
このブログ記事の患者さんは睡眠中なので、
症状がなかったということです。
糖尿病でも正常人でも、
血糖値が乱高下すると、心理的に不安定になることは多いです。
このブログ記事の患者さんは睡眠中なので、
症状がなかったということです。
2017/08/11(Fri) 08:11 | URL | ドクター江部 | 【編集】
精神科医師A さん
情報をありがとうございます。
情報をありがとうございます。
2017/08/11(Fri) 08:17 | URL | ドクター江部 | 【編集】
食後高血糖のみに注目がいっていましたが、蓄積量も必須ですね。
以後、十分に注意して行っていきます。
余談ながら、先生は河合隼雄氏の「日本嘘つきクラブ」にご入会されていますか?(笑)
同校生の方だったものですから、気になっただけです、はい。
以後、十分に注意して行っていきます。
余談ながら、先生は河合隼雄氏の「日本嘘つきクラブ」にご入会されていますか?(笑)
同校生の方だったものですから、気になっただけです、はい。
2017/08/11(Fri) 08:29 | URL | クワトロ | 【編集】
佐藤 さん
そうですね。
私も血糖コントロールが良くない糖尿病患者さんでは、
足背動脈が触れるかどうかなど、診ています。
また現在、血糖コントロール良好でも、以前コントロール不良の期間がある糖尿人は
「高血糖の記憶」の問題もあるので、循環器で画像診断などして貰っています。
また、眼科検診も定期的にしたほうがいいと思います。
そうですね。
私も血糖コントロールが良くない糖尿病患者さんでは、
足背動脈が触れるかどうかなど、診ています。
また現在、血糖コントロール良好でも、以前コントロール不良の期間がある糖尿人は
「高血糖の記憶」の問題もあるので、循環器で画像診断などして貰っています。
また、眼科検診も定期的にしたほうがいいと思います。
2017/08/11(Fri) 09:03 | URL | ドクター江部 | 【編集】
クワトロ さん
河合隼雄氏の「日本嘘つきクラブ」には、畏れ多くて入会していません。 (^^)
河合隼雄氏の「日本嘘つきクラブ」には、畏れ多くて入会していません。 (^^)
2017/08/11(Fri) 09:21 | URL | ドクター江部 | 【編集】
http://www.first-kitchen.co.jp/news/?nwid=348
ファーストキッチンが新たに糖質制限ハンバーガーの販売を開始したようです。偶然店舗で知りました。糖質4.6gだそうです。
それにしても両サイド肉で具を挟むというのはすごい。
ファーストキッチンが新たに糖質制限ハンバーガーの販売を開始したようです。偶然店舗で知りました。糖質4.6gだそうです。
それにしても両サイド肉で具を挟むというのはすごい。
2017/08/11(Fri) 12:42 | URL | ぐうたら糖質制限 | 【編集】
愚問に対し、ご回答畏れ入ります。
2017/08/11(Fri) 12:50 | URL | クワトロ | 【編集】
ぐうたら糖質制限 さん
嬉しい情報をありがとうございます。
嬉しい情報をありがとうございます。
2017/08/11(Fri) 14:46 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、いつも参考にさせていただいております。ありがとうございます。
私は反応性低血糖症で、今回いろんな縁があってCGMを知り使うことができました。
食事と血糖値の変動について、本当によくわかるので素晴らしいという感動と同時に、かなりな乱高下も目の当たりにするので恐怖も感じました。
そしてやはり私も、糖尿病患者もそうでない方も、このような乱高下をしていて自覚症状がないだけって方は意外と多いのでは?と感じました。
糖尿病の合併症予防はもちろんのこと、予防医療として健診に導入することはできないものかと思っています。
疑問の部分なのですが、CGMの数値は、血液をとって測定する血糖値と比べると20~30の違いがある場合が多かったです。(CGMの方が、高めの数値がでる)
これはどのように理解すればよいのでしょうか?
お時間のある時に先生のお考えをいただけますと幸いに思います。
よろしくお願い致します。
CGMを使うことによって、糖質制限の食事をすると血糖値が乱高下せず平坦な数値を維持できていることが明確にわかり、結果、低血糖症状がでることも少なくなりました。
本当にありがたい機器です。
私は反応性低血糖症で、今回いろんな縁があってCGMを知り使うことができました。
食事と血糖値の変動について、本当によくわかるので素晴らしいという感動と同時に、かなりな乱高下も目の当たりにするので恐怖も感じました。
そしてやはり私も、糖尿病患者もそうでない方も、このような乱高下をしていて自覚症状がないだけって方は意外と多いのでは?と感じました。
糖尿病の合併症予防はもちろんのこと、予防医療として健診に導入することはできないものかと思っています。
疑問の部分なのですが、CGMの数値は、血液をとって測定する血糖値と比べると20~30の違いがある場合が多かったです。(CGMの方が、高めの数値がでる)
これはどのように理解すればよいのでしょうか?
お時間のある時に先生のお考えをいただけますと幸いに思います。
よろしくお願い致します。
CGMを使うことによって、糖質制限の食事をすると血糖値が乱高下せず平坦な数値を維持できていることが明確にわかり、結果、低血糖症状がでることも少なくなりました。
本当にありがたい機器です。
2017/08/12(Sat) 09:47 | URL | 低血糖に悩むえこぶー | 【編集】
低血糖に悩むえこぶー さん
「CGMの数値は、血液をとって測定する血糖値と比べると20~30の違いがある場合が多かった」
CGMを装着直後はそのようなことがあるようです。
しばらくすると安定すると思います。
「CGMの数値は、血液をとって測定する血糖値と比べると20~30の違いがある場合が多かった」
CGMを装着直後はそのようなことがあるようです。
しばらくすると安定すると思います。
2017/08/12(Sat) 18:31 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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