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糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状「足の疲れ」について
【17/08/03 ちょび
足の疲れについて
江部先生こんにちは。
ブログいつも楽しく拝見させていただいています。

私は糖質制限をはじめて2週間ていどなのですが、
最近長めの階段をのぼるとものすごく足が疲れます。
長時間スクワットしたような感覚で、
階段の最後の方になると無理やり足を持ち上げないと上がれないくらいです。
激しい運動をすると筋肉のグリコーゲンが消費されるという話を聞いたので、
同じ現象かなと思うのですが、認識は合っておりますでしょうか。
また糖質制限を続けながら、この筋肉の疲れを防止するための方法はありますか?

ちなみに糖質量は60g程度に抑えており、
タンパク質やその他の栄養も比較的きちんと取れている方だと思います。】


こんばんは。

ちょびさんから糖質制限をはじめて2週間ていどで
階段をのぼるとすごく足が疲れるというコメントを頂きました。

「足の疲れ」「筋力低下」「全身倦怠」「ヘロヘロ感」なども
糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状で、
比較的よくあります。
まあ、よくあるといっても、数%以下の頻度ですが・・・。


これらの症状を訴えた患者さん、高雄病院の応管理栄養士が面談して、
食事を詳細に検討しました。

その結果、ほぼ全員が摂取エネルギー不足でした。

例えば、男性で1200~1400kcal/日とか女性では1000~1200kcal/日とかです。

糖質制限食の範疇で、脂質とタンパク質を充分量摂取して、
摂取エネルギーを増やして厚生労働省のいう標準必要エネルギーを満たして貰うと、
皆さん「全身倦怠感、筋力低下、痩せ過ぎ」は速やかに改善しました。

実際、ご高齢で少食タイプの場合、
高雄病院給食のスーパー糖質制限食「約500kcal」を食べきれない人が時々おられます。
これでは一日の摂取エネルギーが1200~1400kcalしかなくて、
結果として「カロリー制限食」になってしまっています。

このような少食タイプの場合は、間食にチーズ、ナッツ、少量の果物を摂っていただき、
料理にもオリーブオイルやエゴマ油やココナッツオイルなどを積極的に使って、
兎に角摂取エネルギーを増やすことが、唯一の解決策です。


あと、とくに少食ではないのだけど、長年の習慣と思いこみで、
<糖質制限+脂質制限>を無意識レベルで実践してしまう人があります。

糖質制限食実践においては、脂質やタンパク質は充分量摂取するのが前提なのに
この場合は、タンパク質、葉野菜、海藻、茸・・・とかばかり食べるので
結果として摂取エネルギー不足になります。

刺身や焼き魚や鶏肉のササミや豆腐などタンパク質が多い食材は、
かなりの低カロリー食材なのです。
このような<糖質制限+脂質制限>でヘロヘロになった方は、
脂質をしっかり摂取していただけばエネルギー不足はたちどころに解決です。
特に動物性脂肪が豊富な食材をしっかり摂取するのが一番いいです。
糖質制限で減少したエネルギー分は、脂質でしっかり補わなう必要があるのです。

NHKクローズアップ現代 2012年8月30日(木)放送
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3239_all.html

糖質制限食成功例として、藪田亜矢子さんが登場したあと、自分で勝手に糖質制限食をして、
失敗したという男性が出演されました。

『長年、糖尿病に悩んでいたこの男性。2011年、自己流で糖質制限を始めました。
「ごはん類とパン類を一切なくした食事です。」
糖質をほとんどとらなくなったことで、
食事のカロリーは以前の3分の1にまで減りました。
2か月で血糖値の指標は大幅に改善しました。
ところがその後、体調が悪化。
足の筋力が衰え、手すりをつかまないと階段も上れなくなりました。』

この男性、典型的な<糖質制限+脂質制限>例です。

摂取カロリーが以前の1/3に減少ということですので、
極端なカロリー制限の結果、
『足の筋力が衰え、手すりをつかまないと階段も上れなくなりました。』
ということです。


これは糖質制限食による筋力低下ではなく、カロリー不足による筋力低下です。


①でも②でもない場合、特に女性で潜在的鉄不足があると
糖質を制限して、<脂肪酸-ケトン体>エネルギーシステムを活性化させようとしても
鉄不足のために、クエン酸回路がうまく回らず、
ATPというエネルギー通貨が利用しにくい状況になります。
こうなると、糖質制限して、しっかりカロリーも摂っているのに、
筋肉がとても疲れやすいという状況になりえます。
このことは、藤川徳美著『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』(光文社新書)という本の
136ページで、勉強しました。
ちょびさんが、女性なら③のパターンの可能性がありえますね。
藤川先生から、ご著書を送って頂き、とても勉強になりました。
藤川先生、ありがとうございました。
潜在的鉄不足は、「フェリチン」の検査が一番わかりやすいですが、
藤川先生によれば、日本の基準値が低すぎるのが大問題とのことです。
このあたり私も同感なので、一度、ブログ記事にしようと思います。

江部康二
コメント
フェリチン低値だけだと…
がん細胞が増殖するためにも鉄は必要なので、がん遺伝子の中にはフェリチンを抑制して、自分が使える鉄を増やすことをするものもいる、という論文を読んだことがあります。
そうすると、フェリチンの低値だけで鉄を積極的に補充し100を目指すというのはリスクを伴う気がします。
先生のお考えはいかがでしょうか?
2017/08/03(Thu) 21:03 | URL | ドクターシミズ | 【編集
インスリンがよく分からない
いつも拝見させていただいております。
私自身糖尿病患者ではありませんが、健康の為に三年ほど糖質制限を行なっております。

最近は筋肉をつけてより健康になろうとジムに通い始め、運動後と起床時にプロテインでタンパク質を25gほど摂取しています。

1ヶ月ほどその様な生活で体重は0.1キロ増加、筋肉は0.7キロ増加、脂肪は0.6キロ減少と、自分としては良い流れを感じてきております。

そんな中、最近ツイッターやブログで「インスリンは糖質だけではない、タンパク質の方が多く分泌する」という記事をちょくちょく見かける様になりました。

先生のブログでは「タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。」と仰られておりましたが、どの様に感じられますか?
(参考記事)
https://athletebody.jp/2016/04/05/insulin-myth-1/

タンパク質が血糖値を上げない事は確かみたいですが、インスリンは炭水化物よりもタンパク質の方が高いという見解でした。

リンク先のオリジナル記事の論文が英語なので、信憑性を自分で確かめられないことが申し訳ないのですが、毎日ホエイプロテインを摂取する事は膵臓にとても負担をかけてしまっているのかと思い、少々不安になってしまいました。

お忙しいとは思いますが、気が向いたら教えていただけると有難いです。
これからもご活躍を楽しみにしております。

※追記
私のツイッターのTLに流れてきた記事です。
シドニー大学の研究結果だそうです。
http://saitokarami.com/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%B3%E6%8C%87%E6%95%B0fii%E5%80%A4%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F/

こちらの記事を貼っていらっしゃる方は、低糖質高タンパク質のものでも、インスリンが出続ける事になるので間食に摂り続けるべきではないと仰られていました。
ホエイプロテインなどはインスリンがとても多く分泌され、続けていればインスリン抵抗性になるという見解でした。

長文で申し訳ありません。
2017/08/04(Fri) 11:08 | URL | りん | 【編集
無呼吸と血糖値
スーパー糖質制限のおかげで毎日快適にすごさせて頂いております。
以前、糖質制限をしているにも関わらず、早朝空腹時血糖値が下がらないため、ここで質問させて頂いた者です。そのときは、他の数値が改善されているため、それほど心配しなくても良いとアドバイスを頂き安心致しました。
ところで、私は睡眠時無呼吸症の傾向にあるとの診断をされたことがあるのですが、本格的な治療はしておらず、再販が開始されたナステントという器具を使用して、まずは、激しいいびきの改善を試みておりました。そうしましたら、120近くあった空腹時血糖値が、正常範囲内に収まることが多くなり、120を越えることはほぼ無くなりました。非常に喜んではいるのですが、睡眠時無呼吸症と血糖値との関連性はあるのでしょうか?もしあるとしたら、CPAPなどによる本格的な治療をすれば、より高血糖が改善されるなどということはありますでしょうか?
2017/08/04(Fri) 12:44 | URL | こうじ | 【編集
ありがとうございました
江部先生

ご回答いただきありがとうございました。
確かに鉄分は全く意識していなかったので不足しているかもしれません。
早速サプリメントを購入しましたので様子を見てみたいと思います。
2017/08/04(Fri) 15:19 | URL | ちょび | 【編集
Re: インスリンがよく分からない
りん さん

https://athletebody.jp/2016/04/05/insulin-myth-1/
のサイト見てみました。

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195666310000188?via%3Dihub


高蛋白・低糖質食(HP/LC):蛋白が75g、糖質が74.7g、脂質が20g

低蛋白・高糖質(LP/HC):蛋白が21g、糖質が124.5g、脂質が23g


低糖質食とされている食事の、一回の食事の糖質量が74.7gです。
高糖質食とされている食事の、一回の食事の糖質量が124.5gです。

この二つの食事の比較ですね。
糖質を50g、75g、100g、125gとか摂取したら、インスリンは基本、目一杯でるので
差がでないのは当たり前です。
そもそも、一回の食事の糖質量が、74.7gもあったら、糖質制限食ではないです。

高雄病院のスーパー糖質制限食の一回の食事の糖質量は約8~15gくらいです。


* 通常食     
350 Kcal    糖質60% (約 52.5g) 、脂質20% 、タンパク質20%

* 糖質制限食 
350 Kcal    糖質10% (約 8.75g) 、脂質60% 、タンパク質30% 


これなら、糖質制限食のときは、基礎分泌の1.5~2.5倍のインスリン追加分泌、
通常食なら基礎分泌の5倍~7倍の追加分泌インスリンがありました。
かなりの差がありますね。
2017/08/04(Fri) 19:40 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 無呼吸と血糖値
こうじ さん

睡眠時無呼吸で問題なのは日中の眠気だけではありません。
睡眠時無呼吸で自律神経がストレス状態におかれるとアドレナリンなどが分泌され、
血糖上昇や血圧上昇を生じます。

CPAPで、治療して睡眠時無呼吸が改善されたら、空腹時血糖値も、改善されると思います。
2017/08/04(Fri) 19:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: フェリチン低値だけだと…
ドクターシミズ さん

我田引水で個人的な話なのですが、
私の血清フェリチン値は、304.5(17.0~291.5)で、
基準値より高値です。

癌も炎症もなくて
人類本来の食事を実践している江部康二のフェリチンが
高値なのは、人類の本来の基準値はこれくらいあって当たり前なのかと
思っています。
これは、エビデンスレベルの話ではなく、あくまでも個人的仮説ですが・・・。。

日本のフェリチンの基準値は低いです。
これは例えば女性で貧血でなくても、
潜在的鉄不足の人が多いことも一因です。
このような人が、正常人で基準値に採用されています。

日本人は欧米人より肉食(吸収されやすいヘム鉄が多い)が少ないことが
潜在的鉄不足の人が多い原因と思います。
2017/08/04(Fri) 19:58 | URL | ドクター江部 | 【編集
タンパクによるインスリン追加分泌問題について
りんさんご指摘の問題、当方もネットで読んでいたため、横からコメント失礼いたします。

一番の情報源は、米ベストセラーの「The Obesity Code」のようです。

日本語訳情報発信元
鈴木内科 鈴木功先生のブログ http://tcm-suzuki.com/?s=Obesity+Code
生きるために食べる https://goo.gl/9A1jDJ
なごみクリニック 亀川寛大先生のブログ https://goo.gl/qzbPHK
稲毛エルム歯科クリニック 長尾周格先生のFacebook
超要約、Obesity Code1.〜6. https://goo.gl/E6jj2H

たがしゅう先生も最近いくつかインスリン分泌データを公開されています。
ササミ負荷試験
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1030.html

これらのサイトを読む限り、「タンパク質でも糖質と同様かそれ以上に多くのインスリンが追加分泌されるため、ファスティングすることがインスリン抵抗性の緩和には必須である」という主張のようです。

釜池式のように1日1食にしないと、インスリン抵抗性は悪化していってしまうものなのでしょうか。情報が錯綜しているようなので、最近本当のことを知りたく思っています。

また、例えば定期的に血液検査を受けに行ったり、自身で測定器を買って測ることで、インスリン抵抗性が悪化していないことを確認する方法はございますでしょうか?

当方は、2年ちょっと糖質制限をやっております。
2017/08/05(Sat) 00:51 | URL | S. N. F. | 【編集
Re: タンパクによるインスリン追加分泌問題について
S. N. F. さん

コメントありがとうございます。
これらのサイトを覗いてみます。
2017/08/05(Sat) 07:31 | URL | ドクター江部 | 【編集
インスリンとグルカゴン
江部先生こんにちは

糖質制限でインスリンをコントロールするという迷信
https://athletebody.jp/2016/04/05/insulin-myth-1/
このサイトの記事に対する、江部先生のブログへのコメントや質問についてgoogleで検索してみました。

2011年02月10日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1548.html
2016年04月06日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3753.html
2016年04月07日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3754.html

一部です。


今回も同じサイトに関する質問やコメントでした。

2017年08月03日 (木) の記事に対するS. N. F. さんのコメントの中で紹介されていた、たがしゅう先生のサイト「ササミ負荷試験」を拝見しました。
情報有難うございます。

ササミ負荷試験」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1030.html

ササミ負荷試験

検査結果

実測血糖(mg/dL)  実測3ヒドロキシ酪酸値(μmol/L)
食前      88       556
30分後     91       367
60分後     106       210
120分後    96       111
180分後    96       80
240分後    92       232
300分後    85       536
360分後    82       597 
(血糖基準値:70~109mg/dL 3-ヒドロキシ酪酸基準値:85μmol/L以下 )

インスリン値(μU/mL)  グルカゴン値(pg/mL)
食前      5.3       165
30分後     9.4       185
60分後     37.2      265
120分後    21.3       259
180分後    10.4       213
240分後    7.9       173
300分後    5.7       163
360分後    4.5       160
(インスリン基準値:1.7~10.4μU/mL グルカゴン基準値:70~174pg/mL)

上記の中でグルカゴン値の変化が参考になります。

これまではタンパク質摂取後のインスリン値の上昇が焦点となっていたようです。
そして、インスリン値の上昇に伴うグルカゴンの分泌。
これにより、互いの効果が相殺され極端な低血糖や高血糖にならないこと。

糖質制限食パーフェクトガイドp169「アミノ酸の中で、ロイシン、アルギニン、リジンはインスリンを分泌させます。・・・・・・
低血糖にならないのは、同時にインスリン拮抗ホルモンのグルカゴン(血統上昇作用あり)も分泌されて、効果が相殺されるからです。」


これには少し疑問を感じていました。

日本大学医学部 内科学科
糖尿病代謝内科学分野
http://www.med.nihon-u.ac.jp/department/dmet/research/subject_dpp-4.html

一部抜粋

〈※高蛋白食では健常者と糖尿病患者のいずれにおいても、血漿グルカゴン濃度は上昇します6, 7)。
それはアミノ酸がグルカゴン分泌を直接刺激するからです。
6)   Ahmed M et al., Am J Clin Nutr. 1980; 33: 1917-24.
7)   Kawai K et al., Endocrinol Jpn. 1987; 34: 745-53.〉


私には、タンパク質摂取によるインスリン分泌により、それに伴いグルカゴンも分泌されるのではなく、アミノ酸がグルカゴン分泌を直接刺激することによりグルカゴンが分泌され、グルカゴンに相当するインスリンが分泌されると考えるのが自然のように思います。
アミノ酸(ロイシン、アルギニン、リジン(インクㇾチンが関与))が直接刺激してインスリンを分泌するのだとしても、グルカゴンが深く関与しているのだと思いますがいかがでしょうか。


●Ⅰ型糖尿病患者のタンパク質摂取による血糖値上昇(バーンスタイン医師・1.94/g)
Ⅰ型糖尿病患者にはグルカゴンに相当するインスリン分泌能がない。

●グルカゴン負荷試験
「グルカゴンは重症低血糖の治療に用いられグリコーゲン分解の促進などにより一過性に血糖値を上昇させる一方、インスリン分泌を直接刺激する作用がある。グルカゴン負荷試験はこの作用を利用して、インスリン分泌予備能を調べる負荷試験として広く行われている。」
糖尿病専門医研修ガイドブックp132
2017/08/05(Sat) 19:03 | URL | オスティナート | 【編集
Re: インスリンとグルカゴン
オスティナート さん

コメント、ありがとうございます。

私も、アミノ酸が摂取が直接、グルカゴン分泌を促すと思います。

そして、アミノ酸摂取が直接、インスリン分泌を促すと思います。

タンパク質(アミノ酸)とインスリン、グルカゴン、血糖値については、少し考察して
記事にしたいと思います。
2017/08/05(Sat) 19:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
ちょびさんへ
私もちょびさんと全く同じ症状で困ってました。カロリーを増やすと言っても、これ以上は私の場合は消化力がないので難しく困ったなあと思いました。あと鉄のサプリはあまり飲みたくないし。
そう思いながら、なんとなくテーブルにあったマグマ塩(←ミネラルが多い)を手にとって多めに舐めてから、水を飲んだら、なんと即効で下半身のつらさ、体の重さがとれました。あまりの即効性に目がテンになりました。要は、汗のかきすぎでか、ミネラル不足だったようです。もっと早く飲んでればよかったと思いました。
こむら返りにもいいようです。
2017/08/10(Thu) 17:14 | URL | まなこあ | 【編集
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