2016年04月05日 (火)
【16/04/04 サワ
お願いします
いつも貴重な情報ありがとうございます。主食をやめて一年以上経ちました。
ヘモグロビンa1cは5.6から5.8で安定しています。
32才女性の平均からすれば、まだ少し高いですが、発症時10を超えていた糖尿人としては優良かと思います。
もちろん服薬も無くなりました。
ただ厳密な糖質制限を行っていたわけではなく、主食の米やパン、麺をやめ、調理は人工甘味料に変えたくらいで、副菜の糖質はそこまで気にせず過ごしてきました。そして、たまに甘いものを食べてしまったりすることもありました。
意外に糖質量が20グラムを超えていた時も度々ありました。
そこで、先日より食品の重量を測ったり、糖質量を調べたりしながら、厳密に20グラム以下になるようにしています。
厳しく制限すれば、もう少し改善出来るでしょうか?
それとも正常値内で、これ以上の改善は望めませんか?
主治医に聞こうにも、糖尿病専門医の主治医は柔軟に対応はして下さりますが、どちらかといえばカロリー制限による減量を指導して下さいました先生で、現在も体重さえ維持していれば、まずまずとおっしゃいます。
『今後、太らない食生活で気をつけていても、いつかヘモグロビンa1cは悪化する日がくるでしょう。でもその時は合併症が出ないように、見極めてお薬を出してあげるし、ナーバスにならずに。極端に炭水化物を減らす必要はない。身体壊すよ』
とおっしゃるのです。
もちろん糖質制限は安全だということはこちらで勉強して取り組んでいるわけですが、主治医には糖質制限の事は伺えないのです。
出来れば、長期間食事制限のみで正常値をキープしたいので、今のうちに改善出来るだけ改善したいです。 贅沢な考えかもしれませんが。
それから、例えばですが、
朝食べない、昼糖質5、夜糖質20という食事は問題ないでしょうか?
それとも、空腹が長い。糖質が入ってこない時間が長いと、夜20グラム以下でもインスリン分泌や、血糖値に影響はありますでしょうか?
朝、昼、夜と同程度、20グラム以下の糖質をとる方が良いでしょうか?
以上ご多忙の折申し訳ありませんが、ご回答頂ければ幸いです。 】
サワさん。
発症時10%を超えていたHbA1cが1年以上の糖質制限食実践で、服薬もなしで5.6~5.8%をキープとは素晴らしいです。
糖質制限食は、美味しく楽しく末永く続けることが優先順位の一番なので、サワさんは、今のやりかたで充分と思います。
現在すでに5.6~5.8%と基準値(4.6~6.2%)内ですので、1回の糖質量10gとかで厳格にしても、これ以上の改善はそんなにないと思います。
糖質制限食による糖尿病治療の目的は『合併症を予防する』ことです。
これ以上HbA1cを低下させることに拘る必要はありません。
HbA1c5.6~5.8%であり、糖質制限食実践なので食後高血糖もなくグリコアルブミン(GA)もコントロール良好と思われます。
あと、空腹時血糖値が126mg/dl未満、さらには110mg/dl未満なら、糖尿病の合併症は細小血管・大血管ともに予防できますので心配ないです。
『今後、太らない食生活で気をつけていても、いつかヘモグロビンa1cは悪化する日がくるでしょう。でもその時は合併症が出ないように、見極めてお薬を出してあげるし、ナーバスにならずに。極端に炭水化物を減らす必要はない。身体壊すよ』
この主治医のご発言は、実はかなり恐ろしい事実を示唆しています。
即ち、どのような治療をしようとも、2型糖尿病はじり貧で進行していくというのが医学界の共通理解なのです。
糖尿病専門医でよく勉強しておられるのでしょうが、「糖質制限食ならそれが防げる」という肝腎なことを見逃しておられるのが残念です。
多くの糖尿人が、薬と注射と食事制限で頑張っていても結局合併症になっていきます。
糖尿病腎症から人工透析が毎年新たに16000人
糖尿病網膜症からの失明が毎年新たに3000人
糖尿病足病変からの足切断が毎年新たに3000人
これが紛れもない日本の糖尿病治療の実態です。
何故このような悲劇が繰り返されているのでしょう?
実はインスリン注射や経口血糖降下剤を内服して、カロリー制限食で一生懸命頑張っていても、残念ながらほとんどの糖尿病患者さんが、じり貧で悪化していきます。
このことは、UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study )で証明されました。
UKPDSは、25-65才の4209例の新規の2型糖尿病患者について、英国で実施された平均10年間にわたる過去最大規模の疫学調査です。
UKPDSは、1970年代から準備され1977年に開始、1998年に結果が報告されました。
4209例の10年間の統計をとると、どんな薬物治療、食事指導をしても、HbA1cは経年的に徐々に悪化し続けていきました。
また空腹時血糖値も経年的に徐々に悪化し続けていきました。
これはおそらくは、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が、食後高血糖のために障害され、経年的に徐々に減少していくためと考えられます。
つまり、糖尿病患者が医師や栄養士の現行の指導をきっちり守って最善の努力をしても、現行の治療法に頼る限り結果は、「慢性進行性膵β細胞不全」とも言うべき病態が2型糖尿病なのです。 (*_*)
糖質を摂取する限りは、カロリー制限食や薬物治療をしていても、食後高血糖が生じる可能性が極めて高く、β細胞は障害され、慢性進行性膵β細胞不全は防げないのです。
サワさんの主治医は、このことを仰っていたのだと思います。
180mg/dlを超える食後高血糖がβ細胞を傷つけます。
高血糖により傷つき死滅し、β細胞は徐々に減少していくわけです。
それでは「2型糖尿病は不治の病でもうどうしようもないのか!?」というと、そんなことはありません。
180mg/dlを超える食後高血糖さえ起こさなければ、β細胞が障害されることもなく、今現在生き残っている数を保つことができるのです。そこでいよいよ糖質制限食の出番です。
糖質制限食なら、薬に頼ることなく食後高血糖を防ぐことができます。
食後高血糖がなければ、β細胞も障害されることなく元気に生き続けてくれます。
従って理論的には、糖質制限食の実践によりUKPDSの恐るべき結論(慢性進行性膵β細胞不全)を覆すことができると思います。 (^_^)
そして慢性進行性膵β細胞不全を予防出来るのは、唯一糖質制限食のみです。
つまり、サワさんは大丈夫ということです。
「朝食べない、昼糖質5、夜糖質20という食事は問題ないでしょうか? 」
「朝、昼、夜と同程度、20グラム以下の糖質をとる方が良いでしょうか?」
これは、どちらでもいいです。
どちらでも食後高血糖は生じません。
ちなみに私は、朝食は「コーヒー+生クリーム」のみですので昼夕の一日2食のようなものです。
江部康二
お願いします
いつも貴重な情報ありがとうございます。主食をやめて一年以上経ちました。
ヘモグロビンa1cは5.6から5.8で安定しています。
32才女性の平均からすれば、まだ少し高いですが、発症時10を超えていた糖尿人としては優良かと思います。
もちろん服薬も無くなりました。
ただ厳密な糖質制限を行っていたわけではなく、主食の米やパン、麺をやめ、調理は人工甘味料に変えたくらいで、副菜の糖質はそこまで気にせず過ごしてきました。そして、たまに甘いものを食べてしまったりすることもありました。
意外に糖質量が20グラムを超えていた時も度々ありました。
そこで、先日より食品の重量を測ったり、糖質量を調べたりしながら、厳密に20グラム以下になるようにしています。
厳しく制限すれば、もう少し改善出来るでしょうか?
それとも正常値内で、これ以上の改善は望めませんか?
主治医に聞こうにも、糖尿病専門医の主治医は柔軟に対応はして下さりますが、どちらかといえばカロリー制限による減量を指導して下さいました先生で、現在も体重さえ維持していれば、まずまずとおっしゃいます。
『今後、太らない食生活で気をつけていても、いつかヘモグロビンa1cは悪化する日がくるでしょう。でもその時は合併症が出ないように、見極めてお薬を出してあげるし、ナーバスにならずに。極端に炭水化物を減らす必要はない。身体壊すよ』
とおっしゃるのです。
もちろん糖質制限は安全だということはこちらで勉強して取り組んでいるわけですが、主治医には糖質制限の事は伺えないのです。
出来れば、長期間食事制限のみで正常値をキープしたいので、今のうちに改善出来るだけ改善したいです。 贅沢な考えかもしれませんが。
それから、例えばですが、
朝食べない、昼糖質5、夜糖質20という食事は問題ないでしょうか?
それとも、空腹が長い。糖質が入ってこない時間が長いと、夜20グラム以下でもインスリン分泌や、血糖値に影響はありますでしょうか?
朝、昼、夜と同程度、20グラム以下の糖質をとる方が良いでしょうか?
以上ご多忙の折申し訳ありませんが、ご回答頂ければ幸いです。 】
サワさん。
発症時10%を超えていたHbA1cが1年以上の糖質制限食実践で、服薬もなしで5.6~5.8%をキープとは素晴らしいです。
糖質制限食は、美味しく楽しく末永く続けることが優先順位の一番なので、サワさんは、今のやりかたで充分と思います。
現在すでに5.6~5.8%と基準値(4.6~6.2%)内ですので、1回の糖質量10gとかで厳格にしても、これ以上の改善はそんなにないと思います。
糖質制限食による糖尿病治療の目的は『合併症を予防する』ことです。
これ以上HbA1cを低下させることに拘る必要はありません。
HbA1c5.6~5.8%であり、糖質制限食実践なので食後高血糖もなくグリコアルブミン(GA)もコントロール良好と思われます。
あと、空腹時血糖値が126mg/dl未満、さらには110mg/dl未満なら、糖尿病の合併症は細小血管・大血管ともに予防できますので心配ないです。
『今後、太らない食生活で気をつけていても、いつかヘモグロビンa1cは悪化する日がくるでしょう。でもその時は合併症が出ないように、見極めてお薬を出してあげるし、ナーバスにならずに。極端に炭水化物を減らす必要はない。身体壊すよ』
この主治医のご発言は、実はかなり恐ろしい事実を示唆しています。
即ち、どのような治療をしようとも、2型糖尿病はじり貧で進行していくというのが医学界の共通理解なのです。
糖尿病専門医でよく勉強しておられるのでしょうが、「糖質制限食ならそれが防げる」という肝腎なことを見逃しておられるのが残念です。
多くの糖尿人が、薬と注射と食事制限で頑張っていても結局合併症になっていきます。
糖尿病腎症から人工透析が毎年新たに16000人
糖尿病網膜症からの失明が毎年新たに3000人
糖尿病足病変からの足切断が毎年新たに3000人
これが紛れもない日本の糖尿病治療の実態です。
何故このような悲劇が繰り返されているのでしょう?
実はインスリン注射や経口血糖降下剤を内服して、カロリー制限食で一生懸命頑張っていても、残念ながらほとんどの糖尿病患者さんが、じり貧で悪化していきます。
このことは、UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study )で証明されました。
UKPDSは、25-65才の4209例の新規の2型糖尿病患者について、英国で実施された平均10年間にわたる過去最大規模の疫学調査です。
UKPDSは、1970年代から準備され1977年に開始、1998年に結果が報告されました。
4209例の10年間の統計をとると、どんな薬物治療、食事指導をしても、HbA1cは経年的に徐々に悪化し続けていきました。
また空腹時血糖値も経年的に徐々に悪化し続けていきました。
これはおそらくは、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が、食後高血糖のために障害され、経年的に徐々に減少していくためと考えられます。
つまり、糖尿病患者が医師や栄養士の現行の指導をきっちり守って最善の努力をしても、現行の治療法に頼る限り結果は、「慢性進行性膵β細胞不全」とも言うべき病態が2型糖尿病なのです。 (*_*)
糖質を摂取する限りは、カロリー制限食や薬物治療をしていても、食後高血糖が生じる可能性が極めて高く、β細胞は障害され、慢性進行性膵β細胞不全は防げないのです。
サワさんの主治医は、このことを仰っていたのだと思います。
180mg/dlを超える食後高血糖がβ細胞を傷つけます。
高血糖により傷つき死滅し、β細胞は徐々に減少していくわけです。
それでは「2型糖尿病は不治の病でもうどうしようもないのか!?」というと、そんなことはありません。
180mg/dlを超える食後高血糖さえ起こさなければ、β細胞が障害されることもなく、今現在生き残っている数を保つことができるのです。そこでいよいよ糖質制限食の出番です。
糖質制限食なら、薬に頼ることなく食後高血糖を防ぐことができます。
食後高血糖がなければ、β細胞も障害されることなく元気に生き続けてくれます。
従って理論的には、糖質制限食の実践によりUKPDSの恐るべき結論(慢性進行性膵β細胞不全)を覆すことができると思います。 (^_^)
そして慢性進行性膵β細胞不全を予防出来るのは、唯一糖質制限食のみです。
つまり、サワさんは大丈夫ということです。
「朝食べない、昼糖質5、夜糖質20という食事は問題ないでしょうか? 」
「朝、昼、夜と同程度、20グラム以下の糖質をとる方が良いでしょうか?」
これは、どちらでもいいです。
どちらでも食後高血糖は生じません。
ちなみに私は、朝食は「コーヒー+生クリーム」のみですので昼夕の一日2食のようなものです。
江部康二
詳しく回答下さりありがとうございました!
主治医のおっしゃることを聞かずに、糖質制限を続けてきた悪い?患者ですが、主治医も私の余りにも速やかな血糖値改善と、その他様々な項目の血液検査の改善に、最近は柔軟な対応をしてくださるようになりました。「まだ米食べてないの?つらいでしょ?」と聞いて下さいますが、美味しく楽しくやってます!と答えています笑
今後も安心して糖質制限を続けていきます。
たまたま先生のブログに出会わなければ、私のβ細胞はいずれ主治医のおっしゃる通り力尽きたでしょう。
先生の活動に感謝致します。
主治医のおっしゃることを聞かずに、糖質制限を続けてきた悪い?患者ですが、主治医も私の余りにも速やかな血糖値改善と、その他様々な項目の血液検査の改善に、最近は柔軟な対応をしてくださるようになりました。「まだ米食べてないの?つらいでしょ?」と聞いて下さいますが、美味しく楽しくやってます!と答えています笑
今後も安心して糖質制限を続けていきます。
たまたま先生のブログに出会わなければ、私のβ細胞はいずれ主治医のおっしゃる通り力尽きたでしょう。
先生の活動に感謝致します。
江部先生、サワさん
30才から52才まで長年の2型糖尿病で動脈硬化から心筋梗塞を起こし、死にかかったコバタケと申します。
現在心筋梗塞の再発予防などのためにかかっているベテラン内科医に炭水化物を一切食べないという食生活を話すと、内科医はエネルギー源だから炭水化物は少しは食べなければならないと指導してくれます。
このホームページに6年間お世話になってきた私はそんな言葉に全然惑わされません。
よく思うことですが、旧来の薬物療法で患者を指導している糖尿病医は、自分自身が糖尿病にかかっても当然炭水化物を食べながら薬物療法を採用するでしょうが、あまりの治りの悪さにおかしいと疑問に思うことがないのでしょうか?
30才から52才まで長年の2型糖尿病で動脈硬化から心筋梗塞を起こし、死にかかったコバタケと申します。
現在心筋梗塞の再発予防などのためにかかっているベテラン内科医に炭水化物を一切食べないという食生活を話すと、内科医はエネルギー源だから炭水化物は少しは食べなければならないと指導してくれます。
このホームページに6年間お世話になってきた私はそんな言葉に全然惑わされません。
よく思うことですが、旧来の薬物療法で患者を指導している糖尿病医は、自分自身が糖尿病にかかっても当然炭水化物を食べながら薬物療法を採用するでしょうが、あまりの治りの悪さにおかしいと疑問に思うことがないのでしょうか?
2016/04/05(Tue) 17:35 | URL | コバタケ | 【編集】
コバタケ さん
米国糖尿病学会が、2013年10月の「栄養療法に関する声明」において
糖質制限食を、ベジタリアン食や地中海食や脂質制限食と共に正式に受容したことを
主治医にお伝えください。
当該の糖尿病専門医殿が、自分の頭で考えることができるか否かによります。
糖尿病腎症から16000人透析、網膜症から3000人失明、足病変から3000人足切断という
惨状をみて、どうも思っていない糖尿病専門医は展望は暗いですね。
米国糖尿病学会が、2013年10月の「栄養療法に関する声明」において
糖質制限食を、ベジタリアン食や地中海食や脂質制限食と共に正式に受容したことを
主治医にお伝えください。
当該の糖尿病専門医殿が、自分の頭で考えることができるか否かによります。
糖尿病腎症から16000人透析、網膜症から3000人失明、足病変から3000人足切断という
惨状をみて、どうも思っていない糖尿病専門医は展望は暗いですね。
2016/04/06(Wed) 13:18 | URL | ドクター江部 | 【編集】
| ホーム |