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糖質制限食講演会in熊本(熊本市)のご報告。プライス。バイオフィルム。
こんにちは。

糖質制限食講演会in熊本(熊本市、11/22)のご報告です。
84名の参加者があり、盛況でした。
ブログ読者の皆さんも大勢のご参加、ありがとうございました。

序盤は、

糖質制限食実践中の熊本市の歯科医師、
吉田毅先生(医療法人社団鏡会理事長)
スマイルラン歯科クリニック(医療法人社団鏡会)院長 
野口和宏先生

の糖質制限食体験談および歯科治療との関わりのお話でした。

吉田先生は、減量成功と糖尿病改善のご報告と、現在の歯科治療が決して上手くいってないことを話されました。

現状は、20歳~80歳までの日本人は95%虫歯ありで、30歳~80歳の86%が歯周疾患と歯の欠損といった状況とのことです。

そして、W.A.プライス著の「食生活と身体の退化」を引用されて、近代的な食生活(精白小麦、砂糖、甘い食品)が歯に与える悪影響を
強調されました。

伝統的な食生活を営んでいたころの先住民族は虫歯が極めて少なかったのに近代食が入ってからは、虫歯が激増しています。

このことは、糖質制限食で虫歯が予防できる事実にも通じますね。

野口先生は、減量成功と高血圧改善の体験談を話されました。
そして、口腔内のバイオフィルムのことを説明していただきました。

バイオフィルムとは、細菌同士が寄り集まって何かにへばりついている状態のことです。
台所のシンクにヌルヌルとしたものが表面につきますが、これもバイオフィルムの一種です。
バイオフィルムは構成細菌が様々な情報伝達を行いながら生活している膜状のコミュニティと考えられています。

歯の表面にへばりついてネバネバヌルヌルした白っぽいものは、一般にプラークと言われますが、口腔内をトータルにみると、プラークを含めて歯にへばり付いた細菌の典型的なバイオフィルムと考えられます。

この口腔内バイオフィルムが、虫歯や歯周症の原因となるのですが、糖質制限食で予防できると思います。

口腔内バイオフィルムの細菌の餌は糖質なので、糖質を摂らなければバイオフィルムそのものが形成しにくくなるのです。

私は最新の糖質制限食の話題や人類700万年の進化の歴史と食生活 についてもお話ししました。

さらに食前 と食後の血糖値の変動幅から人類の食生活を3段階にわけて検 討してみました。

農耕が始まる前の700万年間は、狩猟・採集が生業であり、人類皆糖質制限食でした。

農耕が始まり穀物を食べ始めたのはわずか1万年前からです。

すなわち糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食です。

糖尿病・メタボ以など生活習慣病、日本人の5大疾病、4大死因の予防と治療に糖質制限食が有効というお話もしましたが、人類の健康食という意味ではおおいに納得できます。

最後は30分間きっちり使って熱心な質疑応答が行われました。

吉田毅先生、野口和宏先生 、ありがとうございました。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
就寝時の血糖値と暁現象
先日の講習会・交流会お疲れ様でした。
改めて糖質制限の素晴らしさを実感いましました。
交流会の席では、私の血糖値データを確認して頂き有難う御座いました。
本題ですが、血糖値データをチェックして頂いた際に、先生がおっしゃられた朝の空腹時血糖値が高い(134〜210)件について、就寝前から起床時までの血糖値変動を自己計測器で調べてみようと思っています。
何か要因があるのか…気になってしまいまして。
計測のタイミングなど…注意点がありましたら、教えて頂けませんか?
グリメピリドに関しては、主治医と相談してメトグルコに変更予定です。
今後もスーパー糖質制限で頑張って健康体を取り戻したいと思います。
2015/11/24(Tue) 19:11 | URL | 田中 宏 ひごまる | 【編集
お礼
江部先生

講演会に参加した九州の学生です。
質疑応答の際、丁寧にお答えくださり誠にありがとうございます。
以下、講演会後に考えたこと、感じたことをまとめてみました。

江部先生ご指摘の通り、私自身を含む家族全員が"機能性低血糖"であると思われます。
機能性低血糖の症状がドンピシャで家族全員に当てはまるからです。
さらに、父方の祖母が2型糖尿病を患った後に死去したことからも確実と感じています。
家族構成は父、母、姉二人、兄、私の六人です。

家族にもこのことを伝えました。
おかげで、母は地元の日本糖質制限医療推進協会の提携病院での診察を予定しています。
母以外の家族はまだ半信半疑といったところですが、徐々に興味を示してきており、
私と母の結果が示せれば、自然と受け入れてくれると思っています。

私が糖質制限を始めたきっかけは、プロテニスプレイヤーのジョコビッチ選手が、食事療法により成績を飛躍的に上げたという話を聞いたところからです。
ジョコビッチ選手の書籍では、"グルテンおよび精製糖質の摂取を極力避けるべき"と繰り返し主張しており、他の書籍やネット検索で詳細を調査するうちに
江部先生のブログと書籍に辿り着いた次第です。

私自身は糖質制限食を1ヶ月前から実施しています。スタンダードとスーパーの間くらいと少し緩めです。
典型的な食事例は以下の通りです。

朝食:ココナッツオイルおよびイリコ粉末入りお湯、
間食:ココナッツオイル入りお湯、またはコーヒー
昼食:塩さば定食 ご飯2口ほど
間食:ココナッツオイル入りお湯、またはコーヒー
夕食:焼肉定食 もちろんご飯抜き
*あとは適宜、間食でミカン等の低糖果物を食す程度

運動量は週1回のペースでテニスを1時間ほどする程度です。身長は171cm, 体重は58-60kgです。
元々痩せ型で最初は体重減少を懸念していましたが、1ヶ月後も変わらず59kgを維持しており良好です。
また、実施前は以下9つの症状が26年間断続的に続いていました。

1) 鼻水、鼻づまり、のどの不調
2) 夜、寝付くのに時間がかかる
3) 寝る前の眼内閃光
4) 朝起きるのがつらい
5) 日中の倦怠感、眠気
6) 日中の集中力散漫
7) 切れ痔とそれによる出血
8) 顔面の皮膚炎症
9) フケ

実施後は、驚くべきことに、一気に同時にほぼ完璧に治っており、毎日の朝がすがすがしく、人生の中で一番体調が良いと断言できます。身体・認知機能も確実に上がっており、先日受けた某英語テストも予想以上に大幅スコアアップを達成し、今後の飛躍を確信できるものでした。体脂肪率、筋肉量、内臓脂肪量、血糖値、ケトン体濃度等の定量的データはまだ調べていませんが、概ね良好と思われます。家族を説得するためにも、これらデータも調べたいとは思っているのですが...
とはいえ、江部先生には命を救ってもらったといっても過言ではなく、感謝してもしきれません。これに気づかず、考えようともせず、後の人生を歩んでいたらと思うとゾッとします。

また、吉田先生がご紹介した

W. A. プライス博士(著)、片山恒夫(訳)「食生活と身体の退化」1939年

の調査も大変興味深く、IT・交通インフラ設備が今とは比ではない1930年代に、これら膨大なデータをまとめ上げているプライス博士の功績は物凄いと感じました。早速、原本と翻訳版を注文しました。まだ糖質制限食をはじめて1ヶ月と新米ですが、これからも江部先生の書籍とブログおよび上記書籍を参考に健康増進に努めます。また、吉田先生と野口先生の体験談も激しく同意できるもので勇気を頂きました。この場を借りて、再度お礼を申し上げます。
長文失礼しました。
2015/11/24(Tue) 23:26 | URL | 九州の学生 | 【編集
Re: 就寝時の血糖値と暁現象
田中 宏 ひごまる さん

講演会、交流会へのご参加、ありがとうございました。

グリメピリドは、食後高血糖はあまり防げず、空腹時や夜間の低血糖を起こすので、特殊例を除いて使用しない方がいいです。

早朝空腹時血糖値が高値なのは暁現象と思います。

メトグルコを、朝夕後と眠前とかで早朝空腹時血糖値が改善します。
それで効果不足なら、DPP-4阻害剤を夕食前投与とかも併用します。

2015年01月03日 (土)の本ブログ記事
「暁現象と糖新生とメトグルコ」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3236.html
をご参照いただけば、幸いです。
2015/11/25(Wed) 07:31 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: お礼
九州の学生 さん

講演会へのご参加、ありがとうございます。

機能性低血糖は日本では、まだあまり知られていないのですが、
潜在的には結構おられると思います。

症状改善で良かったです。
2015/11/25(Wed) 07:39 | URL | ドクター江部 | 【編集
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