2015年01月29日 (木)
こんばんは。
糖尿病でコントロールの悪い人は、細菌感染のリスクがあります。
今回は肺炎球菌ワクチンについて考察してみましょう。
成人市中肺炎の約3割は、肺炎球菌が原因です。肺炎球菌によって、多くの高齢者が死亡しています。
この肺炎球菌による感染症を予防するためのワクチンが、肺炎球菌ワクチンです。
はっきりいって、インフルエンザワクチンより、はるかに有用です。
65才、70才、75才、80才、85才、90才、95才のきりのいい年齢の人には、半額公的援助が支給されます。
市中肺炎とは、普段の生活(病院外)でかかる肺炎のことです。
肺炎球菌には80種類以上の型がありますが、そのうち23種類が、全ての肺炎球菌による感染症の8割ぐらいを占めています。
肺炎球菌ワクチンを接種しておけば、これらの型に対して免疫をつけることができます。
1回の接種で23の型ほとんどに対し、有効レベル以上の免疫ができます。
この免疫はよく持続するもので、5年以上続きます。
肺炎球菌ワクチン接種により、60-80%の人に予防効果が期待できます。
近年、生涯に2回(以上?)接種できるようになったので、年齢的に若くても打ちやすくなりました。
理論的には、3回目もOKと思われるのですが、確認中です。
接種後の副作用には、注射部位の腫れや痛み、微熱などがありますが、たいてい3日くらいで治ります。
副作用もインフルエンザワクチンより、かなり少ないと思います。
米国と同様に、日本のガイドラインでも糖尿病は肺炎ワクチン接種対象に含まれていますが(下記参照)、現実的な対応としてはコントロールがよい場合、64才以下なら打たなくても良いと思います。
しかし、統計によりますと、きっちり病院に通院して治療していても、HbA1cが6.9%以下のコントロール良好な糖尿人は約30%。残り70%はコントロール不良で肺炎球菌感染のリスクがあることになりますね。
そうすると、コントロールが良くない糖尿人は、64才以下でも肺炎球菌ワクチンを接種したほうがいいと思います。
上述のように生涯に2回(以上?)摂取できるようになったので、若いからといって、打ち惜しみしなくていいようになりました。
65才以上の糖尿人は、肺炎球菌ワクチンを接種したほうがよいでしょう。
しかし糖質制限食でHbA1cが6.0%未満(正常)に保たれている糖尿人なら、リスクは一般人と同程度と考えられます。
☆☆☆
(参考)肺炎球菌ワクチンの対象
日本呼吸器学会「呼吸器感染症に関するガイドライン」より
1. 65歳以上の高齢者で肺炎球菌ワクチン摂取を受けたかどうかはっきりしない人
2. 2-64歳で下記の慢性疾患やリスクのある人
(1)慢性心不全
(2)慢性呼吸器疾患
(3)糖尿病
(4)アルコール中毒
(5)慢性肝疾患
(6)髄液漏
3. 摘脾を受けた人、脾機能不全の人
4. 老人施設や長期療養施設などの入居者
5 易感染症患者:
HIV感染者、白血病、ホジキン病、多発性骨髄腫、全身性の悪性腫瘍、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、移植患者のように免疫抑制療法を受けている人、副腎皮質ステロイドの長期全身投与を受けている人
江部康二
糖尿病でコントロールの悪い人は、細菌感染のリスクがあります。
今回は肺炎球菌ワクチンについて考察してみましょう。
成人市中肺炎の約3割は、肺炎球菌が原因です。肺炎球菌によって、多くの高齢者が死亡しています。
この肺炎球菌による感染症を予防するためのワクチンが、肺炎球菌ワクチンです。
はっきりいって、インフルエンザワクチンより、はるかに有用です。
65才、70才、75才、80才、85才、90才、95才のきりのいい年齢の人には、半額公的援助が支給されます。
市中肺炎とは、普段の生活(病院外)でかかる肺炎のことです。
肺炎球菌には80種類以上の型がありますが、そのうち23種類が、全ての肺炎球菌による感染症の8割ぐらいを占めています。
肺炎球菌ワクチンを接種しておけば、これらの型に対して免疫をつけることができます。
1回の接種で23の型ほとんどに対し、有効レベル以上の免疫ができます。
この免疫はよく持続するもので、5年以上続きます。
肺炎球菌ワクチン接種により、60-80%の人に予防効果が期待できます。
近年、生涯に2回(以上?)接種できるようになったので、年齢的に若くても打ちやすくなりました。
理論的には、3回目もOKと思われるのですが、確認中です。
接種後の副作用には、注射部位の腫れや痛み、微熱などがありますが、たいてい3日くらいで治ります。
副作用もインフルエンザワクチンより、かなり少ないと思います。
米国と同様に、日本のガイドラインでも糖尿病は肺炎ワクチン接種対象に含まれていますが(下記参照)、現実的な対応としてはコントロールがよい場合、64才以下なら打たなくても良いと思います。
しかし、統計によりますと、きっちり病院に通院して治療していても、HbA1cが6.9%以下のコントロール良好な糖尿人は約30%。残り70%はコントロール不良で肺炎球菌感染のリスクがあることになりますね。
そうすると、コントロールが良くない糖尿人は、64才以下でも肺炎球菌ワクチンを接種したほうがいいと思います。
上述のように生涯に2回(以上?)摂取できるようになったので、若いからといって、打ち惜しみしなくていいようになりました。
65才以上の糖尿人は、肺炎球菌ワクチンを接種したほうがよいでしょう。
しかし糖質制限食でHbA1cが6.0%未満(正常)に保たれている糖尿人なら、リスクは一般人と同程度と考えられます。
☆☆☆
(参考)肺炎球菌ワクチンの対象
日本呼吸器学会「呼吸器感染症に関するガイドライン」より
1. 65歳以上の高齢者で肺炎球菌ワクチン摂取を受けたかどうかはっきりしない人
2. 2-64歳で下記の慢性疾患やリスクのある人
(1)慢性心不全
(2)慢性呼吸器疾患
(3)糖尿病
(4)アルコール中毒
(5)慢性肝疾患
(6)髄液漏
3. 摘脾を受けた人、脾機能不全の人
4. 老人施設や長期療養施設などの入居者
5 易感染症患者:
HIV感染者、白血病、ホジキン病、多発性骨髄腫、全身性の悪性腫瘍、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、移植患者のように免疫抑制療法を受けている人、副腎皮質ステロイドの長期全身投与を受けている人
江部康二
江部先生先日は質問にお答え頂きありがとうございました。
さっそくですが、朝はローソン低糖質のパンをふたつほどとお野菜などにし、お昼はおからやパルスイートで作った蒸しパンなどを主食に、夜は主食を抜いた生活を始めました!
こんなゆるい糖質制限の生活で、糖尿病発症の予防になりますでしょうか?
さっそくですが、朝はローソン低糖質のパンをふたつほどとお野菜などにし、お昼はおからやパルスイートで作った蒸しパンなどを主食に、夜は主食を抜いた生活を始めました!
こんなゆるい糖質制限の生活で、糖尿病発症の予防になりますでしょうか?
2015/01/29(Thu) 22:25 | URL | のろのろ | 【編集】
江部先生おはようございます。
今朝のNHK番組、あさイチで中谷美紀さんも、緩やかな糖質制限をしていらっしゃるとのことをおっしゃっていました。
美容と健康のため、たんぱく質をたっぷりとること、繊維質をとって糖質の吸収を緩やかにすること。
以前、肉食べず、野菜や穀物だけで糖質過剰の食生活をしていたら、体調を崩したとも。
血糖値の乱高下をしないようにしていらっしゃるそうです。
美と健康の秘訣は糖質制限にありと、感じた方も多かったと思います。
今朝のNHK番組、あさイチで中谷美紀さんも、緩やかな糖質制限をしていらっしゃるとのことをおっしゃっていました。
美容と健康のため、たんぱく質をたっぷりとること、繊維質をとって糖質の吸収を緩やかにすること。
以前、肉食べず、野菜や穀物だけで糖質過剰の食生活をしていたら、体調を崩したとも。
血糖値の乱高下をしないようにしていらっしゃるそうです。
美と健康の秘訣は糖質制限にありと、感じた方も多かったと思います。
2015/01/30(Fri) 08:56 | URL | ばんちゃ | 【編集】
のろのろ さん
緩やかな糖質制限食でも、糖尿病発症の予防になります。
2014/07/20の本ブログ記事
「糖質制限食英文論文、新潟労災、前川智先生。境界型が正常型に。」
をご参照いただけば幸いです。
緩やかな糖質制限食でも、糖尿病発症の予防になります。
2014/07/20の本ブログ記事
「糖質制限食英文論文、新潟労災、前川智先生。境界型が正常型に。」
をご参照いただけば幸いです。
2015/01/30(Fri) 15:46 | URL | ドクター江部 | 【編集】
ばんちゃ さん
素敵な情報をありがとうございます。
中谷美紀さん、テレビ『JIN-仁-』(じん)
の花魁の野風(のかぜ)
格好良かったですね。
素敵な情報をありがとうございます。
中谷美紀さん、テレビ『JIN-仁-』(じん)
の花魁の野風(のかぜ)
格好良かったですね。
2015/01/30(Fri) 16:01 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、書き込み失礼いたします。
糖質制限食は、生活習慣病各種だけでなく肺炎にも効果があったのですね。
そのため、最近それが原因らしく亡くなられた松来未祐さんも導入していれば実は防げたかもしれないと思うと、周囲の視線があっても説明すべきだったと後悔しています。
糖質過剰+高ストレスがここまで危険とは、、、私の周囲にも警戒しなければなりません。
糖質制限食は、生活習慣病各種だけでなく肺炎にも効果があったのですね。
そのため、最近それが原因らしく亡くなられた松来未祐さんも導入していれば実は防げたかもしれないと思うと、周囲の視線があっても説明すべきだったと後悔しています。
糖質過剰+高ストレスがここまで危険とは、、、私の周囲にも警戒しなければなりません。
2015/11/08(Sun) 19:33 | URL | giga8plus | 【編集】
giga8plus さん
糖質制限食は、基本人類本来の食事であり、人類の健康食です。
それにより様々な疾病・症状によい効果が期待できると思いますが、個人差はあります。
糖質制限食を実践するか否かは、ご本人が選択することだと思います。
糖質制限食は、基本人類本来の食事であり、人類の健康食です。
それにより様々な疾病・症状によい効果が期待できると思いますが、個人差はあります。
糖質制限食を実践するか否かは、ご本人が選択することだと思います。
2015/11/08(Sun) 21:01 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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