2014年02月25日 (火)
第24回日本疫学会学術総会[久山町研究]
【蛋白質の摂取量が多いほど,脳卒中および脳出血の発症リスクが低下
発表者: 九州大学・小澤 未央 氏 (1月25日,一般口演)
目的: 日本人地域一般住民を対象に,蛋白質の摂取量と脳卒中発症リスクとの関連を検討。
コホート・手法: 久山町研究。心血管疾患既往者,および蛋白質摂取量が極端な人(高値,低値とも全体の1%)を除外した2400人を19年間追跡。1日あたりの蛋白質摂取量の四分位により対象者を4つのカテゴリーに分類(Q1: 50 g未満,Q2: 50~55.5 g,Q3: 55.6~61.4 g,Q4: 61.5 g以上)。 (久山町研究へ)
結果: 蛋白質摂取量は,脳卒中発症の多変量調整ハザード比の低下と有意に関連していた。脳卒中病型別にみると,脳出血では同様の結果が得られたが,脳梗塞については,蛋白質摂取量との有意な関連はみられず。蛋白質の種類(動物性/植物性)ごとに解析を行うと,脳卒中発症の多変量調整ハザード比は植物性蛋白質の摂取量が多いほど有意に低下したが,動物性蛋白質摂取量との関連はみられず,この結果は脳梗塞についても同様であった。脳出血については,動物性蛋白質の摂取量が多いほど発症の多変量調整ハザード比が有意に低下していたが,植物性蛋白質では有意な関連はみられなかった。
小澤未央氏のコメント
今回の結果から,蛋白質摂取が脳卒中発症リスクの低下と関連していることが示唆されました。動物性蛋白質と植物性蛋白質に分けて検討した場合に,動物性蛋白質は脳出血に対して,植物性蛋白質は脳梗塞に対してそれぞれ予防的に働いていたことから,これまでに蛋白質摂取の効果として報告されている降圧作用以外にも,動物性蛋白質と植物性蛋白質のそれぞれに特有のメカニズムによる脳卒中予防効果がある可能性があります。そのため,動物性蛋白質,植物性蛋白質の両方をバランスよく摂取することが大切だと考えられます。】
こんにちは。
精神科医師Aさんから情報をいただきましたが、
第24回日本疫学会学術総会が、
2014年1月23日(木)~25日(土)の3日間、仙台にて開催されました。
http://www.epi-c.jp/entry/e800_0_jea2014.html#3rd
興味深い報告が複数ありましたが、まずは久山町研究です。
九州大学の小澤美央氏が、久山町研究のデータを元に発表されました。
結論は
「蛋白質の摂取量が多いほど、脳卒中および脳出血のリスクが低下」
ということです。
結果をみると、脳卒中(脳出血+脳梗塞)全体と脳出血単独に関しては、蛋白質摂取が多いほど発症リスクが低下していましたが、脳梗塞に関してはリスク低下はなしです。
さらに、動物性蛋白質と植物性蛋白質に分けて検討したところ、大変興味深い結果がでています。
すなわち、
動物性蛋白質摂取が多いと、脳出血に対して予防的に働き、
植物性蛋白質摂取が多いと、脳梗塞に対して予防的に働く
という結論です。
糖質制限食なら、
動物性蛋白質(肉、魚、卵、チーズ・・・)
植物性蛋白質(豆腐・納豆・湯葉・厚揚げ・がんもどき・枝豆など大豆製品、クルミ・アーモンド・ピーナッツなどナッツ類・・・)
など、そもそも蛋白質摂取量は、従来の糖尿病食に比べたら比較にならないほど多いです。
そうすると普通に糖質制限食を実践していたら、自然に動物性蛋白質と植物性蛋白質をバランスよく多めに摂取できることになるので、脳出血も脳梗塞も予防できるという結論となります。
久山町研究という信頼度の高い疫学データから得られた結果に基づく結論なので、私の我田引水ということにはなりませんね。
久山町研究にはいつも感謝です。
小澤美央先生、素晴らしい研究発表を、ありがとうございます。
江部康二
【蛋白質の摂取量が多いほど,脳卒中および脳出血の発症リスクが低下
発表者: 九州大学・小澤 未央 氏 (1月25日,一般口演)
目的: 日本人地域一般住民を対象に,蛋白質の摂取量と脳卒中発症リスクとの関連を検討。
コホート・手法: 久山町研究。心血管疾患既往者,および蛋白質摂取量が極端な人(高値,低値とも全体の1%)を除外した2400人を19年間追跡。1日あたりの蛋白質摂取量の四分位により対象者を4つのカテゴリーに分類(Q1: 50 g未満,Q2: 50~55.5 g,Q3: 55.6~61.4 g,Q4: 61.5 g以上)。 (久山町研究へ)
結果: 蛋白質摂取量は,脳卒中発症の多変量調整ハザード比の低下と有意に関連していた。脳卒中病型別にみると,脳出血では同様の結果が得られたが,脳梗塞については,蛋白質摂取量との有意な関連はみられず。蛋白質の種類(動物性/植物性)ごとに解析を行うと,脳卒中発症の多変量調整ハザード比は植物性蛋白質の摂取量が多いほど有意に低下したが,動物性蛋白質摂取量との関連はみられず,この結果は脳梗塞についても同様であった。脳出血については,動物性蛋白質の摂取量が多いほど発症の多変量調整ハザード比が有意に低下していたが,植物性蛋白質では有意な関連はみられなかった。
小澤未央氏のコメント
今回の結果から,蛋白質摂取が脳卒中発症リスクの低下と関連していることが示唆されました。動物性蛋白質と植物性蛋白質に分けて検討した場合に,動物性蛋白質は脳出血に対して,植物性蛋白質は脳梗塞に対してそれぞれ予防的に働いていたことから,これまでに蛋白質摂取の効果として報告されている降圧作用以外にも,動物性蛋白質と植物性蛋白質のそれぞれに特有のメカニズムによる脳卒中予防効果がある可能性があります。そのため,動物性蛋白質,植物性蛋白質の両方をバランスよく摂取することが大切だと考えられます。】
こんにちは。
精神科医師Aさんから情報をいただきましたが、
第24回日本疫学会学術総会が、
2014年1月23日(木)~25日(土)の3日間、仙台にて開催されました。
http://www.epi-c.jp/entry/e800_0_jea2014.html#3rd
興味深い報告が複数ありましたが、まずは久山町研究です。
九州大学の小澤美央氏が、久山町研究のデータを元に発表されました。
結論は
「蛋白質の摂取量が多いほど、脳卒中および脳出血のリスクが低下」
ということです。
結果をみると、脳卒中(脳出血+脳梗塞)全体と脳出血単独に関しては、蛋白質摂取が多いほど発症リスクが低下していましたが、脳梗塞に関してはリスク低下はなしです。
さらに、動物性蛋白質と植物性蛋白質に分けて検討したところ、大変興味深い結果がでています。
すなわち、
動物性蛋白質摂取が多いと、脳出血に対して予防的に働き、
植物性蛋白質摂取が多いと、脳梗塞に対して予防的に働く
という結論です。
糖質制限食なら、
動物性蛋白質(肉、魚、卵、チーズ・・・)
植物性蛋白質(豆腐・納豆・湯葉・厚揚げ・がんもどき・枝豆など大豆製品、クルミ・アーモンド・ピーナッツなどナッツ類・・・)
など、そもそも蛋白質摂取量は、従来の糖尿病食に比べたら比較にならないほど多いです。
そうすると普通に糖質制限食を実践していたら、自然に動物性蛋白質と植物性蛋白質をバランスよく多めに摂取できることになるので、脳出血も脳梗塞も予防できるという結論となります。
久山町研究という信頼度の高い疫学データから得られた結果に基づく結論なので、私の我田引水ということにはなりませんね。
久山町研究にはいつも感謝です。
小澤美央先生、素晴らしい研究発表を、ありがとうございます。
江部康二
朝日電子版にはこんな記事も出ています。
高血圧もさげたいのですが、、、。
高血圧もさげたいのですが、、、。
炭水化物の割合が低い食事は,総死亡,心血管疾患死亡リスクの低下と関連
発表者: 京都女子大学・中村 保幸 氏 (1月24日,一般口演)
http://www.epi-c.jp/entry/e800_0_jea2014.html#5th
発表者: 京都女子大学・中村 保幸 氏 (1月24日,一般口演)
http://www.epi-c.jp/entry/e800_0_jea2014.html#5th
2014/02/26(Wed) 09:03 | URL | りかりか | 【編集】
りかりか さん
情報をありがとうございます。
京都女子大学・中村 保幸 氏
は、京大医学部の同級生です。
本日の記事に取り上げる予定です。
「糖質制限食の安全性にエビデンス」
というタイトルで、メディカル・トリビューンにも記事が掲載されました。
情報をありがとうございます。
京都女子大学・中村 保幸 氏
は、京大医学部の同級生です。
本日の記事に取り上げる予定です。
「糖質制限食の安全性にエビデンス」
というタイトルで、メディカル・トリビューンにも記事が掲載されました。
2014/02/26(Wed) 09:07 | URL | ドクター江部 | 【編集】
mmx さん
肥満に伴う高血圧は、糖質制限食で肉をタップリ食べても、確実に低下します。
ベジタリアン・・・まあいろいろあるのですね。
肥満に伴う高血圧は、糖質制限食で肉をタップリ食べても、確実に低下します。
ベジタリアン・・・まあいろいろあるのですね。
2014/02/26(Wed) 09:08 | URL | ドクター江部 | 【編集】
副作用の見解「非科学的」―ワクチン接種中止要望
読売新聞2014年 2月24日(月)19時24分配信
子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に重い副作用が出ている問題で、厚生労働省の有識者検討会が先月、「接種による痛みや不安に対する心身の反応が引き起こした」との見解をまとめたことについて、民間団体「薬害オンブズパースン会議」は24日、恣意(しい)的で非科学的だなどとする意見書を、田村厚労相らに提出した。
意見書では、新しい医薬品には既知の知見で説明できない副作用が起きる可能性があるのに、有識者検討会でその点を検討していないなどとし、定期予防接種として接種を行うことを中止するよう求めている。
厚労省の次回の有識者検討会は26日に開かれる。
◇
もし「痛みや不安に対する心身の反応」が原因で障害が起きるなら、毎日複数回の注射を一生せねばならぬ1型糖尿病患者に同じ症状が続出しているはずです
読売新聞2014年 2月24日(月)19時24分配信
子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に重い副作用が出ている問題で、厚生労働省の有識者検討会が先月、「接種による痛みや不安に対する心身の反応が引き起こした」との見解をまとめたことについて、民間団体「薬害オンブズパースン会議」は24日、恣意(しい)的で非科学的だなどとする意見書を、田村厚労相らに提出した。
意見書では、新しい医薬品には既知の知見で説明できない副作用が起きる可能性があるのに、有識者検討会でその点を検討していないなどとし、定期予防接種として接種を行うことを中止するよう求めている。
厚労省の次回の有識者検討会は26日に開かれる。
◇
もし「痛みや不安に対する心身の反応」が原因で障害が起きるなら、毎日複数回の注射を一生せねばならぬ1型糖尿病患者に同じ症状が続出しているはずです
2014/02/26(Wed) 12:12 | URL | 精神科医師A | 【編集】
その翌日から検査入院。
昨日、カテーテル検査を実施。半年前に冠状動脈の2か所に挿入したステントという網状の小さなパイプが再び詰まったりしていないか、他の箇所に動脈硬化で血管が詰まったりしていないか、などを調べました。
結果は、幸いにして経過は順調。新たにステントを挿入するような箇所も、現在のところは見つからなかったとのことでした(^o^)v
今回はカテーテル手術後、初の半年後検査でしたが次回は1年後に検査しましょうということになりました。
ということで、今日このあとの、最後の仕上げの心電図検査で合格❗となれば、本日中に退院できそうです(^o^)v
~で、こちらも、合格!
病みて帰り 荷を解くこころ まるくあり
(退院し無事に帰宅。独り、バッグの中味を片付けながら、詠める)退院祝いに、赤ワイン5勺と素焼きのミックスナッツ、チーズで独り乾杯(^o^)v
●病歴10年なら、治癒にも10年(「江部語録」)今回の検査がうまくいったのは、Nさんが、「糖質制限」を始めたからだと思いました。(三島)
昨日、カテーテル検査を実施。半年前に冠状動脈の2か所に挿入したステントという網状の小さなパイプが再び詰まったりしていないか、他の箇所に動脈硬化で血管が詰まったりしていないか、などを調べました。
結果は、幸いにして経過は順調。新たにステントを挿入するような箇所も、現在のところは見つからなかったとのことでした(^o^)v
今回はカテーテル手術後、初の半年後検査でしたが次回は1年後に検査しましょうということになりました。
ということで、今日このあとの、最後の仕上げの心電図検査で合格❗となれば、本日中に退院できそうです(^o^)v
~で、こちらも、合格!
病みて帰り 荷を解くこころ まるくあり
(退院し無事に帰宅。独り、バッグの中味を片付けながら、詠める)退院祝いに、赤ワイン5勺と素焼きのミックスナッツ、チーズで独り乾杯(^o^)v
●病歴10年なら、治癒にも10年(「江部語録」)今回の検査がうまくいったのは、Nさんが、「糖質制限」を始めたからだと思いました。(三島)
2014/02/26(Wed) 14:29 | URL | 北九州 三島 | 【編集】
江部先生こんにちは
糖質制限食をし、コレステロールが上がる方がいます!自分もそういうタイプの人間なのですが
そういうタイプの人は体臭がキツくなるとききますが本当ですか⁇
またもしなるとしたらどんなケースですか⁇
もし糖質制限食をしても体臭が
キツくならないならどうしたら
よいですか?
教えてください
糖質制限食をし、コレステロールが上がる方がいます!自分もそういうタイプの人間なのですが
そういうタイプの人は体臭がキツくなるとききますが本当ですか⁇
またもしなるとしたらどんなケースですか⁇
もし糖質制限食をしても体臭が
キツくならないならどうしたら
よいですか?
教えてください
2014/02/26(Wed) 20:53 | URL | 眞鍋 | 【編集】
北九州 三島
Nさん、糖質制限食で心臓の経過良好、とても良かったです。
Nさん、糖質制限食で心臓の経過良好、とても良かったです。
2014/02/26(Wed) 20:57 | URL | ドクター江部 | 【編集】
眞鍋 さん
コレステロールと体臭は関係ないと思います。
スーパー糖質制限食の初期段階で血中ケトン体がかなり高値となったときに
一時的に呼気からアセトンが排出されて、
甘酸っぱいアセトン臭がでることがあります。
アセトン臭は、そのうちに自然におさまります。
アセトン臭が出ない人の方がはるかに多いので、
体臭が出ないからといって特に問題はありません。
コレステロールと体臭は関係ないと思います。
スーパー糖質制限食の初期段階で血中ケトン体がかなり高値となったときに
一時的に呼気からアセトンが排出されて、
甘酸っぱいアセトン臭がでることがあります。
アセトン臭は、そのうちに自然におさまります。
アセトン臭が出ない人の方がはるかに多いので、
体臭が出ないからといって特に問題はありません。
2014/02/26(Wed) 21:01 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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