2014年01月26日 (日)
こんばんは。
精神科医師A さんから久山町研究関連論文について、コメント頂きました。
精神科医師A さん、貴重な情報をありがとうございます。
福岡市にある中村学園大学栄養科学部は、九州大学大学院医学研究院環境医学分野の清原先生グループと共に久山町の住人の方々の栄養指導を、長年行ってこられました。
当然指導されたのは、日本糖尿病学会の推奨する、唯一無二の従来の糖尿病食(高糖質食)です。
中村学園の論文の表3のデータ「久山町栄養素摂取比率の変遷」(*)と久山町の糖尿病罹患率の変遷(**)の清原先生の論文データを以下一緒に並べてみました。
久山町栄養素摂取比率の変遷と糖尿病罹患率の変遷
平成6年(1994年) 平成16年(2004年)
タンパク質摂取比率 16.3 14.9%
脂質摂取比率 26.2 24.5%
炭水化物摂取比率 54.2 57.2%
1988年 2002年
久山町男性糖尿病 15.0 23.6%
久山町男性耐糖能異常 42.2 59.9%
上記データで明らかなように、久山町でも、全国と同様に、脂質摂取比率が減って炭水化物摂取比率が増えて、糖尿病が増加しています。
従来の定説「食生活が欧米化して、脂質が増えて炭水化物が減って糖尿病が増えた」というのは、日本全国においても久山町においても、間違いですね。
1)1994年~2004年にかけて中村学園の論文で、久山町において、
糖質摂取量だけが増加して、タンパク質・脂質摂取量は減少しています。
総摂取エネルギーは、1811kcal/日~1890kcal/日と、ほとんど差はありません。(*)
2)1988年~2002年、九州大学が食事指導して、久山町の糖尿病有病率は著明に増加しています。(**)
1)2)は論文として報告されています。
九州大学及び中村学園の食事指導が、久山町で受け入れられた結果、糖質が増加して、タンパク質・脂質が減少したと考えられます。
1)2)を考慮すれば、少しタイムラグはあるのですが、「糖質摂取量だけが増加して、タンパク質・脂質摂取量は減少して、糖尿病有病率が著明に増加」
これが、信頼度の高い久山町研究データから導き出される結論となります。
14年間にわたり、実施された食事指導(日本糖尿病学会推奨の糖尿病食)そのものは、久山町住民の方々がちゃんと守った結果を反映して、糖質が増加して、タンパク質・脂質が減少しています。
しかし、食事指導を守ったにもかかわらず、糖尿病有病率は増加してしまいました。
結論です。
信頼度の高い久山町研究のデータを検討してみると、
「14年間にわたり、日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限、高糖質、低脂肪食)を実践した結果、糖尿病有病率が著明に増加した。」
という信頼度の高いエビデンスがあることとなります。
即ち、従来のカロリー制限食(高糖質食)は糖尿病患者やその予備軍に対して、長期安全性が担保され無い事も、久山町研究において、証明されたことになります。
江部康二
(*)中村学園大学短期大学部研究紀要39, 255-262, 2007-3-15
久山町住民の栄養素等摂取量,食品群別摂取量の40年間の変化:久山町における栄養疫学研究
友納美恵子 城田知子 内田和宏 清原裕
P258、表3
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006405565
(**)清原裕,危険因子としての糖尿病
分子脳血管病 vol.6 no.1 2007 19-24
(清原裕教授 九州大学大学院医学研究院環境医学)
江部康二
精神科医師A さんから久山町研究関連論文について、コメント頂きました。
精神科医師A さん、貴重な情報をありがとうございます。
福岡市にある中村学園大学栄養科学部は、九州大学大学院医学研究院環境医学分野の清原先生グループと共に久山町の住人の方々の栄養指導を、長年行ってこられました。
当然指導されたのは、日本糖尿病学会の推奨する、唯一無二の従来の糖尿病食(高糖質食)です。
中村学園の論文の表3のデータ「久山町栄養素摂取比率の変遷」(*)と久山町の糖尿病罹患率の変遷(**)の清原先生の論文データを以下一緒に並べてみました。
久山町栄養素摂取比率の変遷と糖尿病罹患率の変遷
平成6年(1994年) 平成16年(2004年)
タンパク質摂取比率 16.3 14.9%
脂質摂取比率 26.2 24.5%
炭水化物摂取比率 54.2 57.2%
1988年 2002年
久山町男性糖尿病 15.0 23.6%
久山町男性耐糖能異常 42.2 59.9%
上記データで明らかなように、久山町でも、全国と同様に、脂質摂取比率が減って炭水化物摂取比率が増えて、糖尿病が増加しています。
従来の定説「食生活が欧米化して、脂質が増えて炭水化物が減って糖尿病が増えた」というのは、日本全国においても久山町においても、間違いですね。
1)1994年~2004年にかけて中村学園の論文で、久山町において、
糖質摂取量だけが増加して、タンパク質・脂質摂取量は減少しています。
総摂取エネルギーは、1811kcal/日~1890kcal/日と、ほとんど差はありません。(*)
2)1988年~2002年、九州大学が食事指導して、久山町の糖尿病有病率は著明に増加しています。(**)
1)2)は論文として報告されています。
九州大学及び中村学園の食事指導が、久山町で受け入れられた結果、糖質が増加して、タンパク質・脂質が減少したと考えられます。
1)2)を考慮すれば、少しタイムラグはあるのですが、「糖質摂取量だけが増加して、タンパク質・脂質摂取量は減少して、糖尿病有病率が著明に増加」
これが、信頼度の高い久山町研究データから導き出される結論となります。
14年間にわたり、実施された食事指導(日本糖尿病学会推奨の糖尿病食)そのものは、久山町住民の方々がちゃんと守った結果を反映して、糖質が増加して、タンパク質・脂質が減少しています。
しかし、食事指導を守ったにもかかわらず、糖尿病有病率は増加してしまいました。
結論です。
信頼度の高い久山町研究のデータを検討してみると、
「14年間にわたり、日本糖尿病学会推奨の糖尿病食(カロリー制限、高糖質、低脂肪食)を実践した結果、糖尿病有病率が著明に増加した。」
という信頼度の高いエビデンスがあることとなります。
即ち、従来のカロリー制限食(高糖質食)は糖尿病患者やその予備軍に対して、長期安全性が担保され無い事も、久山町研究において、証明されたことになります。
江部康二
(*)中村学園大学短期大学部研究紀要39, 255-262, 2007-3-15
久山町住民の栄養素等摂取量,食品群別摂取量の40年間の変化:久山町における栄養疫学研究
友納美恵子 城田知子 内田和宏 清原裕
P258、表3
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006405565
(**)清原裕,危険因子としての糖尿病
分子脳血管病 vol.6 no.1 2007 19-24
(清原裕教授 九州大学大学院医学研究院環境医学)
江部康二
『欧米の研究においては対象となるBMIは30~35以上のことが多く、肥満度の異なる日本人の糖尿病の病態に立脚した適正な炭水化物摂取量については、いまだ十分なエビデンスが揃っているとは言えない』
http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=40
宇都宮一典氏は、1月11日の病態栄養学会でも同じことを言っていたよ。久山研究で十分な evidence があるのにさ
http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=40
宇都宮一典氏は、1月11日の病態栄養学会でも同じことを言っていたよ。久山研究で十分な evidence があるのにさ
2014/01/26(Sun) 21:49 | URL | 精神科医師A | 【編集】
このような人体実験は人権侵害にならないのでしょうか。
久山町の住民の意識はどうなんでしょうね(´д`|||)
国も認めてはいけないでしょう(`_´メ)
久山町の住民の意識はどうなんでしょうね(´д`|||)
国も認めてはいけないでしょう(`_´メ)
2014/01/27(Mon) 01:04 | URL | 糖尿人M | 【編集】
おはようございます。
初めまして。
主人が健康診断で糖尿病予備軍から、今年は糖尿病と言われ、
江部先生の本糖質制限ガイド、糖質制限完全レシピを買い求め、すがる思いで糖質制限を始めました。
空腹時血糖136
HbA1c(JDS)6.5
HbA1c(NGSP)6.9
総コレステロールも305、LDL166、中性脂肪623
血圧123−82、軽度肝障害と記載されています。
食事は以前から、タニタを参考に作る事が多かったので、そんなに偏った食事はしていなかったと思うのですが…。
まず主人は糖質制限をすることは体的に合っているのでしょうか?
コレステロールも高いので、卵や肉、干物なども控えめのがよろしいのでしょうか?
豆腐ごはんは、主人には合わず、食べられなかったので、白米一合、玄米一合に対し糸こんにゃく200グラムほど加えたご飯を朝、昼の弁当で、300グラム摂取しています。
晩ご飯は主食抜きして、豆腐を半丁と、主菜(肉か魚)、副菜2種(野菜)、汁物、焼酎200ccほど飲んでおります。
最近、休肝日を週2日もうけております。
まだ、子供も小さく、先生の本もきちんと読めていないので、質問などして申し訳なく思いますが、
食生活として、このような具合で良いのか、誰に相談すればいいのか困り、書き込みさせていただきました。
お忙しいとは思いますが、お答え頂けると大変嬉しいです。
初めまして。
主人が健康診断で糖尿病予備軍から、今年は糖尿病と言われ、
江部先生の本糖質制限ガイド、糖質制限完全レシピを買い求め、すがる思いで糖質制限を始めました。
空腹時血糖136
HbA1c(JDS)6.5
HbA1c(NGSP)6.9
総コレステロールも305、LDL166、中性脂肪623
血圧123−82、軽度肝障害と記載されています。
食事は以前から、タニタを参考に作る事が多かったので、そんなに偏った食事はしていなかったと思うのですが…。
まず主人は糖質制限をすることは体的に合っているのでしょうか?
コレステロールも高いので、卵や肉、干物なども控えめのがよろしいのでしょうか?
豆腐ごはんは、主人には合わず、食べられなかったので、白米一合、玄米一合に対し糸こんにゃく200グラムほど加えたご飯を朝、昼の弁当で、300グラム摂取しています。
晩ご飯は主食抜きして、豆腐を半丁と、主菜(肉か魚)、副菜2種(野菜)、汁物、焼酎200ccほど飲んでおります。
最近、休肝日を週2日もうけております。
まだ、子供も小さく、先生の本もきちんと読めていないので、質問などして申し訳なく思いますが、
食生活として、このような具合で良いのか、誰に相談すればいいのか困り、書き込みさせていただきました。
お忙しいとは思いますが、お答え頂けると大変嬉しいです。
2014/01/27(Mon) 09:47 | URL | akirito | 【編集】
2014/01/27(Mon) 12:47 | URL | 精神科医師A | 【編集】
糖質制限のメタ解析をされて、糖質制限を否定されている某先生に「久山町研究で糖尿病患者を増加させてしまったカロリー制限の食事療法を糖尿病の患者さんに勧めるのは論理的にどう考えても間違っているのではないでしょうか」と直接質問したことがあります。
それに対しては「糖尿病の薬物療法も同時にやるので、問題はない」とのお答えでした。
これでは食事療法の意味がないですね。
それに対しては「糖尿病の薬物療法も同時にやるので、問題はない」とのお答えでした。
これでは食事療法の意味がないですね。
2014/01/27(Mon) 14:50 | URL | T | 【編集】
精神科医師A さん
同感です。
久山町研究により、
「日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食だと糖尿病が激増する。」
という、明白なエビデンスがありますね。
同感です。
久山町研究により、
「日本糖尿病学会推奨の従来の糖尿病食だと糖尿病が激増する。」
という、明白なエビデンスがありますね。
2014/01/27(Mon) 16:48 | URL | ドクター江部 | 【編集】
糖尿人M さん
九州大学や中村学園の諸先生方も、
良かれと思って研究され指導されたのだと思います。
結果が真逆で、糖尿病を激増させたのですから、先生方は、つらいと思います。
しかし現実をしっかり受け入れて、今後のために、
従来の糖尿病食が何故良くなかったかを、きっちり考察することは
研究者としての義務と思います。
それこそが、久山町の悲劇を繰り返さないための唯一の方法ではないでしょうか。
九州大学や中村学園の諸先生方も、
良かれと思って研究され指導されたのだと思います。
結果が真逆で、糖尿病を激増させたのですから、先生方は、つらいと思います。
しかし現実をしっかり受け入れて、今後のために、
従来の糖尿病食が何故良くなかったかを、きっちり考察することは
研究者としての義務と思います。
それこそが、久山町の悲劇を繰り返さないための唯一の方法ではないでしょうか。
2014/01/27(Mon) 16:54 | URL | ドクター江部 | 【編集】
akirito さん
拙著のご購入ありがとうございます。
糖質制限食で、血糖コントロール良好となると思います。
朝、昼は、各50gのご飯ですから、糖質量は各18.5gくらいですね。
夜はスーパー糖質制限食ですので、心配無しです。
まずはつらくない今のパターンでよいと思います。
拙著のご購入ありがとうございます。
糖質制限食で、血糖コントロール良好となると思います。
朝、昼は、各50gのご飯ですから、糖質量は各18.5gくらいですね。
夜はスーパー糖質制限食ですので、心配無しです。
まずはつらくない今のパターンでよいと思います。
2014/01/27(Mon) 17:00 | URL | ドクター江部 | 【編集】
精神科医師A さん
ありがとうございます。
山田悟先生ですね。
ありがとうございます。
山田悟先生ですね。
2014/01/27(Mon) 17:01 | URL | ドクター江部 | 【編集】
T さん
貴重な情報を、あがとうございます。
糖尿病を増加させるエビデンスがある従来の糖尿病食(破綻した食事療法)を
相変わらず、患者さんにすすめて、
「薬物療法もやるので問題ない」・・・とは
これでは、薬物依存であり、Tさんの仰有るとおり食事療法の放棄です。
開いた口がふさがらないとはこのことですね。
貴重な情報を、あがとうございます。
糖尿病を増加させるエビデンスがある従来の糖尿病食(破綻した食事療法)を
相変わらず、患者さんにすすめて、
「薬物療法もやるので問題ない」・・・とは
これでは、薬物依存であり、Tさんの仰有るとおり食事療法の放棄です。
開いた口がふさがらないとはこのことですね。
2014/01/27(Mon) 17:12 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、ご回答ありがとうございます。
大変嬉しく思います。
朝はご飯、みそ汁、納豆、魚の干物です。
大丈夫でしょうか?
今年の9〜12月にまた主人の健康診断があるので、それまで頑張ってみようと思います。
その前に糖尿病専門医を受診した方が良いようであれば、受診を主人にすすめてみようと思います。
大変嬉しく思います。
朝はご飯、みそ汁、納豆、魚の干物です。
大丈夫でしょうか?
今年の9〜12月にまた主人の健康診断があるので、それまで頑張ってみようと思います。
その前に糖尿病専門医を受診した方が良いようであれば、受診を主人にすすめてみようと思います。
2014/01/27(Mon) 17:53 | URL | akirito | 【編集】
この江部先生のブログをご覧になっている方の中には、多いとは言えないにしても、久山町にお住まいの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その方々が食事について更に言えば糖質制限について、どう考えておられるか知りたいです。
糖質制限食なんてよくは知らないし、あまり知りたいとも思わないというコメントであっても、「トンデモない」とは思わないようにいたします。
たしかに糖質制限食について賛同・感謝・普及に対する何らかの貢献をしたいとのコメントが多いのこのブログではありますが、もっと勉強して欲しいトンデモ医療者に対してもあまり攻撃的にはならない実に紳士的な世界です。
その方々が食事について更に言えば糖質制限について、どう考えておられるか知りたいです。
糖質制限食なんてよくは知らないし、あまり知りたいとも思わないというコメントであっても、「トンデモない」とは思わないようにいたします。
たしかに糖質制限食について賛同・感謝・普及に対する何らかの貢献をしたいとのコメントが多いのこのブログではありますが、もっと勉強して欲しいトンデモ医療者に対してもあまり攻撃的にはならない実に紳士的な世界です。
akirito さん
1回の食事の糖質量が、20g以下なら、安心ですね。
30gでも、食後血糖値が180mgを超えなければいいのですが・・・。
食後血糖値が180mg未満を目指します。
血糖自己測定器が安くなったので、購入するのもいいですよ。
ニプロトゥルーピコ、¥3500-です。
1回の食事の糖質量が、20g以下なら、安心ですね。
30gでも、食後血糖値が180mgを超えなければいいのですが・・・。
食後血糖値が180mg未満を目指します。
血糖自己測定器が安くなったので、購入するのもいいですよ。
ニプロトゥルーピコ、¥3500-です。
2014/01/28(Tue) 10:03 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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