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RCT研究論文で、「糖質制限食」が「低脂肪・高糖質食」に勝利
DIRECT.jpg


こんにちは。

よく引用されるイスラエルのShai先生の有名な論文、DIRECT
「低炭水化物食で体重減少・ HDL-C増加・HbA1c改善  RCT研究論文」

イスラエルの322人(男性86%)
(1)低脂肪食(カロリー制限あり)女性1500kcal、男性1800kcal
(2)オリーブ油たっぷりの地中海食(カロリー制限あり)女性1500kcal、男性1800kcal
(3)低炭水化物食(カロリー制限なし)
3グループの食事法を2年間
低炭水化物食が、最も体重減少。HDL-Cも増加。
36名の糖尿病患者においてHbA1cが有意差をもって改善

Iris Shai,et all:Weight Loss with a Low-Carbohydrate,Mediterranean,or Low-Fat Diet.
NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359. NO.3 229-241



<要約>

この研究、結果として、3グループ共に同じだけ、摂取エネルギーの減少が認められています。

つまり、同一摂取エネルギーで

(1)低脂肪食:糖質50%
(2)オリーブ油たっぷりの地中海食:糖質50%
(3)低炭水化物食(糖質制限食):糖質40%

の3つのグループを、2年間経過を追ったことになります。

その結果、糖質制限食が最も体重減少し、HDL-Cも増加し、HbA1cが有意差をもって改善です。

言い換えると、少なくとも同一摂取エネルギーならば、糖質50%摂取の低脂肪食群に比べると、糖質40%摂取の糖質制限食群は有意差をもって、体重が減少しています。

ここに、この信頼度の高いRCT研究論文により、「糖質制限食」が「低脂肪・高糖質食」に勝利したことが証明されました。

もう一点、特筆すべきは、糖質制限食は、摂取エネルギーは無制限であったにもかかわらず、低脂肪食群や地中海食群と同じだけ自然に摂取エネルギーが減少したことです。

このことは、糖質制限食の場合は、満足度と満腹度が高いので、我慢するのではなく自然に大食しなくなることを示しています。

これも個人的な感想ではなく、RCT研究論文で証明されたことなので意味は大変大きいです。

まさに、糖質制限食は美味しく楽しく、そして楽に実践できることが証明されたわけです。

糖質摂取40%の中糖質食でも、有意差がでたのですから、糖質12%摂取のスーパー糖質制限食なら、もっと明確な差がでたと思います。

<解説>

糖質制限群は、最初の2ヶ月は20g/日に糖質を制限、その後3ヶ月目からは徐々に緩めて120g/日までOKと設定しています。

しかしながら、6ヶ月後、12ヶ月後、24ヶ月後、40~41%の糖質を摂取しています。

つまり、このDIRECT論文も、糖質40%の糖質制限食群(中糖質群)と糖質約50%の低脂肪食群、地中海食群(高糖質群)を比べた研究ということになります。

3群とも、出発点のベースラインからは、日々の摂取カロリーが6ヶ月後、12ヶ月後、24ヶ月後と全て、有意に減少しています。

ベースラインからのカロリー減少幅に3群で有意差はありませんでした。

糖質制限食群はカロリー制限なしの設定ですが、低脂肪食群、地中海食群と有意差無く摂取エネルギーが減少しています。

それで女性1500kcal、男性1800calのカロリー制限ありの他の2群に摂取カロリーを合わせてみると、糖質制限食群でも、女性で150g/日、男性で180g/日の炭水化物を摂取していることになります。

設定の120g/日をかなりオーバーしています。

これでは折角減少した体重もリバウンドを起こすでしょうね。

現実に2年後には、3群ともリバウンドを起こしています。

糖質制限食群も一番体重が減少していますが、当初の5ヶ月間で達成した体重減少からは少しリバウンドしています。

この経過は、上記グラフ(各ダイエットグループによる2年間の体重変化)をご参照ください。

私のようにスーパー糖質制限食実践中の場合、一旦減少して適正になった体重はリバウンドを起こすことなく維持できます。

スーパー糖質制限食の場合は、40~60g/日の糖質摂取量で、糖質の摂取比率は12%くらいです。

私の場合は、2002年にスーパー糖質制限食半年で10kg減量して、167cm、57kgとなり、2014年1月現在も維持しています。

DIRECTの糖質摂取120g/日、糖質摂取比率40%は、高雄病院のスーパー糖質制限食と比べると大きな差があります。

DIRECTによれば、40%の緩い糖質制限食でも、

「最も体重減少。HDL-Cも増加。HbA1cが有意差をもって改善。」

ということができます。(RCT研究論文2年間のエビデンスあり)

一方、スーパー糖質制限食に比べると、体重減少にリバウンドを生じています。

私は、やはり今後もずっと継続してスーパー糖質制限食を続けていきます。


江部康二



DIRECT

Table2   炭水化物摂取比率

糖質制限群
ベースラインン:50.8%
6ヶ月後:41.4
12ヶ月後:41.6
24ヶ月後:40.4


地中会食群
ベースラインン:51.5%
6ヶ月後:49.8
12ヶ月後:50.0
24ヶ月後:50.2


低脂肪食群
ベースラインン:51.8%
6ヶ月後:50.4
12ヶ月後:50.5
24ヶ月後:50.7



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
江部先生、お誕生日おめでとうございます。
毎年 お誕生日にご挨拶を差し上げています…同年同日同郷で生まれました まりあんです。
スーパー糖質制限3年目を迎え、これに勝るモノはないと確信しています。
昨年は2年間のスーパー糖質制限を記念して(?)cmgsを行いました。
しっかりと膵臓を休めたことにより機能回復してきているようです。
糖質1gで その3倍 血糖値が上がるという 2型糖尿病なのに、1.8倍くらいにまで改善しています(2年前の開始時は2.6倍ぐらい)。
一日の平均血糖値は102、HbA1cは5.3〜5.4、暁現象に悩んでいた早朝血糖値も95前後です。
今日からの新しい歳も健康で過ごしたいと思っています。
よろしくご指導ください。
2014/01/08(Wed) 22:10 | URL | まりあん | 【編集
Re: タイトルなし
まりあん さん

明けましておめでとうございます。
お誕生日おめでとうございます。
本年もよろしくお願い申しあげます。

「糖質1gで その3倍 血糖値が上がるという 2型糖尿病なのに、1.8倍くらいにまで改善しています(2年前の開始時は2.6倍ぐらい)。」

耐糖能改善も素晴らしいです。
暁現象も治ったとはすごいです。
私のデータよりいいですね。

ところで、『同年同日』誕生は、何だか嬉しいですね。
2013年度もありがとうございました。
同郷ですが、広島県戸河内町でしょうか?
私は、生まれたのは、京都府の和束村で奈良との県境です。
生後3ヶ月で、父(医師)の転勤で戸河内町(当時)に引っ越しました。
2014/01/08(Wed) 22:35 | URL | ドクター江部 | 【編集
同郷は京都ということ…です。
私は上京区、鴨川のほとりで生まれました。
先生よりは街の子です…

来年もいいご報告ができるように、スーパー糖質制限でやっていきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
2014/01/08(Wed) 23:04 | URL | まりあん | 【編集
 こんばんは。江部先生、お聞きしたいことがあります。
ハーゲンダッツのアイスクリームの栄養素を見たところ、大体の商品の
炭水化物量は20~25g、多くて30g前後ということでした。
ここで炭水化物量を見る限り、ぷち糖質制限(ダイエットのための)をしつつ、
一日に半分くらいの量(炭水化物10gと少し)なら食べてもいいのでは? という気がしてきます。
実際にはどうなのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
2014/01/09(Thu) 00:19 | URL | まろ | 【編集
Re: タイトルなし
まりあん さん

ありがとうございます。
1950年1月8日が誕生日。
江部康二は京都府生まれで、まりあんさんは京都市生まれですね。

エルビス・プレスリー、小泉純一郎氏も1月8日生まれです。

そして何と、
1月8日は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第一書記の誕生日でした。
2014/01/09(Thu) 08:03 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
まろ さん

スーパー糖質制限食では
1回の食事の糖質量を、10~20g以下を目安とします。
1回の間食の糖質量の目安は、5gくらいです。

その範囲ならOKです。
2014/01/09(Thu) 08:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
こんにちは。今年もよろしくご指導お願いいたします。

21日のセミナー楽しみにしております。
東京からでかけます。
なかなか京都へ行けないので当日高雄病院で血液検査をしてもらおうかと電話してみましたらもう新規患者さんは曜日限定でいっぱいのようですね。
東京特に多摩地区では、等質制限に理解のある病院はありますでしょうか?
今の主治医は主食を抜いてはだめと言っています。
2014/01/09(Thu) 09:06 | URL | 海ブドウ | 【編集
先生、お誕生日おめでとうございます!


糖質制限1カ月で本当に人生が変わったように体が元気になりました!

低血糖の方なのですが、本当に幸せです
先生の本は読みあさっています!


先生、低血糖の場合副腎にも疲労があるそうで(あっていますか?)
ビタミンCをとる必要があると言う事を知りました
ローズヒップティーを購入し飲みましたが、どう考えてもノンカロリー糖質ゼロとは思えないんです。

血糖測定機などもっていれば自分で試せるのでしょうが・・・・


ネット検索しても購入したお店に問い合わせても糖質量解らないと言われました。

先生はご存じですか?!


いつも応援しています!
2014/01/09(Thu) 10:01 | URL | mikimi | 【編集
海ブドウさんへ
海ブドウさんへ

リンクにある日本糖質制限医療推進協会のHPで、
提携医療機関の一覧が見られますよ。

念のためアドレスも貼り付けておきます。
http://toushitsuseigen.or.jp/medical.html
2014/01/09(Thu) 16:48 | URL | 玉露 | 【編集
Re: ご相談お願いします。
北陸の嫁 さん

拙著の御購入、ありがとうございます。
体重が標準になり良かったです。

血液検査、血糖値114mg/dlは、確かに境界型ですね。
しかし、全く心配のないレベルと思います。
1回だけの検査で、糖尿病予備群とは言えません。

他の検査も、コレステロールは全く心配ないです。
ALPとLDも基準値がわかりませんが、そんなに心配ないと思います。
入院中に再検査があると思います。

入院中の食事ですが、給食のおかずは食べて、ご飯やパンはやめます。
足らない分は、コンビニのおでんや豚しゃぶサラダ、蒸し鶏サラダ、ナッツ、チーズなどで捕食します。
2014/01/09(Thu) 17:59 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
海ブドウ さん

鹿島田先生と相談されてみては如何でしょう。


鹿島田 忠史(かしまだ ただし)先生
〒140-0014 東京都品川区大井4-9-8 誠快醫院
TEL/FAX 03-3773-0318
2014/01/09(Thu) 18:03 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
mikimi さん

拙著の御購入ありがとうございます。
糖質制限食の場合、肉・魚・大豆製品・野菜・海藻・茸など全て摂取しますので
ビタミンCも不足することはないと思います。
従って私はサプリは飲みません。
ただローズヒップティーは問題ないと思いますよ。

ローズヒップの主な成分量(100g中)
(日本食品分析センター分析)
成分 含有量
ビタミンC 942mg
β-カロチン 4000IU
カルシウム 913mg
鉄 7.30mg
リコピン 23.3mg
ビタミンA 5110IU
2014/01/09(Thu) 18:08 | URL | ドクター江部 | 【編集
多摩地区で糖質制限OKの医院
海ブドウさんへ

多摩地区では「ゆずるクリニック(西武国分寺線鷹の台駅 徒歩約10分)」で受診できます。原先生ご自身も糖質制限されてます。ご参考になれば幸いです。
http://www.yuzuru-clinic.com/
http://mec-lowcarb.com/medical/#r004
2014/01/10(Fri) 15:29 | URL | saty | 【編集
食事による血糖値の変化
江部先生こんにちは。
いつも糖尿病徒然日記拝見させていただいております。

私は、半年前の健康診断で、医師より糖尿病であると宣告されました。
その時の値は以下のようなものでした。

体重:130kg
空腹時血糖値:311
HbA1c:9.6

たまたま、そのころ知った江部先生の著書をもとに、低糖質食による糖尿病の改善を試みることにしました。
1日の摂取カロリーを1500kca、糖質を50g以下を基準としました。
半年後の検査結果は以下のとおりです。

体重:98kg
空腹時血糖値:97
HbA1c:5.0

ここ2か月ほどは、このくらいの値で、推移しているのですが、油断するとリバウンドが怖いので、やや程度をゆるめつつも低糖質食を継続しております。
最近では、飲み屋にも出入りし、ホッピーや焼酎を、魚や豆腐などのつまみでで楽しんでおります。

最近、血糖自己測定器を購入しました。食事の前後で血糖値がどのように変化するかを、リアルタイムで確認できることは、非常に興味深く、いろいろと試しております。

昨日と今日で試したのは、昼食時に、糖質が多い食事と少ない食事で、血糖値の上昇傾向がどのように違うかというものです。

昨日のメニュー(糖質の多い食事)
・おにぎり(1個)
・ほうれん草とベーコンのサラダ(1個)
・鮭缶(1缶)
合計485kcal、(糖質50.9g)

今日のメニュー(糖質の少ない食事)
・プロセスチーズ(2個)
・ゆで玉子(1個)
・蒸し鶏サラダ(1個)
・鮭缶(1缶)
合計469kcal(糖質9.0g)

血糖値の変化は以下のとおりでした。

         糖質多食  糖質小食  
食後0.5時間   127      100 
食後1.0時間   143      131
食後2.0時間   98       93

やはり、糖質の少ない食事のほうが、血糖値の上昇カーブが低いようです。
正直言いますと、糖質の少ない食事では、血糖値がほとんど上がらないのではないかと予想していましたが、思ったよりは高い値でした。

今後も先生のブログで、色々と勉強させていただきたいと思っております。
ご指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

2014/01/10(Fri) 19:14 | URL | 森林男 | 【編集
Re: 食事による血糖値の変化
森林男 さん

130kg → 98kg

減量で、インスリン抵抗性が、改善して
耐糖能も良くなったと思われます。

糖質の多いおにぎりを食べても、30分・1時間・2時間後の血糖値は正常ですね。
2014/01/10(Fri) 21:10 | URL | ドクター江部 | 【編集
食前と食後の血糖値の差違
江部先生、初めまして。

糖尿病予備群と去年診断されてから糖質制限に大変興味を持ち、素人ながら先生の書籍を見ながら実践しています。

先日ブドウ糖負荷テストを受け、
食前     60
食後 30分 121
食後 1時間 186
食後 2時間 151

と自分的にはかなり問題のある数値だったのですが、医者には特に気にする必要はなく食べる順番を考えればと諭されてしまいました。自分としては頻尿、手足のしびれなどの症状があったため、受診をしたのですが。やっかいな事に家族も一緒に診断を聞いていたため、私が糖質制限を始めるやいなや、「特に糖尿では無いのだから」と凄い剣幕で、家族問題に発展してしまいました。本当に難しものです。

先日先生の書籍を読ませて頂いた時、グレコーススパークに関して、「血糖値の上昇率の方が定時高血糖より問題である」といった旨が書かれていたと記憶しています。(もし間違っていたら済みません。)とすると、私のもの凄い血糖上昇率に関して、もの凄く気になっています。

これは糖質制限を続ける事で改善される物なのでしょうか?

2014/01/11(Sat) 16:19 | URL | みつ | 【編集
Re: 食前と食後の血糖値の差違
みつ さん

経口ブドウ糖負荷テスト、
食後1時間値が180mg/dlを超えているので
将来糖尿病になりやすいタイプです。
また食後2時間値は151mg/dlであり、すでに境界型です。

75gのブドウ糖負荷というのは、かなりの糖質量です。
みつさんの場合は、緩やかな糖質制限食でも、将来の糖尿病発症を予防できると思います。

普通に主食を食べれば、毎食グルコーススパイクが生じるので危険です。
2014/01/12(Sun) 08:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
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