2013年11月20日 (水)
こんにちは。
夏井睦先生が、ご著書
「炭水化物が人類を滅ぼす~糖質制限からみた生命の科学」(光文社新書)
の中で、現行のカロリー計算法に関して、第Ⅵ章で問題提起しておられますが、私も同感です。
今回、「日経サイエンス 2013 12 特集 食欲」に掲載の記事
「間違いだらけのカロリー計算」 R.ダン(ノースカロライナ州立大学) P53-56
を読んで大変興味深かったので、抜粋を簡単に紹介したいと思います。
鍵となる概念
■A)
現在売られている食品はほとんど全てにカロリー数がラベル表示されている。だが、これらの数値の大半は消化の複雑さを無視した平均値に基づいており、その意味で不正確だ。
■B)
食物から得られるカロリーが、食物の種類はもちろん、調理法や腸内微生物の種類、食物を消化するのに私達が費やすエネルギーによって変わることが、近年の研究で明らかになった。
■C)
現在のカロリー計算はこうした要因をまったく考慮に入れていない。消化は非常に複雑で入り組んだ過程なので、カロリー計算の改善に取り組んだとしても、完璧に正確なものにするのは不可能だろう。
鍵となる概念(KEY CONCEPTS)に関して、R.ダン氏の言う通りと思います。
今まで、19世紀の米国の化学者アトウオーターの計算式が、現在までさしたる疑問もなく使われ続けたのが不思議と言えば不思議です。
アトウォーターの換算係数は、例の
脂質:9kcal/g 蛋白質:4kcal/g 糖質:4kcal/g
というやつです。
食物の熱量=「食物を空気中で燃やした熱量」-「同量の食物を食べて出た排泄物を燃やして発生した熱量」
これの概算値が得られるのが、アトウォーターの換算係数です。
今までアトウォーターの換算係数に基づくカロリー計算に関して、きっちり追試した研究は皆無だったのですが、ハーバード大学のカーモディーが最近研究したものがあります。
カーモディーの原著までは、まだ調べていません。
すいません。 m(_ _)m
マウスにさつまいもか赤身の肉を与えて、体重の変化を比較したものです。
1)生で形もそのまま
2)生で砕いたもの
3)形はそのままで加熱
4)砕いて加熱
結果は、食材を砕いても体重は増加しませんでしたが、加熱すると、さつまいもでも赤身の肉でも、加熱していない餌のマウスに比べて体重が増えました。
加熱によって、消化吸収しやすくなり、摂取エネルギーが生食マウスに比べて、多くなったったと考えられます。
こうなると、アトウォーターの換算係数に基づくカロリー神話は、加熱という調理法だけでも、簡単に崩壊していることがわかります。
さらに、上記A)B)C)の、3つの鍵となる概念(KEY CONCEPTS)を考慮すれば、人体の消化・吸収におけるカロリー計算はそう簡単にはいかないということがわかります。
まあ、生肉、生魚、生野菜を食べると、加熱するよりは減量しやすいとは言えるでしょうが・・・。
江部康二
夏井睦先生が、ご著書
「炭水化物が人類を滅ぼす~糖質制限からみた生命の科学」(光文社新書)
の中で、現行のカロリー計算法に関して、第Ⅵ章で問題提起しておられますが、私も同感です。
今回、「日経サイエンス 2013 12 特集 食欲」に掲載の記事
「間違いだらけのカロリー計算」 R.ダン(ノースカロライナ州立大学) P53-56
を読んで大変興味深かったので、抜粋を簡単に紹介したいと思います。
鍵となる概念
■A)
現在売られている食品はほとんど全てにカロリー数がラベル表示されている。だが、これらの数値の大半は消化の複雑さを無視した平均値に基づいており、その意味で不正確だ。
■B)
食物から得られるカロリーが、食物の種類はもちろん、調理法や腸内微生物の種類、食物を消化するのに私達が費やすエネルギーによって変わることが、近年の研究で明らかになった。
■C)
現在のカロリー計算はこうした要因をまったく考慮に入れていない。消化は非常に複雑で入り組んだ過程なので、カロリー計算の改善に取り組んだとしても、完璧に正確なものにするのは不可能だろう。
鍵となる概念(KEY CONCEPTS)に関して、R.ダン氏の言う通りと思います。
今まで、19世紀の米国の化学者アトウオーターの計算式が、現在までさしたる疑問もなく使われ続けたのが不思議と言えば不思議です。
アトウォーターの換算係数は、例の
脂質:9kcal/g 蛋白質:4kcal/g 糖質:4kcal/g
というやつです。
食物の熱量=「食物を空気中で燃やした熱量」-「同量の食物を食べて出た排泄物を燃やして発生した熱量」
これの概算値が得られるのが、アトウォーターの換算係数です。
今までアトウォーターの換算係数に基づくカロリー計算に関して、きっちり追試した研究は皆無だったのですが、ハーバード大学のカーモディーが最近研究したものがあります。
カーモディーの原著までは、まだ調べていません。
すいません。 m(_ _)m
マウスにさつまいもか赤身の肉を与えて、体重の変化を比較したものです。
1)生で形もそのまま
2)生で砕いたもの
3)形はそのままで加熱
4)砕いて加熱
結果は、食材を砕いても体重は増加しませんでしたが、加熱すると、さつまいもでも赤身の肉でも、加熱していない餌のマウスに比べて体重が増えました。
加熱によって、消化吸収しやすくなり、摂取エネルギーが生食マウスに比べて、多くなったったと考えられます。
こうなると、アトウォーターの換算係数に基づくカロリー神話は、加熱という調理法だけでも、簡単に崩壊していることがわかります。
さらに、上記A)B)C)の、3つの鍵となる概念(KEY CONCEPTS)を考慮すれば、人体の消化・吸収におけるカロリー計算はそう簡単にはいかないということがわかります。
まあ、生肉、生魚、生野菜を食べると、加熱するよりは減量しやすいとは言えるでしょうが・・・。
江部康二
本ブログ10月31日にご紹介のあった、日経サイエンスにも同様の記事がありましたね。
同じ食べ物でも加熱の有無、個人の消化能力、腸内環境、体調でも摂取される量は変わってくるのでしょうね。
そういえば海苔を消化できるのは日本人だけと聞いたことがあります。
同じ食べ物でも加熱の有無、個人の消化能力、腸内環境、体調でも摂取される量は変わってくるのでしょうね。
そういえば海苔を消化できるのは日本人だけと聞いたことがあります。
2013/11/22(Fri) 13:03 | URL | 亘理 | 【編集】
亘理 さん
日経サイエンスは、
SCIENTIFIC AMERICAN の日本版です。
なかなか興味深い記事を載せてくれて、役に立ちますね。
日経サイエンスは、
SCIENTIFIC AMERICAN の日本版です。
なかなか興味深い記事を載せてくれて、役に立ちますね。
2013/11/22(Fri) 16:54 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生こんにちは。
お久しぶりにコメントしています。
先生のブログと著書のおかげで糖質制限食を知ることができて
妊娠糖尿病になってもインシュリンなしで出産、しかも超安産できた者です。
産後は母子ともに異常なし、その後わたしは境界型にはなったのですが
母乳育児も糖質制限食で問題なく母乳が出てうまくいきました☆
そして、糖質制限食に慣れてきたので、+カロリー計算も初めてみました。
最初のころは、慣れるのに精いっぱいで、カロリー気にせず食べていて、
それでも妊娠中に太ることもなく、BMI標準くらいをキープしていました。
カロリー計算しなくて糖質制限のみで、結構高カロリーなもの食べてたと思うのですが
BMI標準を保てていたことも、
糖質制限のすごいところだろだなぁって思っていたのですが
糖質制限食生活にも慣れてきて、欲が出てきて(?!)^^;
もうちょっと産後の体型をスリムにしぼりたいなぁと思い
9月から糖質制限に+カロリー計算も加えてみました。
ざっくりとしたカロリー計算ですが、自分の体重身長、運動量から割り出される摂取カロリーと糖質を守っていただけで
2か月でBMI18までスッキリダイエット出来ました!!
が、、見た目が、、若干、痩せすぎてしまったかも?!です><
一応、自分のブログのほうにHbA1c BMI値の記録の写メをアップしています
(こちらのコメントのURL欄に数値記録用写メのブログ記事リンクしておきますね)
先生の本などでも、女性の方で、糖質制限してるのになかなか痩せないという方って
結構いらっしゃるようなのですが、
糖質制限初心者に陥りやすい、糖質量だけみて、
糖質ゼロだ!わーいって脂質高くて高カロリーなものばかりを選んでいたりすると、
摂取カロリーがすぐにオーバーしてしまうのではと思います。
今回、糖質量以外にカロリーも記録してみて
1日の摂取カロリーも管理したほうがいい人は居るだろうなぁって実感しました。
うちの母親が、先生の糖質制限ガイドブックをもっているのに
糖質ゼロだからといって、油をたくさん使ってしまうタイプで(笑)
先生のこちらの記事を読んで、カロリーはカロリーでも、まだまだ奥が深いことを知り、
いまは糖質制限+ざっくりなカロリー計算だったので、
ちょっと急に痩せすぎちゃったかなと感じていたところで、、。
ご紹介されている夏井睦先生のご著書の
カロリー計算の問題提起も読んでみたいと思いました!!
素人にも、解りやすく書いてくれる先生のブログはありがたいです。
いつも勉強させて頂いてます。
タイムリーな記事をありがとうございました!
お久しぶりにコメントしています。
先生のブログと著書のおかげで糖質制限食を知ることができて
妊娠糖尿病になってもインシュリンなしで出産、しかも超安産できた者です。
産後は母子ともに異常なし、その後わたしは境界型にはなったのですが
母乳育児も糖質制限食で問題なく母乳が出てうまくいきました☆
そして、糖質制限食に慣れてきたので、+カロリー計算も初めてみました。
最初のころは、慣れるのに精いっぱいで、カロリー気にせず食べていて、
それでも妊娠中に太ることもなく、BMI標準くらいをキープしていました。
カロリー計算しなくて糖質制限のみで、結構高カロリーなもの食べてたと思うのですが
BMI標準を保てていたことも、
糖質制限のすごいところだろだなぁって思っていたのですが
糖質制限食生活にも慣れてきて、欲が出てきて(?!)^^;
もうちょっと産後の体型をスリムにしぼりたいなぁと思い
9月から糖質制限に+カロリー計算も加えてみました。
ざっくりとしたカロリー計算ですが、自分の体重身長、運動量から割り出される摂取カロリーと糖質を守っていただけで
2か月でBMI18までスッキリダイエット出来ました!!
が、、見た目が、、若干、痩せすぎてしまったかも?!です><
一応、自分のブログのほうにHbA1c BMI値の記録の写メをアップしています
(こちらのコメントのURL欄に数値記録用写メのブログ記事リンクしておきますね)
先生の本などでも、女性の方で、糖質制限してるのになかなか痩せないという方って
結構いらっしゃるようなのですが、
糖質制限初心者に陥りやすい、糖質量だけみて、
糖質ゼロだ!わーいって脂質高くて高カロリーなものばかりを選んでいたりすると、
摂取カロリーがすぐにオーバーしてしまうのではと思います。
今回、糖質量以外にカロリーも記録してみて
1日の摂取カロリーも管理したほうがいい人は居るだろうなぁって実感しました。
うちの母親が、先生の糖質制限ガイドブックをもっているのに
糖質ゼロだからといって、油をたくさん使ってしまうタイプで(笑)
先生のこちらの記事を読んで、カロリーはカロリーでも、まだまだ奥が深いことを知り、
いまは糖質制限+ざっくりなカロリー計算だったので、
ちょっと急に痩せすぎちゃったかなと感じていたところで、、。
ご紹介されている夏井睦先生のご著書の
カロリー計算の問題提起も読んでみたいと思いました!!
素人にも、解りやすく書いてくれる先生のブログはありがたいです。
いつも勉強させて頂いてます。
タイムリーな記事をありがとうございました!
母親が糖尿病 さん
拙著のご購入ありがとうございます。
糖質制限食で、妊娠糖尿病をインスリンなしで乗り切って、超安産、良かったです。
ダイエット成功も良いのですが、
BMI:20は維持したほうがいいと思います。
BMI:20~25くらいが、総死亡率が一番少ないのです。
拙著のご購入ありがとうございます。
糖質制限食で、妊娠糖尿病をインスリンなしで乗り切って、超安産、良かったです。
ダイエット成功も良いのですが、
BMI:20は維持したほうがいいと思います。
BMI:20~25くらいが、総死亡率が一番少ないのです。
2013/11/25(Mon) 18:29 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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