2013年11月02日 (土)
こんばんは。
糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(4)
今回は、高LDL血症です。
日本動脈硬化学会のガイドラインにおいて、総コレステロール(TC)は評価項目から外れています。
評価対象は、HDLコレステロールとLDLコレステロールです。
糖質制限食で、HDLコレステロールは増加するので、良いことです。
LDLコレステロールに関しては、<低下・不変・増加>の3パターンがあります。
当初、何故3パターンがあるかよくわかりませんでした。
何故3パターンか?ということを突き止めるために、まずはコレステロールの成り立ちを考えてみます。
コレステロールは、生体のあらゆる細胞膜の構築に必須の物質であり、肝臓で合成し腸肝循環によって制御・調節されています。
このように、コレステロールは、人体にとって必要不可欠な、重要な構成成分の一つです。
ヒトだけではなく、約2億2500万年前に哺乳類が誕生して以来、生命現象の根幹をなす細胞膜などの原料として一貫して利用されてきたのです。
そのため血清コレステロール値は、摂取された食物のコレステロールが少ない場合は肝臓での合成が高まり、一方、摂取コレステロールが多い場合は、肝臓での合成が徐々に減少して、一定量を必ず確保するよう調整しています。
例えば玄米菜食の実践により「コレステロールを食事からあまりとらない食生活」だったとすれば、肝臓でのコレステロール合成能力はかなり高まっています。
玄米菜食的な食生活をしていて糖尿病を発症した人が、糖質制限食を開始して、食事からコレステロールがたくさん入ってきたら、「肝臓のコレステロール合成増強+食事からのコレステロールの増加」となりますので、普通の食事だった人に比し、血清コレステロールが高値となりやすいです。
この場合、基準値(140mg/dl未満)だったコレステロール値が、総コレステロールで300mg超え、LDLコレステロールで200mg超えなどに一旦上昇します。
しかし、一旦上昇したコレステロールも、肝臓が徐々にコレステロール産生を調整するので、1年、2年単位で基準値に落ち着いてきます。
LDL高値が気になる人は、ゼチーアが食材から体内へののコレステロール吸収を減らすので、しばらくの間、内服するのもありと思います。
もともと卵とか肉とかコレステロールを多く含むものをよく食べていた人は、糖質制限食を実践しても血清コレステロール値はあまり変化ないと思います。
このように糖質制限食開始前の食生活において、コレステロールをどの程度摂取していたかで、開始後のコレステロール値が、かなり影響を受けると考えられます。
いずれにせよ、スーパー糖質制限食を長期間実践している人は、皆さん、LDLコレステロールも基準値となっています。
江部康二
糖質制限食実践中に生じることがある好ましくない症状・変化について(4)
今回は、高LDL血症です。
日本動脈硬化学会のガイドラインにおいて、総コレステロール(TC)は評価項目から外れています。
評価対象は、HDLコレステロールとLDLコレステロールです。
糖質制限食で、HDLコレステロールは増加するので、良いことです。
LDLコレステロールに関しては、<低下・不変・増加>の3パターンがあります。
当初、何故3パターンがあるかよくわかりませんでした。
何故3パターンか?ということを突き止めるために、まずはコレステロールの成り立ちを考えてみます。
コレステロールは、生体のあらゆる細胞膜の構築に必須の物質であり、肝臓で合成し腸肝循環によって制御・調節されています。
このように、コレステロールは、人体にとって必要不可欠な、重要な構成成分の一つです。
ヒトだけではなく、約2億2500万年前に哺乳類が誕生して以来、生命現象の根幹をなす細胞膜などの原料として一貫して利用されてきたのです。
そのため血清コレステロール値は、摂取された食物のコレステロールが少ない場合は肝臓での合成が高まり、一方、摂取コレステロールが多い場合は、肝臓での合成が徐々に減少して、一定量を必ず確保するよう調整しています。
例えば玄米菜食の実践により「コレステロールを食事からあまりとらない食生活」だったとすれば、肝臓でのコレステロール合成能力はかなり高まっています。
玄米菜食的な食生活をしていて糖尿病を発症した人が、糖質制限食を開始して、食事からコレステロールがたくさん入ってきたら、「肝臓のコレステロール合成増強+食事からのコレステロールの増加」となりますので、普通の食事だった人に比し、血清コレステロールが高値となりやすいです。
この場合、基準値(140mg/dl未満)だったコレステロール値が、総コレステロールで300mg超え、LDLコレステロールで200mg超えなどに一旦上昇します。
しかし、一旦上昇したコレステロールも、肝臓が徐々にコレステロール産生を調整するので、1年、2年単位で基準値に落ち着いてきます。
LDL高値が気になる人は、ゼチーアが食材から体内へののコレステロール吸収を減らすので、しばらくの間、内服するのもありと思います。
もともと卵とか肉とかコレステロールを多く含むものをよく食べていた人は、糖質制限食を実践しても血清コレステロール値はあまり変化ないと思います。
このように糖質制限食開始前の食生活において、コレステロールをどの程度摂取していたかで、開始後のコレステロール値が、かなり影響を受けると考えられます。
いずれにせよ、スーパー糖質制限食を長期間実践している人は、皆さん、LDLコレステロールも基準値となっています。
江部康二
スマイル さん
2013年03月27日 (水)の本ブログ記事
「コレステロール値と食生活と糖質制限食」
をご参照ください。
ブドウ糖負荷試験は、境界型と確定しているので、もう必要ないと思います。
HbA1cは5.7、空腹時血糖は100
これは基準値内で正常なので、プチ糖質制限で変化なくても問題なしです。
境界型で、食後1時間血糖値が180mg/dl以上なので、将来糖尿病になりやすいです。
緩やかでもいいので、糖質制限食を続けていれば、将来の糖尿病発症が予防できると思います。
2013年03月27日 (水)の本ブログ記事
「コレステロール値と食生活と糖質制限食」
をご参照ください。
ブドウ糖負荷試験は、境界型と確定しているので、もう必要ないと思います。
HbA1cは5.7、空腹時血糖は100
これは基準値内で正常なので、プチ糖質制限で変化なくても問題なしです。
境界型で、食後1時間血糖値が180mg/dl以上なので、将来糖尿病になりやすいです。
緩やかでもいいので、糖質制限食を続けていれば、将来の糖尿病発症が予防できると思います。
2014/01/12(Sun) 17:23 | URL | ドクター江部 | 【編集】
糖質制限にて1年前に12kg痩せました。その後、色々ありプチ制限の生活を続け、今年になってスーパー制限に戻りました。その1ヶ月後に健康診断がありまして、総コレステロールとLDL-コレステロールが高いので再検査を受けるように通知が来ました。元々コレステロールも中性脂肪も基準ギリギリでしたが、今回は基準を少し越えてしまいました。再検査には今すぐ行った方がいいでしょうか、2、3ヶ月経ってからの方がいいでしょうか。ご多用中恐縮に存じますが、ご指南頂きたく、お願い申し上げます。
2014/03/01(Sat) 21:08 | URL | すかれっと | 【編集】
すかれっと さん
中性脂肪が基準値内で、HDLコレステロールが正常なら、
LDLコレステロールが少々高値でも心配ないです。
再検査は2~3ヶ月後で充分です。
中性脂肪が基準値内で、HDLコレステロールが正常なら、
LDLコレステロールが少々高値でも心配ないです。
再検査は2~3ヶ月後で充分です。
2014/03/02(Sun) 09:13 | URL | ドクター江部 | 【編集】
早速のご回答ありがとうございました。安心いたしました。中性脂肪もHDLコレステロールも正常範囲内なので、春になったら再検査に行ってみます。
2014/03/02(Sun) 15:08 | URL | すかれっと | 【編集】
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