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日本糖尿病学会の提言への検証(1)
日本糖尿病学会の提言への検証(1)


こんばんは。

精神科医師Aさんから

JDS提言2013の検証 (1)
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言~糖尿病における食事療法の現状と課題~

をコメントいただきました。

精神科医師Aさん、ありがとうございます。

私も仰有るとおりと思います。


糖尿病学会の提言

『しかし、2006年に報告されたメタ解析は、低炭水化物食は6ヵ月までに有意な体重減少をもたらすが、1年で両群に差はなくなり、低炭水化物食では血中LDLコレステロールの増加をきたすと指摘している(13)。低炭水化物食の 長期効果を見出し得なかった理由として、症例数の少なさと30~50%におよぶ高い脱落率をあげている』


原著には、精神科医師Aさんご指摘のように

「エネルギー制限を伴わぬ低炭水化物食は、1年間までは、低脂肪エネルギー制限食と同様に体重減少に有効である。」

と明記してあるので、糖尿病学会提言は、間違っています。

「ただし、低炭水化物食による体重減少を考察するなら、起こりうる中性脂肪とHDLコレステロールの好ましい変化と、LDLコレステロールの好まざる変化を評価せねばならない 。」

また原著には、上記の記載があるのに、糖尿病学会提言は「中性脂肪とHDLコレステロールの好ましい変化」という文言を意図的に省いていてこれは、いくら何でもアンフェアです。

さらに、原著には、症例数と脱落率は、両群に特に差はないとしているのに、糖尿病学会提言では、低炭水化物食だけが、脱落率が多かったように意図的に文言を変えていて、アンフェアです。

糖尿病学会さん、いやしくも提言と称すならフェアな論文解釈をして欲しいですね。

江部康二



【13/05/15 精神科医師A
JDS提言2013の検証 (1)
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言~糖尿病における食事療法の現状と課題~
http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=40

『しかし、2006年に報告されたメタ解析は、低炭水化物食は6ヵ月までに有意な体重減少をもたらすが、1年で両群に差はなくなり、低炭水化物食では血中LDLコレステロールの増加をきたすと指摘している(13)。低炭水化物食の 長期効果を見出し得なかった理由として、症例数の少なさと30~50%におよぶ高い脱落率をあげている』

13. Nordmann AJ, A Nordmann, M Briel, et al: Effects of low-carbohydrate vs low-fat diets on weight loss and cardiovascular risk factors: A meta-analysis of randomized controlled trials. Arch Intern Med 166:285-293, 2006

この記述が本当に正しいのか、Nordmann (2006) の原文を調べてみることにした。Abstract のConclusion の部分を読んでみた
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=409791

Conclusions Low-carbohydrate, non–energy-restricted diets appear to be at least as effective as low-fat, energy-restricted diets in inducing weight loss for up to 1 year. However, potential favorable changes in triglyceride and high-density lipoprotein cholesterol values should be weighed against potential unfavorable changes in low-density lipoprotein cholesterol values when low-carbohydrate diets to induce weight loss are considered.
【結論】エネルギー制限を伴わぬ低炭水化物食は、1年間までは、低脂肪エネルギー制限食と同様に体重減少に有効である。ただし、低炭水化物食による体重減少を考察するなら、起こりうる中性脂肪とHDLコレステロールの好ましい変化と、LDLコレステロールの好まざる変化を評価せねばならない

 さらに本文の Comment を読んでみると、下記の内容であった
Whereas total and LDL-C levels decreased more in individuals randomized to low-fat diets, HDL-C and triglyceride values changed more favorably in individuals randomized to low-carbohydrate diets.
総コレステロールとLDL-Cとは、無作為低脂肪群でより減少したが、HDL-Cと中性脂肪は無作為低炭水化物食でより好ましい変化がみられた

<対象者数と脱落率> 両群に特に差はない。脱落率はむしろ低炭水化物食群のほうが少ない印象がある
*低炭水化物食群:対象者222名、脱落率31~48%
*低脂肪食群:対象者225名、脱落率37~50%


このように、論文の原文をどう読んでもJDS提言の記述は事実に反するとしか言いようがない。これははっきりといって捏造提言である 】

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
日本糖尿病学会総会
熊本宣言2013 ―あなたとあなたの大切な人のために Keep your A1c below 7%―

http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=42
2013/05/16(Thu) 18:03 | URL | 精神科医師A | 【編集
日本糖尿病学会「提言」に違和感
 日本糖尿病学会の『提言』本文に対する検討は、江部先生、精神科医Aさんのご説明・ご指摘に一々納得です。
一方、私はこの『提言』の前文「(はじめに)」を読んで、その文章にとても違和感を覚えました。

 冒頭の「現在の我が国における2型糖尿病の増加は、(途中略)・・・に起因するところが大きいと言われている。」
 何ですか、この受け身の文章は?「言われている」ですって!一体誰が言っているのですか?

 続いて「その原因は、戦後我が国における(途中略)・・・栄養摂取のバランスの崩れにあると考えられている。」
 またもや受け身!一体誰がそう考えているのですか?この文は「脂質悪玉説」を指していますが、最近、徐々に旗色が悪くなって来ているので「考えられている」などと、考えている主体をボカしているのでしょう。

 仮にも、この「提言」は人の命に関わる内容です。出来の悪い学生のやっつけレポートではないのですから、誰が言ったか分からない様な根拠に基いた「提言」は、この時点でアウトでしょう!!


 私は、日本糖尿病学会は次の疑問に答えることが最優先だと考えています。
1. 久山町で糖尿病を発症した患者さんに対してどのような対応(治療・ケア)をしているのか
2. 「長期データのない糖質制限食は勧められない」とする一方で「長期データのない新薬」を使用する根拠は何か


 日本糖尿病学会は、あくまでもカロリー制限食を薦めるなら、患者に対して『薬物なしで』
 a. どうすれば食後高血糖を防げるか?
 b. どうすれば血糖値の日内変動幅を小さくできるか?
その方法を具体的に示すべきではないでしょうか。


 沈没しかけている船の船長は、まず自分の船の心配をすべきです。新造船の航海にまで口出しは無用、小さな親切、大きなお世話です!
2013/05/16(Thu) 19:20 | URL | saty | 【編集
第56回糖尿病学会(熊本)1日目に素人が参加した感想です
糖質制限中の糖尿人にとっては,なんといっても本日午前のDiabetes Controversy(2)の『食品交換表の改訂を見据えたこれからの食事療法は?-カロリー制限食と糖質制限食』が注目ですが,このディベート,最初こそ『あの糖尿病学会が,ついに「糖質制限食」という単語を使った』というサプライズがあったものの,回を重ねるにつれ,同じような議論のやりとりに終始するようになってきたので,今回もそうかなという懸念がありました. 本日も,そのきらいはあったのですがそこは割愛して,これまでのディベートからみて違ったところのみ述べます.

まず最初に登壇された,京都府立医大の福井先生は,『カロリー制限食賛成』サイドの主張です.ただ持ち時間の前半は,第7版 食品交換表の改訂内容説明に費やし,そこでは『今回の改訂で,一律に炭水化物60%とするのではなく,55%,50%のケースも取り上げ柔軟性を持たせた. ただしこのように糖質の割合を下げると,ケースによっては,体重1kgあたり1.2gの蛋白質摂取推奨量を上回ることになってしまう』との主張. そりゃそうでしょう. 炭水化物を減らした分を空気で置き換えるわけにはいきませんから当たり前です. ただあたかも『糖質制限食を行うことによって,必然的に増加する蛋白質摂取』が,すべて油ギトギトの肉になると言わんばかりの口調はアンフェアだと思いました.この点は,当然ながら会場からの質問で突っ込まれていましたが.

福井先生の講演の後半は,ディベートらしく,糖質制限食にネガティブな文献を,北里研究所病院の山田先生顔負けのペースで,次々とスライド爆撃でした. ただしNordmann文献の都合のいいところだけ紹介したり,BMJ論文や能登論文を持ち出したりと,この点は『あーあ,やっぱりね』の雰囲気. 福井先生,これってディベートですよね? 糖質制限食に対する懸念を表明するのは構いません.ですが,カロリー制限食サイドのディベーターとして,もっとも肝心で重要な主張はどうしたのですか?すなわち『糖質60%のカロリー制限食を実行すると,こんなにすばらしいことになる=糖尿病症状が劇的に改善される・合併症が発生しない・寿命が延びる』というポジティブな主張が皆無だったのは何故ですか? 何ら有効性を高らかに掲げられないものを,今まであなた方は患者に強いてきたのでしょうか?

対して,『副次的食事療法として糖質制限法食は有効である』のタイトルで,次に登場した北里研究所病院糖尿病センター長の山田先生は,これまでのスタイルをガラリと変えてきました.膨大なスライドを,目に残像も残らないほど次々と繰り出すことを『山田先生のように』と固有名詞化されるほどの,いつものスタイルをガラリと変えて,ゆっくりと訴えるスタイルでした.まあそれでも客観的には,普通の人より結構早口だったのですが,ともかくこれまでの山田先生とは別人でした.

山田先生がまず紹介したのは,文献ではなく,『健康日本21推進フォーラム』のアンケート結果です.そこでは,糖尿病患者が医師から指示されたことを,患者が実際にどれくらい順守しているかの結果をまとめたものです.

(概要は http://www.dm-net.co.jp/calendar/2009/009478.php にも掲載されています)

医師から服用を指示された薬を,実際に患者がきちんとしたがっている率は79%でしたが,『禁酒・禁煙の指示』の順守率はそれぞれ50%,46%と低下し,更に『食事の指導』に至っては,何と35%にすぎないのです. ここで山田先生は,『もし今,糖尿病治療用にインスリンデバイス新製品が発売されたとして,それを臨床に適用したら,100人中35人しかちゃんと使いこなせない,そういうものであれば,それは患者の責任なのか,そのデバイスが悪いのか?』と問いかけました.この問いかけが,先生の講演の後半の伏線になっていたことは,後になって気づきました.

その後,山田先生は,福井先生が列挙した文献を次々と反駁しておられました. たとえば『糖質摂取比率は50%を切らないとHbA1c低下に明確な効果がみられない』(=つまり,60%糖質を,55%や50%糖質に妥協しても,あまり意味はない)とか,『DIRECTで,糖質制限食で短期的には体重減少しても,その後の追跡結果を見ると元に戻りつつある』という福井先生の主張に対して,『更にその後の追跡結果を見ると,6年経ってもやはり糖質制限食は有効性を維持している』と論破です.

最後に『医者は糖尿病を見るのではなく患者を見て,その人に応じた治療をすべき. 厳格なカロリー制限食を守れる人はいい,それが守れない人の次の選択として糖質制限食を』と締めくくられました. ところが冒頭の伏線を思い出すと,カロリー制限食は(なにしろそれを守れる人は35%しかいないのだから)結局糖質制限食しかないではないか,という仕掛けです.ここに至って,山田先生が付けたタイトル=『副次的』という言葉が,実にスパイスの効いた皮肉であったことが理解できました.つまりあれあれ副次的食事療法の方が多数派になってしまいますね,というわけです.



本日の午後には,既にメディアでも報道されている通り,『熊本宣言』がアナウンスされました.来月6月1日からは,HbA1cの管理レベルとして,切りのいい6%,7%,8%を採用するというもので,本日の学会総会で正式に採択されました. このこと自体に何ら異存はありませんが,ただHbA1cばかりを強調するあまり,血糖値の日内変動管理の重要性が見落とされてしまうようになるのではないかと懸念いたしました.


2013/05/16(Thu) 19:35 | URL | しらねのぞるば | 【編集
第56回 日本糖尿病学会
肥満者の高炭水化物摂取、非肥満者の高脂質摂取が糖尿病発症リスク上昇と関連
2013年5月16日 

 食習慣が糖尿病の発症に大きな影響を及ぼすことは周知だが、炭水化物、脂質の摂取量が将来の糖尿病発症にどのような影響を及ぼすのか十分に検討されていない。なお、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、成人における摂取エネルギー比率の目標量を炭水化物50%以上70%未満、脂質20%以上25%未満(30歳以上)としており、日本糖尿病学会は糖尿病における炭水化物の摂取エネルギー比率50-60%を目安とすることを推奨している。そこで金沢医科大学公衆衛生学の櫻井勝氏らは、職域の日本人中年男女を対象とした観察研究を行い、炭水化物、脂質の摂取エネルギー比率と将来の糖尿病発症の関連について検討し、5月16日に発表した。

 本研究の対象は、北陸の製造業事業所に勤務する35-55歳の男女3,515人で、ベースライン調査は2003年に実施した。男性が2,035人、女性が1,480人、平均年齢はどちらも46.2歳、BMIはそれぞれ23.4kg/m²および22.4kg/m²、空腹時血糖値は92.6mg/dLおよび89.4mg/dL、HbA1c(NGSP値)は5.4%および5.3%だった。

 栄養調査はDHQ(diet history questionnaire)を用いて行った。DHQは過去1カ月間の食習慣を調べる自記式食事歴法質問票で、専用の集計プログラムを用いて、149種類の食品と30種類以上の栄養素について摂取量が算出される。

 対象を「日本人の食事摂取基準(2010年版)」の目標量を参考に、炭水化物、脂質の摂取量からそれぞれ低摂取群、適正群、適正高値群、高摂取群の4群に分けた。炭水化物摂取量については、エネルギー摂取比率50%未満を低摂取群、50%以上60%未満を適正群、60%以上70%未満を適正高値群、70%以上を高摂取群とし、脂質摂取量については、エネルギー摂取比率20%未満を低摂取群、20%以上25%未満を適正群、25%以上30%未満を適正高値群、30%以上を高摂取群とした。

 栄養調査の結果、摂取熱量は男性2,194kcal/日、女性1,843kcal/日で、炭水化物、脂質、タンパク質の摂取エネルギー比率は、男性では57.6%、21.5%、11.7%、女性では58.8%、25.9%、12.8%だった。炭水化物については78.1%で目標量(50%以上70%未満)を摂取していたが、脂質については目標量(20%以上25%未満)を摂取していたのは28.2%と少なく、30.5%で目標量を下回っていた。また、肥満者では炭水化物の高摂取者が多く、脂質の高摂取者が少ない傾向が認められた。

 平均観察期間6.4年の追跡で273人が新規に糖尿病を発症した。比例ハザードモデルを用いて、炭水化物および脂質摂取の適正群に対する低摂取群、適正高値群、高摂取群の糖尿病新規発症ハザード比を求めた。なお、多変量調整には、性別、年齢、BMI、糖尿病家族歴、飲酒、喫煙、運動習慣、高血圧の有無、脂質異常症の有無、摂取熱量、食物繊維摂取量、食事療法の有無を用いた。

 その結果、全体では炭水化物および脂質摂取量と糖尿病新規発症には有意な関連性は認められなかった。しかし、対象をBMIから3群に層別したところ、22.0㎏/m²未満群では炭水化物摂取量と糖尿病新規発症に負の関連性が、22.0-24.9㎏/m²群、25㎏/m²以上群では正の関連性が認められ、トレンド解析では25㎏/m²以上群で有意だった(p=0.023)。一方、脂質摂取量と糖尿病新規発症には、22.0㎏/m²未満群では正の関連性、22.0-24.9㎏/m²の群ではUカーブ型の関連性、25㎏/m²以上群では負の関連性が認められ、トレンド解析では22.0㎏/m²未満群(p=0.020)および25㎏/m²以上群(p=0.025)で有意だった。

 炭水化物摂取量、脂質摂取量と糖尿病新規発症との関連性は、BMIによって異なり、非肥満者では高脂質摂取が、肥満者では高炭水化物摂取、低脂質摂取が糖尿病発症リスクと関連した。この結果から櫻井氏は、「特に肥満者の糖尿病予防には、炭水化物摂取を減らし、脂質摂取を増やす食事療法が有用である可能性が示唆された」と述べ、「ただし、食事摂取基準の目標量を下回る低炭水化物食の有用性についてはさらなる検討が必要」と指摘した。

山岸倫也(第56回日本糖尿病学会 取材チーム)

www.m3.com/overseasAcademy/report/article/10189/?refererType=academyArticleRelevant
2013/05/16(Thu) 21:57 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 日本糖尿病学会「提言」に違和感
saty さん

全く同感です。
2013/05/17(Fri) 08:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 第56回糖尿病学会(熊本)1日目に素人が参加した感想です
しらねのぞるば さん

学会報告レポート、ありがとうございます。
参考になります。
2013/05/17(Fri) 08:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 第56回 日本糖尿病学会
精神科医師A さん

肥満者では炭水化物の高摂取者が多く、脂質の高摂取者が少ない傾向が認められた。

「特に肥満者の糖尿病予防には、炭水化物摂取を減らし、脂質摂取を増やす食事療法が有用である可能性が示唆された」

興味深いデータですね。
ありがとうございます。


2013/05/17(Fri) 08:20 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖尿病学会
江部先生初めまして
当方、まったくの無頼漢ですが
先生の理論で糖尿を改善した友人から
このブログを紹介されました。

こういう既得権に固執した集団ってのは、
本当にタチが悪いですね。

先生の活動には頭が下がります。
2013/05/17(Fri) 09:31 | URL | japanese-ful | 【編集
羅漢果、血糖値を上げない糖質
本日は内容と違うコメントお許し下さい。先生…先日、『最近の糖質オフブームにより色々な見解を示す先生がいらっしゃって、中でも私がびっくりしたのは 血糖値を上げないとうたっている甘味料などでも 脳が甘いと認識すれば血糖値を上げるしインスリンも分泌されます』という内容について ご返答いただきまして ありがとうございましたm(__)m その後、羅漢果について詳しく載せていただいたので羅漢果(ラカント)やエリスリトールは安心して使用しています。お忙しい中、ありがとうございました。
2013/05/17(Fri) 09:35 | URL | 陽菜子 | 【編集
「糖質ダイエットが心筋梗塞リスク要因にも…」
先生の著書を読ませて頂き、プチ糖質制限で6か月が過ぎ順調に体重が減っています。
ところで、本日下記の記事が有りましたのでご参考までに。 全く無視をしてよろしいでか。コメントいただければありがたいです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「糖質ダイエットが心筋梗塞リスク要因にも…」医師が警鐘
女性自身 5月17日(金)配信

こう警鐘を鳴らすのは、真島消化器クリニックの真島康雄院長だ。

「若くて痩せている人や、運動をしている人はなりにくいと言われますが、それも誤った認識です。また、糖尿病や高血圧、ストレスなどと関連付けることも、あくまで結果論でしかありません。そもそもの原因は、血管にたまるプラークという脂汚れです。プラークは酸化脂質が沈着することでできるのですが、それが血管を詰まらせ、心筋梗塞を引き起こすのです」

 血管を詰まらせる原因として、すぐに思い浮かぶのは悪玉コレステロールだが、真島院長いわく、脂汚れのプラークとコレステロールはまったくの別物だという。

「そのため、健康診断の数値などで問題がなかったのに、心筋梗塞や脳梗塞が発症するというケースが生じるのです。
プラークを取り除く薬はいまのところありません。白血球の一種がプラークを掃除するはたらきをするのですが、まず何より大切なのは、食習慣を見直し、いま以上にプラークを蓄積させないようにすることです」

食習慣を見直すことで、長期的にプラークの減少を期待できるそうだ。そのために厳守したいルールは次の5つだという。
1、お酒は一日2合以内に
2、肉の脂肪は摂らない
3、加熱した食用油を摂らない
4、野菜をきちんと摂る(ドレッシングのかけ過ぎには注意!)
5、甘いものを摂り過ぎない

 また、真島院長は最近ブームの”糖質制限ダイエット”が、心筋梗塞のリスクを高めることにもなり得ると語る。
「炭水化物を控えたからといって、肉や揚げ物類、お酒などは制限しないというのは、あまりにも危険です。体重が落ちたいっぽうで、実際はプラークが蓄積していることもあるのです」


http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130517-00010003-jisin-soci
2013/05/17(Fri) 12:04 | URL | maw | 【編集
学会ダイジェスト:第56回日本糖尿病学会
2013年5月16日~18日 熊本
2013.5.17
糖質制限食指導でHbA1cが顕著な改善、カロリー制限食遵守が困難な患者に有効
友吉 由紀子=日経メディカル別冊

昨今、糖質制限食に対する関心が高まっているが、実地臨床における有効性を検討した報告は少ない。そこで、北里大学北里研究所病院に通院中の2型糖尿病患者を対象に糖質制限食指導を行ったところ、指導後6カ月後にはHbA1cや体重、中性脂肪、HDL-コレステロールなどが有意な改善を示した。同病院診療技術部栄養科の島田真理子氏らが、5月16日から熊本で開催されている日本糖尿病学会(JDS2013)で発表した

 対象は2013年3月31日の時点で、管理栄養士が1回以上の糖質制限食の栄養指導を行い、指導後6カ月間経過観察できた2型糖尿病患者94人(平均年齢60.1歳)。糖質制限を導入した患者は、カロリー制限の離脱者、または本人の希望によりドクター指示があった患者のみとした。糖質摂取量は、1食当たり20~40g、1日当たり70~130gに制限した

 指導前と指導後6カ月を比較したところ、HbA1c(%、NGSP)は8.2から7.2へと有意に低下した(P<0.001)。また、体重(73.2kgから71.8kg、P<0.001)、HDL-コレステロール(57.9mg/dLから65.1mg/dL、P<0.001)、中性脂肪(155.6mg/dLから138.1mg/dL、P<0.05)の有意な改善も見られた。LDL-コレステロールについては有意な変化を示さなかった

 低血糖(BG70mg/dL以下)の出現率は、指導前0.23%に対し、指導後2カ月までは2.65%、2~4カ月で1.74%、4~6カ月で1.81%だった

 島田氏は、「今回の結果から、カロリー制限食を遵守できない患者にとって、糖質のみの指導を行う糖質制限食指導は有効と考えられた。ただし、外食が多い患者の場合などには難しいといった課題もある」と話した

medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jds2013/201305/530585.html
2013/05/17(Fri) 16:15 | URL |  | 【編集
Re: 「糖質ダイエットが心筋梗塞リスク要因にも…」
maw さん

この記事は、一医師の私見に過ぎません。

根拠も何も示されてないので、無視してよいと思います。
2013/05/17(Fri) 18:55 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 学会ダイジェスト:第56回日本糖尿病学会

「糖質摂取量、1食当たり20~40g、1日当たり70~130g」

の緩やかな糖質制限食でも、一定の効果があるということですね。

私自身は、12年間スーパー糖質制限食を実践中で、患者さんにも
基本的にはスーパー糖質制限食を推奨しています。
食後高血糖と血糖変動幅の改善には、何と言っても、スーパー糖質制限食が最強の食事療法です。

2013/05/17(Fri) 19:00 | URL | ドクター江部 | 【編集
おしえてください
スタンダード糖質制限食ですが、朝、昼は主食を抜いて夜のみお米、パンを食べるのには問題があるのでしょうか?どうしても朝、昼主食はぬめるのですが夜は、どうしても主食を抜くとお腹がすくのです。
2013/05/17(Fri) 21:48 | URL | きらら | 【編集
Re: おしえてください
きらら さん

夜は、通常は
運動もしないし筋肉のブドウ糖取り込みが減り、寝るだけですので脳のブドウ糖消費も減ります。

従って夜に血糖値が上昇すると下がりくいし、余った血糖が中性脂肪に変わるので太りやすいのです。
2013/05/18(Sat) 08:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 「糖質ダイエットが心筋梗塞リスク要因にも…」
maw さん すでに江部先生がお返事されていますが

真島康雄院長の心筋梗塞を起こすプラークの説明
「プラークは酸化脂質が沈着することでできるのですが、それが血管を詰まらせ、心筋梗塞を引き起こすのです」
白血球の一種がプラークを掃除するはたらきをするのですが、まず何より大切なのは、食習慣を見直し、いま以上にプラークを蓄積させないようにすることです」
は正しいですし、異論はないと思います

とすると、糖質制限食を実行すると血糖値の変動が減り活性酸素の発生が減るので むしろ酸化脂質を予防する働きがあるのではないか?と思われます。最後に「糖質制限食は危険」と言ったのはは論理が飛躍しています。

1、お酒は一日2合以内に
糖質の入ったお酒のことを言っているのでしょう ただしアルコールの代謝が肝臓での活性酸素の発生源になることはあるのでアルコールの摂りすぎには注意が必要です

2、肉の脂肪は摂らない
動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸に対しては害があるという説が根強く残っていますが 日本脂質栄養学会の発表
http://jsln.umin.jp/WelcomeOkuyama.html
のほか害がないという論文が多数出ています。

3、加熱した食用油を摂らない
 精製・加熱した食用油は減らしたほうがよいでしょう。
 加熱していなくても食用油にはω6系の油が多いので疾患の原因になります(ω3とω6の比率が大切)

4、野菜をきちんと摂る(ドレッシングのかけ過ぎには注意!)
 このドレッシングは糖質とサラダ油のことを言っているなら合理的な指摘ですね

5、甘いものを摂り過ぎない
 これは糖質制限を支持していると思われます

そもそも 糖質制限食を肉や「揚げ物類 お酒などを制限しないダイエットだ」という解釈が間違っています
糖質を減らし、適正な量と種類のたんぱく質や脂質を摂るが糖質制限食の正しい解釈です。 
2013/05/18(Sat) 09:11 | URL | TrueLife | 【編集
Re: Re: 「糖質ダイエットが心筋梗塞リスク要因にも…」
TrueLife さん

丁寧でわかりやすい説明をありがとうございます。
TrueLife さんは、糖質制限食に精通しておられる内科医師です。
助かります。

TrueLife さんの説明に、私も賛成です。 
2013/05/18(Sat) 10:21 | URL | ドクター江部 | 【編集
血糖値の下がりにくい状態でしょうか
今年3月22日から1週間高雄病院に教育入院させて頂きました。その際も血糖値は200前後の高い状態の儘でした。退院後も制限食を続けていますが未だ150~200付近でなかなか下がりません。何か下がらない要因の様なものが有るのでしょうか。ちなみに入院時のインスリン代謝値は食事前6.5でそこそこ出ていると言われました。
2013/05/18(Sat) 11:55 | URL | 三村 明生 | 【編集
Re: 血糖値の下がりにくい状態でしょうか
三村 明生 様

早朝空腹時インスリン値:6.5μU/ml(3~15)
なら、基礎分泌インスリンは正常にでています。

それでも早朝空腹時血糖値が150~200mg/dlあるなら、
インスリン抵抗性がある可能性が高いです。

肥満があれば、その解消を、内服薬としては夜間の糖新生を減らすメトグルコなどを
主治医とご相談ください。
2013/05/19(Sun) 12:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
困ったことです
こんばんは
医療コーディネーターの市川です。
看護師免許あり日本糖尿看護教育学会員です。先生のパーフェクトガイドや生化学細胞分子学などまなびました。日本や患者さんのため頑張りましょう。
2014/11/26(Wed) 18:25 | URL | 市川幸恵 | 【編集
Re: 困ったことです
市川幸恵 さん

応援ありがとうございます。
2014/11/26(Wed) 21:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
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