2012年08月16日 (木)
こんにちは。
ケアネットから、少しこわい情報が送信されてきたので検討してみます。
Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌オンライン版、2012年8月9日号に掲載された論文によると、インスリン療法中の2型糖尿病患者は、厳格な大腸がんスクリーニングが必要とのことです。(*)
「Cペプタイド値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。厚生労働省研究班が2007年3月1日、疫学調査結果を発表し論文化。研究班は、全国9地域で40-69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。 Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.」
以前、本ブログでも上記を記事にしましたが、Cペプタイドが高値(すなわち高インスリン血症)だと、男性では大腸ガンのリスクになります。
今回の論文では、インスリン注射の投与期間が長いほど、大腸ガンのリスクが増えたことが報告されました。
基礎分泌インスリンがなければ、ヒトは生きることができません。
インスリンが発見される前は、インスリン分泌がゼロの1型糖尿病は、診断後の平均余命が半年でした。
すなわち基礎分泌インスリンは絶対に必要なものです。
しかし基礎分泌インスリンは、肥満などによるインスリン抵抗性がなければ、結構少量で間に合うものです。
一方、追加分泌インスリンは、少なければ少ないほど健康には良いと考えられます。
追加分泌インスリンが大量にでれば、肥満もしやすいです。
糖尿病で、やむを得ずインスリン注射を打っている場合も、インスリンの量は少ないほど人体にはやさしいです。
インスリン注射を多く打っている場合、アルツハイマー病のリスクも4倍になります。
糖質制限食の考え方を取り入れて、インスリン注射の量を減らすことを目指すのが、糖尿人の王道と思います。
江部康二
(*)
【2012/08/16 :ケアネット
インスリン療法中の2型糖尿病患者は厳格な大腸がんスクリーニングが必要
2型糖尿病患者では、内因性高インスリン血症に起因する大腸腺腫および大腸がんのリスクが高い。外因性のインスリン療法はより高い大腸がん発生率と関連している。今回、ペンシルバニア大学のPatricia Wong氏らは、大腸内視鏡検査を実施した50~80歳の2型糖尿病患者における横断研究を行い、2型糖尿病患者における慢性的なインスリン療法が大腸腺腫のリスクを増加させ、また投与期間が長いほどオッズ比が増加したことを報告した。Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌オンライン版2012年8月9日号に掲載。
(ケアネット 金沢 浩子)】
ケアネットから、少しこわい情報が送信されてきたので検討してみます。
Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌オンライン版、2012年8月9日号に掲載された論文によると、インスリン療法中の2型糖尿病患者は、厳格な大腸がんスクリーニングが必要とのことです。(*)
「Cペプタイド値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸癌になりやすい。厚生労働省研究班が2007年3月1日、疫学調査結果を発表し論文化。研究班は、全国9地域で40-69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。 Int J Cancer. 2007 May 1;120(9):2007-12.」
以前、本ブログでも上記を記事にしましたが、Cペプタイドが高値(すなわち高インスリン血症)だと、男性では大腸ガンのリスクになります。
今回の論文では、インスリン注射の投与期間が長いほど、大腸ガンのリスクが増えたことが報告されました。
基礎分泌インスリンがなければ、ヒトは生きることができません。
インスリンが発見される前は、インスリン分泌がゼロの1型糖尿病は、診断後の平均余命が半年でした。
すなわち基礎分泌インスリンは絶対に必要なものです。
しかし基礎分泌インスリンは、肥満などによるインスリン抵抗性がなければ、結構少量で間に合うものです。
一方、追加分泌インスリンは、少なければ少ないほど健康には良いと考えられます。
追加分泌インスリンが大量にでれば、肥満もしやすいです。
糖尿病で、やむを得ずインスリン注射を打っている場合も、インスリンの量は少ないほど人体にはやさしいです。
インスリン注射を多く打っている場合、アルツハイマー病のリスクも4倍になります。
糖質制限食の考え方を取り入れて、インスリン注射の量を減らすことを目指すのが、糖尿人の王道と思います。
江部康二
(*)
【2012/08/16 :ケアネット
インスリン療法中の2型糖尿病患者は厳格な大腸がんスクリーニングが必要
2型糖尿病患者では、内因性高インスリン血症に起因する大腸腺腫および大腸がんのリスクが高い。外因性のインスリン療法はより高い大腸がん発生率と関連している。今回、ペンシルバニア大学のPatricia Wong氏らは、大腸内視鏡検査を実施した50~80歳の2型糖尿病患者における横断研究を行い、2型糖尿病患者における慢性的なインスリン療法が大腸腺腫のリスクを増加させ、また投与期間が長いほどオッズ比が増加したことを報告した。Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌オンライン版2012年8月9日号に掲載。
(ケアネット 金沢 浩子)】
インスリン注射を投与し、血糖値のコントロールができている場合でも大腸がんのリスクは高まりますか?
何故なのですか?
何故なのですか?
2012/08/18(Sat) 15:52 | URL | ユナ | 【編集】
ユナ さん。
内部からのインスリン(自分自身が分泌)も
外部からのインスリン(インスリン注射)も
量が多くなると、発ガン性があります。
インスリンそのものに量が多いと発ガン性があるのです。
インスリン注射の量が少ないと、発ガンのリスクは減ります。
糖質制限食でインスリン注射の単位数を減らせば好ましいです。
内部からのインスリン(自分自身が分泌)も
外部からのインスリン(インスリン注射)も
量が多くなると、発ガン性があります。
インスリンそのものに量が多いと発ガン性があるのです。
インスリン注射の量が少ないと、発ガンのリスクは減ります。
糖質制限食でインスリン注射の単位数を減らせば好ましいです。
2012/08/19(Sun) 11:04 | URL | ドクター江部 | 【編集】
思い起こせば2010年11月、
某大学病院にてA1c9.2で糖尿の診断を受けた時、すぐに教育入院とインスリン注射を勧められましたが断固拒否し、帰宅後ネットで調べまくって江部先生のブログにたどり着きスーパー糖質制限を開始。
2週間で8.7%迄下がり、医師は驚きながらも抗GAD抗体 5.7,インスリン分泌2.3μで1型に診断変更となり、当然インスリン注射開始を指示されました。
なんとなく注射(だけではなく、薬にも)に不信感のあった私は、医師に懇願して、もう少し悪化するまでジャヌビア(勿論糖質制限がメインです)のみでコントロールする事に。網膜症のチェックでも、
全く問題なく、眼科の医師には「A1cが8%もあるなんて信じられない」と言ってもらいました。
翌月、2011年1月の検査で
A1cは6.5%に迄下がり、さすがの大学病院の医師もコントロール良好を認めながらも、
「1型なんだから枯渇する前に1日でも早く注射を開始するのが良い」と勧めてきました。
仰る事は当然なのですが、私は「いつか必ず自己注射が必要になるのなら、私は人生の中でその期間と量をなるべく短く、最小限にしたいのでギリギリ迄待ちたい」と言うと、
医師は「じゃあ人生の中で失明している期間が長くなるって事ですよ!!」
と言ったのです…。
この言葉にショックを受け、この大学病院には他の病気でも二度と行かないと決めました。
その後もA1cは6.5~6.6%をキープしていましたが、
自前インスリンが1.3μ(2011年3月)→0.6μ(2011年8月)となってきて、さすがにコントロールが難しくなり、ついに自己注射を始めました。
当初は効きが悪かったようで体重ばかりが増え、A1cも8.5まで戻ってしまいました。
そのため、血糖値を下げたいとストイックに思い詰めすぎて、今となってわかるのですが、間違った断食をしてそれにストレスとシックデイが重なり、脱水状態を起こし動けなくなり…の悪循環になったからと思われますが、
ケトアシドーシスを起こし入院してしまいました。
3日間の点滴ですっかり回復し、すぐに退院できるものと思っていたら、そのまま教育入院に。
噂のカロリー制限食と
過剰なインスリン注射量に方便と自己防衛策で何とか3週間切り抜け、退院2ヶ月、
今ではすっかり落ち着きました。(2012年7月6.3%)
インスリン注射量は他の患者さん(まだ2型の人にしか会った事はありませんが)の単位数より4分の1位の量で済んでいます。
過ぎたるは及ばざるが如し、でも毛嫌いしすぎてもいけない。
何でも自分に合った適量がイチバンだと実感しています。
何度か同じような内容をコメントさせていただいてますが、少しでも読者の方の参考になればと思い書かせていただきました。
ところで今年5月に入院した病院では、抗GAD抗体が0.7となっていました。
インスリン分泌があいかわらず0.3なのと、蓄尿でのアルブミン?でしたっけ、の値が低くて1型の診断は覆りませんでしたが…
某大学病院にてA1c9.2で糖尿の診断を受けた時、すぐに教育入院とインスリン注射を勧められましたが断固拒否し、帰宅後ネットで調べまくって江部先生のブログにたどり着きスーパー糖質制限を開始。
2週間で8.7%迄下がり、医師は驚きながらも抗GAD抗体 5.7,インスリン分泌2.3μで1型に診断変更となり、当然インスリン注射開始を指示されました。
なんとなく注射(だけではなく、薬にも)に不信感のあった私は、医師に懇願して、もう少し悪化するまでジャヌビア(勿論糖質制限がメインです)のみでコントロールする事に。網膜症のチェックでも、
全く問題なく、眼科の医師には「A1cが8%もあるなんて信じられない」と言ってもらいました。
翌月、2011年1月の検査で
A1cは6.5%に迄下がり、さすがの大学病院の医師もコントロール良好を認めながらも、
「1型なんだから枯渇する前に1日でも早く注射を開始するのが良い」と勧めてきました。
仰る事は当然なのですが、私は「いつか必ず自己注射が必要になるのなら、私は人生の中でその期間と量をなるべく短く、最小限にしたいのでギリギリ迄待ちたい」と言うと、
医師は「じゃあ人生の中で失明している期間が長くなるって事ですよ!!」
と言ったのです…。
この言葉にショックを受け、この大学病院には他の病気でも二度と行かないと決めました。
その後もA1cは6.5~6.6%をキープしていましたが、
自前インスリンが1.3μ(2011年3月)→0.6μ(2011年8月)となってきて、さすがにコントロールが難しくなり、ついに自己注射を始めました。
当初は効きが悪かったようで体重ばかりが増え、A1cも8.5まで戻ってしまいました。
そのため、血糖値を下げたいとストイックに思い詰めすぎて、今となってわかるのですが、間違った断食をしてそれにストレスとシックデイが重なり、脱水状態を起こし動けなくなり…の悪循環になったからと思われますが、
ケトアシドーシスを起こし入院してしまいました。
3日間の点滴ですっかり回復し、すぐに退院できるものと思っていたら、そのまま教育入院に。
噂のカロリー制限食と
過剰なインスリン注射量に方便と自己防衛策で何とか3週間切り抜け、退院2ヶ月、
今ではすっかり落ち着きました。(2012年7月6.3%)
インスリン注射量は他の患者さん(まだ2型の人にしか会った事はありませんが)の単位数より4分の1位の量で済んでいます。
過ぎたるは及ばざるが如し、でも毛嫌いしすぎてもいけない。
何でも自分に合った適量がイチバンだと実感しています。
何度か同じような内容をコメントさせていただいてますが、少しでも読者の方の参考になればと思い書かせていただきました。
ところで今年5月に入院した病院では、抗GAD抗体が0.7となっていました。
インスリン分泌があいかわらず0.3なのと、蓄尿でのアルブミン?でしたっけ、の値が低くて1型の診断は覆りませんでしたが…
2012/08/20(Mon) 15:16 | URL | みいこ | 【編集】
みいこ さん。
抗GAD抗体は、当初陽性であったものが、経過中に消えることもあります。
しかしそれは1型でなくなったということではありません。
蓄尿中のCPR(Cペプチド)値が低いのは、内因性のインスリン分泌能力が少ないということですので
インスリン注射は必要ですね。
それでも少量のインスリンで折り合いがついているのは、素晴らしいです。
抗GAD抗体は、当初陽性であったものが、経過中に消えることもあります。
しかしそれは1型でなくなったということではありません。
蓄尿中のCPR(Cペプチド)値が低いのは、内因性のインスリン分泌能力が少ないということですので
インスリン注射は必要ですね。
それでも少量のインスリンで折り合いがついているのは、素晴らしいです。
2012/08/20(Mon) 19:38 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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