2011年03月19日 (土)
こんばんは。
ゆうゆさんから、アルコールと糖新生について、コメント・質問をいただきました。
【11/03/18 ゆうゆ
糖新生
江部先生
いつもブログ拝見させて頂いております。
さて、糖新生について質問させていただきたいのですが 夜アルコールを飲むと糖新生が抑えられ、翌朝の早朝空腹時血糖値が下がると 以前のブログで拝見したのですが、そのためにはどの程度のアルコールを摂取すれば 良いのでしょうか?
他の疾患への影響を省いて考えるとした場合、アルコールの量は多ければ多いほど 糖新生は少なくなるのでしょうか?すなわち、空腹時血糖値は低くなるのでしょうか?
私はスーパー糖質制限食で早朝空腹時血糖値は140→90くらいまで回復しました。
アルコールは毎日飲んでおります。
ただ、数ヶ月前に怪我をした関係で1週間程度アルコールを飲んでいなかった時がありました
その時もスーパー糖質制限食は続けていたのですが、ある朝空腹時血糖値を図ってみると
126くらいあったのです。これはやはりアルコールを飲まなかったのげ原因だと思いました。
ただ、出来れば休肝日も設けたいし、アルコールの量もなるべく控えたいと思ってます。
ですので、糖新生を抑えるにはアルコールをどの程度飲めば良いのかを是非教えて頂きたいのです。
お忙しい中大変恐縮ですが、何卒宜しくお願い致します。】
ゆうゆさん。
ご指摘通り、アルコールには、血糖低下作用があります。
ただ個人差が大きいので、
(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、低下させるというように一律にはいきません。
2008年1月、アメリカ糖尿病協会サイトの研究報告を、カステーラさんがご自身のブログに掲載されてました。
それによると、
「109人の2型糖尿病患者を2つのグループに分け、片方のグループには夕食の際に150mlのワインを、もう片方のグループにはノンアルコールのビールを飲んでもらいました。
3ヶ月の実験の結果、ワインのグループは平均の空腹時血糖値が139.6mg/dlから118.0mg/dlにまで下がったのに比べて、ノンアルコールビールのグループは、136.7mg/dlから138.6 mg/dlと、ほとんど変化は見られませんでした。特に、ヘモグロビンA1cの高い人ほど空腹時血糖値の低下は著しく、元々A1cの低かった人にはそれほど効果はありませんでした。また、食後の血糖値には影響を与えませんでした。
研究者は注意すべき点として、アルコールはあくまで適量であるということ、また、ワインの分として食事から100kcalを差し引くことを挙げています。」
とのことでした。
適量の目安の一つは、150mlの赤ワインですかね?
因みに米国糖尿病協会では、アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら、適量としています。
ビール350ml缶を2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー45ml×2杯です。
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。
エネルギー源としては、
<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>
の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、
ビタミンやミネラルにも乏しいので、「empty calory 」と言われています。
焼酎・ウィスキーなどの蒸留酒には、糖質は含まれていないので、血糖は全く上昇しません。
一方、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。このことがアルコールの血糖降下作用の本質です。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、血糖値が下がる人もいると思います。
また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、血中にアルコールが残存し、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
なお空腹時にアルコールを飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
ゆうゆさんから、アルコールと糖新生について、コメント・質問をいただきました。
【11/03/18 ゆうゆ
糖新生
江部先生
いつもブログ拝見させて頂いております。
さて、糖新生について質問させていただきたいのですが 夜アルコールを飲むと糖新生が抑えられ、翌朝の早朝空腹時血糖値が下がると 以前のブログで拝見したのですが、そのためにはどの程度のアルコールを摂取すれば 良いのでしょうか?
他の疾患への影響を省いて考えるとした場合、アルコールの量は多ければ多いほど 糖新生は少なくなるのでしょうか?すなわち、空腹時血糖値は低くなるのでしょうか?
私はスーパー糖質制限食で早朝空腹時血糖値は140→90くらいまで回復しました。
アルコールは毎日飲んでおります。
ただ、数ヶ月前に怪我をした関係で1週間程度アルコールを飲んでいなかった時がありました
その時もスーパー糖質制限食は続けていたのですが、ある朝空腹時血糖値を図ってみると
126くらいあったのです。これはやはりアルコールを飲まなかったのげ原因だと思いました。
ただ、出来れば休肝日も設けたいし、アルコールの量もなるべく控えたいと思ってます。
ですので、糖新生を抑えるにはアルコールをどの程度飲めば良いのかを是非教えて頂きたいのです。
お忙しい中大変恐縮ですが、何卒宜しくお願い致します。】
ゆうゆさん。
ご指摘通り、アルコールには、血糖低下作用があります。
ただ個人差が大きいので、
(A)gのアルコールが血糖値を(B)mg、低下させるというように一律にはいきません。
2008年1月、アメリカ糖尿病協会サイトの研究報告を、カステーラさんがご自身のブログに掲載されてました。
それによると、
「109人の2型糖尿病患者を2つのグループに分け、片方のグループには夕食の際に150mlのワインを、もう片方のグループにはノンアルコールのビールを飲んでもらいました。
3ヶ月の実験の結果、ワインのグループは平均の空腹時血糖値が139.6mg/dlから118.0mg/dlにまで下がったのに比べて、ノンアルコールビールのグループは、136.7mg/dlから138.6 mg/dlと、ほとんど変化は見られませんでした。特に、ヘモグロビンA1cの高い人ほど空腹時血糖値の低下は著しく、元々A1cの低かった人にはそれほど効果はありませんでした。また、食後の血糖値には影響を与えませんでした。
研究者は注意すべき点として、アルコールはあくまで適量であるということ、また、ワインの分として食事から100kcalを差し引くことを挙げています。」
とのことでした。
適量の目安の一つは、150mlの赤ワインですかね?
因みに米国糖尿病協会では、アルコール24g(30ml)/日を食事と共に摂る程度なら、適量としています。
ビール350ml缶を2本、ワイン150ml×2杯、ウイスキー45ml×2杯です。
アルコールそのものは、1gが約7キロカロリーの燃焼エネルギーをもっていますが、摂取時の利用効率は約70%です。
エネルギー源としては、
<アルコール→糖質→脂質→タンパク質>
の順で利用されます。
またアルコールは、糖質や脂質と違って摂取しても体重増加作用がありませんし、血糖値も上昇させませんし、
ビタミンやミネラルにも乏しいので、「empty calory 」と言われています。
焼酎・ウィスキーなどの蒸留酒には、糖質は含まれていないので、血糖は全く上昇しません。
一方、アルコールを摂取すると、人体に対する毒物とみなされて優先的に肝臓で分解されますので、その間、同じ補酵素を使う糖新生がブロックされてしまいます。
従って、アルコールを摂取すると結果として、肝臓の糖新生を抑制することとなります。このことがアルコールの血糖降下作用の本質です。
血中アルコール濃度が上昇している間は、糖新生はブロックされるので、個人差が大きいと思いますが、酒を飲んでいる最中は、血糖値が下がる人もいると思います。
また、一定量以上のアルコールを摂取すれば、血中にアルコールが残存し、肝臓の夜間糖新生はブロックされ、翌朝の早朝空腹時血糖値は、下がる可能性が高いです。
なお空腹時にアルコールを飲んだりすれば、糖新生が抑制される分、インスリン注射やスルフォニル尿素剤を内服している人は、低血糖を起しやすくなるので、充分な注意が必要です。
江部康二
こんばんは。
本日初めて研究会に参加させて頂きました。
大学生の専攻が栄養生理学で肥満や糖尿についてだったので、テンション上がりっぱなしでした!
ただ仕事の都合で江部先生の講演終了15分前に到着…と残念極まりない形でしたが(泣)
私は一応管理栄養士なのですが、大学卒業時に医療機関の新卒採用はほとんどありませんでした。結局新たに医療(調剤)事務の資格を取り、現在は調剤薬局で勤務しています。
が、栄養士であることは全く無いものとしての勤務内容です。
医療業界で栄養士とはあまり必要性がないものなのでしょうか?
それとも職場が調剤薬局なだけに薬剤師だけでいいと思われてしまうものでしょうか…
いろいろ考えてしまいましたが、参加させて頂けて本当に良い経験になりました。ありがとうございました。
次回は最初から参加させて頂こうと思います(^-^)
本日初めて研究会に参加させて頂きました。
大学生の専攻が栄養生理学で肥満や糖尿についてだったので、テンション上がりっぱなしでした!
ただ仕事の都合で江部先生の講演終了15分前に到着…と残念極まりない形でしたが(泣)
私は一応管理栄養士なのですが、大学卒業時に医療機関の新卒採用はほとんどありませんでした。結局新たに医療(調剤)事務の資格を取り、現在は調剤薬局で勤務しています。
が、栄養士であることは全く無いものとしての勤務内容です。
医療業界で栄養士とはあまり必要性がないものなのでしょうか?
それとも職場が調剤薬局なだけに薬剤師だけでいいと思われてしまうものでしょうか…
いろいろ考えてしまいましたが、参加させて頂けて本当に良い経験になりました。ありがとうございました。
次回は最初から参加させて頂こうと思います(^-^)
moon さん。
大阪病院機能向上研究会。
佐々木先生のお話し、大変参考になり感銘を受けました。
佐々木先生によれば日本では、人間栄養学という学問が存在していないそうです。
医学部の教育でも栄養学の単位はないに等しいと思います。
今後医療において人間栄養学は極めて重要な位置を占めていくと思います。
せめて欧米なみの人間栄養学の知識を栄養士さんが身につけていくことが第一歩と感じました。
大阪病院機能向上研究会。
佐々木先生のお話し、大変参考になり感銘を受けました。
佐々木先生によれば日本では、人間栄養学という学問が存在していないそうです。
医学部の教育でも栄養学の単位はないに等しいと思います。
今後医療において人間栄養学は極めて重要な位置を占めていくと思います。
せめて欧米なみの人間栄養学の知識を栄養士さんが身につけていくことが第一歩と感じました。
2011/03/20(Sun) 10:04 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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