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日本初の糖質制限食コミック・うちの母は糖尿人
うちの母


こんにちは。

日本初の糖質制限食コミック

「うちの母は糖尿人」東洋経済新報社
監修 江部康二
著 伊藤きのと

が、2010年9月発売となりました。

読みやすくて、わかりやすくて、コミックならではの傑作です。活字が苦手の方でもOKな、お奨めの作品です。
ご一読頂けば幸いです。

著者 伊藤きのと さんの
ホームページが 「そらのした」
ブログが 「そらのしたBLOG」
です。

本ブログにリンクしてありますので、読者の皆さん、是非覗いてみてくださいね。

以下は、「うちの母は糖尿人」に書いた、漫画大好きな私の「あとがき」です。

<あとがき>
伊藤きのとさんから初めて手紙をいただいたときは、見知らぬ若い女性から何故?と疑問に思ったものです。その後連絡を取り合っているうちに、江部診療所に長年通院しておられる女性患者さんのお孫さんだということがわかりました。つまり、私の患者さんの娘さん(伊藤きのとさんのお母さん)が糖尿人となられ、そこからこの物語が始まったわけです。

きのとさんのあとがきにもでてきますが、「糖尿人」という言葉は私の造語です。糖尿病の患者とか糖尿病の人とか、何だか堅苦しくて楽しくないです。英語で糖尿病患者のことを、「People with Diabetes」といいます。「糖尿病と共にある人」ではますます面白くないので、ユーモア感覚で「糖尿人」と造語してみました。

世の中は正常人、境界人、糖尿人で構成されてます。作家宮本輝先生との対談本「我ら糖尿人、元気なのには理由がある」でも使わせていただきました。糖尿人、宮本輝先生にも気に入っていただけたようです。きのとさんもご指摘のように、我ら糖尿人は糖質さえ食べなければ健常であり病人ではないのです。

さて、きのとさんの手紙には「スーパー糖質制限食で糖尿病をコントロールした母親の体験記をコミックで描きたい」という企画が提案してありました。かくいう江部康二、根っからの漫画好きでして、小学校のころから毎週、毎月欠かさず何冊も読んでいて、週刊少年サンデー、週刊少年マガジン、週刊少年ジャンプなどは創刊号から今にいたるまで愛読書です。一時は少女漫画にまで手を出していました。
 
そういう私ですので、きのとさんの企画、まさに渡りに船というのりで、東洋経済新報社さんに相談したところ、こころよく承諾いただきました。編集部の佐藤未来さんありがとうございました。おかげさまで、日本初の糖質制限食コミックが誕生することとなりました。本コミックには、糖質制限食実践の苦労話がいろいろ盛り込んであり、楽しく読んでいくなかでノウハウやコツがわかりやすくつかめる仕組みになっています。

きのとファミリーみんなで、糖尿人のお母さんをサポートしている雰囲気が漫画やストーリーからほのぼのと感じられて、温かいです。糖尿人も孤独には弱いです。支えてくれる家族の絆はとても大切です。

糖尿病の治療というと、厳格なカロリー制限の食事療法、お酒は飲んではだめ、運動療法、内服薬、インスリン注射・・・。複雑で時間がかかり、我慢と苦痛を伴う治療を長期間続けなくてはならないのですから、糖尿人は結構大変です。しかもカロリー制限の食事療法を続けている限りは、HbA1c6.5%未満のコントロール良好な糖尿人は、インスリンを打っても薬を飲んでも、統計的には30%未満しかいないのです。

つまり、現状では、大多数の糖尿人はコントロール不良で、医師や栄養士から無言の非難を浴びてる感じだし、自分でも言われたとおりにちゃんと食事も運動もしているのに「なぜだー!」という心境でしょう。こうなると投げやりになったり、うつっぽくなっても不思議ではありません。きのとさんのお母さんもいっときは、うつっぽくなって暗かったようです。

実際、糖尿病とうつ病ですが、米国の医学雑誌に『糖尿病患者はうつ病になるリスクが2倍も高い』という論文がのったことがあります。つまり、糖尿人はうつになりやすいようですし、また厄介なことに、うつがあると糖尿病も悪化しやすいという側面もあります。

糖尿人にとってややつらいお話でしたが、救いはあります。糖質制限食だと、カロリー計算は要らないし、お酒も飲めるし、お肉もお魚も食べ放題・・・運動も別にしなくてもOK・・・。カロリー制限の糖尿病食に比べれば、面倒くささや制約が、ほとんどありません。

唯一、糖質さえ制限すれば、あとは自由ですので、長期に渡って実践でき、苦痛は少なく、心理的にはずいぶん楽ですね。きのとさんのお母さんも糖質制限食と出会ってからは、心理的にもめきめき元気を取り戻しておられます。
 
本書を手にとっていただいた糖尿人の皆さん、糖質制限食で元気に健康ライフをお過ごし下さい。
 

江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
いやあ、漫画に興味おありですか?
実は私漫画家でした。少年サンデーから学年誌、コロコロコミック等に描いてましたがやめた理由が糖尿です。
ホテルに缶詰、飲み食いしたら結果、、、。命に代えられず廃業。
生まれは広島備後で福山城で神主もと思いましたが死ぬほど暇なので東京にいます。
さて、あかつき症候群で瞬間風速ですが空腹時血糖値81でした。ヘモグロビンA1cは5.1です。
主治医も驚いていますが、尿酸値が上がっています。先生は触れませんでしたが、減量で高くなったなと想像してます。これってケトンに関係あるのかなあと考えています。
2010/09/13(Mon) 18:57 | URL | クワポン | 【編集
先生の他のブログでも質問したのですが、貝類の糖質は血糖値を上げる糖質なのでしょうか?それともアスパルテームのようにアミノ酸から出来ている血糖値を上げない糖質なのでしょうか?料理のレパートリーを増やしたいのですが気になって手が出せません。しつこくて申し訳ございません、ですがどうにか調べて頂き早めのご回答をお願いします。
2010/09/14(Tue) 02:18 | URL | jp | 【編集
早速購入して読みました。わかりやすくてよかったです。こうしてもっと広まっていくといいですね!ダイエット版のコミックもどうでしょう?
2010/09/14(Tue) 08:06 | URL | ヘルミ | 【編集
Re: タイトルなし
jp さん。

例えば、生のあわび、100g中に
炭水化物が4.0gで、食物繊維は0です。
つまり糖質4.0gですね。
その分は血糖値を上昇させます。

同様に生牡蠣100g中に、4.7gの糖質が含まれています。

個々の食材に関しては五訂日本食品標準成分表をご参照ください。
http://cgi.members.interq.or.jp/sapphire/satoshi/cgi-bin/nutrition/10.html
2010/09/14(Tue) 14:18 | URL | ドクター江部 | 【編集
おばあちゃんの糖尿
初めてコメントします。
うちのおばあちゃんが、8年前に脳梗塞と共に糖尿病発覚、その後立て続けに心筋梗塞やら何やら煩ったのですが、家族で協力して、今は、元気に暮らしています。こちらのサイトも拝見し、糖質制限をしながら食事療法を続けてきました。
ただ、半身麻痺なので家族とのお出かけ、そして毎日の食事が何よりの楽しみです。
そして、何よりすきなのが「かた焼きそば」
85才なのでそんなに量を食べる事は出来ませんが、やはり揚げた食材なので、気がすすみません。
本人もそれを感じ取って、ストレスを感じているようです。
普通のこんにゃく麺といった柔らかい麺はありますが、かた焼きそばは市販の通常のものしか見当たりません。
何かいい調理方法や商品はご存知ではありませんか?
やはり、どうしてもというときは、ボチュームを減らすしか出来ないでしょうか?
2010/09/14(Tue) 15:18 | URL | コロタロ | 【編集
コロタロさんへ
コロタロさん

豆腐麺と言うものがあります。

これを揚げて、かた焼きそばにすれば、血糖値も上昇せずにすみます。

結構、いけますよ。

http://item.rakuten.co.jp/vin/373315/
2010/09/14(Tue) 15:26 | URL | たろう | 【編集
Re: おばあちゃんの糖尿
コロタロさん。

85才とご高齢ですので、楽しみとして
たまに、お薬(グルコバイ、グルファスト)を飲んで
少量のかた焼きそば摂取は、許容範囲と思いますよ。
2010/09/14(Tue) 16:25 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: コロタロさんへ
たろうさん。

これは知りませんでした。
あるいは、以前聞いたような気もしますが、忘れていました。
私も試してみたいと思います。
2010/09/14(Tue) 16:29 | URL | ドクター江部 | 【編集
自己血糖測定器の道具の使い回し
江部先生。こんにちは。


早速、セブンネットショッピングで買い求め、楽しく読んでおります。

ところで、本のストーリーのなかで、糖尿人が自己血糖測定器を人に貸したというような箇所があります。

測定器本体の使い回しは問題ないと思いますが、穿刺器の使い回しは、ちょっとまずいのではないでしょうか?


もしかしたら、使い回してもいい穿刺器があるのかもしれませんし、穿刺器自体は使い回してはないのかもしれませんが・・・。
2010/09/14(Tue) 17:34 | URL | よし | 【編集
Re: 自己血糖測定器の道具の使い回し
よしさん。

厳密には仰有る通りですね。

医療機関での使い回しは、去年頃、問題になりましたね。
確率は極めて低いとはいえ、医療機関で万一感染の媒体になったりしたら大問題ですから・・・

一方、家族や友人が同一器具で測るとかは、好ましいとは言えませんが、
法律上どうこうということはありませんし、自己責任の範囲内といえます。
現実に結構そう言うことはあるようですね。
2010/09/14(Tue) 21:15 | URL | ドクター江部 | 【編集
漫画で糖質制限食とは
漫画で糖質制限食をテーマにするなんて読みやすそうでいいですね!読んでみたいです。Amazonで購入して読んでみたいです!

ところで、今年の「Nature」4月22日号で、
マウスを人工的にβ細胞を破壊させたのに
インスリン注射をし続けたところ、何とα細胞から
β細胞に変化したという論文が載っておりました!

欧米では、初期の糖尿病患者にインスリン注射する場合もあるそうです。日本でも、している所はあるみたいです。

膵臓のβ細胞を早めに休ませることが糖代謝の回復に繋がるようです。

スーパー糖質制限食で血糖値を出来るだけ正常値に近づけていって、それでも下がらない場合はインスリン注射とかジャヌビアとかのβ細胞保護する糖尿病薬で補助すると、もしかしてβ細胞が増殖する可能性もあるのかもしれないと思いました。
2010/09/14(Tue) 21:18 | URL | 哲学者 | 【編集
Re: 漫画で糖質制限食とは
哲学者さん。

興味深い情報、ありがとうございます。
ヒトでもマウスと同じことが起こればすごいですね。
ただ、1型の場合免疫の誤作動で、自己破壊のパターンをどうするかという問題もありますね。
2010/09/15(Wed) 08:21 | URL | ドクター江部 | 【編集
陶芸教室の作成物 届いたのですが・・・
残暑凌ぎ難き今年ですが・・・
いつも先生のブログ勉強にさせて
いただいております。

今年6月にアトピー入院させて
いただきました、
森といいます。

実は、
陶芸教室の作成物が
昨日、届きまして
お礼が言いたかったのですが、
どこにしたらいいか
ちょっと困っていたのですが・・・・

ここに書き込んでいいか、失礼か・・

川野英樹先生から
丁寧な添手紙までありまして
入院の思い出物としても・・・
なんとかお礼が言いたくて言いたくて・・・
目下、歓喜に沸いているところなんですです。

川野先生ほんとうにありがとうございます!!!

江部先生に
入院をさせていただいた、
おかげさまで、
入院後、生活改善にて元気にやっております。

代々先生方が築いた病院なのでしょうか・・
ちょっとした出会いの楽しみと
洗練されたレクレーションとの空間が、

ひときわ癒しの思い出に積み重なる
いい環境でした・・・
きっと多くの退院者が
そう思っている病院なのですよね・・・・

先生方ありがとうございます。
江部先生多忙な中こんなコメントごめんなさい。

コミックの出版すばらしいですね。
地方でも先生の本は人気ですがまた
売れ行きに拍車がかかりますね。
2010/09/15(Wed) 13:01 | URL | 森 | 【編集
手に取ったのですが・・・
江部先生 こんにちは。kenmです。

実は、先週土曜日にセミナー参加のため大阪へ出ました。大きな本屋での立ち読みを楽しみにしています。

監修 江部康二の文字を見て思わず手にしたのですが、コミック???とすぐに書架へ戻してしまいました。

アナログ人間でなんですね。本には活字が並んでいないと落ち着かないんです。写真はいいのですが。残念なことをしてしました。

またの機会がありましたら、読んで、でいいのでしょうか。それとも見て、みます。
2010/09/16(Thu) 17:47 | URL | kenm | 【編集
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