LDLコレステロールが1年間で、208mg/dl→366mg/dl。どうする?
【17/10/21 おりーぶママ
LDLコレステロールが366!
はじめまして。
私は57才の女性です(身長159cm、体重51kg)。10年ほど前から血圧が高くなり、昨年の9月1日から夫と共に糖質制限食を始めました。
その結果、2014年には175-90ほどだった血圧が、今週受けた人間ドックでは126-88に下がり、さらに今朝自宅では117-78程度でした。夫もすっかりお腹が細くなり、血圧も下がり、揃って健康になった感じがして喜んでいます。
糖質制限食を始めるに当たり、江部先生の『やせる食べ方』や『食品別糖質量ハンドブック』を参考にさせて頂き、特に後者は、食事の用意をする時には手放せないものになりました。さらにうれしいのは、太りたくないと思ってずっと我慢していた油物や、大好きなバター、チーズ、ワイン、オリーブオイル等々を食べてもいいんだとわかり、かえって糖質制限前より、おいしく食事を楽しむことが出来ていると感じています。体重も3キロほど減り、もう少しスリムになれるかなぁとこのままの食事を続けていこうと思っています。

ところが、数日前に受けた人間ドックで、衝撃を受けています。LDLコレステロールがなんと366と異常値を示していました(総コレステロールは491)。正しくは異常値というのかわかりませんが、例えばコレステロールが高いと江部先生のブログに訴えているどの方を見ても、あるいはアメリカなどのコレステロール値と心筋梗塞発症率予測(ちょっと正確ではないかもしれません)のグラフなどでさえ、LDLは280が上限だったりして、私が参考になるものが見当たらず途方に暮れております。 
人間ドックのあと、医師の診断で早速スタチンを勧められましたが、以前から宗田哲男先生の著書でコレステロール降下薬は飲むな、ということを読んでおりましたし、薬なしの人生を目指して、12年間ランニングを続けゼイゼイ言いながらも走ることが人生の一部になった生活をしているにもかかわらず、あっさり薬を勧めてくる医師に憤りを感じています。
宗田先生は次男の出産をして頂いた優しい,すばらしい先生でした。今でも感謝しています。先生の言うことに間違いはないと思っていますし、江部先生のブログを拝見すると、HDL-Cが高くて中性脂肪が低かったら、LDL-Cが高くても良いLDL-Cだという記述が至るところに出てくるので、ちょっと救われています。

しかし、それにしても値があまりにも高いのではないかと思い、不安でいっぱいです。わらをもつかむ思いです。江部先生、教えて頂けませんでしょうか?私は何らかのコレステロール降下薬を飲まなければいけないのでしょうか?
来週中に頸動脈エコー検査をします。動脈硬化を見るんでしょうか。
さらに1ヶ月後に再度血液検査をして、医師の診断はその時下るのだろうと思われます。

これまでのコレステロールの検査値は次の通りです。
   ’14/10 ’15/8 ’16/9/29 ‘17/10/17
T-CHO 261→ 283 →323 →491
HDL-C 116→ 102 →106 →116
LDL-C 126→ 166 →208 →366
中性脂肪 55→ 54 →46 →58

糖質制限食は2016/9/1より始めました。
よろしくお願い致します。】


こんばんは。

オリーブママさんから、LDLコレステロール値が
糖質制限食で急上昇というコメントを頂きました。

     14/10  15/8  16/9/29   17/10/17
T-CHO  261 → 283   →323   →491
HDL-C  116 → 102   →106   →116
LDL-C  126 → 166   →208   →366
中性脂肪 55  → 54   →46    →58

2016年9月1日から、糖質制限食開始で、
総コレステロールとLDL-Cが急上昇しています。
一方、糖質制限1年ちょっとで、血圧・体重が改善で良かったです。

確かに私は、
「HDL-C値が高くて中性脂肪値が低かったら、
LDL-C値が高くても良いLDL-Cだ」

と、常々ブログで述べています。

でも、
LDL-C  126 → 166   →208   →366
という数値をみると、誰でもやや不安になりますよね。
しかし、結論から言うと、経過をみて良いと思います。

オリーブママさんのLDLコレステロールは
肝臓から末梢組織に、
コレステロールという細胞膜の材料を運んでくれる善玉LDL-Cです。
悪玉の小粒子LDLはほとんどないパターンです。

実際、
「小粒子LDL-Cが多いほど総死亡率は上昇するが、
標準の大きさのLDL-Cは多いほど総死亡率が下がる傾向がある」

という英文論文もあります。

また、現在LDLコレステロール値は直接測定する場合と、
計算式で求める方法がありますが、直接法は精度があまり高くなく、
計算式の方が一般的であり、通常Friedwaldの式を使います。
この式を利用して計算されたLDL-Cは、中性脂肪値が低い場合は
過大な数値となることがあります。
つまり本当はそんなに高くないのに、計算式の問題で、
見かけ上高値にみえるという場合もあるわけです。
そして、糖質セイゲニストは、中性脂肪値が低いです。

Friedwaldの式
LDLコレステロール= [総コレステロール] – [HDLコレステロール] – [中性脂肪]÷5



幸い、頸動脈エコーを検査されるということなので、
万一プラークが見つかれば、薬を考慮する必要がありますが
まずプラークはないと思いますよ。
プラークがなければ、例えLDL-Cが高値でも現実の血管に害を及ぼしてないのですから
問題はないわけで、経過をみてよいと思います。

1年、2年~数年レベルで経過をみれば、肝臓が調整するので
LDL-Cや総コレステロールも、もともとの、糖質制限開始前のデータに戻ると思います。

万一、薬を考慮する場合も、スタチンではなくゼチーアが良いです。
すなわち、食材からのコレステロールが増加して、血中コレステロールが上昇したのは
明らかなので、理論的に食材からのコレステロールをブロックするゼチーアのほうが
適切です。


江部康二


思春期の糖質制限。機能性低血糖。起立性低血圧。
【17/10/19 ゆきんこ
思春期の糖質制限
コメント失礼します。8月の大阪での講演会も参加させていただきました。参加のきっかけが、娘が中学から不登校になり色々な病院や相談できる機関には全て相談したのですが、ほぼ寝たきりになってしまいました。重度の起立性低血圧と診断はされましたが昼に起きても学校に行くどころか3時間もすればまた寝てる。たまに調子のいい日は夜に学校に行く。というのを繰り返してました。児童精神科にも有名な大学病院や思春期外来の有名な先生の所まで連れて行きましたが元気がないのと思春期の鬱は別です。お嬢さんは鬱ではなく起立性低血圧と何かなぁ!頭痛の時の薬がきつかったから脳にインパクトを与えてしまって、寝てばかりなんでしょう。や、理由のない不登校ですね。等よくわからない診断というか精神科にも通う理由がなくなり八方塞がりになっておりました。その後、神戸にある小児睡眠障害科の先生に診ていただく機会があり、生まれつきメラトニンの量が少ないようだからメラトニンをサプリメントとして飲み規則正しく寝る時間と起きる時間を一定にするよう指導を受け、朝はなんとか午前中に起きられるようになりました。寝たきりのときも夜は10時に就寝し朝は10000ルクスの光がでる機器を買い睡眠時計を出来るだけ作るようにしてたのですが、メラトニンを飲みだして本当によくなったのですが、やはり学校には行けず油断すると昼寝をしてしまい日中はほとんど学校には行けませんでした。メラトニンで朝はなんとか起きられるようになったのに何故こんなにしんどそうで寝てばかりなのか、毎日落ち込んでいました。本人がいちばん辛いのは分かってたのですが責めてばかりでした。高校は通信教育で行きましょうと学校には言われてましたので娘もこのまま朝に起きれるようにはなりそうにないから通信教育にしますと言っていたのですが、やはり友達はみんな高校に行くので(スマホの良いところで学校には行けませんでしたが友達と毎日ラインはしてました)全日制を受験すると急に言い出し糖質制限を今日からすると‼言い出しました。不登校の間、頭痛専門の整体や小児鍼などにも通っておりどの先生も糖質を控えるようにと再三言われておりました。精神科の先生はそんな食事のことには触れもされませんでしたかが東洋医学に携わってる方には糖質制限をすごく言われました!糖質制限を始めてなんと‼その日から昼間は寝なくなってなんとか午後から学校に行けるようになりました。ただ寝たきりだったので疲労感は残りましたが今までのように少し歩いただけで疲れた疲れたと言い出し座り込む。といったこともなくなり高校にも受かり、毎日学校に行けるようになりました。痩せ体質ですが1日3000キロカロリーで糖質を40グラム以内にしてます。長々と申し訳ありません。先生のブログを過去の分も読ませていただいて思うのですかウチの娘の場合は起立性低血圧と機能性低血糖を持っていて糖質制限で機能性低血糖が良くなり学校に通えるようになったのでしょうか。だとすれば思春期の不登校も糖質制限でかなり学校に行ける子どもが増えるのではないでしょうか。私の母方が糖尿家系で母も私も甲状腺機能亢進性で母は30代、私は中学の時に入院してます。糖尿病になりやすい素質を持っていると機能性低血糖にもなりやすいのでしょうか。娘は体調が良くなりずっと糖質制限を続けると言ってます。血糖値が安定してるからかとても朗らかな子になりました。お忙しいのに長文失礼致しました。お返事は結構ですので、ただウチの娘の様に理由のない不登校と言われ毎日ダルくて寝てばかりの若い子どもが先生のお近くにおられましたら是非とも糖質制限を進めていただきたいのと、思春期の精神科のお医者様に広まる事を願いメールさせていただきました。
因みに私の出生体重は4200グラムの巨大児でした。私も糖尿病になる可能性があると思い糖質制限しています。】





ゆきんこ さん

娘さん、中学から不登校で、長い間、大変苦労されましたね。
現時点で糖質制限食で改善しておられるので、とても良かったです。

仰る通り、娘さんは
「起立性低血圧」と「機能性低血糖」がベースにあったものと思われます。
また、メラトニンで睡眠が改善し、何とか午前中に起床できるようになったので
小児睡眠障害科の先生が仰るように、
生まれつきメラトニンの量が少ない体質だったのでしょう。

起立性低血圧の場合
「寝起きの悪さ、朝がつらい、立ちくらみ、頭痛、めまい、ふらつき、失神・・・」
などの症状が、メインであり、特に朝の不調が目立ちます。
一方、食後の眠気とか、すぐに昼寝していまうとかは、
起立性低血圧単独ではあまりないと思います。

「メラトニンを飲みだして本当によくなったのですが、
やはり学校には行けず油断すると昼寝をしてしまい日中はほとんど学校には行けませんでした。」

「メラトニンで、朝は何とか起きられるが、いつもしんどくて、
昼食後は昼寝をしてしまうことも多く、学校には行けない」
ということでしたので、
糖質摂取による血糖値の急上昇と急下降が、強い眠気を誘発していたのでしょう。
従って、娘さんのつらい症状の一番主要な原因は「機能性低血糖」であったと思われます。

機能性低血糖症は、1924年アメリカのSeale Harrisによって指摘された疾患で、
血糖値の低下に伴ない、精神的・身体的症状を来たす疾患です。

易疲労感、気力低下、眠気、集中力低下、物忘れ、不安、いらいら、頭痛、めまい、
発汗、震え、心悸亢進、筋肉痛、甘いものに対する異常な欲求、異常な空腹感・・・

などの症状がみられます。

『糖質制限を始めてなんと‼その日から昼間は寝なくなってなんとか午後から学校に行けるようになりました。』

糖質制限食により、機能性低血糖の症状がリアルタイムに改善したのだと考えられます。
高校にも合格できて、毎日通学できているとは素晴らしいです。

「糖尿病になりやすい素質を持っていると機能性低血糖にもなりやすいのでしょうか。」

そのように思います。

2015年11月25日 (水)の本ブログ記事
「機能性低血糖の症状が、糖質制限食で速やかに改善。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3604.html

もご参照頂けば幸いです。


「娘は体調が良くなりずっと糖質制限を続けると言ってます。
血糖値が安定してるからかとても朗らかな子になりました。」


良かったです。
糖質制限以前と以後とこれほどの差があるのですから、
糖質制限食に辿り着かれて、本当に良かったです。


「不登校・・・朝起きられない、食後の眠気、易疲労感などで学校に行けない・・・。」
といった症状で悩んでいる中学生や高校生のなかに
「機能性低血糖」がベースにある場合があると考えられます。

思春期精神科医師、小児科医、そして、不登校の中高生で悩むご両親などに
このことを、知って頂けば幸いです。


江部康二
【第29回阪神内分泌DMセミナー】特別講演のご報告。
こんにちは。

【第29回阪神内分泌DMセミナー】特別講演 
糖尿病治療と糖質制限食 ~薬物療法のこつ~
日程:2017年10月19日(木)18:00~19:45
場所:都ホテルニューアルカイック
対象:尼崎市内の医師、栄養士、薬剤師、看護師など医療従事者


において、特別講演の講師をつとめました。

<一般演題>『一般内科開業医が考えるSGLT2阻害薬の意義』
座長:篠崎一哉 先生 しのざき医院 院長
演者:勝谷友宏 先生 勝谷医院 院長

<特別講演> 『糖尿病治療と糖質制限食 ~薬物療法のこつ~』
座長:中村嘉夫 先生 兵庫県立尼崎総合医療センター 糖尿病・内分泌内科 部長
演者:江部康二 医師 一般財団法人 高雄病院 理事長


医師を中心に約30名の参加者で、活況でした。
質疑応答も活発であり、
すでに糖質制限食を実践されている医師からの質問が多かったです。

座長の中村嘉夫先生をはじめ、糖尿病専門医もおられましたが、
妙な反発はなく、非常に中身の濃い質の良い討議ができました。

やはり、2015年4月から、東大病院でも40%の糖質制限食を導入していることや、
2017年2月7日に東大病院で、門脇孝先生、渡邊昌先生、江部康二の3人で
90分間「鼎談」を行ったこととかが、徐々に浸透しているのでしょうか?

懇親会もおおいに盛り上がり、21時前まで、
いろんな先生方や栄養士さんなどと、しっかり意見交換することができました。

そうそう尼崎市在住の京大医学部同級生の大石健先生もかけつけて頂いて
久しぶりに旧交を温めることができて、とても嬉しかったです。


最後になりますが、
篠崎一哉先生、勝谷友宏 先生、中村嘉夫 先生
貴重な機会を与えていただいて、ありがとうございました。


江部康二
江部康二の検査データとケトン体。2017年10月。
こんにちは。

本日は今から尼崎に出かけます。
【第29回阪神内分泌DMセミナー】にて、講師をつとめます。
糖尿病専門医の方々も多く参加されると思うので、楽しみです。

さて、スーパー糖質制限食を数年間実践中の、
江部康二の2017年10月の検査データです。

HbA1c:5.6%(4.6~6.2)
GA(グリコアルブミン):13.2%(11.6~16.0)

空腹時血糖値:106mg(60~109)
中性脂肪:40mg(50~149)
総コレステロール:228mg(150~219)
HDL-コレステロール:93mg(40~85)
LDL-コレステロール:127mg(140mg未満)
尿酸:4.0mg(3.4~7.0)
BUN:18.9mg(8~20)
クレアチニン:0.66mg(0.6~1.1)
血清シスタチンC:0.63mg(0.61~1.00) → eGFR:119.3
GOT:26(9~38)
GPT:21(5~39)
γGTP:45(84以下)
総タンパク:6.6g(6.5~8.3)
アルブミン:4.5g(3.8~5.3)

血色素量:15.0(13~17)
白血球数:5400(3900~9800)
赤血球数:465(400~560)

空腹時インスリン:4.4μU/ml(3~15)

血中βヒドロキシ酪酸:698μM/L(76以下)
尿中アセトン体:陰性

尿アルブミン定量精密・クレアチニン補正値:7.3(30以下)



HbA1cも正常範囲内ですがやや高めのほうです。
空腹時血糖値が、正常範囲内でやや高め(正常高値)であることを反映しています。
まあ、糖尿病歴、15年ですから仕方ありませんね。

一方、GAは正常範囲内でかなり低めのほうです。
これは、スーパー糖質制限食により食後高血糖がほとんどないためと思われます。
即ち「糖化」は正常人並みあるいはそれ以上に予防できていると考えられます。

総コレステロール値は、心血管疾患との関連性は無く、
脂質異常症の2007年以降のガイドラインから外れているので特に問題はありません。
HDL-コレステロール、LDL-コレステロールもOKです。
中性脂肪値が低く、HDL-Cが多いので、
小粒子LDL-Cはほとんどない良好なパターンです。

スーパー糖質制限食なので、高タンパク・高脂質食なのですが、尿酸はやや低いですね。
尿酸も食べ物由来は2割程度であとは個人の体質ですのでこんなものでしょう。

高タンパク食ですが、BUNもクレアチニンも正常です。

焼酎などよく飲む割には肝機能も全く正常です。 (^_^)

インスリンは、基礎分泌が正常範囲内でやや少なめですが、
空腹時血糖値が基準値なので問題ないです。

血中βヒドロキシ酪酸:698μM/L(76以下)と、
一般的基準値に比べればかなり高値ですが、
尿中のアセトン体(ケトン体の一種)は陰性です。

これは、スーパー糖質制限食実践で、心筋・骨格筋などの体細胞が、
日常的に効率良くケトン体をエネルギー源として利用するようになったため、
尿中に排泄されないのだと考えられます。

即ち、わたしの血中ケトン体値は、あくまで生理的範囲のもので、
インスリン作用は一定確保されていて、血糖値も106mgと正常です。

見方を変えれば、農耕以前の人類皆糖質制限食だった頃は、
私のような血中ケトン体値のデータが当たり前で、
人類の標準だったと考えられます。

糖質制限食実践中の人の血中βヒドロキシ酪酸の標準値は、
200~800~1200μMくらいと考えられます。

ケトン食レベルの人達の、血中βヒドロキシ酪酸は、
1000~2000レベルですが、尿中ケトン体は、陰性のようです。

なお、糖質制限食開始直後は、血中ケトン体の上昇に伴い、
尿中のケトン体も陽性となり、どんどん体重が減少していきます。
徐々にケトン体の利用効率が良くなるに従い、
尿中ケトン体は減っていき、やがて陰性となります。


江部康二
機能性低血糖。急性膵炎・慢性膵炎と糖質制限食。
【17/10/17 ルーマニアから

膵炎らしき症状に糖質制限は

江部先生。初めまして。突然の失礼をお許しください。
私は55歳の男性で、長いこと低血糖症に悩んでいまして、
ことしの3月と6月に急性膵炎で倒れてしまいました。

しかし、昨年4月よりルーマニアの片田舎に在住のため、
日本のような医療機関が見つからず、
インターネットの情報から絶食とわずかづつの摂食でなんとか自力で回復しました。

しかし、救急症状まではいかなくとも低血糖症状は良くならず、
しんどい時は昏睡のように眠ったり、
最悪の時は黒砂糖を食べて救急症状に対応したりしています。

しかしなんとかしたいといろいろと探しているうちに、
江部先生の糖質制限にたどり着きました。
もう本当に目からウロコが取れた感じです。
自己流でこれを始めて1週間くらいです。
血糖の乱高下は収まりつつあります。
しかし医療機関の受診も検査もできないため、数値からではなく、
体の様子からの判断であり、すべて憶測の範囲を出ません。

糖質制限の注意事項に、基準値範囲内の膵炎患者は適応しない、とありますが、
私のような症状では糖質制限食を行ってよいものでしょうか。
薬は膵炎用の単純消化薬のみ服用しています。

お忙しいところ大変申し訳ありません。
もしわずかでもアドバイスをいただけると大変助かります。
よろしくお願いします。】



おはようございます。
「ルーマニアから」 さんに、膵炎と糖質制限食について、コメント・質問を頂きました。
機能性低血糖もあるそうです。

結論から言うと、「ルーマニアから」 さんの今の状態なら
腹痛などの症状もなく、急性膵炎から回復しておられますので、
糖質制限食を実践されても大丈夫です。

『慢性膵炎の診断基準を満たす場合は、糖質制限食は適応とならない。』
と述べましたが、下記にもありますように、そのようなケースはまれです。

従いまして、安心して糖質制限食を実践されて、
機能性低血糖の症状を予防・コントロールされて、大丈夫です。


さて、急性膵炎は重症の病気で、本来、入院が必要です。
しかし急性膵炎は、致命的経過をとることがある重症例を除き、
一般的には可逆性であり、臨床的回復後約 6 か月経過すると、
膵臓は機能的・形態的にほぼ旧に復するとされます。

従って、治ったあとは糖質制限食OKです。
糖質制限食で膵炎になるということは、ありません。
一方アルコールが急性膵炎のもっとも多い原因ですから、
過度な飲酒を控えることが大変重要です。
1日あたりの飲酒量が増えるに伴い
急性膵炎のリスクが上昇することが知られています。


慢性膵炎は、再燃と改善(間欠期)を繰り返しながら、
徐々に膵臓が慢性炎症のために壊れて膵機能不全に進行していく病気です。
再燃を予防するには、アルコールを控えることと禁煙が最も重要です。

「厚生労働省難治性疾患克服研究事業・難治性膵疾患に関する調査研究班」
の全国調査によると、
2011年1年間に医療機関を受診した慢性膵炎患者さんの数は約67,000人、
人口10万人あたりの数は52.4人と推定されています。
2011年の1年間に新たに慢性膵炎を発病した患者さんは約18,000人でした。

慢性膵炎は高脂肪食はなしとなりますので、糖質制限食は適応となりません。
一方、慢性膵炎の確定診断には画像診断或いは組織診断が必須です。
そのため、確定診断のついた慢性膵炎は、そんなにはおられません。

従って、確定診断がついていない、
血清アミラーゼやリパーゼがやや高値で、腹痛もないレベルなら
糖質制限食OKです。
実際、糖尿病があり、アミラーゼ高値でも
腹痛はない患者さんが
糖質制限食を実践したところ、血清アミラーゼ値が改善したことがあります。


より詳しくは以下の本ブログ記事をご参照頂けば幸いです。


2015年05月12日 (火)の本ブログ記事
「膵炎と糖質制限食。急性膵炎。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3377.html

2015年05月14日 (木)の本ブログ記事
「膵炎と糖質制限食2。慢性膵炎。」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3379.html



江部康二