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江部康二のシック・デイと血糖値。
こんにちは。

大分前のことですが、
東京講演会往復の新幹線かどこかで貰ったのか、珍しく風邪をひきました。

2月11日が東京講演会。
2月12日の朝から鼻水がとまらなくて、外来診察で困るので、
小青龍湯の錠剤を3日分くらいを、半日で飲みました。
薬はよく効いて、鼻水は止まりました。
ついでに寝る前にももう一回2袋飲みました。

そうすると、ドーピングならさしずめ陽性になるだろう麻黄がたっぷり含まれてますのでその夜、
これまた珍しくほとんど眠れませんでした。

翌日は水鼻はほとんどありませんが、粘っこい黄色い鼻が出ました。
食欲も大丈夫ですし咳もほとんどありませんが、少し体がけだるい感じです。

これはちょうどシックデイだということで、
早朝空腹時血糖値を測定したところ

2.13金曜日 早朝空腹時血糖値:158mg/dl

過去最高記録を更新してしまいました。

シックデイとは、糖尿病患者さんがほかの病気(風邪、肺炎、下痢、嘔吐など)にかかった状態のことです。
糖尿人が、シックデイになると、基本的に血糖値が上昇します

私の場合、元々基礎分泌がインスリンやや低下しているので、
早朝空腹時血糖値はやや高めで、前夜豚カツとか餃子とか食べたりしたら、
翌日の早朝空腹時血糖値が130mg/dl前後になることがたまにあるのですが、
150mgを超えたのは計測を始めて初めてでした。
食後高血糖はないので、HbA1cは5.6~5.8%前後です。

通常の早朝空腹時血糖値は正常~境界型です。
1.18 97mg
1.26 120mg
2.2  118mg
などです。

そして風邪引きはじめの
2.12木曜日 122mg 
2.13金曜日 158mg シック・デイ+不眠
2.14土曜日 129mg シック・デイ3日目 
2.15日曜日 136mg まだシック・デイ 朝まだ黄色い鼻。
        テニスにでかけたがややだるい感じあり。
2.16月曜日 112mg
        起床時鼻なし。シックデイほぼ終了。

いやはやシック・デイ、恐るべしですね。
不眠という急性ストレスも恐るべしですね。

12日から16日、食べたのはスーパー糖質制限食でとくに変わりはありませんので、
こんなショボイ風邪でもかなりの影響がでるのだなと実感したことでした。


江部康二
糖尿病と糖質制限食と腎機能 続き
こんばんは。
相変わらず寒い京都です。
日中は5.5℃まで上昇しましたが、朝7時は1.5℃でした。
さて今日は、昨日の続きです。

高血糖が持続すると、腎糸球体の細小血管の障害が起こります。
その結果、糸球体の構造が破壊され、機能障害が生じていきます。

<糖尿病腎症の5段階>
糖尿病腎症は、以下の5段階に分類されます。

第1期(腎症前期)
糖尿病性腎症かどうか検査ではわからない時期、糖尿病の人は3ヶ月に1回は微量アルブミン尿の検査を受けることが奨められます。

第2期(早期腎症期)

腎症の一番初期の段階は、尿中微量アルブミンの増加としてとらえられます。
この段階で早期腎症期です。
3ヶ月に1回ていど尿中微量アルブミンを検査すれば、一般的に測定されている尿タンパクが出現する以前の段階で、早期腎症を発見することができます。
この検査は、健康保険が効きますのでお奨めです。

第3期(顕性腎症期)
タンパク尿が出てくる時期です。
タンパク尿が出始めたら、顕性腎症期の段階に入ります。
この段階では血液の腎機能検査は正常です。

第4期(腎不全期)
クレアチニン・クリアランスが低下する時期。
血液検査で、クレアチニン、BUNなどに異常が出現すれば腎不全期となります。
この段階になると、糖質制限食を実践する場合は必ず医師と相談する必要があります。

第5期(透析療法期)
ほとんど腎臓が機能しなくなり、透析療法が必要となります。
年間約1万6千人の方が糖尿病性腎症により人工透析を導入していますが、
慢性腎炎を抜いて疾患別では1位となっています。


できれば微量アルブミンの早期腎症の段階で発見し、進行をくいとめたいものです。
この段階なら、糖質制限食で血糖コントロールを良好に保てば、
充分正常への回復が期待できます。


顕性腎症期になっても、糖質制限食で血糖コントロール良好を保てば
進行が止まったり、進行をゆっくりさせてくれる可能性があります。
非常に上手くいけば、以下のバーンスタイン医師のように
蛋白尿が陰性となることもありえます。



本ブログに時々登場する、ご自身が1型糖尿病の米国のバーンスタイン医師は、
小児期12才に1型糖尿病を発症し、以後インスリンを打ち続けておられます。

35才、顕性腎症となった頃、SMBGで血糖自己測定をしながら食事療法を研究し、
徹底した糖質制限食を開始されました。

蛋白尿が出現する段階の顕性腎症期から、
糖質制限食で回復しタンパク尿が消失しました。
45才で医学部に入学、49才で医師になり、糖尿病を徹底的に研究されました。
以後、多数の糖尿病患者を診察しておられます。

バーンスタイン医師は、1934年6月17日生まれですから
2023年2月現在、88歳ですが、
糖尿病合併症もなく、現役医師としてお元気にお過ごしです。


江部康二二
糖尿病と糖質制限食と腎機能
こんばんは。

講演会やブログ記事や拙著において、

「血液検査で既に腎機能が悪化している場合は
糖質制限食を実践するかどうかは必ず医師と相談して下さい。」


ということを説明しています。

これは、具体的には、血清クレアチニンの悪化を指しています。
血清クレアチニンは、腎機能が正常人の30%以下に低下して、初めて上昇してきます。この時点で腎不全です。

クレアチニンの基準値ですが、ネットで4つの異なる検査機関で調べてみました。

男性で
A:0.7~1.4mg/dL、
B:0.66~1.13 mg/dl、
C:0.5~1.1mg/dl
D:0.6 ~1.2 mg/dl

など検査機関A、B、C、Dにより基準値が少し異なります。

いずれにせよ、その検査機関の基準値を超えて上昇し始めたら、腎不全です。
つまり、糖尿病で血糖コントロールが悪くて、
血清クレアチニン値が上昇し始めたとういことは、
腎臓の糸球体(毛細血管の集合体)が70%障害されていることになり、
その時点で血糖コントロールが良くなっても、
既にある障害は、回復困難なのです。

もっと早い段階で腎機能の悪化がチェックできればいいのですが、
それには血清シスタチンCという検査が良いと思います。

クレアチニン値はGFRが30mL/分(腎不全)前後まで低下した頃から上昇するのに対し、
シスタチンC値はGFRが70mL/分前後の軽度~中等度の腎機能障害でも上昇するので、
腎機能障害の早期診断にたいへん有用です。

既にクレアチン値が上昇するレベルの腎不全がある場合は、
日本では一般に高タンパク食は良くないとされています。

一方、米国糖尿病学会は、
『糖尿病腎症に関しては低タンパク食は推奨しない。』

と明言しています。
ということは、米国糖尿病学会の見解に従えば
高タンパク食である『糖質制限食』も、糖尿病腎症であれば
少々腎不全があっても実践可能となります。
勿論、必ず医師と相談しつつ、毎月検査しながら慎重に糖質制限食に
取り組むことが重要なのは言うまでもありません。

なお、高タンパク食を摂取すると腎臓が悪くなるというエビデンス(根拠)はありません。
従って、腎機能が正常の糖尿人やメタボ人が 糖質制限食(高タンパク食)を食べても全く問題はありません。


江部康二

花粉症と漢方と糖質制限食
こんばんは。
今朝も寒かったです。
京都市の気温は、2023/2/1(水)、-1.2℃~11.2℃の予想です。
午前7時が、-1.0℃、午前8時が、0℃でした。
 
さて、いよいよ花粉症シーズンとなってきました。
 
花粉の飛散時期
・スギ:京都では年初から飛び始めて3月にピークを迎えて3月末くらいまで飛散します。
・ヒノキ:京都ではスギ花粉終了後に飛び始めて4月にピークを迎えてGW前くらいまで飛散します。
・シラカンバ:北海道ではシラカンバ属の飛散が5~6月にピークを迎えます。
・イネ科:北海道で6~9月に飛散しますが、本州以西ではほぼ1年を通して飛散します。
・キク科:秋の花粉として知られるキク科のブタクサ属・ヨモギ属、クワ科のカナムグラは8~10月に飛散します。

 
 今回は、花粉症と漢方・糖質制限食について、検討してみました。
  
糖質制限食実践により、代謝全てが安定し(ブドウ糖スパイクがない)、
動脈硬化のリスク要因全てが改善し、血流も毛細血管に到るまでさらさらとなります。
 これにより、人体の自然治癒力が高まるので、糖尿病・メタボは勿論のこと、
ほとんどの生活習慣病の改善が期待できます。
 例えば、アトピー性皮膚炎などでも、皮膚がしっとりしてくることが多いです。
また数人の人からは、毛髪が太くしっかりして抜けにくくなったと報告を受けました。
花粉症に関しても、ブログ読者の皆さんのコメントでも、かなりの確率で改善するようです。
 
さて、高雄病院職員の20代の男性、小学生からのスギ花粉症で、
年々症状がきつくなっていったそうです。
 花粉症シーズンは、耳鼻科医のお薦め通り、1ヶ月前から抗アレルギー剤を内服し、
点眼薬、点鼻薬も開始して準備万端整えていたそうです。
 
しかしあに図らんや、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりのフルコースで、
息も絶え絶えで、仕事も手につかない状態でした。(+_+)
ひたすら十数年間耳鼻科へ通い続けていた訳ですが、
一向に良くならないどころか年々悪化していく事態に、
藁をもすがる思いで高雄病院で診察して貰いました。
 
この職員さん、まあ「漢方なんて藁?」くらいの認識だったのでしょうか。
 ところがどっこい、西洋薬を一切中止して煎じ薬を飲んだその日から
くしゃみ・鼻水・鼻づまりがぴったりとまって、奇蹟のように改善したのです。ヾ(゜▽゜)
 
煎じ薬、はっきり言ってメチャまずいです。σ(=_=;)ヾ
 
それでもシーズン中は飲み続けました。
そしてその年の冬からは、花粉症予防薬の漢方エキスを飲んで、
翌シーズン中は煎じ薬に切り替えて、その後は、ほとんど花粉症が出ずに済みました。
 
そして一念発起して、スーパー糖質制限食も開始しました。
そうすると、まったく薬もなしで花粉症フリー状態、となりました。
 
なお、私は、花粉症ではなくて、ダニアレルギーによる通年性のアレルギー性鼻炎です。
若い頃は、ほんとにひどかったです。
ティッシュペーパーと一日中縁が切れず、
自称「水も滴るいい男」とか強がりを言ってましたが結構苦労しました。(=_=;) 
 
漢方もよく飲んでコントロールしていました。
 
現在は、当時のピーク10としたら1くらいに落ち着いています。
糖質制限食開始後、明らかに症状は改善し、薬は何も飲んでいません。
 
ただ、アルコールが過ぎると鼻炎がでますね。
このときは、小青竜湯を錠剤かエキス剤で飲んでコントロールしています。
 
  
江部康二
日本では何故、糖質制限食が広がりにくいのか?
【23/01/30 末ちゃん
タイトルなし
明快ですね!
 江部先生をはじめ、志を同じくする方々の地道な働きかけのおかげです、糖質制限食の認知は。しかし、いつも疑問に思うのですが、医学は科学なのに、なぜ新しい事実を受け入れて革新していかないのでしょう。素人考えでは利権という人間の醜い執着心が原因ではないかと。結局はカネの問題なのでしょうか。】


こんばんは。
末ちゃん から、『日本では何故、糖質制限食が広がりにくいのか?』
という、コメント・質問を頂きました。

私が理事長をつとめる
「日本糖質制限医療推進協会」https://www.toushitsuseigen.or.jp/

「提携医療機関」https://www.toushitsuseigen.or.jp/med-institution

を見て頂ければよいのですが、
実は、北海道から沖縄まで、糖質制限食賛成派の医療機関は
広がってきているのです。

一般社団法人「日本糖質制限医療推進協会」は2013年5月1日に、
ホームページをオープンし、会誌を発行する運びとなりました。
その後、医療従事者対象セミナーを年2回開催して、
徐々に糖質制限食賛成派の医師が増えて行きました。

そして、
門脇孝東大糖尿病・代謝内科教授・日本糖尿病学会理事長は
「東大病院では、2015年4月から、糖質40%の糖質制限食を供給している。」
と明言され、ご自身も緩やかな糖質制限食を実践されているとのことです。
☆☆☆出典2016/7/1(金)東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/125237?page=4

また、2017年2月7日(火)午後から、東京大学医学部に行ってきました。
実は東大に行ったのは生まれて初めての経験でした。

渡邊昌先生、門脇孝先生、江部康二の3人で、教授室で鼎談を行いました。
日本糖尿病学会のトップと、糖質制限食や糖尿病食などについて
じっくり話し合うことができて、とても有意義な90分間でした。

渡邊昌先生は、医学雑誌「医と食」の編集長です。
門脇孝先生は、
一般社団法人 日本糖尿病学会 理事長  であり、
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授(当時)です。
門脇孝氏は、2020年から虎の門病院で院長をされています。

つまり、日本糖尿病学会のトップは、
すでに糖質制限食を容認しておられるということなのです。



問題は、糖尿病専門医の方々と思います。
糖尿病専門医で、糖質制限食を容認している方もおられますが、
残念ながら多数派は、糖質制限食反対なのです。

これは、利権というより、面子の問題と考えられます。
20年、30年、40年と唯一無二の「糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)」
を患者さんに指導してきているので、
いまさら、「糖質制限食」が良いとは言えないのでしょう。

中には、自己批判をして、「従来の糖尿病食より糖質制限食が良い」
と明言する糖尿病専門医もおられますが、かなりの勇気がいると思います。


2019年4月、米国糖尿病学会は<コンセンサス・レポート>において、
『エビデンスが最も豊富なのは糖質制限食である』と明言
しました。
その後、2020年、2021年、2022年、2023年のガイドラインでも
同様の見解を維持しています。
このように、糖質制限食はその有効性と安全性について
米国糖尿病学会のお墨付きというわけで、私としても嬉しい限りなのです。

日本の糖尿病専門医も早く、変わって欲しいものです。


江部康二